No Shelter

2016年03月21日

No Shelter : Rage Against The Machine




The main attraction, distraction *1
多数の気を引く呼び物は、人々の気を逸らすただの気晴らし
Got ya number then number than numb *2
それは、お前たちの本心を見抜き、正常な感覚を麻痺させる
Empty ya pockets son
お前たちのポケットを空にする
They got you thinkin' that what ya need is what they selling
お前たちに思い込ませる。必要な物は奴らが売っている物だと
Make you think that buying is rebelling *3
思い込ませる。買うことこそが格好いい「反抗」だと
From the theaters to malls on every shore *4
映画館からショッピングモールまで、この国のあらゆる所では
Tha thin line between entertainment and war *5
娯楽と戦争の間は紙一重だ
The front line is everywhere, there be no shelter here *6
いたる所が「前線」だ。どこにも避難所などない
Spielberg, the nightmare works so push it far *7
スピルバーグと "悪夢工房" は、この事実を遙か遠くに追いやってしまう
Amistad was a whip, the truth was feathered and tarred *8
「アミスタッド」(友情)こそが "鞭" だ。真実にタールと羽根を塗りたくり晒し物にした
Memory erased, burned and scarred
記憶は消去され、焼かれ、傷跡を残された
Trade in ya history for a VCR *9
お前たちの歴史は、ビデオレコーダーのための商品となった

Cinema, simulated life, ill drama
映画。模造の人生。吐き気のする芝居
Fourth Reich culture, Americana *10
第四帝国の文化。アメリカ的なるもの
Chained to the dream they got ya searchin' for
お前たちは、探し求めることを強いられた「夢」に鎖で縛られている
Tha thin line between entertainment and war
娯楽と戦争の間は紙一重だ

There be no shelter here
過去にも現在にも未来にも、ここには避難所などない
Tha front line is everywhere
あらゆる場所が「前線」だ

Hospitals not profit full *11
病院は利益を膨らませる所ではない
Yet market bulls got pockets full *12
ところが、市場の強気な雄牛たちはポケットをいっぱいに膨らませている
To advertise some hip disguise *13
まやかしの素敵な商品を宣伝するために
View tha world from American eyes
奴らは世界をすべてアメリカ人の視点で見る
Tha poor adore keep fiendin' for more *14
貧乏人たちは崇拝でもするように限りなく欲望を膨らませる
Tha thin line between entertainment and war
娯楽と戦争の間は紙一重だ
They fix the need, develop the taste *15
奴らは人々が欲しがる物を決め、新たな味覚を作り出す
Buy their products or get laid to waste *16
「俺たちの商品を買え。そして、壊せ」
Coca Cola is back in the veins of Saigon *17
コカコーラはサイゴンの血管に再び入り込んだ
And Rambo too, he got a dope pair of Nikes on *18
ランボーも今ではナイキを履いてコカコーラを飲んでいる
Godzilla, pure muthafuckin' filler *19
「ゴジラ」はふざけたほどに観客を呼び込んでいるが
To keep ya eyes off the real killer
本物の殺人鬼からお前たちの目をそらしている

Cinema, simulated life, ill drama
映画。模造の人生。吐き気のする芝居
Fourth Reich culture, Americana
第四帝国の文化。アメリカ的なるもの
Chained to the dream they got ya searchin' for
お前たちは、探し求めることを強いられた「夢」に鎖で縛られている
Tha thin line between entertainment and war
娯楽と戦争の間は紙一重だ

There be no shelter here
過去にも現在にも未来にも、ここには避難所などない
Tha front line is everywhere
あらゆる場所が「前線」だ

American eyes, American eyes
アメリカの目
View the world from American eyes
アメリカの目で世界を見る
Bury the past, rob us blind *20
過去を埋葬し、俺たちの金を盗みまくる
And leave nothing behind
そして、後には何も残さない。それがアメリカの目

Just stare, just stare, just stare, just stare
ただ、公正にじっと見つめろ
Relive the nightmare *21
悪夢を解放せよ


備考
  1. attraction : 引き付ける力、魅力。引き付ける場所、注目の的、呼び物。引き付けること、牽引力、引力
    distraction : 気を散らすこと、注意散漫、放心、上の空。乱心、動転。気を散らすもの、気晴らし、娯楽、慰み
  2. ya = you
    get a person's number : (人の)本心・正体・狙いなどを知る。弱みを握る、一枚上手である
    numb : 感覚のない、無感覚な、麻痺した、痺れた。頭の鈍い、馬鹿な
    ※私の耳では聞き取れないが、初めの number は「ナンバー」、次の number は numb の比較級の「ナマー」ではないだろうか?
  3. rebel : (自国の政府・支配者に)反逆する、謀反・反乱を起こす、反抗する
  4. shore : 岸、海岸、湖畔、河岸。(ある特定の)地方、国
  5. tha = the
  6. front : 前線、戦線(敵兵力と武装対峙している境界)
  7. nightmare works : スティーブン・スピルバーグが共同設立した映画会社 "Dreamworks 夢工房" のもじり。次行の『アミスタッド』はスピルバーグが監督し同社が配給した。
  8. Amistad : 1839年に起きたアミスタッド号事件を元にした1997年の米映画。スペイン船籍のラ・アミスタッド号で移送されていたアフリカ人奴隷たちが反乱を起こし船を乗っ取るが、アメリカ海軍に逮捕される。映画は、その後の裁判の過程、彼らが自由の身となりアフリカに帰還するまでを描いている。amistad はスペイン語で「友情」を表す。
    tarring and feathering : 体の全面にタールを塗り鳥の羽をくっつけて、公衆の面前でさらし者にし屈辱を与える私刑の一種。
  9. trade in : 売買・取引・商売をする
  10. The Third Reich : 第三帝国。キリスト教神学で、来るべき理想国家を意味する。ナチスが自らの統治体制の自称に用いた。
    Americana : アメリカに関する文献・資料、アメリカの文物。アメリカ誌(アメリカに関するもののコレクション)。アメリカ文化に典型的と考えられる資料。アメリカの文化
  11. ※アメリカは医療に市場原理を取り入れており、病院の一割以上は株式会社によって経営され、医療保険も主流は民間の保険会社によるものである。その弊害として医療を受けられない多数の無保険者の存在や医療費自体の高騰などが挙げられる。当然のことではあるが、株式会社病院では利益追求と株価上昇が経営目標となる。
  12. bull market : 強気相場。相場の上昇が続いている市場のこと。雄牛が攻撃する際に角を振り上げるイメージから。
  13. hip : 流行の、最先端の、格好いい
    disguise : 変装、偽装、見せ掛け、擬態、隠れ蓑、まやかし。扮装、仮装、仮面
  14. adore : 深く敬慕・敬愛する、熱愛する、崇拝する。~が大好きである
    fiend : 強い欲望を抱く
  15. fix : 直す、治す、決める、指定する、定める、固定する、
  16. lay something (to) waste : (物を)完全に破壊する
  17. ※1995年にベトナムとアメリカは和解し国交が回復、通商禁止も解かれた。両国は2000年に通商協定を結び、フォード、GM、コカコーラ等アメリカの大企業がこぞってベトナム市場に進出し始めた。この歌詞は、ベトナムから逃げ帰ったアメリカが、今度は経済的な脅威として、麻薬のような依存性を駆使しベトナム内部に入り込んで来る様を表している。
  18. Rambo : ベトナム帰還兵を描いたシリーズ映画でシルベスター・スタローンが演じた主人公の名。
    dope : 麻薬、麻酔剤、興奮剤、麻薬常用者、ぐうたら・まぬけ。炭酸飲料とくにコカコーラ(薬用酒として開発された当初コカインが調合されていた)
  19. Godzilla : 1998年に公開された米映画。1億3千万ドルという巨額な制作費が投じられたが、興行的に大成功し、世界で約4億ドルの興行収入を得た。
    filler : 埋める物、詰める物、充填材。多数の人を集める魅力
  20. rob a person blind : 手当たり次第に盗む、法外な金を請求する
  21. relieve : 和らげる、緩和・軽減する、苦痛・心配等を取り除いて楽にさせる


 経緯は知りませんが、なぜか映画 "Godzilla" のサウンドトラックアルバムに収録されています。また、彼ら自身の1999年のアルバム "The Battle of Los Angeles" の日本盤・オーストラリア盤には、ボーナストラックとして収録されています。以下は、冒頭の動画に現れるいくつかの言葉の訳文と注釈です。繰り返される "does matter" は、映画 "Godzilla" の宣伝文句 "Size does matter(大きさは重要だ)" をもじったもののようです。

Mumia Abu Jamal's cell is this big
ムミア・アブ・ジャマールの独房はこんなに大きい
Justice does matter!
正義は重要だ
※ムミア・アブ・ジャマールについては当ブログ内の記事 "Guerrilla Radio" の備考 *19 参照。

Vanzetti, Sacco
※サッコ・ヴァンゼッティ事件。1920年代に起きた冤罪と目される事件。強盗殺人事件の容疑者として逮捕されたイタリア移民のニコラ・サッコとバルトロメオ・ヴァンゼッティは有罪判決の後電気椅子で処刑されたが、判決後、審理の不公正さに対する抗議活動が全米各地やヨーロッパで起きていた。二人は第一次大戦時徴兵を拒否したアナキストであったため、警察や検察、判事、陪審員らは彼らに先入観を持っていたと思われる。死刑執行の50年後、1977年にマサチューセッツ州知事は裁判の誤りと二人の無実を公表した。ただし、彼らの冤罪が立証されたわけではなく事件の真相は明らかになっていない。

Scottsboro
※アラバマ州で1931年に起きたスコッツボロ事件。9人の黒人少年が2人の白人女性を強姦した容疑で逮捕され死刑判決を受けた。共産党と全米黒人向上協会が無罪釈放運動を起こし、裁判がやり直されたが、死刑は覆されたものの結果的に有罪判決は変わらず、全員が懲役刑を受けた。

The crater at Hiroshima would stretch....
広島への爆撃で開いた穴は、、、
From here........to here
ここから、、、、ここまでの広さだ
History does matter
歴史は重要だ

Babies born into poverty in the U.S. each year would fill this building...
アメリカで貧窮家庭に生まれる赤子は一年でこの建物をいっぱいにする程だ
Inequality does matter!
不平等は重要だ

Land stolen from Mexico equals 5 states
メキシコから盗んだ土地はアメリカの五つの州の広さに等しい
Imperialism matters!
帝国主義は重要だ

 注釈が長くなったので、歌詞の解釈はしないでおきます。ただ、この翻訳のために『アミスタッド』という映画を見たのでその感想を記します。映画では、奴隷制度の非人道性に対する嫌悪感、奴隷制度廃止が歴史的な必然であること、行政に対する司法の独立が大切であることなどが描かれています。そして、人種に関わらず人は皆貴重な「その人の人生の物語」を持っていることが主張され、見終わった後の初めの感想としては「面白くはないが、健全で良心的な映画だなあ」というものでした。批判されるほどの危険な思想もないのではないかとも思いました。
 そして、この歌詞を読みながら映画の内容を思い出して考えてみると、この映画に対するいくつかの疑問点が浮かんできました。なお、その前に、この歌に関する海外の掲示板やレビュー等でこのことについて「映画は奴隷の非人道的な境遇を薄めて描いている、歴史の描き方が不正確である」等の意見も読みました。
 その上で思い浮かぶこの映画の問題点は次のようなものです。一つは、やはり奴隷が非人間的に扱われる描写が淡白であることです。奴隷船では奴隷を積荷として扱うために、一隻の船にいかに多くの奴隷を詰め込むかが積み込みの際の重要課題だそうです。板を何層にも並べた棚を作りそこに奴隷を鎖でつなぎ、奴隷は寝たままの状態で身体を起こすこともできず数ヶ月を過ごします。上の人間の大小便はそのまま下の人間に落ちてきます。映画にも一部奴隷船でのひどい扱いは描かれてはいましたが、2時間半を超える長い映画の中ではわずかなものだったと思います。
 もう一つは、アメリカが基本的に奴隷制度を廃止する良心的な国として描かれていることです。スペイン女王は奴隷と船の所有権を主張するのですが、当時10歳だったこの女王の描き方が、確かに子供ではあるのですが必要以上に幼さを強調しています。また、裁判の証人として登場するイギリスの軍人がとても格好良く描かれています。スペインは奴隷制度を維持している遅れた国、イギリスは奴隷制度をいち早く廃止した先進的な国であることを象徴させたかったのでしょう。確かにイギリスは1833年に奴隷制度廃止法を成立させ1834年には国内の奴隷をすべて解放し、奴隷の売買も禁止しています。しかし、18世紀後半からイギリスは一方で清とインドを相手に茶、綿、阿片を使った悪どい商売で利益を上げる方法を開発していました。奴隷貿易という野蛮な搾取からより資本主義的な搾取への変遷がここに現れていますが、映画ではこのような背景の説明は一切ありません。奴隷制度の廃止は間違いなく歴史的進歩だと思います。しかし、この経緯は貿易でイギリスに遅れを取っていたアメリカが本格的な資本主義国として成長し帝国主義化していく中で追い風として働いた面も持っています。
 最後に物語の演出についてですが、象徴的なのは主人公の黒人シンケの描き方です。彼は反乱の首謀者で映画の冒頭、獣のような冷酷な表情で暗闇に乗じて乗組員たちを襲い、殺します。その彼がアメリカに長く滞在するうちに洋服を着て、片言の英語を発するようになります。裁判の途中、彼が "Give us free" と初めて英語を発し、回りのアメリカ人たちが一同に驚く場面は情緒的な音楽を流しなんとか視聴者を感動させようとします。これは、アメリカ人たちが当初人間だと思っていなかった黒人奴隷を同じ人間であると認識する過程ではあるのですが、それが洋服を着ること、英語を話すことと合わせて演出されると多少興ざめする感じがしました。
 反乱を起こした黒人達の解放に尽力する若い弁護士とそれをしぶしぶ手助けする元大統領。この二人とシンケとの心の交流も丁寧に描かれており、ザック・デ・ラ・ロッチャが批判するほどには私はひどい映画だとは思いません。興味のある方はご覧になることをお奨めします。

Take The Power Back

2015年12月17日

Take The Power Back : Rage Against The Machine




Bring that shit in! Uggh! *1
さあ、入って来い

Yeah, the movement's in motion with mass militant poetry *2
そうだ。行動を起こすぞ。韻律の攻撃塊とともに
Now check this out...uggh!
耳を傾けろ。聞け

In the right light, study becomes insight *3
正しい見方をすれば、学びは洞察を生む
But the system that dissed us teaches us to read and write *4
だが、俺たちを侮辱した支配体制が、今俺たちに読み書きを教えている
So-called facts are fraud *5
事実や真相と言われるものは欺瞞だ
They want us to allege and pledge and bow down to their God *6
奴らが俺たちに望むのは、確証無しに主張し誓約する事、そして奴らの神に屈服する事だ
Lost the culture, the culture lost
そうやって、俺たちは文化を喪失した。俺たちの文化は敗北した
Spun our minds and through time ignorance has taken over
俺たちの理性はぐるぐる回され、時とともに無知がはびこるようになった
Yo, we gotta take the power back!
俺たちは「力」を取り戻さなければならない
Bam! Here's the plan
いいプランがある
Motherfuck Uncle Sam. Step back, I know who I am *7
糞ったれのアンクル・サムよ。下がれ。俺は自分が何者か知ってる
Raise up your ear, I'll drop the style and clear
耳をそばだてろ。これから、俺の流儀をはっきりと聞かせてやる
It's the beats and the lyrics they fear
この鼓動と詩魂は奴らを怯えさす
The rage is relentless *8
この怒りが弱まることはない。容赦しない
We need a movement with a quickness
即刻の行動が必要だ
You are the witness of change
お前たちは変革の目撃者だ
And to counteract
そして、(奴らに)対抗するために
We gotta take the power back
俺たちは力を取り戻さなければならない

Yeah, we gotta take the power back
そうだ。力を取り戻すしかないんだ
Come on, come on!
来い
We gotta take the power back
俺たちは力を取り戻さなければならない

The present curriculum
現在の学校の教科課程
I put my fist in 'em
それに拳を叩き込んでやる
Eurocentric every last one of 'em *9
その中のヨーロッパ中心主義的なものすべてに
See right through the red, white and blue disguise *10
赤、白、青の理念の偽装を正しく見抜け
With lecture I puncture the structure of lies *11
この講義で偽りの構造に穴を開けてやる
Installed in our minds and attempting to hold us back
その構造は俺たちの思考に組み込まれ、俺たちの行動を抑止しようとしているんだ
We've got to take it back
俺たちは自分の思考を取り戻さなければならない
Holes in our spirit causin' tears and fears
俺たちの精神に開けられた穴は涙と恐怖をもたらしている
One-sided stories for years and years and years
一方に偏った不公平な物語が何年も何年も続いている
I'm inferior? Who's inferior?
俺が劣っている? 誰が劣っているんだ?
Yeah, we need to check the interior
ああ、そうだ。俺たちは内部を検査する必要がある
Of the system that cares about only one culture
ただ一つの文化だけを大事にするこの支配体制の内部を
And that is why
そして、そのために
We gotta take the power back
俺たちは力を取り戻さなければならない

Yeah, we gotta take the power back
そうだ。力を取り戻すしかないんだ
Come on, come on!
来い
We gotta take the power back
俺たちは力を取り戻さなければならない

Hey yo check, we're gonna have to break it, break it,
よく聞け。俺たちは打ち壊さざるを得なくなるだろう
break it down
破壊せよ
Awww shit!
糞ったれ

Uggh!

And like this...uggh!
このように
Come on, yeah! Bring it back the other way!
来るんだ。違う道に連れ戻せ

The teacher stands in front of the class
教師が教室で生徒の前に立っている
But the lesson plan he can't recall
だが、授業計画を思い出せない
The student's eyes don't perceive the lies bouncing off every fucking wall *12
生徒の目は、教室の壁に反響する嘘っぱちを見抜けない
His composure is well kept *13
教師は十分に落ち着き払っているから
I guess he fears playing the fool *14
本当は、たぶん、馬鹿を演じる羽目に陥るのを恐れているだけなのに
The complacent students sit and listen to some of that *15
無関心な生徒たちはただ座りその内のいくらかを聞いている
Bullshit that he learned in school *16
その教師自身が学校時代に習った出鱈目なたわ言を

Europe ain't my rope to swing on *17
ヨーロッパはお前らのもので俺のロープじゃない。そんなものにぶら下がれるか
Can't learn a thing from it
そんなものから学んではならない
Yet we hang from it
それなのに俺たちはそんなものに吊るされている
Gotta get it, gotta get it together then
手に入れるんだ。やり遂げるんだ、共に。あの時の
Like the motherfuckin' weathermen *18
最高のウェザーメンのように
To expose and close the doors on those who try to strangle and mangle the truth *19
閉め出して外に捨てろ。真実を絞め殺し切り刻むあの連中など
'Cause the circle of hatred continues unless we react *20
俺たちが反抗を始めない限り、憎悪の循環は止むことがないのだから
We gotta take the power back
俺たちは力を取り戻さなければならない

Yeah, we gotta take the power back
そうだ。力を取り戻すしかないんだ
Come on, come on!
来い
We gotta take the power back
俺たちは力を取り戻さなければならない

No more lies. No more lies. No more lies. … …
もうこれ以上嘘はいらない

Uggh! Yeah!

Take it back y'all
取り戻せ
Take it back, a-take it back
取り戻せ
A-take it back y'all, come on!
取り戻せ
Take it back y'all
取り戻せ
Take it back, a-take it back
取り戻せ
A-take it back y'all, come on!
取り戻せ。お前たち皆で。さあ行くぞ

Uggh! Yeah!


備考
  1. bring in : もたらす、生み出す、提出する、作用させる、参加させる
    ※ここでは、イントロから本編へ演奏を呼び込む掛け声だろうと思うが、よく分からない。
  2. mass : 塊、集まり、集積。全体、集合体、大きな集まり、多数・多量
    militant : 攻撃的な、好戦的な、主義・主張のために何ものをも恐れない、徹底した態度をとる。交戦中の、戦闘中の
  3. light : 見方、見地
    in the light of history : 歴史的に見ると
    in a different light : 違った見方で
    insight : 洞察、明察、看破。洞察力、識見
  4. dis : 見くびる、さげすむ、無視する、失望させる、けなす、歯向かう、小馬鹿にする、侮辱する、非難する
  5. so-called : いわゆる、俗に言う、~と言われて
    fraud : 詐欺、欺瞞、ぺてん、裏切り。詐欺行為、詐欺罪、不正手段、まやかし物、詐欺師、ペテン師
  6. allege : 証拠無しに主張する、断言する、言い張る。口実・弁解として持ち出す、申し立てる、陳述する
    pledge : 誓約で縛り付ける、誓約させる。誓約する、乾杯する、約束する
  7. Uncle Sam : 擬人化された米国政府または米国、米国民を指す名前。架空の人物であり、United States と頭文字が同じところから命名されたと言われている。起源は不明。
  8. relentless : ひどく厳格な、厳しい、過酷な、容赦のない、いつまでも続く(弱まらない)
    relent : 優しい気持ちになる、同情的になる、気持ちを和らげる・ゆるめる、風雨が弱まる
  9. Eurocentric : ヨーロッパ中心の、ヨーロッパに集中した
    every last one : 一人残らず、どれもこれも、残らず
  10. red, white and blue : アメリカでは米国旗を指す。赤は "hardiness & valour(逞しさと勇気)"、白は "purity & innocence(清浄と潔白)"、青は "vigilance, perseverance & justice(警戒、忍耐、正義)" を象徴するとされる。
    disguise : 変装、偽装、見せ掛け、擬態、隠れ蓑、扮装、仮装
  11. puncture : (尖った物で)刺す、穴を開ける
  12. perceive : (目や耳等の感覚で)気づく、見抜く、理解する、把握する
  13. composure : 落ち着き、平静、沈着
  14. fear doing :(~するのではないかと)恐れる、危惧する、心配する
    fear to do :(~するのが)恐い
    play the fool : 道化役をする、ばかなまねをする、へまをやらかす
  15. complacent : 悦に入った、自己満足の、ひとりよがりの。愛想の良い。無関心な
  16. bullshit : 嘘をついて騙す、~を誇張する、出鱈目な(馬鹿げた)事を言う
  17. ※おそらく "Europe = your rope" で、それはぶら下がって遊べるあるいはぶら下がる支えとなる "my rope" ではないという言葉遊びだろうと思うが、よく分からない。
  18. weathermen = The Weather Underground Organization : 1969年にアメリカのミシガン大学で設立された左翼過激派組織。「ブラックパワー」と「反ベトナム戦争」を主張し、警察や軍、国会や刑務所等の政府組織、銀行などを標的に多くの爆破事件を起こした。その多くは事前に避難警告を含む犯行声明を発表してからの実行であったため、これらの爆破による一般人の死者は出ていない(ただし、1970年3月6日ニューヨーク・グリーンウィッチヴィレッジ事件で実行犯のメンバー3人が事故的に死んでいる)。1977年に解散。
  19. expose : 外界にさらけ出す、さらす、むき出しにする、触れさせる、露光する、暴露する。子供を遺棄する(古代ギリシャで病弱な子を戸外に放置して死なせる風習があった)。
    strangle : 絞め殺す、絞殺する、窒息死させる。抑圧する、抑えつける、握りつぶす、押し殺す
    mangle : ずたずたに切る、滅多切りにする、めちゃめちゃにする、つぶしたり曲げたりして台無しにする、押しつぶす
  20. hatred : 強い嫌悪、憎しみ
    react : (刺激・状況等に)反応する、反応を示す。反作用する、作用し合う。逆行する、反発する。反対する、反抗する


 1992年のデビューアルバム "Rage Against the Machine" より。アメリカの学校教育に対する批判、とくに西洋白人文化中心の教育内容に対する批判がなされています。偏った思考方法と知識を教条的に覚えこまされるために、俺たちの精神は自ら考える力を失っている。俺たち皆が嘘を見抜く力を取り戻し自立した知性を獲得することによって、この世界の憎悪の循環(おそらく戦争や差別、人種間対立など)を断ち切ることができると歌われているように思います。

Wake Up : Rage Against The Machine

2015年05月22日




Although ya try to discredit *1
いくら信じまいとする者たちがいても
Ya still never edit
事実を校閲することはできない
The needle, I'll thread it *2
この細い針の穴に俺はきっと糸を通してみせる
It's radically poetic *3
過激に本質をえぐる詩
I'm standin' with the fury that they had in '66 *4
1966年に彼らが抱いた怒り。俺は彼らと共に立つ
And like E-Double I'm mad *5
Eダブルのように怒り狂う
Still knee-deep in the system's shit *6
体制の糞に膝まで浸かりながら
Hoover, he was a body remover *7
フーバーは死体を片付け続けた
I'll give ya a dose
クスリなどでは
But it'll never come close *8
決して及ぶことができない
To the rage built up inside of me
俺の内に作られたこの憤怒には
Fist in the air in the land of hypocrisy *9
拳を上げろ。この偽善の国で

Movements come and movements go
「運動」は、やって来てはすぐに去ってしまう
Leaders speak, movements cease when their heads are flown *10
指導者たちは説く。しかし、彼らの首が飛ばされるとすぐに「運動」は止む
'Cause all these punks got bullets in their heads *11
馬鹿者どもがこぞって彼らの頭に銃弾を撃ち込むからだ
Departments of police, [What?] the judges, [What?] the feds
警察、裁判官、連邦捜査官
Networks at work, keepin' people calm
仕掛けられた網の目が人々をおとなしくさせる
You know they went after King *12
奴らがキング牧師を追いかけ回したのを知っているだろう?
When he spoke out on Vietnam?
彼がベトナム反戦を説いた時に
He turned the power to the have-nots!
彼は「持たざる者たち」に力を持たそうとした
And then came the shot
だから彼は撃たれた

With poetry, my mind I flex *13
詩によって俺は自分の精神を誇らかに示そう
Flip like Wilson, vocals never lackin' that finesse *14
フリップ・ウィルソンのように熱狂を呼ぶ。この声は決してその鋭さを欠くことはない
Whudda' I got to, whudda' I got to do to wake you up? *15
俺は何をすればいい? 何をすべきだ? お前たちの目を覚ますために
To shake you up, to break the structure up? *16
お前たちを奮い立たせるために。体制を破壊するために
The blood still flows in the gutter *17
貧民街には血が流れ続けるから
I'm like takin' photos. Mad boy kicks open the shutter
俺は写真を撮り続ける。怒った少年がシャッターを蹴破るように
Set the groove *18
レコードの針を落とせ
Then I stick and move like I was Cassius *19
そうすれば俺はカシアス・クレイのように、舞い、刺す
Rep the stutter step then bomb a left upon the fascists *20
スタターステップを繰り返し、極右全体主義に強烈な左を撃ちまくる
Yeah! The several federal men
連邦捜査官どもは寄ってたかって
Who pulled schemes on the dream and put it to an end *21
人々の「夢」を砕こうと画策し、潰えさせた
You better beware of retribution with mind war *22
支配者が口にする言葉には用心しろ。精神的戦争における「報復や天罰」
20/20 visions and murals with metaphors *23
「標準視力」や「壁画に描かれた隠喩」
Networks at work, keepin' people calm
仕掛けられた網の目が人々をおとなしくさせる
You know they murdered X and tried to blame it on Islam? *24
知っているだろう? 奴らがマルコムXを殺し、その責をイスラムに負わせたことを
He turned the power to the have-nots!
彼は「持たざる者たち」に力を持たせようとした
And then came the shot
だから彼は撃たれた

What was the price on his head?
彼の首にいくらの値がつけられていたんだ?

I think I heard a shot
今も銃声が聞こえた気がする

"He could be a real contender for this position should he *25
「彼(キング)はこの(黒人の救世主としての)地位を狙える本物の競争者になるかもしれない。もし、彼が
abandon his supposed obedience to white liberal doctrine of non-violence *26
非暴力の白人穏健主義への仮の従順を捨てて
...and embrace black nationalism" *27
黒人民族主義思想を抱くようになれば」
"Through counter-intelligence it should be possible to *28
「だが、防諜活動がきっと可能にするだろう。
pinpoint potential trouble-makers and neutralize them..." *29
潜在的な騒動因子を特定し、それらを無力化することを」

Wake up!
目を覚ませ!

How long? Not long! *30
長くかかるのか? いや長くはない
'Cause what you reap is what you sow *31
人が刈り取るのは自分で蒔いたものであるのだから


備考
  1. discredit : 信用を傷つける、信用・評判を落とす。信用しない、疑う。
  2. needle : 縫い針、編み針。針状のもの、針葉、注射・レコードプレーヤー・計器の針。いらだち、かんしゃく、怒り、敵意、棘のある皮肉な言葉。麻薬の注射
    thread : 糸、細線、筋道、脈絡。糸を通す、突き通す、感情が曲・物語の全体に流れている、縫うように進む
    thread the needle : 針に糸を通す、困難な事をやり遂げる
  3. radically : 根本的に、元来。根底から、徹底的に、本質的に。過激に
  4. fury : 激怒、憤激、激情。嵐・戦争・病・行動の激しさ、猛烈さ、猛威、凶暴性
    ※1964年に公民権法が成立するものの、現実の黒人差別は簡単にはなくならず警官による黒人の虐待や殺傷、それに呼応するような黒人暴動が60年代後半に米国各地で起こっていた。そして、公民権運動に多大な影響力を持っていた非暴力平和主義のキング牧師の主張と一線を画す運動が次第に力を持つようになっていった。1966年には、革命や武装蜂起を提唱するブラックパンサー党が設立され、学生非暴力調整委員会の委員長ストークリー・カーマイケルがブラックパワー(黒人が自ら権力を獲得するという思想で従来の黒人と白人の統一的運動からはずれるもの)を提唱し始めた。
  5. E Double : ニューヨークのラッパー Erick Sermon(1968-) の通り名。二人組みのラップグループ EMPD(元々の名は EEMPD = Easy Erick and Parrish the Microphone Doctor) のメンバー。RATM は2000年のアルバム Renegades で EPMD の "I'm housing" という曲をカバーしている。
  6. knee-deep : 膝までの深さの、膝まで浸かって。(困難等に)動きが取れない、はまり込んで、巻き込まれて
  7. John Edgar Hoover(1895-1972) : 連邦捜査局長官を48年にもわたり務め、盗聴を始めとする諜報活動で得られるその政治力は歴代大統領をも恐れさせた。
    remove : 移動する、運ぶ、片付ける。脱ぐ、取る、はずす。立ち退かせる、追い払う、追放する。取り除く、除去する。殺害・暗殺する
  8. come close to : 接近する、もう少しで~するところだった、近くに来る
  9. hypocrisy : 偽善(的行為)、見せ掛け、猫被り
  10. cease : 事が終わる、止む。中止する、やめる、自然にしなくなる
    fly : 飛ぶ、吹き飛ばされる、舞う、漂う、飛び散る、逃亡する、蒸発する、飛びかかる
  11. punk : くだらない人間、役立たず、青二才、若造、ちんぴら、与太者
  12. King : マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929-1968)。米公民権運動の指導者。
  13. flex : 関節などを曲げる、筋肉を収縮させる・ほぐす
    flex = show off(自己顕示する、誇示する)…urbandictionary.com より
  14. flip : はじく、はじき飛ばす、素早くめくる・裏返しにする、大喜びさせる・熱中させる
    Flip Wilson : アメリカの黒人コメディアン・俳優。1933-1998。タイム誌に「テレビ界初の黒人スーパースター」と評された。
    lack : 必要なものを欠く、足りない
    finesse : 判断・意見の鋭さ、細かさ、手際の良さ、手腕、巧妙。策略、悪だくみ
  15. whadda = what do
  16. shake up : 奮い立たせる、感情をかき乱す、ぐらつかせる
    break up : 粉々に砕く、解体する
    structure : 構造、構成、組織、機構、組み立て、組成。構造物、建造物。体系
  17. gutter : 溝、どぶ、排水溝、水路。貧民窟、貧民街、下層社会の生活
  18. groove : 溝、レコードの溝。慣例、常軌、適所。絶好調、楽しく愉快なこと、見事なジャズ演奏
  19. Cassius Marcellus Clay Jr. : ボクサー、ムハマド・アリの旧名。華麗なボクシングスタイルは「蝶の様に舞い蜂の様に刺す」と言われた。
  20. rep : repeat(繰り返す・反復する)の略だと思ったが、間違っているかもしれない。
    stutter step : バスケット、アメフト、テニス等で、腰を落とし素早く足を踏み替えるフットワークのこと。フェイントに使われる
  21. pull : 人の驚くことをやってのける、悪事を働く、しでかす
    ※ここの dream はキング牧師の「私には夢がある」という有名な演説を思わせる。
  22. ※この行と次行は意味が分からなかったため、想像を交えかなり意訳している。誤訳の可能性が高いので信用しないでほしい。
    retribution : 悪業の報い、仕返し、報復、懲罰、天罰
  23. 20/20 vision : 視力検査で標準視力のこと。日本の検査での「1.0」に相当。20/10=2.0, 20/40=0.5 等になる
    mural : 壁画、天井画
  24. blame B on A : B の責任を A に負わせる、B を A のせいにする
  25. ※ここからの5行は、反政府勢力を減退させるためのFBIの防諜計画に関しフーバー長官が書いた文書からの引用である。この前後で、フーバーはマルコムXやストークリー・カーマイケル、キング牧師、イライジャ・ムハマドの黒人民族主義の指導者としての評価すなわち潜在的な脅威の度合いについて書いている。
    contender : タイトルを狙う競争者、ライバル。タイトルマッチの挑戦者、優勝候補
  26. abandon : 捨てる、去る、見捨てる、置き去りにする、遺棄する。やめる、断念する、身を引く
    obedience : 服従、従順、遵法、恭順
    doctrine : 教義、教理、主義、信条、学説、見解、政策
  27. embrace : 抱く、抱擁する。考え・申し出・主義・事態を受け入れる、機会を捕らえる・利用する
  28. counter intelligence : 防諜活動。敵国(勢力)の諜報活動に対抗してそれを妨害・破壊するための諜報活動
  29. pinpoint : 位置を正確に示す、原因・本質を正確に指摘する、正確に狙う
    neutralize : 中立化する、中和する、中性化する、無効にする、相殺する、敵陣を制圧する
  30. ※この最後の2行は、キング牧師の1965年のアラバマ州モントゴメリーでの演説からの引用(一部改変)である。演説の "How long" のくだりは次のような言葉が述べられている。「長くかかるのか? いや長くはない。なぜなら、偽りが永遠に続くことはないからだ。長くかかるのか? いや長くはない。なぜなら、人は自分の蒔いたものを刈り取る運命だから。…(中略)…長くかかるのか? いや長くはない。なぜなら、道徳的宇宙の描く弧は長いが、それは正義の方向に曲がっているからだ」

        

  31. you reap what you sow : 自分で蒔いた種は自分で刈り取る。身に降りかかる事は全て自分の行動が招いた事である、過去に犯した悪いことは将来その報いが自分に返ってくる。自業自得、因果応報


 1992年のデビューアルバム "Rage Against the Machine" より。ベトナム戦争初期、1963年にアメリカの傀儡政権の仏教弾圧に抗議して憤死した南ベトナムの僧侶がいました。ガソリンをかぶり火に焼かれながらも絶命するまで蓮華座を崩さなかった彼の姿をジャケットに使ったこのアルバムは、反政府、反権力を真っ直ぐに打ち出した政治的な主張にあふれています。

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