Running Up That Hill (A Deal with God)

2016年03月28日

Running Up That Hill (A Deal with God) : Kate Bush




It doesn't hurt me
痛くはないのよ
Do you wanna feel how it feels?
あなたもこれを感じてみたくない?
Do you wanna know, know that it doesn't hurt me?
知りたくない? 私のこの「痛くはない」感じを
Do you wanna hear about the deal that I'm making? *1
聞きたくない? 私がしようとしている「取引」について
You
あなたの事なのよ
It's you and me
あなたと私の事なのよ

And if I only could *2
もしできる事ならば
I'd make a deal with God
私は神とだって取引をする
And I'd get him to swap our places *3
彼と私を入れ替えて欲しい
Be running up that road
そうしたら、あの道を駆け上れるだろう
Be running up that hill
あの丘を駆け上れるだろう
Be running up that building
あの建物を駆け上れるだろう
See if I only could, oh *4
分かってる。もしできる事ならばの話よ

You don't wanna hurt me
あなたは私を傷つけたいわけじゃない
But see how deep the bullet lies *5
でも、見て。これほど深く突き通った弾丸を
Unaware I'm tearing you asunder *6
私も気づかずにあなたを引き裂いている
Oh, there is thunder in our hearts
私たちの胸の内には雷のような怒りがある
Is there so much hate for the ones we love?
私たち、そんなに大きな憎しみがあるの? 愛する相手に対して
Well tell me, we both matter, don't we?
私たち、二人とも大事でしょう? そうでしょう?
You
あなたの事なのよ
It's you and me
あなたと私の事なのよ
It's you and me won't be unhappy
不幸になろうとしているのは、あなたと私なのよ

And if I only could
もしできる事ならば
I'd make a deal with God
私は神とだって取引をする
And I'd get him to swap our places
彼と私の立場を入れ替えてもらう
Be running up that road
そうしたら、あの道を駆け上れるだろう
Be running up that hill
あの丘を駆け上れるだろう
Be running up that building
あの建物を駆け上れるだろう
Say, if I only could, oh *7
そうよ。もし、できる事だったらという仮の話よ

You
あなたの事
It's you and me
あなたと私の事
It's you and me won't be unhappy
あなたと私の事なの。不幸になろうとしているのは

Oh c'mon, baby, c'mon darling
だから、お願い
Let me steal this moment from you now
少しだけあなたの時間をちょうだい
C'mon, angel, c'mon, c'mon, darling
ねえ、お願いよ
Let's exchange the experience, oh
お互いの経験を交換しましょう

※ And if I only could
もし、できる事ならば
I'd make a deal with God
神とだって取引する
And I'd get him to swap our places
彼と立場を入れ換えてもらう
I'd be running up that road
そうしたら、私はあの道を駆け上れるだろう
Be running up that hill
あの丘を駆け上れるだろう
With no problems ※
何の問題もなく

[※~※]×2

So if I only could
もし、できる事ならば
Be running up that hill
あの丘を駆け上れるだろう
With no problems
何の問題もなく

If I only could, I'd be running up that hill
もしできる事ならば、私はあの丘を駆け上るのに、、、


備考
  1. deal : 取引、契約、協定、取り決め。密約、不正取引。取り扱い、待遇
  2. if only : ただ~でさえあればいいのだが
  3. swap : 交換する、取り換える
    place : 場所、所。空間。本来の場所、置場、居場所、持ち場。自分の家、住居、部屋。立場、位置、境遇。役目、役割、本分。
  4. ※ "see" は間投詞的に使われているのだろうが、正確なニュアンスは私には分からないので、ここは想像で訳してある。
  5. lie : 横たわる、埋葬されている、置かれている、ある、存在する、広がっている、伸びている
  6. asunder : ばらばらに、離れ離れに、隔たって、離れて
  7. ※ *4 と同様 "say" も間投詞だろうが、正確な意味は分からない。ただ "say" には「仮に~であれば」「たとえば」というニュアンスがあるそうなので、ここはそれに基づいて訳してあるが、間違っているかもしれない。


   


 1985年のアルバム "Hounds of Love" より。直上の動画は Within Temptation によるカバーで、私はこちらの方が格好良くて好きだったのですが、歌詞を訳し終えた今は、オリジナルの方が歌詞に込められた心情がよく表れているような気がします。"if I only could" や "I would make", "I would be" などの仮定法を使った言い回しは、現実にはできない事という諦めの感情が込められているのでしょう。しかし、それでも諦めきれない感情もあり、その複雑さがこの歌全体に悲しみと勇壮な決意の相反する雰囲気の両方を与えており、ケイト・ブッシュの歌はそれを上手く表現していると思います。
 この歌の題名は元々は "A Deal with God" だったのですが、レコード会社がキリスト教圏での否定的な反応を憂慮して曲名の変更を求めケイト・ブッシュがそれに応じて "Running Up That Hil" となったそうです。ただし、アルバム内の曲名リストではカッコ付きで元の曲名が付加されています。この歌についてケイト・ブッシュは、男と女は本当には分かり合えないものだから、もし、お互いの役割を交換することができるならお互いをもっと理解することができるだろうと思ったという趣旨を語っています。そして、その手段として「悪魔と取引をする」という言葉を思いつき、それならば悪魔ではなくいっそ「神」との取引の方がより強力な手段になると思い、"a deal with God" という歌詞を書いたそうです。


Moving

2014年12月06日

Moving : Kate Bush




Moving stranger, *1
動き続ける見知らぬものよ
Does it really matter,
本当にそれほど大事なの?
As long as you're not afraid to feel?
恐れを感じないということが?
Touch me, hold me.
私に触れて。私を抱いて
How my open arms ache!
私の開いた両腕はこれほどにも痛む
Try to fall for me. *2
私を求めて堕ちてみなさい

How I'm moved.
こんなにも私は心震わされている
How you move me
あなたが私の心を動かす
With your beauty's potency. *3
あなたの美しさが持つ力のせいだ
You give me life.
あなたが私に命を与える
Please don't let me go.
お願いだから私を放さないで
You crush the lily in my soul. *4
あなたは私の魂の純潔を押しつぶす

Moving liquid
動き続ける液体よ
Yes, you are just as water.
そう。あなたはまるで水と同じ
You flow around all that comes in your way.
行く先々に現れる全ての回りを漂い続ける
Don't think it over, *5
そんなにいちいち考え込まないで
It always takes you over,
そうやっていつもあなたは連れて行かれてしまう
And sets your spirit dancing.
そして、あなたの精神は踊らされる

How I'm moved.
これほどまで私は心震わされている
How you move me
あなたが私の心を動かす
With your beauty's potency.
あなたの美しさが持つ力のせいだ
You give me life.
あなたが私に命を与える
Please don't let me go.
お願いだから私を放さないで
You crush the lily in my soul.
あなたは私の魂の純潔を押しつぶす


備考
  1. move : [自] 動く、移動する、立ち去る、出発する、引っ越す、考えを変える、事が進行する
    [他] 動かす、人の考えを変えさせる、感動させる、各種の感情を惹き起こす
  2. fall for : 惚れ込む、好きになる、恋する。引っ掛かる、だまされる、はまる
  3. potency : 権力、勢力、権威、効能、有効性、効果、影響力、成長力、発展性、可能性、潜在力
  4. lily : 百合。百合の花。百合の球根。※白百合は「純潔」の象徴
  5. think over : よく考える、じっくり考える


 1978年のデビューアルバム "The Kick Inside" より。Wikipedia によると、ケイト・ブッシュはこの曲を彼女の先生であった Lindsay Kemp に捧げるために作ったそうです。リンゼイ・ケンプはダンサー、俳優、パントマイミスト、振付師として活躍している人物です。彼女は「彼は "movement" の意味について私の目を開かせてくれた」と語っています。
 こういう詩的な歌詞は私の能力では翻訳がほぼ不可能です。英語の詩としての良さは上の翻訳ではほとんど再現できていません。この歌詞の主題は move です。この言葉の持つ心象あるいは心的映像は「動くこと、心が震えること」なのでしょうが、英米人が感じるようには私はこの言葉のイメージを描けないので訳文でもそれを上手く表現することができませんでした。翻訳そのものも間違っているかもしれません。歌詞全体の意味としてはいろいろに解釈できるように書かれていると思います。恋愛感情を描いたものだとも解釈できるでしょうが、イントロの効果音で鯨の声が使われていることから、私は人間と自然の関係とくに生命の母胎としての海のイメージを強く感じました。
 

Army Dreamers

2014年09月15日

Army Dreamers : Kate Bush




"B.F.P.O." *1
国軍郵便局
Army dreamers
夢見る兵士たち
"Mammy's hero"
ママのヒーロー

Our little army boy is coming home from B.F.P.O. *2
私たちの可愛い兵隊さんが軍の郵便局から帰って来る
I've a bunch of purple flowers to decorate a mammy's hero
ママのヒーローを飾るのに紫の花束を用意した

Mourning in the aerodrome *3
飛行場で悼み嘆く
The weather warmer, he is colder
暖かい天気なのに、彼は冷たい
Four men in uniform
軍服姿の四人の男
To carry home my little soldier
私の可愛い兵隊さんを家に運ぶ

"What could he do? Should have been a rock star"
「彼にできたのは何だろう? ロックスターになれたかもしれないのに」
But he didn't have the money for a guitar
でも、彼はギターを買うお金もなかった
"What could he do? Should have been a politician"
「彼にできたのは何だろう? 政治家になれたかもしれないのに」
But he never had a proper education
でも、彼はまともな教育も受けなかった
"What could he do? Should have been a father"
「彼にできたのは何だろう? 父親になれたかもしれないのに」
But he never even made it to his twenties *4
でも、彼は二十歳にもなれなかった
What a waste *5
なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち
Ooh, what a waste of
ああ、なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち

Tears o'er a tin box *6
涙がブリキの箱をおおう
Oh, Jesus Christ, he wasn't to know *7
ああ神様。彼は知る由もなかった
Like a chicken with a fox
自分が狐とともにいるひよこだと
He couldn't win the war with ego *8
自尊心で戦争に勝つことはできないと

Give the kid the pick of pips *9
この子に最高位の星を与えてよ
And give him all your stripes and ribbons *10
すべての階級章と勲章を与えてよ
Now he's sitting in his hole
こんな穴倉に座らされている
He might as well have buttons and bows *11
彼には飾りボタンと蝶ネクタイの方がいいかもしれない

"What could he do? Should have been a rock star"
「彼にできたのは何だろう? ロックスターになれたかもしれないのに」
But he didn't have the money for a guitar
でも、彼はギターを買うお金もなかった
"What could he do? Should have been a politician"
「彼にできたのは何だろう? 政治家になれたかもしれないのに」
But he never had a proper education
でも、彼はまともな教育も受けなかった
"What could he do? Should have been a father"
「彼にできたのは何だろう? 父親になれたかもしれないのに」
But he never even made it to his twenties
でも、彼は二十歳にもなれなかった
What a waste
なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち
Ooh, what a waste of
ああ、なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち

"B.F.P.O."
Did-n-did-n-did-n-dum
Army dreamers
Did-n-did-n-did-n-dum
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
Army Dreamers
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
No harm heroes *12
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
Army dreamers.
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
No harm heroes


備考
  1. B.F.P.O. : "The British Forces Post Office(英国軍隊内郵便局)" または "British Forces Posted Overseas (海外に配置された英国軍)"
  2. ※これは、文字通り英国軍の海外派兵隊から帰ってくるという意味にもとれるが、戦死者の遺体が軍専用の郵便番号システムを利用して郵便物と同様の扱いを受けて移送されることを示唆するようにも見える。
  3. aerodrome = airdrome : 飛行場、空港
  4. make it to : うまく間に合う、着く、うまくやりとげる
  5. waste : 浪費、空費、機会を逃す(逸する)こと
  6. o'er = over (韻文で2音節を1音節にするための省略形)
    tin box : おそらく「粗末な棺」を示唆するものだろう
  7. be not to know : 語られるべきでない、知りようがない
    be to ~ : ~に向かっている→自分の意思で変えようのない→公式の予定・運命→~することになっている(予定・不可能性・意思・運命・義務・命令などを表す)
  8. ego : 自我、自惚れ、自尊心
  9. pick : 選択(権)、選択された人物、最上級のもの、選り抜き
    pip : サイコロ・トランプの目・点、士官の階級を示す星、パイナップルの表皮の小区切り、リンゴ・オレンジの種子、個々の根茎・根株
  10. stripe : 縞地、縞で階級等を示す徽章
    ribbon : リボン、勲章の飾り紐、軍人に与えられる勲章
  11. buttons and bows : おそらく「着飾る・おしゃれする」ことを示す。
  12. no harm : 害にならない、悪いことはない、悪意はない


 1980年のアルバム "Never for Ever" より。



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