Foreigner's God

2016年10月06日

Foreigner's God : Hozier




She moved with shameless wonder *1
彼女は感嘆に価するほどの恥知らずなふるまいをした
The perfect creature rarely seen *2
こんな完璧な被造物はごく稀にしか見られない
Since some liar brought the thunder *3
とある嘘つきが雷のような怒号をもたらして以来
When the land was godless and free *4
この地は神のいない自由な地となった

Her eyes look sharp and steady *5
彼女の鋭く確固とした視線が
Into the empty parts of me
私の中の虚ろな部分に注がれる
But still my heart is heavy *6
だが、私の心は今もなお重苦しく陰鬱だ
With the hate of some other man's beliefs *7
ある者たちの信仰がはらむ憎悪のために

Always a well dressed fraud *8
いつだって詐欺師は良い身なりをしている
Who wouldn't spare the rod *9
そして、常に鞭を惜しむことがない
Never for me
私に対しては

Screaming the name of a foreigner's God *10
異国の神の名を叫ぶその声は
The purest expression of grief *11
悲痛な心の純粋な表れ

Wondering who I'll copy *12
私は、誰に倣おうか惑いながら
Mustering some tender charm *13
わずかばかりの優しい魅力をかき集める
She feels no control of her body
彼女は自分の体を抑えられないと感じている
She feels no safety in my arms
彼女は私の腕の中では安らげないと感じている

I've no language left to say it *14
私には、それについて言うべき言葉はもうない
But all I do is quake to her *15
だが、私の行為はすべて彼女をおののかせる
Breaking if I try convey it *16
私がそれを伝えようとすれば壊れてしまいそうだ
The broken love I make to her *17
私は彼女に壊れた愛をもたらす

All that I've been taught
私が教えられてきたものはすべて
And every word I've got
私の持つ言葉はどれも
Is foreign to me *18
異国のもののように馴染めない

Screaming the name of a foreigner's God
異国の神の名を叫ぶその声は
The purest expression of grief
悲痛な心の純粋な表れ


備考
  1. shameless : 恥知らずな、慎みのない、厚かましい、破廉恥な
    wonder : 不思議な(驚くべき)物・事・人、驚嘆・感嘆を引き起こすもの、奇跡。驚き、感嘆の念。
  2. creature : (人間以外の)動物、生物、人間、創造された物、神の創造物、不快な(恐ろしい)生き物
    ※ "creature" は意味の幅が広く使用者によって異なった意味を持たせられる。
  3. liar : 常習的な嘘つき
    thunder : 雷、雷鳴、落雷。雷のような(鳴り響く)音・声。威嚇、激しい非難、弾劾、怒号、熱弁。
  4. when : 非制限用法の関係副詞。そしてそれから、~するとその時、~したとたんに。"and" の意味が多いが、"but" や "for" などの意味でも用いられる。
  5. sharp : 鋭い、よく切れる、とがった。(勾配やカーブが)急な、険しい。(鼻・顔立ち・像などが)線の鋭い・輪郭のはっきりした。(感情・言葉等が)厳しい・烈しい。頭が切れる、すきのない
    steady : 固定された、安定した、ぐらつかない。むらのない、規則的な、不変の、絶え間ない、いつもの。(精神が)動揺しない、落ち着いた、確固とした、びくともしない
  6. heavy : 元気のない、沈んだ、悲しげな、陰鬱な。耐え難い、辛い、苛酷な。
  7. hate : 激しい嫌悪、憎しみ、憎悪
  8. well-dressed : 立派な服を着た、身なりの良い、身なりのきちんとした
    fraud : 詐欺、欺瞞、ぺてん、裏切り。まやかし物、詐欺師、ぺてん師。詐欺行為、不正手段。仮装。不正直、ずるさ、不実
  9. spare : ~を無しで済ます、予備としてとっておく。使い惜しみする、倹約する、控える。
    rod : 棒、棹。鞭。
    Spare the rod and spoil the child. : [諺] 鞭を惜しめば子供が駄目になる。可愛い子には旅をさせよ。元は旧約聖書『箴言』13章24節「むちを控える者はその子を憎む者である。子を愛する者はつとめてこれを懲らしめる」
  10. foreigner : よそ者、外国人。異質なもの、見慣れないもの、なじめないものという意味合いがある。
  11. pure : 不純物のない、純粋な。混ぜ物のない、単一の、同質の。傷のない、きれいな、清潔な、しみのない。潔白な、純真な、罪のない。肉体的に汚れのない、純潔な
    expression : 表現、表出、表示。発現、言葉、言い回し。表れ、表情、声の調子
    grief : 深い苦悩、深い悲しみ、嘆き、悲痛、悲嘆
  12. copy : (言葉等を)写す、書き写す。(絵・章句等を)複写・模写する。(人・長所等を)まねる
  13. muster : (勇気・精力等を)奮い起こす、(熱意・支持等を)寄せ集める。(軍隊・乗組員等を)集合させる、呼び集める、召集する
    charm : 魅力、魔力、(女性の)容色・色香・愛嬌。お守り、魔除け、呪文、まじない。
  14. language : 国語、個別言語。(一般に)言語、言葉。伝達記号体系、記号言語。(音声・文字によらない)言葉、身ぶり・鳴き声等による伝達手段。言葉づかい、言い方、文体
  15. quake : 地震。震え、おののき、震動、揺れ
  16. convey : 運ぶ、搬送・運送する。伝達する、伝える、告げる。譲渡する
  17. make love to ~ : ~と性交する。~といちゃつく、抱擁する、接吻する。~に言い寄る、~をくどく
  18. foreign : 外国の、他国の、外国から来た、外国産の。異質の、外から侵入した
    foreign to ~ : 無関係の、無縁の、合わない、なじまない、見慣れない、耳慣れない、なじみのない


 2014年のデビューアルバム "Hozier" より。
 詩的な隠喩に満ちた歌詞で意味の分からないところが多いため、自分なりの解釈を込めた意訳はしませんでした。そのため、ほぼ直訳の分かりにくい訳文になってしまいました。表面的には、自由な価値観を持つ「彼女」は「私」の恋人であり、「私」をとりまく排他的な文化や価値感が二人の関係を阻害しているという趣旨ではないかと想像しています。その価値観とは具体的に言えば性愛を人間の原罪とみなすキリスト教思想、とくにアイルランド人であるホウジァの場合はローマカトリック教会の思想を指しているのでしょう。
 そして、歌詞中の「彼女」は異教(pagan) の女神を隠喩するようにも思え、歌詞全体を、キリスト教文化圏に住みながら異教に憧れる主人公の嘆きや疎外感として解釈することもできそうです。その場合、彼女と関係を持つことは異教の思想に共鳴することを意味します。"foreign" に「合わない、無縁の、なじめない」という意味があることから、曲名の "Foreigner's God" はユダヤ・キリスト・イスラム共通の唯一神を指しているように見えますが、「異国の神の名を叫ぶその声は悲痛な心の純粋な表れ」という歌詞からは肯定すべき「異国の神=異教の神」と解釈した方がいいような気もします。
 *3 の「とある嘘つき」や「雷鳴」など分からない隠喩が散見するので細部の解釈がし切れませんが、キリスト教思想に対する違和感や嫌悪感がこの歌詞の主題だろうとは思います。


 <関連記事>
   ☆ Take Me To Church : Hozier

Take Me To Church : Hozier

2015年09月15日




My lover's got humour
僕の恋人は面白い
She's the giggle at a funeral *1
葬式で声を殺して笑う
Knows everybody's disapproval *2
みんなの反感を買うのは知っている
I should've worshipped her sooner *3
もっと早くから彼女を崇拝すべきだった

If the Heavens ever did speak
神が言葉を発することがあるとすれば
She is the last true mouthpiece *4
彼女こそ、最後に残る真実の代弁者だ
Every Sunday's getting more bleak *5
週毎に日曜日はますます陰鬱なものになっている
A fresh poison each week
毎週配られる新鮮な毒
"We were born sick," you heard them say it
私たちは生まれながらに病んでいるのです…いつも教会で聞かされる言葉

My church offers no absolutes *6
僕の教会は完全無欠な原理を滔滔と述べたりしない
She tells me, "Worship in the bedroom"
彼女は言う。崇拝は寝室でと
The only heaven I'll be sent to
僕が送られる天国は
Is when I'm alone with you
あなたと二人きりでいる時のみ存在する
I was born sick, but I love it
僕は生まれながらに病んでいる。そして、それをとても気に入っている
Command me to be well
だから命じてくれ。健やかであれと
Amen. Amen. Amen
ありのままであれ

※ Take me to church
教会へ連れて行ってくれ
I'll worship like a dog at the shrine of your lies
犬のように崇拝しよう。あなたの偽りの聖堂で
I'll tell you my sins and you can sharpen your knife
僕は罪を告白しよう。あなたはそのナイフを研げばいい
Offer me that deathless death
僕に見せてくれ。その死なない死というものを
Good God, let me give you my life ※
善き神よ。私の命をあなたに捧げさせてくれ

※~※

If I'm a pagan of the good times *7
もし僕が良き時代の異教徒なら
My lover's the sunlight *8
僕の恋人は太陽の光だ
To keep the Goddess on my side
女神をいつも傍にいさせるには…
She demands a sacrifice
彼女は生贄を求める
To drain the whole sea *9
海を干上がらせること
Get something shiny
何か光り輝くものを手に入れること
Something meaty for the main course *10
主菜のためのたっぷりした肉などを手に入れること
That's a fine looking high horse *11
あの高貴な馬は見事な傲慢さだ
What you got in the stable? *12
その馬小屋には何がある?
We've a lot of starving faithful *13
こちらには大勢の飢えた忠実な信者がいる
That looks tasty
なんて美味しそうなんだ
That looks plenty
なんて沢山なんだ
This is hungry work
これは腹の減る仕事なんだ


☆ Take me to church
教会へ連れて行ってくれ
I'll worship like a dog at the shrine of your lies
犬のように崇拝しよう。あなたの偽りの聖堂で
I'll tell you my sins so you can sharpen your knife
罪を告白しよう。あなたがそのナイフを研げるように
Offer me my deathless death
僕に、死なない死というものを味わわせてくれ
Good God, let me give you my life ☆
善き神よ。私の命をあなたに捧げさせてくれ

☆~☆

No masters or kings when the ritual begins *14
儀式が始まればもう主も王もない
There is no sweeter innocence than our gentle sin *15
僕たちの穏やかで優しい罪は、この上なく甘く快い。原罪を免れた無垢なんだ
In the madness and soil of that sad earthly scene *16
この悲しい地上の舞台、狂気と泥に汚れた土の中で
Only then I am human *17
その時だけは僕は人間だ
Only then I am clean
その時だけは僕は清浄だ
Amen. Amen. Amen
ありのままであれ

※~※

※~※


備考
  1. giggle : [動] くっくっと笑う [名] くっくっという笑い、面白い人、ジョーク
    have the giggles : けたけた笑う
  2. disapproval : 非同意、不承認、不賛成、不満、非難の気持ち
  3. worship : 崇拝する、礼拝する、尊敬・賛美する
  4. mouthpiece : (容器・菅の)口、(楽器等の)吹き口、マウスピース、代弁者、弁護士
  5. bleak : わびしい、気の滅入るような、暗い。吹きさらしの、荒涼とした、寒々とした
  6. offer : 提供する、差し出す、申し出る。述べる、提案する。捧げる
    absolute : 絶対的なもの、絶対(不変の)原理。完全無欠なもの、宇宙、神
  7. pagan : ユダヤ・キリスト・イスラムの一神教徒から見た異教徒。無信仰者・快楽主義者。野蛮・無知などの侮蔑的意味合いを含む。歌詞中の「良き時代」は侮蔑的な意味ではないことの強調だろうか?
  8. ※ pagan には太陽神等を崇める古代的な自然崇拝も含まれる。
  9. drain : (液体を)排出させる・抜き取る、飲み干す・空にする。(土地などが)干上がる・乾燥する
  10. meaty : 肉の(ような)、肉の多い、肉の味の強い、肉付きのよい
  11. be on one's high horse : 傲慢な態度をとる、(人を)理由もなく軽蔑する
  12. stable : 馬小屋、厩、厩舎
  13. faithful : 忠実な会員、忠実な支持者、信者、キリスト教信徒
  14. ritual : 儀式形式、式次第、典礼。作法、しきたり
  15. innocence : 無罪、潔白、無邪気、天真爛漫。無知、素朴、愚直。心の純潔、肉体の貞節
    soil : 1.土壌、土、大地、地域、温床。2.汚すこと、汚れ、汚物、下水、糞尿、肥料
  16. earthly : (天国に対して)地上の、この世の、現世の
  17. ※ "only then" は *14 の "when the ritual begins" につながっている。キリスト教では罪とされる性愛の儀式こそが「僕」にとっては人間でいられる時間、潔白でいられる時間であるという意味なのだろう。


 2014年のデビューアルバム Hozier より。冒頭の動画が強烈なので誤解する人もいるかもしれませんが、この歌詞は同性愛者に対する支持を主題としたものではありません。性愛は人間の原罪であり必要悪であるととらえるキリスト教思想に対する批判的な歌詞なのだろうと思います。それが最も分かりやすく表されているのが *15 の "innocence than our gentle sin" の部分です。他の歌詞にもある通りキリスト教は人間を生まれながらに「罪」を背負った汚れた(病んだ)存在だとみなします。innocence はその罪と対照的な言葉で「無罪、潔白、無垢、純潔」でありながら同時に「無邪気、無知、愚直、お人よし」でもあります。すなわち、人間として劣っているという意味合いを持っているのだろうと思います。宗教が自分を汚れていると規定したところで自分は何も気にしない、性愛は罪でも悪でもないというのがこの歌詞の主張だろうと思います。もちろん、そこには生命の誕生と無縁の同性愛に対する受容も含まれているのでしょう。
 そして、その批判の方法はかなり過激です。とくにサビの "Take me to church" 以下は、寝室での愛の行為を教会での礼拝に譬えており、敬虔なキリスト教徒からすれば教会やキリスト教、あるいは神への度の過ぎた冒涜ととられるのではないかと他人事ながら危惧します。ホゥジアはアイルランド人ですからおそらくカトリック信徒の家庭に育ったのだろうと想像しますが、この歌詞だけから判断すると彼はキリスト教への信仰心はほぼ皆無なのではないかと思われます。
 歌詞の中でまだ分からないのが *7 の pagan 以下の部分です。なぜここでキリスト教が敵視する自然崇拝などの異教を持ち出したのか、その意図が不明です。この一連の部分の5~13行目まではキリスト教の「傲慢」を批判しているように見えるのですが、冒頭4行の pagan のくだりの文脈がまだ理解できていません。

2015年9月23日追記
 知人のアドバイスを得て、pagan について考えてみたので以下に簡単に記します。と言っても、確信ではなく想像の域を出るものではありません。
 上にも書いているようにこの歌詞の趣旨はキリスト教の原罪説への批判だろうと思います。具体的には、人間は生まれながらに罪を負った存在であり性行為はその罪の表れであるという考え方に対する反感です。イブがアダムの肋骨から作られた人類創生譚、エデンの楽園を追われた責任がイブに負わされている事、サムソンを騙して弱体化させたデリラなど旧約聖書に顕著に見られるように、ユダヤ・キリスト教では女性は男性を惑わし堕落させる危険な存在とする価値観が強いようです。
 そのようなキリスト教世界に生きる「僕」は、恋人である彼女こそが神であり自分は彼女に命を捧げる生贄であると規定します。そしてその考え方はキリスト教世界では完全否定されるものであり、そこでは彼女は「僕」を堕落させる悪魔的な存在とされてしまいます。
 ところが pagan の世界ではアニミズム的な自然崇拝にせよギリシャ神話的な人格神にせよ人間と神との垣根はあいまいで人間と神との交渉も可能です。従って、「僕」が女神を恋人とすることあるいは「僕」の恋人である彼女が神であることは何の支障もなく成り立つことになります。*7 以下の4行については、このような「僕」と「彼女」の関係が罪ではなく自然なものとして認められる pagan の世界がキリスト教では無知・罪悪・悪魔的とみなされるという批判的文脈で書かれているのだろうと思います。
 そして、この部分全体の文脈としては、「僕」の恋人への愛情、それに関わる欲望(支配・光輝・肉)、高貴な馬に乗る教会の信仰心と欲望、飢えた信者の信仰心と欲望、それらはすべて同じ類のもので、"tasty, plenty, hungry" すなわち等しく「人間的」なものだと主張しているのではないかと思いました。
 歌詞が論理的に書かれていないのでこれは一つの推論でしかありません。他のいろいろな解釈も成り立つと思いますので、他の解釈や訳し方などがあればコメントいただけると幸いです。

2015年10月6日追記
 この歌は初めに想像したよりも深い意味を持っているように思えてきたので、少し書き加えておきます。あるインタビューでこの歌に関連してホゥジアは次のように話しています。

With “Take Me to Church,” it’s using the language against itself, if that makes sense. It’s using the language to express that I need to be free of that language and be free of those concepts. Only being able to use those concepts, I suppose you would lift more particularly from those terms.
"Take Me to Church" では、言語をそれ自身に対抗させる使い方をしているんだ。分かりにくいかな? 「言語から自由にならなければならない、言葉の持つ概念から自由にならなければならない」ということを表現しようとする言語の使い方なんだ。(そして、)ある言葉をより高く引き上げるためには、その言葉の持つ概念を使いこなせるようになるしかないと思うんだ。
(http://www.absolutepunk.net/showthread.php?t=3711040 ※翻訳は間違っているかもしれません。)

 上の記事で「キリスト教思想を批判する歌詞」だと単純に書きましたが、この歌詞は「批判する自分自身」にも批判の目を向けているようにも思えます。例えば、恋人への愛情と教会の思想を同格に並べていると上述しましたが、これは、恋人への愛のために海を干上がらせる事(不可能な事・倫理に反する事)は宗教のために成される悪事と同格だということです。
 神の名の下に行なわれる戦争や虐殺は数千年前から現代に至るまで絶えることなく起き続けています。このような盲目的な崇拝の恐ろしさは、一見素朴に見える pagan 的な思想にも一個人の他を排する偏狭な思想にも通じるものがあると示唆しているように思えます。少し深読みかもしれませんが、この歌詞はいろいろと考えさせられるものがあります。

Angel Of Small Death & The Codeine Scene

2015年02月17日

Angel Of Small Death & The Codeine Scene : Hozier




I watch the work of my kin bold and boyful *1
じっと見ている。仲間の仕業の奔放さと子供っぽさを
Toying somewhere between love and abuse *2
愛情と虐待の中間で弄んでいる
Calling to join them the wretched and joyful *3
その悲惨な享楽に加われと呼んでいる
Shaking the wings of their terrible youths *4
その酷い若さという羽を震わせている

Freshly disowned in some frozen devotion *5
凍りついた熱愛の中で係わりを否定されたばかりで
No more alone or myself could I be *6
これ以上の孤独はいらない。そうでなければ自分らしくいられない
Looks like a strain to the arms that were open *7
両腕を広げた時の筋肉の緊張のように
No shortage of sordid, no protest from me *8
薄汚い卑しさは充分。僕には何の不服もない

※ With her sweetened breath, and her tongue so mean *9
その息は甘く、その舌は意地悪
She's the angel of small death and the codeine scene *10
彼女は天使。微弱な死と阿片の世界で
With her straw-blonde hair, her arms hard and lean *11
その髪は麦藁のような黄金色、その腕は硬く細い
She's the angel of small death and the codeine scene ※
彼女は、死と阿片の天使

Feeling more human and hooked on her flesh I *12
人間らしさを感じ、彼女の肉体に繋ぎ止められ、僕は
Lay my heart down with the rest at her feet *13
心も他のすべても彼女の足元に横たえる
Fresh from the fields, all fetor and fertile *14
悪臭を放つ肥沃な土から掘り起こされたばかり
It's bloody and raw but I swear it is sweet
血に塗れ生のままだが、きっと甘美だ

※~※

In leash-less confusion I wander the concrete *15
束縛のないことに困惑しながら、僕はコンクリートの具象観念をさまよい歩く
Wonder if better now having survived *16
そして、生き延びたことが果たして良いことかと疑念を持つだろう
Jarring of judgement and reasons defeat *17
分別と道理が軋りぶつかり合い、そして打ち負かす
The sweet heat of her breath in my mouth I'm alive
僕の口中にある彼女の甘く熱い息を。僕は生きている

※~※


備考
  1. kin : 親族、親類、血族関係、一族、同類・同質(urbandictionary では "close friend or brother" と記されている)
    bold : 勇気のある、度胸のいる、厚かましい、無作法な、輪郭のはっきりした、目立つ、太字の
    -ful : [接尾辞] ~に満ちた、~の多い、~の性質を有する
  2. toy : 物をいじくり回す、弄ぶ
    abuse : 悪用、乱用、誤用、悪口、悪態、罵り、虐待、迫害、酷使、暴行、強姦
  3. wretched : 不幸な、悲惨な、惨めな、哀れな、卑劣な、あさましい、お粗末な、劣った、下手な、つまらない
  4. terrible : 過酷な、厳しい、激しい、恐ろしい、怖い、極めてひどい、ひどく悪い
  5. freshly : 新たに、近頃、新鮮に、生き生きと
    disown : 自分のものと認めない、係わりがあることを否認する、縁を切る、勘当する
    devotion : 専念、献身、熱愛、傾倒、心酔、充てること、充当、信心、帰依、信仰
  6. be oneself : 本来の(平素の・正常な・健全な)自分でいる、気取らない、自然にふるまう
  7. strain : 曲げる(引っ張る)力、筋肉の張り・緊張、力による損傷・変形、筋違い・捻挫、心身に対する重荷・重圧・緊張
  8. shortage : 不足、欠乏
    sordid : 汚い、むさ苦しい、みすぼらしい、薄汚い、浅ましい、卑しい、下劣な、金に汚い、さもしい、強欲な
    protest : 異議(申し立て)、不服、抗議、支払拒絶証書
  9. sweeten : 料理を砂糖などで甘くする、空気・息をさわやかにする、気分・色・音を和らげる、人をなだめる、機嫌を取る
    tongue : 舌、話す能力、話された言葉、談話、おしゃべり、話し方・言葉使い・言い回し
    mean : 狭量でしみったれた意地悪、卑劣な、陰険な、卑怯な、けちな、しみったれた、無礼な、癪に障る
  10. small death : フランスではこれと同義の語 "petite mort" はオーガズムを指すらしい。
    codeine : コデインまたはメチルモルヒネ。阿片から分離した物質として発見された。現在はモルヒネから作られており、中枢神経抑制作用(局所麻酔・鎮咳・鎮痛・下痢止め等)がある。モルヒネに比べ作用が弱いが入手し易いため乱用されることもある。
    scene : 場面、場、光景、活動分野(~界)
  11. strawberry blonde : 赤みがかった金髪
    straw : わら、麦藁、つまらないもの、ごくわずか
  12. hook : 引っ掛ける、留める、突き刺す、釣り針で釣る、男を誘う・引っ掛ける。鉤(かぎ)…引っ掛けるため先端が曲がった棒状の器具
    hooked on : 麻薬中毒(常習)の、夢中の
  13. rest : 残部、残余、残り、他の人たち、他の物、その他の人たち
    at a person's feet : 足元に、服従して、魅了されて、師事して
  14. fetor : 強烈な悪臭
    fertile : 土地が肥沃な、多産な・繁殖力のある、豊作をもたらす
  15. leash : 動物をつなぐ革紐、綱。拘束、抑制
    wander : あてもなく歩き回る、さまよう、ぶらつく、それる、迷う、はぐれる、心・思考が取り留めもなくなる
    concrete : コンクリート、具体的(具象的)観念・語句、結合体・凝固体
  16. wonder if : ~ではないかと心配する、疑問に思う
  17. jar : ぶつかり合う、きしる、障る・不快感を与える、感情を乱す、激しく言い争う
    defeat : 破る、打ち負かす、挫折させる、挫く


 2014年のデビューアルバム Hozier より。詩的な歌詞なのでいろいろと誤訳がありそうに思えます。内容はあまり信用しないで下さい。歌詞に現れている麻薬は現実のそれとしてではなく、性あるいは異性の体に対する恍惚感と依存性の比喩として使われているように見えます。主題は人との関係性だろうと思いますがよくは分かりません。ホウジァはジェイムス・ジョイスに傾倒しているらしく、とくにこの歌は『若い芸術家の肖像』に影響を受けたものだそうです。私はこの本を読んでいないためこの点も詳細は不明です。(参照サイト http://nymag.com/thecut/2014/03/qa-hozier-on-gay-rights-sex-good-hair.html)



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