Thank You For Hearing Me

2008年09月28日

Thank you for hearing me : Sinéad O'connor




Thank you for hearing me *1
ありがとう 私の声を聞いてくれて

Thank you for loving me
ありがとう 私を愛してくれて

Thank you for seeing me. And for not leaving me *2
ありがとう 私を見てくれて そして私を置き去りにしないでくれて

Thank you for staying with me
ありがとう 私と一緒に居てくれて

Thanks for not hurting me
ありがとう 私を傷つけないでくれて

You are gentle with me
あなたは 私にやさしい

Thanks for silence with me
ありがとう 私をそっとしておいてくれて

Thank you for holding me, and saying "I could be" *3
ありがとう 私を抱き支えてくれて そして「なりたいようになれるよ」と言ってくれて
Thank you for saying "Baby"
ありがとう 「愛しい」と言ってくれて
Thank you for holding me
ありがとう 抱きしめてくれて

Thank you for helping me
ありがとう 助けてくれて

Thank you, thank you for helping me
ありがとう ありがとう 助けてくれて

Thank you for breaking my heart
ありがとう 私の心を壊してくれて
Thank you for tearing me apart
ありがとう 私を引き裂いてくれて
Now I've a strong, strong heart
おかげで私は 強い強い心を得ることができた
Thank you for breaking my heart
ありがとう 私に深い悲しみを教えてくれて


備考
  1. hear : 聞こえる、聞く、聞き入れる
  2. see : 見える、見る、悟る、理解する、分かる
  3. hold : 手でつかむ、抱く、支える
    ※ could は「可能性」を表す。「~かもしれない、やろうと思えばできる」という意味。I could be の後に何かが省略されているように見えるが、その何かが不明。


 シネイド・オコナーは1966年アイルランド・ダブリン生まれ。この曲は1994年発売の Universal Mother というアルバムに収録されています。
 Thank you for を延々と繰り返す単調なメロディですが、彼女の美しい声は聞く者の心を突き刺すような鋭さを持っています。失恋の歌と解釈するのが自然なように見えますが、彼女の生い立ちを考慮するとこの歌詞の you は母親と父親を指しているとも解釈できそうです。


 <関連記事>
   ☆ Just Like U Said It Would B : Sinéad O'Connor

Don't Give Up

2008年09月15日

Don't Give Up : Peter Gabriel






In this proud land we grew up strong we were wanted all along *1
この誇り高い国で、僕たちはいつも強くあれと望まれて育ったんだ
I was taught to fight, taught to win
闘うことを教えられ、勝つことを教えられた
I never thought I could fail
失敗することなど一度だって思ったことはないよ

No fight left or so it seems
でも、もう僕には戦いは残されていない、たぶん
I am a man whose dreams have all deserted *2
僕はすべての夢をなくした男さ
I've changed my face, I've changed my name
僕は顔を変えた。名前を変えた
But no one wants you when you lose *3
でも負けた人間を求める奴はいないよね

Don't give up. 'Cause you have friends
あきらめないで。あなたには友達がいるわ
Don't give up. You're not beaten yet *4
あきらめないで。あなたはまだ打ち負かされたわけじゃない
Don't give up. I know you can make it good
あきらめないで。あなたがうまくやれることは私が知ってる

Though I saw it all around *5
いたるところでそういうのを見たけれど
never thought I could be affected *6
自分もそうなるとは思いもしなかった
Thought that we'd be the last to go.
僕たちは最後までうまくやれると思っていた
It is so strange the way things turn *7
まさかこんなに状況がひっくり返るとは

Drove the night toward my home
故郷へと夜通し車を走らせた
The place that I was born, on the lakeside
生まれたところだよ。湖のすぐ近くなんだ
As daylight broke, I saw the earth
夜が明けると景色が見えた
The trees had burned down to the ground
木々がすっかり焼け落ちてしまっていた

Don't give up. You still have us
あきらめないで。あなたには私達がいるわ
Don't give up. We don't need much of anything
あきらめないで。たくさんのものは必要ないのよ
Don't give up. 'Cause somewhere there's a place where we belong
あきらめないで。どこかに私達が一緒にいれる場所がきっとあるから

Rest your head
身体を休めて
You worry too much
悩みすぎよ
It's going to be alright
きっとうまくいくから
When times get rough you can fall back on us *8
つらいことがあったら、私達に頼ればいいわ

Don't give up. Please don't give up
あきらめないで。どうか、あきらめないでね

Got to walk out of here *9
ここから出なくちゃ
I can't take anymore
もう耐えられない
Going to stand on that bridge
あの橋の上に立ってみよう
keep my eyes down below
そして下を見下ろすんだ
Whatever may come and whatever may go
何が来ようとも、何が去ろうとも
that river's flowing, that river's flowing
川は流れ続ける、川は流れ続ける

Moved on to another town
他の町へと移ってみた
Tried hard to settle down
一所に落ち着こうと頑張ってみた
For every job, so many men
どの仕事にも、たくさんの人間が就こうとしていた
So many men no one needs
そして、たくさんの人間が必要とされてなかった

Don't give up. 'Cause you have friends
あきらめないで。あなたには友達がいるから
Don't give up. You're not the only one
あきらめないで。あなたは決して一人じゃない
Don't give up. No reason to be ashamed
あきらめないで。恥じることは何もないのよ
Don't give up. You still have us
あきらめないで。あなたにはまだ私達がいる
Don't give up now. We're proud of who you are
さあ、あきらめないで。私達は今のままのあなたを誇りに思ってる
Don't give up. You know it's never been easy
あきらめないで。今までだって簡単じゃなかったでしょ
Don't give up. 'Cause I believe there's a place. There's a place where we belong
あきらめないで。なぜって、私は信じてるから。私達が一緒にいれる場所がきっとあることを


備考
  1. We grew strong that we wanted to be.
    (強く育てられた。強さは求められていたことだった。)
  2. desert : 放棄する、見放す、見捨てる、~から去る
  3. you はここでは特定の誰かを指しているわけではなく、一般的に「負け犬には誰も見向きもしない」と言っている。
  4. beat : 打つ、たたく、打ち負かす
  5. it が何を指しているかあいまいだが、文脈から「負けたり失敗したりした人間、あるいはその状況」だと思える。
  6. affect : 影響を及ぼす、作用する、病気や痛みが襲う、感動させる
  7. strange : 不思議な、奇妙な、思いもよらない
  8. rough : 粗い、ざらざらした、荒っぽい
    have a rough time : つらい目にあう
    fall back on : ~にたよる
  9. got to は I have got to の省略形か?


 この歌は1986年発売の So というアルバムに収録されています。一緒に歌っている女性はケイト・ブッシュです。1980年代サッチャー政権下のイギリス。経済が停滞し失業者が町にあふれていた様子を背景にしています。
 So は、ピーター・ガブリエルがプログレバンド、ジェネシスを1975年に脱退した後、ソロとして5枚目に発表したアルバムです。ジェネシスは彼の脱退後、フィル・コリンズがボーカルを務め、ポップなヒット曲を連発しました。一方、アフリカ音楽の導入に熱心だったピーター・ガブリエルの音楽はあまり一般受けするものではありませんでしたが、このアルバムはここで紹介した曲でわかるようにポップス性が高く、大ヒットとなりました。私もこのアルバムがいちばん好きです。
 この歌は昔から好きで、私自身ケイト・ブッシュの優しい声にずいぶん励まされた記憶もあり、感動的な歌詞だろうと思います。が、翻訳して改めて歌詞をよく読んでみると、何か違和感を感じました。それは、男女のかけあいのデュエットなのに会話がかみ合ってない、というよりもそもそもこの二人は会話をしていない、ということです。女はしきりに you, you と呼びかけ励ましているのに男はその声に一度も答えることなく、延々と愚痴をこぼしています。冒頭の下側のPVでは、そんなにくっつかなくてもと思うほど抱き合っているのに一度も互いに目を合わせることがありません。
 ピーター・ガブリエルの歌詞は凝ったものが多いので、この歌詞も彼の真意は別のところにあったのではないかとふと思いました。おそらくこのプライドの高い男は彼女のことをまったく理解できていない、もっと言えば男と女が分かり合えることはとても困難だ。このようなことを念頭に書いた歌詞だろうかと推測しましたが、ただの邪推かもしれません。

Viva La Vida : Coldplay

2008年09月13日




I used to rule the world.
かつて私は世界を支配していた
Seas would rise when I gave the word. *1
私が命じれば海の潮も満ちた
Now in the morning I sleep alone,
ところが今では、朝私は一人ぽっちで眠っている
sweep the streets I used to own.
昔は私のものだった道路を掃いている

I used to roll the dice, *2
サイコロを転がして人の生死を決めたこともある
feel the fear in my enemies eyes.
敵の目に浮かぶ恐怖をいつも感じていた
listen as the crowd would sing:
群集が歌うのを聞いた
"Now the old king is dead! Long live the king!"
「古い王は死んだ! 新しい王、万歳」

One minute I held the key, *3
短い間、私は鍵を握っていたのに
next the walls were closed on me.
次の瞬間には、城壁は私の前で閉められてしまった
And I discovered
やっと私は気づいたのだ
that my castles stand upon pillars of salt, and pillars of sand. *4
私の城が塩の柱と砂の柱で建っていたことを

I hear Jerusalem bells are ringing,
エルサレムの鐘が鳴るのが聞こえる
Roman Cavalry choirs are singing. *5
ローマの騎兵聖歌隊が歌っているのが聞こえる
Be my mirror my sword and shield,
私の鏡になってくれ、剣と盾になってくれ
my missionaries in a foreign field.
外国の荒野にいる私の宣教師たちよ
For some reason I can't explain,
うまく理由を説明できないが
once you'd gone there was never,
きみたちがいなくなってから
never an honest word.
正直な言葉がなくなってしまった
And that was when I ruled the world.
ただ、それも私が世界を支配していた昔の話だ

It was the wicked and wild wind.
邪悪な風が荒れ狂っていた
Blew down the doors to let me in.
私を巻き込もうとドアを吹き倒した
Shattered windows and the sound of drums.
粉々になった窓と太鼓の音
People could not believe what I'd become.
人々は私の身に起こるだろうことを信じられなかった
Revolutionaries wait for my head on a silver plate. *6
革命家たちは、銀の皿に載った私の首を待っている
Just a puppet on a lonely string.
まるで孤独な操り人形だ
Oh who would ever want to be king?
ああ、いったい誰が王になりたいと思うだろう?

I hear Jerusalem bells are ringing,
エルサレムの鐘が鳴るのが聞こえる
Roman Cavalry choirs are singing.
ローマの騎兵聖歌隊が歌っているのが聞こえる
Be my mirror my sword and shield,
私の鏡になってくれ、剣と盾になってくれ
my missionaries in a foreign field.
外国の荒野にいる私の宣教師たちよ
For some reason I can't explain,
うまく理由を説明できないが
I know Saint Peter won't call my name. *7
聖ペテロが私の名を呼ばないことは分かっている
Never an honest word.
偽りのない言葉など一つもなかった
And that was when I ruled the world.
しかし、それも、私が世界を支配していた遠い昔のことだ


備考
  1. give the word : 命令する、指図する
  2. dice は die の複数形でサイコロのこと。「死ぬ」die とは語源が違うらしいが、イメージは重なる。
  3. key は世界を支配する権力、城を出入りする自由の二重性。
  4. pillars of salt(塩の柱)は、旧約聖書の神に焼かれた背徳の街、ソドムとゴモラの暗喩?
  5. エルサレムの鐘、ローマの騎兵聖歌隊、鏡・剣・盾、宣教師などは、聖地エルサレム奪還を期した十字軍を連想させる。
  6. ヘロデ王の前で舞を踊った少女(サロメ)は褒美に洗礼者ヨハネの生首を欲しがった。ヨハネはイエスに洗礼を授けた宗教者で、イエスが現れる前民衆から救世主ではないかと期待されていた。
  7. ペテロはイエスの一番弟子。新約聖書では、イエスの名を知らないと言うことにより、イエスを裏切る。そうするとこの詩句は「自分が裏切られる運命にあるのは分かっている」という意味になる。また、聖人伝説では聖ペテロは天国の門番として天国に入る者を審査するという。そうすると、この詩句は「自分が天国に行けないのは分かっている」という意味になる。


 2008年のアルバム Viva La Vida or Death And All His Friends に収録。
 全体としては「凋落した支配者を憐れむ歌、権力者を蔑む歌」と言えそうです。キリスト教の隠喩が随所に散りばめられていますが、歌詞の全体像からはあまり宗教性や信仰心などは感じられず、むしろ政治的な権力者の姿が強調されています。セントヘレナ島に幽閉されたナポレオンやギロチンにかけられたルイ16世、信頼する弟子に裏切られたイエスや救世主になりそこね首を切られたヨハネ、あるいはローマに蹂躙されたユダヤの王など、聞く人によっていろいろなイメージを描けるように作られていると思います。
 しかし、タイトルの Viva la vida は、スペイン語で「充実した人生を!」「長生きしてね!」「人生万歳」などの意味だそうです。
 ここから歌詞の意味を考えると、栄華を極めたり凋落したりすること、裕福であったり貧窮であったりすることなどと、人生の価値、幸福は一致しない、と言っているように思えます。そして、ただここに生きていること、生命そのものに価値があり、幸福があるのだと歌っているのではないでしょうか? And that was when I ruled the world. という台詞は、「戦争も、栄華も、クーデターも、裏切りも、今となってはすべてどうでもいい、価値のないことだ。むしろ、落ちぶれた今のほうが、ある意味平穏で幸せだ」と言っているように聞こえてくるのです。
 そう解釈すれば、この歌のタイトルが「生きてるって、素晴らしい」とされているのも納得できるような気がします。
 クリス・マーティンはローリングストーン誌の取材に対して、難病と闘いながら絵筆を握り続けたメキシコの画家フリーダ・カロの最後の作品の名前をもらったという意味のことを話しています。

kahlo_viva la vida

 ここのサイトで、彼女の作品を見ることができます。
 翻訳のために海外の掲示板なども読んでみたのですが、「いろんなことを書いてる奴がいるが、これは明らかにブッシュとアメリカのことだ!」との書き込みは面白かったです。「アメリカは過去さんざんあこぎなことをしてきたんだよ!」というようなことが書かれていて、なるほどそういう見方もあるのかと感心してしまいました。英語を日常語とする人たちの間でさえ解釈がいろいろ分かれるのですから、私などが翻訳に悩むのも当たり前かもしれません。いずれにせよ人々の想像力をかきたてるということは、やはりいい詞なのでしょう。



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