Ditmas : Mumford & Sons

2017年07月02日




And in time
いつしか
As one reminds the other of the past
人は誰かを過去の人と思うようになる
A life lived much too fast to hold onto
人生は沢山の事が次から次へと生じ、一つにしがみついてはいられない
How am I losing you?
僕はどんな風に君を失うのだろう?

A broken house
壊れた家は
Another dry month waiting for the rain
またこれから乾いた一月、雨を待ち続ける
And I had been resisting this decay *1
こんな腐朽と衰退に僕はずっと抗ってきた
I thought you'd do the same *2
君も同じだと思っていた

※ But this is all I ever was
でも、これがこれまでの僕のすべてなんだ
And this is all you came across those years ago *3
そして、君がこの数年に出合ってきたことのすべてなんだ
Now you go too far *4
もう君はとても遠くに行っている
Don't tell me that I've changed because that's not the truth
僕が変わったなんて言わないでくれ。そんな事はないのだから
And now I'm losing you ※
僕は君を失おうとしている

Fragile sound *5
か細い響き
The world outside just watches as we crawl *6
外の世界は、僕たちが這うように進むのをただ見守るだけ
Crawl towards a life of fragile lines *7
か細い糸のような人生に向かって這い進むのを
And wasted time
無駄に時を費やした人生

And so I cry
だから、僕は泣くだろう
As I hold you for the last time in this life *8
君を抱くのがこの人生で最後となる時が来たら
This life I tried so hard to give to you
君にすべてを捧げようとしてきたこの人生で
What would you have me do? *9
君は僕がどうする事を望んでいるのだろう?

※~※

Where I used to end was where you start *10
いつだって僕の終着点は君にとっては始発点だった
You were the only one
君は僕にとって唯一の人だった
And now I see your eyes move too fast *11
今君の目はあちこちに動き回っている
You were the only one
唯一の人だった君なのに

Careful hands *12
気を使い、用心深くなったお互いの手と手
And wandering without that much to say
口数少なく、当てもなく歩き回る
Your words are empty as the bed we made *13
君の言葉は、今の僕たちのベッドのように空虚だ
Is there another way?
何か他に道はないのかい?
Oh love, is there another way?
愛しい人よ。何か他に道はないのかい?

※~※

And now I'm losing you
僕は今、君を失おうとしている


備考
  1. resist : 抵抗・反抗・反撃する。~に侵されない、~に耐える。~を我慢する
    decay : 腐敗、腐朽。虫歯。衰え、衰退、消滅、堕落
  2. would : ここではおそらく「過去における習慣、習性、反復的動作」を表す「きまって(よく)~したものだ、~するのであった」という意味だろうと思う。
  3. come across : 渡って来る、横切る。出くわす、ふと(偶然)見つける、見かける、遭遇する
  4. go too far : 度が過ぎる、度を超す、やり過ぎる、言い過ぎる、遠くに行き過ぎる
  5. fragile : 壊れ(折れ・砕け)やすい、もろい、弱い。華奢な、か細い、繊細な。実質のない、薄弱な、中身のない。虚弱な、元気のない、調子の悪い
    ※ "sound" は具体的に何の音を指しているのだろうか? 裏の意味としては彼らが作る「音楽」を指すのだろうが、表の「失恋の歌」としては曖昧でよく分からない。全体の文脈から「君」の声なのではないかと思うが確信は持てない。
  6. world : 世界、人類、人間、世間の人々、この世、世間、俗世、俗事、~界、宇宙、森羅万象、多数・多量・無限、天体・惑星
  7. line : 線。筋、縞、しわ。境界(線)、境、限界。輪郭、外形。進行方向、道筋、方向・方針。電話、電線。糸、紐、細綱。列、連続、行列。
  8. for the last time : 最後に、それを終わりとして、(それが最後になるように)今度こそきっぱり
  9. have + 人 + 動詞の原形 : ~に~してもらう、~に~させる。
    ※ have は「義務や立場的に自然・当然な事をさせる」という含意がある。一方 let は「許可する、したい事をさせてやる」、make は「強制する、無理にでもやらせる」という含意がある。
  10. used to do : 過去に~をしていた(現在はしていない)、以前は~だった(が今は違う)。過去の習慣や反復的・継続的な行動を表す。
  11. ※ "eyes move too fast" は正確な意味が分からない。彼女が目をきょろきょろさせて自分以外のものばかり見ていることを示唆するものだろうと思うが確信はない。
  12. ※ "careful hand" は通常「注意深い(用心深い)手つき」や「丁寧な仕事」、「人を気遣って世話をすること」等の意味になるのだろう。そのどれもそのままでは当てはまらないような気がする。「用心深い手つき」がいちばん近いように思えたのでそれを適用し、"hands" と複数形であることを根拠に二人の「手と手」であると想像して意訳してあるが、間違っているかもしれない。
  13. "as the bed we made" は「かつて僕たちが(一緒に)整えたベッドのように」なので、おそらく「前は同衾していたが今はそうではない」ことを示唆するものなのだろう。


 2015年のアルバム "Wilder Mind" より。曲名はニューヨーク・ブルックリンにある "Ditmas Park" という地区名でこのアルバムを録音したスタジオのある場所です。Park と言っても「公園」ではなく、古い家屋、町並みなどが歴史的遺物として保存されている地区を指しています。歌詞は表面的には失恋を表す内容でしょうが、バンジョーに象徴される素朴な音作りから電子機器を使った現代的な音作りへと変わってきたことに関するバンドとしての自己弁明の意味合いも込められているそうです。その場合歌詞の「君」はファンや評論家、メディアなどを指すことになるのでしょう。
 自分の恋愛感情を書き言葉にした経験がないため、このような歌詞の翻訳は非常に苦手です。特に男の書いた歌詞は他人の事なのに訳しているこちらが気恥ずかしくなってきます。ただ、Marcus Mumford の書く歌詞は適度に格調高く詩的な感じがします。英語の詩的な美しさはよく分からないのですが、なかなか詩才のある人なのではないでしょうか。

Babel : Mumford & Sons

2017年02月17日




'Cause I know that time has numbered my days *1
自分の時が限られていることは分かってる
And I'll go along with everything you say
だから、すべてあなたの言葉に従って進もう
But I'll ride home laughing, look at me now
しかし、私は笑いながら家へ帰ろう。見てくれ
The walls of my town, they come crumbling down
我が町の壁は、崩れ落ちようとしている

And my ears hear the call of my unborn sons
私の耳には聞こえる。まだ生まれぬ私の息子たちの呼び声が
And I know their choices color all I've done *2
そして私には分かる。彼らの選択が私のなした事に色を塗ってくれることを
But I'll explain it all to the watchman's son, *3
しかし、私は見張り人の息子にすべてを説明しよう
I ain't ever lived a year better spent in love *4
もし私が愛に生きていればより良き一年であったであろうにと

'Cause I know my weakness, know my voice
なぜなら、私は自分の弱さを知っているから。自分の発した声の意味を分かっているから
Now I believe in grace and choice *5
だから私は、神の恩寵も自己の自由な選択も、その両方を信じている
And I know perhaps my heart is farce,
私の心は喜劇かもしれないが
But I'll be born without a mask
私は、仮面を着けることなく素顔で生まれるだろう

Like the city that nurtured my greed and my pride, *6
私の貪欲と高慢を育んだ都市のように
I stretch my arms into the sky
私は両腕を空に伸ばす
I cry Babel! Babel! Look at me now
そして叫ぶ。バベル、バベル。私を見てくれ
Then the walls of my town, they come crumbling down
そして、我が町の壁は崩れ落ちようとしている

You ask where will we stand in the winds that will howl, *7
あなたは尋ねる。唸る風の中で、どこに立つつもりなのかと
As all we see will slip into the cloud *8
けれども、私たちに見えるものはすべて雲の中に消え去るだろう
So come down from your mountain and stand where we've been,
だから、その山から下りてくれ。私たちのいた場所に立ってくれ
You know our breath is weak and our body thin
知っているだろう。私たちの息は弱く、私たちの体は薄く脆いことを

Press my nose up to the glass around your heart *9
私の鼻をあなたの心の回りのガラスに押し付けてくれ
I should've known I was weaker from the start
私は知るべきだった。自分は始まりの時から弱かったのだと
You'll build your walls and I will play my bloody part
あなたは壁を作るだろう。そして、私は血塗れの役を演じる
To tear, tear them down, *10
その壁を引き裂き、引き剥がすために
Well I'm gonna tear, tear them down
そう。私は引き裂き、引き剥がすだろう

'Cause I know my weakness, know my voice
なぜなら、私は自分の弱さを知っているから。自分の発した声の意味を分かっているから
Now I believe in grace and choice
だから私は、神の恩寵も自己の自由な選択も、その両方を信じている
And I know perhaps my heart is farce,
私の心は喜劇かもしれないが
But I'll be born without a mask
私は、仮面を着けることなく素顔で生まれるだろう


備考
  1. number : 数字・番号をつける、数を確認する、数える、数が定められる・制限される、~に含めて数える、数に達する、~年生きている、~歳に達する
  2. color : 彩る、 染める、塗る、着色する
    ※ここでは、過去の人間がなした行為に対して、未来の人間が「始末をつける、あるいは仕上げる、修正する」等のいう意味ではないだろうか。
  3. watchman : 夜回り、夜警、ガードマン、見張り役
    エゼキエル書、33章。「人の子よ。私はあなたをイスラエルの家の見張り人とした。あなたは、私の口から言葉を聞く時、私に代わって彼らに警告を与えよ」
    イザヤ書、56章。「見張り人は皆、盲人で知ることがない。皆、唖の犬で吠えることもできない。夢を見て横になり眠りを貪っている。この貪欲な犬どもは足ることを知らない。悟ることも知らない牧者で、皆自分勝手な道に向かい、一人残らず自分の利得に向かって行く」
    イザヤ書、62章。「エルサレムよ。私はあなたの城壁の上に見張り人を置いた。昼の間も夜の間も、彼らは決して黙っていてはならない。主に覚えられる者たちよ。黙り込んではならない」
  4. ain't ever = have not ever = have never
    ※文法構造がよく分からないので、想像で「愛に過ごした一年よりもより良い一年を過ごさなかった」と読んだが自信がない。
  5. grace : 品の良さ、洗練された美しさ、恩恵、慈悲・寛容、神の恩恵・恩寵・加護、神の意思にかなった選民
    choice : 選択、選択権、選択の自由、選ばれた物・人、選ばれる資格のある物・人、より好ましい物・極上品・洗練された品
  6. nurture : 育てる、養育する、育成する、はぐくむ、しつける、教育する
  7. howl : 犬・狼が遠吠えする、風が唸る・ヒューヒュー鳴る、苦痛・怒り・苦しみで唸る・うめく・わめく・怒号する、浮かれ騒ぐ・大声で笑う
    ※以下4行は、人間は雲にも届く塔を建てたが自らの立つ場所を見失ってしまったという比喩に見える。
  8. slip : 滑る、そっと行く、滑って転ぶ、ずり落ちる、失われる、逃げる、消え去る、いつの間にか~の状態に陥る
    slip into a gown : ガウンを素早く着る
    slip into sleep : いつの間にか寝入る
  9. ※どういう隠喩か分かりにくいが「高慢な私の鼻は、目に見えないガラスの壁に阻まれてあなたの心へ到達することができない」という感じだろうと思う。
  10. tear : ずたずたに引き裂く
    tear down : もぎ取る、ひきちぎる、むしり取る、引き剥がす


 2012年のアルバム Babel より。
 旧約聖書では、天に届く塔を建てようとした人間の高慢な精神は神によって砕かれ、言葉の混乱を強制されて世界の諸民族へと分裂させられます。この歌詞の意図はよく分かりませんが、私は個人的に人間の知の高慢さを戒めるものと読みました。人知の代表は科学と科学技術であり原子力もその一つと言えるでしょう。原発事故を経験した私たち日本人には重く響く歌詞だと思います。
 以下に書くことは、よく調べよく考えたことでもないので、あまり根拠のない独り言だと、流してお読み下さい。私は原子力発電所の再稼動には反対です。原子力は現在の技術で制御することは不可能であり、廃棄物処理の問題も解決できていません。ただし、原子力の商用利用は止めるべきだと思いますが、人間が獲得した知に制限を加えること、科学者の自由な精神を拘束することは絶対悪だと思うので、原子力エネルギー利用の研究は進めるべきだと思います。そのため研究施設としての原子力施設の建設は必要でしょう。とは言え、現在の熱エネルギーでタービンを回す単純・素朴な蒸気機関と同原理のものではなくなるだろうとは思います。また、そこでは放射性廃棄物の処理研究も重要な仕事になるでしょう。そして、その施設は東京に作るべきです。東京には幸い皇居と言う広大な土地があります。皇居が115ha、皇居外苑が115ha、合わせると敷地面積が230ha(230万m2)です。原発が六基建てられていた福島第一原子力発電所の敷地面積は350万m2ですから、原発一基や二基は余裕で建てられる面積であり、研究施設であればなおさらです。

※この記事は、2013年11月11日に掲載したものの再掲です。

Hopeless Wanderer

2013年01月14日

Hopeless Wanderer : Mumford & Sons




You heard my voice
俺の声を聞いてくれたのか
I came out of the woods by choice *1
俺は好んで森を出た
Shelter also gave their shade *2
木陰は俺を守ってくれたが
And in the dark I have no name
一方暗闇では俺は名を持たない

So leave that click in my head *3
だから自分の頭の思いつきなど放っておこう
And I will remember the words that you said
あなたの言葉を心に留めよう
Left a clouded mind and a heavy heart *4
曇り鈍った頭と重く沈んだ心を残されたが
But I was sure we could see a new start
俺たちはきっと新しい始まりを見ることができるだろう

So when your hopes are on fire *5
あなたの希望が火のように燃えている時でも
But you know your desire
あなたは理解している。あなたの欲望が
Don't hold a glass over the flame *6
炎の上でガラスを持つようなことはないし
Don't let your heart grow cold
あなたの心を冷やすこともないことを
I will call you by name
あなたの名を呼ぼう
I will share your road
あなたと同じ道を進もう

But hold me fast, Hold me fast
でもしっかりと掴んでおいてくれ
Cuz I'm a hopeless wanderer
俺は希望のない放浪者なのだから

I wrestled long with my youth
俺は長く自分の未熟さと戦ってきた
We tried so hard to live in the truth
俺たちは真実に生きようと頑張った
But do not tell me all is fine
俺たちが素晴らしいなんて言わないでくれ
When I lose my head, I lose my spine *7
俺は知力を失い気骨を失ったのだから

So leave that click in my head
つまらぬ思いつきなど放っておこう
And I won't remember the words that you said
あなたの言葉を忘れてしまおう
You brought me out from the cold *8
あなたは俺を冷えた孤立から連れ出してくれた
Now, how I long, how I long to grow old *9
今俺はどんなに願うことか。老成することを

So when your hopes are on fire
あなたの希望が火のように燃えている時でも
But you know your desire
あなたは理解している。あなたの欲望が
Don't hold a glass over the flame
炎の上でガラスを持つようなことはないし
Don't let your heart grow cold
あなたの心を冷やすこともないことを
I will call you by name
あなたの名を呼ぼう
I will share your road
あなたと同じ道を進もう

But hold me fast, Hold me fast
しっかりと掴んでくれ
Cuz I'm a hopeless wanderer
俺は希望のない放浪者なのだから

And I will learn, I will learn to love the skies I'm under
そして、自分が立つこの地の空を愛せるようになろう
The skies I'm under
どこであろうと自分が見上げる空を


備考
  1. by choice : 選ぶとすれば、好んで、特に
  2. also : さらに、そしてその上、また、~もまた、やはり、同様に、それでいて、その反面
  3. leave : 去る、退く、やめる、よす、そのままにしておく、放っておく、後に残す
    click : カチッという音、ひらめき
  4. clouded : あいまいな、混乱した、雲の(のようなもの)で覆われた、顔が曇っている
    heavy-hearted : 心の重い、憂鬱な、ふさぎ込んだ
  5. on fire : 火事に、燃えて、体が痛む・ひりひりする、熱心に、躍起に
  6. この前後の比喩(とくに火とガラス)がよく分からないが、欲望が希望を妨げることはないという意味だろうか。すなわち「希望は失くしてはならない。あなたの欲望は火にガラスをかざすような間違った行動はとらないし、希望の火を点すのに必要なものだ」と言っているように見える。hope が可能性を信じる希望=肯定的・善的な言葉で、desire が本能的な欲求・欲望=否定的・悪的な言葉だと思ったからだが、この前提が間違っていれば、この解釈も違うかもしれない。
  7. spine : 脊柱、背骨、気骨、根性
  8. come in from the cold : 孤立無援の生活から皆に迎えられる、新しく仲間になる
    left out in the cold : 無視(黙殺)されて、忘れられて
  9. long : 待ち望む、思い焦がれる、熱望する


 2012年のアルバム Babel より。
 旧約聖書『創世記』に由来するバベルの塔の話は、天に届く高い塔を建てようという人間の行為が神に挑戦する傲慢だとその怒りを買い挫折させられるというものが一般的な解釈だと思われます。混乱を意味するバベルはバビロンと同じであり、反聖書的な堕落した都市の象徴です。塔の建設を挫折させるためにとった神の方策は建設従事者たちの言語を混乱させることで、それ以来人間たちは違った言葉を話す民族として分裂し世界中へ散ったとされます。またこの話は壮大な神殿を造ったソロモン王への批判、あるいは偶像崇拝をもたらしたバビロニアの都市文化への批判などという説もあるそうです(http://www.asahi-net.or.jp/~ZM4M-OOTK/5babel.html)。個人的には、国を亡くした放浪民族であるイスラエル人の新バビロニア王国に対する単なる怨み節ではないかと思いますが、言語と民族が世界中に分裂した原因と設定されているところが興味深いです。言語は無理としても、人類が共通の価値基準を持つためには、人間を超える何らかの "神" 的なものに対する信仰あるいは帰依といったものが必要なのでしょうか。
 そのようなことを考えていると、この歌の歌詞が個人の思いを歌っているというより、人間一般のことを歌っているように思えてきました。森から出て「人間」となった我々は、それぞれの名を得たが、その代価として分裂し孤立し放浪することとなった。しかし、私はあなたと共に進むことによって、自分が立つこの地とこの空を愛せるようになりたい。かなり強引な解釈なので、本来はもっと個人的な、あるいはバンドとしての思いを述べた歌詞なのかもしれません。




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