Ice Cream Man

2016年02月13日

Ice Cream Man : Tom Waits




Click by your house about two forty-five *1
2時45分頃あんたの家の前に来ると、俺の体にスイッチが入るんだ
with sidewalk sundae strawberry surprise *2
歩道からストロベリーサンデーの贈り物さ
I got a cherry popsicle right on time *3
サクランボの棒アイスも時間きっかりに持って来るぜ
I got a big stick, momma, that will blow your mind *4
ビッグスティックはきっとあんたをくらくらさせるよ

※ Cause I'm your ice cream man, I'm a one-man band, yeah
だって、俺はアイスクリーム屋だから。俺は一人楽団だから
And I'm your ice cream man
俺はあんたのアイスクリーム屋なんだ
Baby, I'll be good to you ※
なあ。あんたをきっと喜ばすぜ

If you missed me in the alley, baby, don't you fret *5
裏通りに俺を見失っても、大丈夫だ。やきもきするなよ
I'll be coming back around and don't forget
戻って来るから。忘れやしないから
When you're tired and you're hungry and you want something cool
あんたが退屈な時、腹が減ってる時、冷たいものが欲しい時
You know I got something better than a swimming pool
水遊びのプールなんかよりずっといいものを持って来てやるよ

※~※

Well if you see me coming, you ain't got no change *6
俺が来た時、小銭がないからって
Don't worry baby, it can be arranged *7
気にすることはないよ。手筈は整ってる
Show me you can smile, just for me
あんたの笑顔を見せてくれ。俺のために
And I fix you with a drumstick, I'll do it for free *8
ドラムスティックアイスであんたを元気にしてやる。ただでやってあげるよ

'Cause I'm your ice cream man, and I'm a one-man band
だって、俺はアイスクリーム屋だから。俺は一人楽団だから
And I'm your ice cream man
あんたのアイスクリーム屋なんだ
I'll be good to you
きっとあんたをきっと喜ばすぜ

I'm your ice cream man
And I'm your ice cream man


備考
  1. click : カチッ(カチリ)と音が鳴る。ピンとくる、ふと分かる。異性と意気投合する、異性にピピッとくる。人とウマが合う、しっくり行く
    ※ click の自動詞としての語感は「パチリという音がなる→スイッチが入る→瞬間的に何かを感じる」という感じらしい。ここでの使い方はよく分からないが「あんたの家の前に来ると自動的に俺の体が反応する」という意味だろうと想像して訳した。
    click one's fingers : 指をパチッと鳴らす
  2. surprise : 驚かす(驚く)こと。予期しないこと、思いがけないこと。思いがけないお祝い(パーティー・贈り物)
  3. Popsicle : ポプシクル。棒付きアイスキャンディー。ブランド名だが同種のものの普通名詞としても使われる。
  4. Big Stick : ポプシクルブランドの商品名
    blow a person's mind : 麻薬・音楽などが興奮させる、恍惚にさせる。人の頭をくらくらさせる
  5. fret : いらいらする、やきもきする、思い悩む、赤ん坊がむずがる
  6. ain't got no = don't have no = don't have
  7. arrange : きちんと並べる、整える、配置する。前もって準備・用意・手配・お膳立てする。問題などを調停する、決着させる。
  8. fix : 修理する、病人を回復させる、怪我を治す、狂っているものを正す、固定する
    drumstick : 打楽器のばち。調理した鶏・アヒル・七面鳥の脚。チョコとナッツが乗ったコーン型のアイスクリーム(商品名)


 1973年のデビューアルバム "Closing Time" より。ただし、冒頭の動画は1991年に発売された "The Early Years, Volume One"(デビュー前の録音曲を集めたアルバム)に収録された音源です。猥雑な歌詞とそれに相反する美しい旋律の組み合わせがとても魅力的です。

Martha

2015年12月20日

Martha : Tom Waits




Operator, number, please. It's been so many years
交換手さん、番号を調べてくれないか。もう何年も経ってるんでね
Will she remember my old voice while I fight the tears?
俺が涙をこらえている間に、あいつはこの声を思い出してくれるかな

Hello, hello there, is this Martha? This is old Tom Frost
もしもし、マーサかい? トム・フロストだ
And I am calling long distance. Don't worry about the cost
長距離でかけてるんだ。…いや、料金は気にしなくていい
'Cause it's been forty years or more. Now Martha please recall
ああ、四十年以上経ってるからな。でも、マーサ。思い出してくれよ
Meet me out for coffee where we'll talk about it all
どこかで会ってコーヒーでも飲まないか。いろいろ話そう

And those were the days of roses
あの頃の薔薇色の日々
Poetry and prose and Martha *1
詩と小説、それに君
All I had was you and all you had was me
俺には君がすべて、君には俺がすべてだった
There was no tomorrows
明日というものなどなかった
We'd packed away our sorrows *2
悲しみはどこかにしまい込んで
And we saved them for a rainy day
雨の日のためにとっておいた

And I feel so much older now and you're much older too
ずいぶん年をとった気がする。君だってそうだろう
How's your husband and how's your kids? You know that I got married too?
旦那さんは元気かい? それに、子供たちも。知ってるか? 俺も結婚したんだ
Lucky that you found someone to make you feel secure *3
君は運が良かった。君を安心させられる男を見つけられて
'Cause we were all so young and foolish. Now we are mature
俺たちは二人とも若く愚かだった。でも今は充分大人だ

And those were the days of roses
あの頃の薔薇色の日々
Poetry and prose and Martha
詩と小説、それに君
All I had was you and all you had was me
俺には君がすべて、君には俺がすべてだった
There was no tomorrows
明日というものなどなかった
We'd packed away our sorrows
悲しみはどこかにしまい込んで
And we saved them for a rainy day
雨の日のためにとっておいた

And I was always so impulsive. I guess that I still am *4
俺はよく考えない衝動的な人間だった。いや、今でもそうかもしれない
And all that really mattered then was that I was a man *5
あの頃(の俺にとって)は「自分が男である」ことだけが大事だったんだ
I guess that our being together was never meant to be *6
たぶん、俺たちは一緒になる運命じゃなかったんだろう
And Martha, Martha. I love you can't you see?
でも、マーサ。(今でも)君を愛してる。分かるかい

And those were the days of roses
あの頃の薔薇色の日々
Poetry and prose and Martha
詩と小説、それに君
All I had was you and all you had was me
俺には君がすべて、君には俺がすべてだった
There was no tomorrows
明日というものなどなかった
We'd packed away our sorrows
悲しみはどこかにしまい込んで
And we saved them for a rainy day
雨の日のためにとっておいた

And I remember quiet evenings trembling close to you *7
思い出すよ。君の側で震えていた静かな夜を


備考
  1. prose : 散文(体)、平凡、単調、無味乾燥な話、単調な文
  2. pack away : しまい込む、荷物をまとめてさっさと出て行く、胃袋にしまい込む、追い出す、追い払う
  3. secure : 安全な、危険のない、安定した、しっかりした、心配・気苦労のない
  4. impulsive : 一時の感情に駆られた、直情的な、衝動的な。推進力のある、行動を刺激する、行動を起こさせる、衝撃的な、瞬間力の
  5. ※ "I was a man" の意味がよく分からないが、おそらく「男としてのプライド」が彼女を傷つけるような行動をとらせたというような心情表現ではないだろうか。
  6. be meant to do : ~が…であるように意図されて(作られて)いる、~になるように運命づけられている、(義務として)~しなければならない、~することになっている
  7. ※おそらく trembling は、親しくなって間もない頃の二人の緊張感、初々しさを表しているのではないだろうか。


 1973年のデビューアルバム "Closing Time" より。1949年生まれのトム・ウェイツが23歳頃の作品です。おそらく60歳を過ぎているであろう主人公の心情に託したウェイツの思いは現在の自分や同世代の人々に対する省察ではないでしょうか。小説家と同じような物語作家としての彼の才能がよく表れている歌詞だと思います。
 前にどこかで「女の恋は上書き保存、男の恋は別名保存」という台詞を聞いたことがありますが、実際こんな事をされたら迷惑だと思う女がほとんどでしょう。ただし、この歌詞の主旨が、彼女を失う原因となったつまらないプライドや後先を考えない行動に対する後悔であり、それがすなわち作詞者の今の自分に対する省察であると仮定すると、設定の不自然さはあまり気になりません。

Chocolate Jesus

2015年07月20日

Chocolate Jesus : Tom Waits




Well I don't go to church on Sunday
日曜に教会なんか行かない
Don't get on my knees to pray
跪いて祈ったりしない
Don't memorize the books of the Bible
聖書の暗記なんかしない
I got my own special way
僕には僕のやり方があるんだ
I know Jesus loves me
きっとイエスはまだ僕を愛してるよ
Maybe just a little bit more
たぶん、あとほんの少しくらいは
I fall down on my knees every Sunday
僕が毎日曜に倒れるように跪くのは
At Zerelda Lee's candy store
ゼレルダ・リーのお菓子屋さんだ

※ Well it's got to be a chocolate Jesus
そうだよ。チョコレートのイエスに決まってるだろ
Make me feel good inside
心底僕を気持ちよくさせてくれるのは
Got to be a chocolate Jesus
絶対チョコレートのイエスだよ
Keep me satisfied ※
僕を満足させてくれるのは

Well I don't want no Anna Zabba
ピーナッツバターなんていらない
Don't want no Almond Joy
アーモンド・ココナッツもだめだ
There ain't nothing better suitable for this boy
この僕にふさわしいものは他にはないんだ
Well it's the only thing that can pick me up better than a cup of gold
マシュマロチョコ以上に僕を元気にしてくれる唯一のもの
See only a chocolate Jesus satisfy my soul
見てくれ。チョコレート・イエスこそが僕の魂を満足させてくれるんだ

When the weather gets rough and it's whiskey in the shade
天気が荒れてくると日陰がウィスキー色になる
It's best to wrap your savior up in cellophane
「救い主」はラップで包んであげるのがいちばんいい
He flows like the big muddy but that's ok
彼が泥の川みたいに溶け流れても大丈夫さ
Pour him over ice cream for a nice parfait
アイスクリームにかけてやれば立派なパフェになる

Well it's got to be a chocolate Jesus
チョコレート・イエスに決まってるんだ
Good enough for me
僕はそれで十分なんだ
Got to be a chocolate Jesus
絶対チョコレート・イエスだよ
Good enough for me
僕はそれでいいんだ

※~※


 トム・ウェイツは米カリフォルニア州出身(1949年生まれ)のシンガーソングライターです。この歌は1999年のアルバム "Mule Variations" に収録されています。曲中に鶏の鳴き声が入っていますが、それはこのアルバムがレコーディングスタジオではなく外部の音が入り込むような部屋で録音されたためだそうです。
 "chocolate Jesus" なるチョコは私は見たことがありませんが、画像検索するといろいろヒットするのでそういう製品があるのだろうと思います。チョコレートのイエスに心酔する子供の心情に託したこの歌詞の本意がどのようなものか、まだ私には分かりません。ただ、挫けそうな心を立ち直らせるための方法は、他人から見れば下らないおかしなものであってもいいんだ、人は皆それぞれ違うやり方を持っていていいんだ、というような考え方は伝わってくるように思います。
 冒頭の音源を探している時に、彼の奇妙な魅力が伝わるライブ動画を見つけたので下に貼っておきます。

   



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