Mrs. Robinson

2013年02月24日

Mrs. Robinson : Simon and Garfunkel




And here's to you, Mrs. Robinson *1
あなたに乾杯。ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
イエスはあなたを愛していますよ。あなたが思っているよりも
God bless you, please, Mrs. Robinson
神があなたを祝福されますように。ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray *2
天国は場所を与えますよ。神に祈る人には

We'd like to know a little bit about you for our files *3
私たちはあなたのことを少し知りたい。記録として保存するためにね
We'd like to help you learn to help yourself
あなたを手伝いたい。あなたが自力でできるようになるよう
Look around you, all you see are sympathetic eyes *4
まわりを見てごらんなさい。見えるでしょう、あなたに共感する目が
Stroll around the grounds until you feel at home *5
庭でも散歩するといいですよ。気分が楽になるまで

And here's to you, Mrs. Robinson
あなたに乾杯。ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
イエスはあなたを愛していますよ。あなたが思っているよりも
God bless you, please, Mrs. Robinson
神があなたを祝福されますように。ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は場所を与えますよ。神に祈る人には

Hide it in the hiding place where no one ever goes
隠しなさい。どこか誰も来ない所に
Put it in your pantry with your cupcakes *6
食料庫に入れなさい。カップケーキと一緒に
It's a little secret just the Robinsons' affair *7
それは小さな秘密。たかだかロビンソン家の事件
Most of all you've got to hide it from the kids *8
大事なのは、子どもたちに隠すことです

Koo-koo-ka-choo, Mrs. Robinson *9
すばらしいですよ。ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
イエスはあなたを愛していますよ。あなたが思っているよりも
God bless you, please, Mrs. Robinson
神があなたを祝福されますように。ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は場所を与えますよ。神に祈る人には

Sitting on a sofa on a Sunday afternoon
日曜の午後はソファにくつろいだり
Going to the candidate's debate *10
立候補者の討論会に行ったり
Laugh about it, shout about it when you've got to choose *11
笑い飛ばしたり喚いたりしなさい。そうして、あなたは選択しなければならない
Every way you look at it you lose
どの道を見たってあなたは迷うのです

Where have you gone, Joe DiMaggio *12
どこへ行ってしまったの? ジョー・ディマジオ
Our nation turns it's lonely eyes to you
私たち国民は寂しい目をあなたに向けているのに
What's that you say, Mrs. Robinson?
何を言ってるんですか? ミセス・ロビンソン
Jolting Joe has left and gone away *13
強打者ジョーは去ってしまい、とっくに死んでますよ


備考
  1. Here's to : (人・健康・成功・幸運などに)乾杯
  2. hold : 手で持つ、つかむ、保持する、保有する、収容できる、入れる、席を確保する
  3. file : 書類等の整理保存用具、綴じ込み、書類一式
  4. sympathetic : 同情的な、思いやりのある、共感する、好意的な
  5. stroll : ぶらつく、散歩する、旅して回る、流浪する
    grounds : 建物の周囲の庭園、芝生、敷地、構内
  6. pantry : 食料品や食器の置いてある部屋
  7. affair : 事、出来事、事務、業務、問題、関心事、不倫、情事、スキャンダラスな事件
  8. most of all : いちばん、とりわけ、中でも、殊に、この上なく、
  9. Koo-koo-ka-choo = Coo coo ca choo : 一般的には特定の意味はない。60~70年代のスラングでは、状況や文脈によって意味が変わったり、その "使い方の自由度" からこの言葉自体に「自由」という意味、あるいは「良い、素晴らしい」等の意味を持たせて使われることもあったらしい。(www.urbandictionary.com より)
  10. candidate : 立候補者、志望者
  11. 've got to = have got to = have to
  12. Joe DiMaggio : 1936年~51年に大リーグで活躍した野球選手。1914-99。この歌が作られた1967年頃は現役引退後だが、死んではいない。
  13. jolt : 急に揺する、がたがた揺さぶる、強打でふらふらにする、驚かす・ショックを与える


 1967年の米映画『卒業』の挿入曲として使われた歌です。アルバムとしては1968年の Bookends に収録されています。
 マイク・ニコルズ監督に映画のための新曲を請われたポール・サイモンは時間がなかったため手持ちの歌を見せました。それが「ミセス・ルーズベルト」というこの歌で、過去を懐古する内容のものでした。ニコルズ監督はこれを見て「これは今からミセス・ロビンソンだ。ルーズベルトじゃなくてね」と言ったそうです(http://en.wikipedia.org/wiki/Mrs._Robinson)。
 ミセス・ルーズベルトとは第32代米大統領フランクリン・ルーズベルト(1882-1945。任期1933-45)の夫人エレノア・ルーズベルト(1884-1962)のことです。彼女は夫の大統領時代の政策に大きな影響力を持ち、夫の死後も民間の運動家として政治的活動に携わり、女性の地位向上や人種差別反対などに力を注ぎました。アメリカでは、おそらく今日でも、歴代ファーストレディで最も尊敬されている人物なのではないでしょうか。この歌とは関係ありませんが、黒人オペラ歌手マリアン・アンダーソンが人種差別によりワシントン憲法記念館でのコンサートができなくなった時、開催のために手助けしたのもエレノア・ルーズベルトです。
 元歌はおそらくミセス・ルーズベルトとジョー・ディマジオを古き良きアメリカの象徴とみなして書いたものだろうと推測できますから、この歌詞におけるミセス・ロビンソンも肯定的に描かれているのだろうと思います。ただ、私は映画を昔一度だけそれも適当に見ただけなので内容をよく覚えていません。そのため、映画の中のミセス・ロビンソンの位置づけがこの歌詞とどのように関連しているのかが分かりません。
 歌詞だけから判断すると「あなたの過ちや迷いは未来を閉ざしているわけではない。古き良き時代はもう戻らないが、迷いながらも選択し続けるしかないのだ」というように思えました。ミセス・ルーズベルトの元々の歌詞と新しく付け加えられたミセス・ロビンソンの歌詞が混在して全体として多少の不自然さが出ているためかもしれませんが、妙に皮肉っぽい歌詞にも見えます。やはり、よく分かりません。


Scarborough Fair / Canticle

2013年02月23日

Scarborough Fair / Canticle : Simon And Garfunkel




Are you goin' to Scarborough Fair
スカボローの市に行くのかい
Parsley, sage, rosemary and thyme *1
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Remember me to one who lives there *2
忘れないで僕のことを伝えてくれないか。あそこに住む人に
she once was a true love of mine
彼女はかつて僕が真に愛する人だった

Tell her to make me a cambric shirt     (On the side of a hill in the deep forest green) *3
彼女に伝えてくれ。薄地のシャツを作るようにと(深緑の森の丘の斜面で)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Tracing of sparrow on snow-crested brown) *4
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (白頭雀の足跡を追う)
Without no seams nor needlework (Blankets and bedclothes the child of the mountain) *5
縫い目が見えず針も使わずに     (毛布と敷布の子どもは山の中で)
Then she'll be a true love of mine   (Sleeps unaware of the clarion call) *6
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう (眠っている。甲高いラッパにも気づくことなく)

Tell her to find me an acre of land     (On the side of a hill, a sprinkling of leaves) *7
伝えてくれ。僕に千坪の土地を見つけてくれと(丘の斜面で舞い散る葉が)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Washes the grave with silvery tears)
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (銀の涙で墓石を洗う)
Between the salt water and the sea strands (A soldier cleans and polishes a gun) *8
海の水と岸の間に              (兵士は銃をきれいに磨く)
Then she'll be a true love of mine
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう

Tell her to reap it with a sickle of leather  (War bellows blazing in scarlet battalions) *9
伝えてくれ。刈り取りを革の鎌でするようにと(戦争は轟き、緋色の軍隊に燃え上がる)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Generals order their soldiers to kill)
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (将軍たちは兵士に殺せと命じる)
And gather it all in a bunch of heather (And to fight for a cause they've long ago forgotten) *10
集めた籾は小枝のかごに入れるように  (とうの昔に忘れられた大義のために戦えと)
Then she'll be a true love of mine
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう

Are you goin' to Scarborough Fair
スカボローの市に行くのかい
Parsley, sage, rosemary and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Remember me to one who lives there
忘れないで僕のことを伝えてくれないか。あそこに住む人に
she once was a true love of mine
彼女はかつて僕が真に愛する人だった


備考
  1. ※この四つはいずれもハーブ。パセリは消化促進・防腐作用があり食物の苦味を消す。セージは消臭・抗酸化作用があり「力」の象徴。ローズマリーは消臭・抗菌・抗酸化作用があり「貞節・愛・思い出」の象徴。タイムは抗菌作用があり「勇気」の象徴。
  2. remember A to B : A のことを B によろしくと伝える
  3. cambric : 薄地の白い亜麻布。ハンカチなどに用いる
  4. trace : 跡をつける、足跡をたどる、たどって突き止める、道をたどる、線・図等を引く・描く
    sparrow : スズメ
    crest : 頂上に達する、羽飾りをつける、頂上をおおう
    ※ on snow-crested brown は、雪の冠をかぶり茶色を身につける、すなわち頭が白く体が茶色いということだろう。
  5. without : ~なしに、~がなければ、~がないので、~がなくても、~の外側に、外部に、外面は、外見では
    ※ここでは否定の強調としての二重否定なのかもしれないが、文脈から「外側、外面」と解して訳した。
    seam : 縫い目、綴じ目、編み目、合わせ目
    needlework : 針仕事、裁縫、刺繍
    bedclothes : シーツ・毛布・枕などの寝具
  6. clarion : 明るくさえた音色のらっぱ、甲高く澄んだ音
    a clarion call : 声高な呼びかけ、明白な要請
  7. find [A] [B] : A に B を見つけてやる
    acre : 約1224坪。約63m×64m。
    sprincle : まく、まき散らす、ふりかける、点在する、散りばめられている
  8. saltwater : 塩水、海水、海水棲の、海産の、海の
    strand : 岸に乗り上げる、座礁する、岸、浜、潟
  9. reap : 作物を刈る、刈り取る、収穫する
    sickle : 円形鎌
    bellow : 牛などが大声で鳴く・吠える、人がわめく・どなる、雷・大砲・風などが轟く・唸る
    blaze : 強い炎、強い輝き、銃の連射、感情の爆発・激高
    battalion : 大隊、戦闘隊形を整えた軍隊、多くの人、大群
  10. bunch : 果物などのふさ、束、山、人・動物の群れ・一味
    heather : ヘザー。ツツジ科カルーナ属の常緑低木。ヨーロッパに広く分布。スコットランドの荒地に生い茂る。昔は小枝を束ねほうきにしたり、ベッドに敷いたりした。


 この歌はシングル盤が1966年に発表され、1968年のアルバム Parsley, Sage, Rosemary and Thyme に収録されています。元々はイギリスの伝承曲で作者不明ですが、Canticle(詠唱・賛美歌)の部分はポール・サイモンの1963年の歌 The Side of a Hill の歌詞を一部変えたものです。イギリスで伝承曲を見つけたのはポール・サイモンですが、Wikipedia では、この合体はアート・ガーファンクルによるものとされています…http://en.wikipedia.org/wiki/Scarborough_Fair_(ballad)。

 The Side Of A Hill の歌詞は次のような内容です。

 丘の斜面で "何処"と呼ばれる国で 幼い少年が地中に眠る
 谷底で凄惨な戦争が暴れ 人々は子どもの命の価値を忘れる
 丘の斜面で 小さな雲が泣き 静かな涙で墓石を濡らす
 兵士が磨き上げる銃は 七歳の命を終わらせた
 戦争は猛威を振るう "何処"と呼ばれる国で
 将軍たちは殺せと命じる とうの昔に忘れられた大義のために戦えと
 そして小さな雲は涙を流す 丘の斜面で

 伝承曲の歌詞については、相手に実現不可能な要求をし、それがかなわない限り恋人には戻れないというところまでは分かりますが、そこに込められた心情はなかなか分かりにくいと思います。時の流れによる歌詞の変遷もあってこれまで様々な解釈がされているそうです。旅人を惑わす妖精・魔物の謎かけに対し「パセリ、セージ…」という魔除けの呪文により異界へ連れ去られるのを拒んでいるというもの、失恋した男の自虐的な冗談や未練だというものなどが代表的です。そもそもそれほど深い意味のない言葉遊びであるとも考えられます。
 サイモンとガーファンクルはこれに Canticle をつけて反戦の意図を込めました。おそらく朝鮮戦争(1950-53年)やベトナム戦争(1960年開戦,65年米による北爆開始)が想定されているのでしょう。ここから伝承曲の歌詞を解釈すれば、男はすでに死んでいる、あるいは生きて彼女に会える可能性はない状況にあると考えられます。サイモンとガーファンクルの二人は、この歌詞から "死んでもなお彼女を諦めきれない亡霊の嘆きの歌" というイメージを抱いたのではないかと思います。

 この記事を書くにあたっては、以下のサイトを参考にさせていただきました。とても丁寧な詳しい解説があるので興味のある方はぜひご覧下さい。
 「スカボローフェアの謎」,「スカボロー・フェアについて


The Sound Of Silence

2013年02月18日

The Sound Of Silence : Simon and Garfunkel




Hello darkness, my old friend
やあ、暗闇よ、古い友よ
I've come to talk with you again
また君と話しに来たよ
Because a vision softly creeping *1
幻影がそっと忍び寄り
Left its seeds while I was sleeping
種をまいたからさ。僕が眠っている間に
And the vision that was planted in my brain
その幻影は僕の脳に植え込まれ
Still remains *2
残り続ける
Within the sound of silence *3
沈黙の音の奥に

In restless dreams I walked alone *4
休むことのない夢の中で僕はひとり歩いた
Narrow streets of cobblestone *5
狭い通りは丸石が敷かれ
'Neath the halo of a street lamp *6
上には円光の街灯
I turned my collar to the cold and damp *7
僕は襟を立てた。寒く湿っていた
When my eyes were stabbed by the flash of a neon light *8
突然、僕の目が刺された。そのネオンの閃光は
That split the night
夜を引き裂いた
And touched the sound of silence
僕の目は沈黙の音に触れたのだ

And in the naked light I saw *9
裸電球の下で、僕は見た
Ten thousand people, maybe more
一万の人々、いやもっと多くの人が
People talking without speaking
話しているのに言葉を発しない
People hearing without listening
聞こえているのに聞こうとはしない
People writing songs that voices never share
歌を書いているのにその声は伝わらない
And no one dared
そして誰もあえて
Disturb the sound of silence *10
沈黙の音をかき乱そうとはしなかった

"Fools", said I, "You do not know
「愚か者たちよ」僕は言った。「君たちは知らない
Silence like a cancer grows
沈黙は癌のように成長することを
Hear my words that I might teach you
僕の言葉を聞いてくれ。君に教えられるかもしれない
Take my arms that I might reach you"
僕の腕をとってくれ。君に届くかもしれない」
But my words like silent raindrops fell
だが僕の言葉は静かな雨粒のように落ち
And echoed
こだました
In the wells of silence
沈黙の井戸の中で

And the people bowed and prayed
人々は頭を下げ祈った
To the neon god they made
彼らが作ったネオンの神に
And the sign flashed out its warning *11
ネオンの兆しは閃光を放ち警告した
In the words that it was forming *12
自ら作り出した言葉の中で
And the sign said
ネオンサインは言う
"The words of the prophets are written on the subway walls *13
「預言者の言葉が書かれているのは、地下鉄の壁や
and tenement halls" *14
安アパートの玄関」
And whispered in the sounds of silence
そしてささやく。沈黙の音たちの中で


備考
  1. vision : 見えること、視覚、視力、予見、見通し、想像力、幻覚、幻視、まぼろし
  2. remain : 依然として~のままである、相変わらず~の状態である、ある場所に留まる、残留・存続する
  3. within : 内部に、屋内に、奥まった所に、心の中に
  4. restless : 落ち着かない、不安な、安眠できない、絶えず動いている、活動的な
    rest : 休息、静養、睡眠、永眠、死、労苦・心労からの解放、心の安らぎ、停止、静止
  5. cobblestone : 丸石、玉石。昔は道路舗装用。
  6. 'neath = beneath : ~の下(下方)に、より低い所に、~の真下に、~におおわれて
    halo : 円光、光輪、光背、後光、太陽・月のまわりの暈
  7. turn up one's collar : えりを立てる
    damp : 湿気、しめり、湿度、もや、霧、失望、落胆、意気消沈
  8. stab : 突き刺す、突く、刺すように痛ませる・傷つける
  9. naked light bulb : 裸電球
  10. disturb : 静穏・休息・平安を妨げる、乱す、妨害する、じゃまする、かき乱す
  11. sign : 表れ、きざし、徴候、形跡、身振り、合図、標識、看板、神のしるし・奇跡
    ※ sign はネオンサイン(看板)と神の徴の両義を込めているように見える。
  12. form : 作る、形作る、形を与える
  13. the Prophets : 旧約聖書の預言者、預言書(イザヤ書、エレミヤ書など)
  14. tenement : 家屋、住宅、貸し部屋
    tenement house : 安アパート、共同住宅


 Wikipedia によれば、ポール・サイモンは1963年11月のケネディ大統領暗殺後にこの歌を作り始め、64年2月に完成したそうです。
 このような詩的な歌詞に解釈をつけるのは無粋のように思えるので、あえて感想は書きません。ネオンの神、人々の沈黙とディスコミュニケーション、暗闇と幻影などの言葉は、聞く人により様々な想像を膨らませることができるのだろうと思います。一つだけ指摘しておきたいことは、途中ずっと単数形だった sound が、最後の1行だけ sounds と複数形になっていることです。これは、前段では自分の経験した個別の「沈黙の音」について言っているのに対し、最後はこの世のすべての「沈黙の音」にまで敷衍しようとしたのではないでしょうか。




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