Born To Run : Bruce Springsteen

2017年02月15日




In the day we sweat it out in the streets of a runaway American dream *1
昼間俺たちは、アメリカンドリームが逃げた通りで働き、待ち侘びている
At night we ride through the mansions of glory in suicide machines *2
待望の夜、自殺機械に乗って栄光の高級住宅街を走り抜ける
Sprung from cages out on highway 9, *3
檻から解き放たれて9号線へ
Chrome wheeled, fuel injected and steppin' out over the line *4
クロムのホイールをはき燃料を詰めて、さあ出撃だ
Baby, this town rips the bones from your back
この町は俺たちを骨抜きにする
It's a death trap, it's a suicide rap *5
死の罠だ。自殺の呼び声だ
We gotta get out while we're young
若いうちに脱け出さなきゃならない
'cause tramps like us, baby, we were born to run *6
なぜって、俺たちのような放浪者は、走るために生まれてきたんだから

Wendy, let me in, I wanna be your friend
ウェンディ、中へ入れてくれ。友達になりたいんだ
I want to guard your dreams and visions
君の夢と希望を守りたいんだ
Just wrap your legs 'round these velvet rims *7
その両脚でこのベルベットのリムを包んでくれ
And strap your hands across my engines *8
その両腕で俺のエンジンを縛ってくれ
Together we could break this trap
二人で一緒にこの罠を破ろう
We'll run till we drop, baby we'll never go back *9
力尽き倒れるまで走ろう。後ろは振り返らない
Will you walk with me out on the wire? *10
一緒に出て行ってくれるかい? 綱渡りのようなこの危ない道を通って
`cause baby I'm just a scared and lonely rider
なぜって、俺は臆病で孤独なライダーだからさ
But I gotta find out how it feels *11
それでも俺はそれがどんな感じか見つけなくちゃならないんだ
I want to know if love is wild, girl, I wanna know if love is real
俺は知りたい。愛は野生の放縦なのか、それとも本質的な存在なのか

Beyond the palace hemi-powered drones scream down the boulevard *12
豪邸たちの上にエンジン音を轟かせ並木道を流す
The girls comb their hair in rearview mirrors
バックミラーには髪をすく女たち
And the boys try to look so hard
男たちは精一杯格好つけている
The amusement park rises bold and stark *13
遊園地が偉そうに、だがひっそりと立っている
Kids are huddled on the beach in a mist *14
靄の向こうの海辺では子どもたちが群れている
I wanna die with you, Wendy, on the streets tonight
ウェンディ、君と一緒に死にたい。この通りで、今夜
In an everlasting kiss
永遠のくちづけをしながら

The highway's jammed with broken heroes on a last chance power drive
大通りは壊れたヒーローたちでひしめき合っている。最後の走る機会とでもいうように
Everybody's out on the run tonight but there's no place left to hide
みんな走りに出てくるが隠れる場所はどこにもない
Together Wendy, we'll live with the sadness
ウェンディ。俺と一緒に、悲しみと共に生きよう
I'll love you with all the madness in my soul
俺は君を心から愛するよ
Someday girl, I don't know when, we're gonna get to that place
いつの日か。いつか分からないけど、俺たちはきっとその場所に行き着ける
Where we really wanna go and we'll walk in the sun
俺たちが本当に行きたい所。俺たちが太陽の下を歩ける所
But till then tramps like us baby we were born to run
でもそれまでは、俺たちのような放浪者は、走るために生まれてきたんだ

Oh honey, tramps like us, baby, we were born to run
俺たちのような放浪者は走るために生まれてきたんだ
Come on with me, tramps like us, baby, we were born to run
俺について来てくれ。走るために生まれてきたんだから


備考
  1. sweat : 汗をかく、一心に働く
    sweat it out :(結果等を)いらいら(はらはら)して待つ、耐える、我慢する
    ※ street は町中の通り、road は町と町をつなぐ道。
    runaway : [名・形] 逃亡(者)、脱走(者)
  2. mansion : 大邸宅、館、マンション
  3. spring - sprang - sprung : [他] 跳ねさせる、飛び上がらせる、飛び立たせる、跳ね返らせる、囚人を脱獄させる
  4. inject : 液体・気体を注射(注入)する
    step out : 勤務中に席をはずす、ちょっと外出する、遊び・パーティー・デートに出かける
  5. rap : コツン(トン)と叩くこと、その音。霊の叩く音、叱責・非難、告訴・告発、刑事責任、犯罪容疑、逮捕、懲役刑
  6. tramp : ドシンドシンと歩く(踏みつける)こと、徒歩旅行、徒歩旅行家、浮浪人、放浪者
  7. wrap : 包む、まとう、くるむ、巻く、巻きつける、表面をおおう
    rim : 縁、へり、リム(車輪の枠)、枠
  8. strap : 革紐で結びつける(締めつける・縛る)
  9. drop ; 滴が落ちる、ばったり倒れる、疲れて倒れる、へたばる
  10. wire : 針金、電線、電話線、有刺鉄線(網)、鉄条網、電話、操り人形の糸、綱渡りの綱
    ※ "out on a limb(枝先に身を乗り出して、一歩間違えれば危険な状態で、助けが無く孤立して)" という言い方もあるので、この "on the wire" は「危険を冒しても、危うい道だけど」などの意味だろうと推測して訳したが、間違っているかもしれない。
  11. gotta = have got to = have to : ~しなければならない
  12. palace : 宮殿、高官の官邸、豪邸、豪華な建物
    hemi- : 接頭辞。「半(half)」の意味。
    drone : 雄ミツバチ、のらくら者、ブーンと唸る音、持続低音
    scream : 汽笛などをピーッと鳴らす、ジェット機などがキィーンという音をたてる、飛行機・車がビュッと飛ばして行く
    boulevard : 広い並木道、遊歩道、大通り
  13. bold : 大胆な、豪胆な、ずぶとい、出過ぎた、不遜な、力強い、(線が)肉太の、際立った、目だった
    stark : 純然たる、全くの、くっきりした、素っ裸の、空漠(荒涼)とした、からっぽの、がらんとした、こわばった、硬直した
  14. huddle : ごちゃごちゃに積み重ねる、ごたごた集める


 1975年のアルバム Born To Run より。
 オートバイは死を誘う乗り物だと思います。「昨日はこのカーブを60キロで抜けられたから今日は65キロで行ってみよう。今日はこのルートを30分で行けるだろうか」などと馬鹿なことを思わせる何かがこの機械にはあります。ハイサイドを起こしかけたり、クルマと衝突したり、死ぬかと思ったことが何度もあります。オートバイに乗らなくなってもう20年近く経ちますが今でも機会さえあればまた乗りたいという気持ちは変わらずにあります。ブルース・スプリングスティーンの若い頃の歌にはよくクルマやオートバイが出てきますが、死の衝動と絡めて歌われていることが多いような気がします。彼の初期の歌は「死と生」が大きな主題だったのでしょう。
 このアルバムの頃から彼をアメリカの労働者階級の代弁者とみなす傾向が現れ始めます。高校を出て肉体労働に従事しアメリカンドリームとは無縁の生活を続ける人々の様々な思いを綴る。確かに彼の歌に多く見られる題材ですが、本来の彼の歌詞は、社会問題を扱うような第三者的・客観的なやり方ではなく思弁的・哲学的な傾向が強いのではないかと思います。この歌詞も「なぜ歌い手は自分を放浪者と規定するのか」「なぜ今住む所ではない、本来自分がいるべき場所を求め続けるのか」など、解釈に悩み、考えさせられるものがあります。

 おまけとして、エイミー・マクドナルドの素晴らしいカバーを紹介しておきます。

 


※この記事は、2011年10月15日に掲載したものの再掲です。

High Hopes

2015年03月09日

High Hopes : Bruce Springsteen




Monday morning runs to Sunday night
月曜の朝は日曜の夜へと走り抜ける
Screaming slow me down before the new year dies *1
叫び声に俺はスピードを落とした。まだ新年の賑わいが静まってもいないのに
Well it won't take much to kill a loving smile
そうだ。笑顔を消すのに多くは要しない
And every mother with a baby crying in her arms, singing
泣く子をあやす母親の歌声を消すのにも

※ Give me help, give me strength
助けをくれ。強さをくれ
Give a soul a night of fearless sleep
魂をくれ。何の恐れもなく眠れる夜をくれ
Give me love, give me peace
愛をくれ。安息をくれ
Don't you know these days you pay for everything
知ってるだろう。今の世の中、何をするにも金がいるんだ
Got high hopes. I got high hopes ※
俺は高望みをしている。自分には過ぎた願いを持っている

Coming from the city, coming from the wild
都会からやって来る。荒野からやって来る
I see a breathless army breaking like a cloud *2
死んだような軍隊が雲のように突然現れる
They're gonna smother love, they're gonna shoot your hopes *3
彼らは愛を窒息させ、希望を撃とうとしている
Before the meek inherit they'll learn to hate themselves *4
彼らは温和や優しさを受け継ぐより先に、自分自身を憎むことを覚えるだろう

※~※

Tell me someone now, what's the price
誰か教えてくれ。いくら払えばいいんだ?
I wanna buy some time and maybe live my life
俺は未来を買いたい。そして多分、生きていたい
I wanna have a wife, I wanna have some kids
女房が欲しい。子供が何人か欲しい
I wanna look in their eyes and know they'll stand a chance *5
そして、家族の目を見つめ、彼らの未来に運があると思いたい

※~※


備考
  1. slow : 遅くする、遅らせる
  2. breathless : 息切れした、息もつけない、死んだ、風ひとつない、静かな
    break : 割れる、粉々になる、破裂する。突然現れる、勃発する。故障する、壊れる。急に変化する。突進する。嵐が急に起こる、天候が急変する・やむ・おさまる、雲が消散する
  3. smother : 覆う、包む、たっぷりかける・塗る、窒息させる・息苦しくさせる、犯罪等を押し隠す・握りつぶす、感情等を抑制する
  4. meek : おとなしい、柔和な、温和な。意気地のない、不甲斐ない、屈従的な
    inherit : 受け継ぐ、相続する、跡を継ぐ
  5. stand : チャンス・望みなどがある、~を受ける・被る


 2014年のアルバム "High Hopes" より。Tim Scott McConnell という人のカバー曲です。内容はよく分かりませんが、金と戦争が支配する世界とそこでの生き難さを描いているのでしょうか。

American Skin (41 shots)

2014年11月28日

American Skin (41 shots) : Bruce Springsteen




41 shots, and we'll take that ride *1
四十一回の射撃。私たちは渡ることになるだろう
'Cross the bloody river to the other side
血に塗れた川を向こう岸まで
41 shots, cut through the night
四十一回の射撃。夜を貫く
You're kneeling over his body in the vestibule *2
あなたは玄関に跪き彼の身体を抱く
Praying for his life
彼の人生の為に祈る

Is it a gun, is it a knife
それは、銃なのか。ナイフなのか
Is it a wallet, this is your life
財布なのか。いや、君の命だったんだ
It ain't no secret. It ain't no secret *3
隠し持ってた物じゃない。全く隠す必要などない物だ
No secret my friend
そうだろう、友よ
You can get killed just for living in your American skin *4
ただあるがままにアメリカ人として生きているだけで殺され得るんだ

41 shots, Lena gets her son ready for school
四十一回の射撃。レナは息子を学校に行かせる用意をしている
She says, "On these streets, Charles, you've got to understand the rules
チャールズ、外では規則を守らなきゃいけないのよ
If an officer stops you, promise me you'll always be polite
お巡りさんに止められたら、行儀正しくするってママに約束してね
And that you'll never ever run away
絶対に逃げ出したりしちゃいけないよ
Promise Mama you'll keep your hands in sight"
ママに約束して。絶対両手を隠さないようにするって

Is it a gun, is it a knife
それは、銃なのか。ナイフなのか
Is it a wallet, this is your life
財布なのか。いや、君の命だったんだ
It ain't no secret. It ain't no secret
隠し持ってた物じゃない。全く隠す必要などない物だ
No secret my friend
そうだろう、友よ
You can get killed just for living in your American skin
ただあるがままにアメリカ人として生きているだけで殺され得るんだ

Is it a gun, is it a knife
銃があるのか。ナイフがあるのか
Is it in your heart, is it in your eyes
君の心に。君の目に
It ain't no secret
いや、何も隠す物などない

41 shots, and we'll take that ride
四十一回の射撃。私たちは渡ることになるだろう
'Cross this bloody river to the other side
この血に塗れた川を向こう岸へと
41 shots, I got my boots caked with this mud *5
四十一回の射撃。私の長靴はこの泥に塗れた、
We're baptized in these waters and in each other's blood *6
私たちは洗礼を受けるんだ。この泥水と、互いの血で

Is it a gun, is it a knife
銃なのか、ナイフなのか
Is it a wallet, this is your life
財布なのか。いいや、それは君の命だ
It ain't no secret. It ain't no secret
隠す物など何もない。隠し事など何もない
No secret my friend
そうだろう、友よ
You can get killed just for living in
ただ生きているだけで殺され得る
You can get killed just for living in your American skin
あなたたちは、ただアメリカ人として生きているだけで殺され得るんだ


備考
  1. ※この will は主語が We であることと全体の文脈から、意志未来ではなく単純未来だろうと判断したが、どちらでも構わないのかもしれない。
  2. vestibule : 入り口の間、玄関、鉄道客車の連廊・デッキ、(解剖学的)前庭・前室
  3. ain't = am not, is not, are not, have not, has not
    secret : 秘密の、機密の、内密の、内緒の、隠れた、一目につかない、奥まった、秘密主義の、秘訣、秘伝
    no secret : 皆が知っていること、隠すまでもないこと、秘密にする必要のないこと
    ※この二重否定は、肯定ではなく否定の強調だろう。
  4. in one's skin : 何も着ないで、裸で、あるがままに
    live in one's skin : あるがままに生きる
  5. cake : こびりつかせる、厚く塗る、塗り固める
  6. baptize : 洗礼を施す、清める、洗礼名をつける


 2014年のアルバム "High Hopes" に収められていますが、元々は2000年のツアー中にコンサートで発表された歌で、1999年にギニア移民の黒人青年がニューヨーク市警の警官に射殺された事件を題材にしています。非武装の一般市民一人が四人の警官から四十一発もの射撃を受け即死したというのに、この四人の警官は警察を解雇されたものの刑事事件では無罪判決を受けます。殺されたアマドゥ・ディアロは23歳の成人男性でしたが、スプリングスティーンはこの歌に子供を登場させています。アメリカではこの類の事件はこれまで何度も起きており、今暴動騒ぎになっている事件も十代の少年が被害者です。
 この歌は徒に白人警官を非難する内容ではなく、自分自身の罪として、またアメリカ人全体の罪として、我々はこれから罰を受けていかなければならない、そして生まれ変わらなければならないと歌っているように聞こえます。

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