Lost!

2009年06月28日

Lost! : Coldplay




Just because I'm losing *1
何かを失いそうだとしても 負けそうだからといっても
Doesn't mean I'm lost
自分が失われてしまったわけじゃない 道を失ったわけじゃない
Doesn't mean I'll stop
やめるわけじゃない 私は立ち止まらない
Doesn't mean I'm in a cross *2
十字架にかけられたわけじゃない

Just because I'm hurting *3
誰かを傷つけそうだとしても 痛みを感じるからといって
Doesn't mean I'm hurt *4
自分が傷ついてしまったわけじゃない 芯まで傷ついたわけじゃない
Doesn't mean I didn't get what I deserve *5
当然の報いを受けなかったわけでもない 当然の報いを受けただけ
No better and no worse
よくはないけれども、それほど悪くもない

I just got lost every river that I've tried to cross
渡ろうとした川は、いつだって渡れなかった
And every door I ever tried was locked
開けようとしたドアは、いつだって鍵がかかっていた
And I'm just waiting till the shine wears off *6
それでも私は、太陽が燃え尽きるまで待ち続ける

You might be a big fish in a little pond
あなたは、小さな池では、大きな魚なのかもしれない
Doesn't mean you've won
でも、それはあなたが勝ったということじゃない
'Cause along may come a bigger one
なぜなら、そのうちもっと大きな魚が現れるかもしれないから

And you'll be lost every river that you try to cross
そして、あなたは、渡ろうとするすべての川を渡れなくなるだろう
Every gun you ever held went off *7
持っていた銃をすべて失うだろう
And I'm just waiting till the firing stops *8
私は、戦火がやむのを待ち続ける
And I'm just waiting till the shine wears off
この世から光がなくなるまででも、ずっと待っている


備考
  1. lose - lost - lost : 失う、迷う、~しそこなう、負ける
  2. cross : はりつけ台、十字架、試練、受難、十字(形)
  3. hurt : [他] 怪我をさせる、痛める、人の感情を害する、傷つける
       [自] 傷・苦痛を与える、痛む、生活に事欠く、窮地に陥っている
  4. hurt : [形] 怪我をした、傷ついた、感情を害した
  5. deserve : ~に値する、~する(される)価値がある、~を受けるに足る
  6. shine : 日光、光、照り、晴れ、光輝、光沢、つや
    wear off : すり減らす、徐々になくなる、徐々に消え去る
    ※ till the shine wears off は「光が消えるまで」「輝きがなくなるまで」と訳すのが正確だろうが、「日が沈む」「この世から光がなくなる」など具体的な描写がないと分かりにくいと思い意訳した。
  7. go off : 去る、逃げる、死ぬ、発射される、破裂する
  8. firing : 着火、発火、点火、発砲、発射、火を焚くこと


 2008年のアルバム Viva La Vida or Death And All His Friends に収録された一曲です。
 はじめ、「大きな魚」などの歌詞から失恋の歌ではないかと思いながら訳し始めたのですが、読んでいるうちに人生の苦難に立ち向かう内容の詩ではないかと思えるようになりました。
 訳し終えた後に、youtube のMV(オフィシャルかどうか分かりませんが)を見てこの解釈が的外れではないという印象を持ちました。しかし、映像は歌の持つイメージをせばめてしまうものなので、本当なら歌だけを聞いて自分でイメージを作り上げたほうがいいのかもしれません。
 なお、第一連と第二連の I'm losing, I'm lost, I'm hurting, I'm hurt がよく分かりません。ここでは、lose, hurt をいずれも他動詞として、I'm losing, I'm hurting を進行形、I'm lost, I'm hurt を受身形と考えて訳してみました。losing, hurting を自動詞として、「負けそうだけど負けてしまったわけじゃない」「傷つきそうだけど傷ついてしまったわけじゃない」とする方がすっきりするのですが、生きた英語を知らないのでそう訳す自信がありませんでした。どなたか教えていただけると幸いです。

2010.2.12追記
訳文の一部を修正しました。鳩井イハトさんより、ネイティブ・スピーカーの方からの情報にもとづいた貴重なご意見をいただき、参考にさせていただきました。鳩井さんも歌詞翻訳のブログを運営なさっています。素敵な歌と心のこもった訳文に満ちたブログです。
なお、他の方のご意見により変更したとしても、本ブログ内の訳文および記事の文責はすべて私にあります。

Company Town

2009年06月25日

Company Town : The Men They Couldn't Hang




In the town I was born
俺の生まれた町では
Things are getting very strange
おかしな慣わしばかりがまかり通っている
People there I hardly recognize
ここの連中は俺には理解不能だ
All of my old set have packed their bags and left *1
古い仲間は皆、荷物をまとめて出て行ったよ
Since home became a business enterprise *2
故郷が経済組織になってしまったからさ

There are jobs going spare *3
仕事にはありつけるさ
And there's houses being built
家も建ってるよ
The credits good at all the Company stores
商品もすべてあの企業の店で信用買いできる
All the air is clean, and all the pavements gleam *4
空気はきれいで、歩道は輝いてる
And everyone obeys the Company laws
そして、みんなあの企業のきまりに従うんだ

Mister Company Man on the Company land
企業の国の企業人間が
Stands every street and building in the town
町の中、あらゆる通り、あらゆる建物にあふれている
Every park, every green, every home and dream
あらゆる公園、あらゆる芝生、あらゆる家庭と夢に
The Company owns every piece of ground
あの企業はすべての土地を所有してるんだ
And everybody in the Company Town
つまりは、企業の町ってことだよ

Now they've locked away the drunks *5
やつらは、今度は酔っ払いを閉じ込めやがった
And gentrified the pubs *6
酒場を高級にするんだと
Given guns to all the supermarket corps *7
スーパーマーケットには銃を常備し
They've eradicated crime, and the buses run on time *8
犯罪は撲滅され、バスは定刻通りに走る
They've made the act of love against the law
やつらは、おおげさに法律を愛するふりばかりしやがる

Mister Company Man on the Company land
企業の国の企業人間が
Stands every street and building in the town
町の中、あらゆる通り、あらゆる建物にあふれている
Every park, every green, every home and dream
あらゆる公園、あらゆる芝生、あらゆる家庭と夢に
The Company owns every piece of ground
あの企業は土地の隅々まですべてを所有してるんだ
And everybody in the Company Town
つまりは、企業の町ってことだよ

Some people say they are lucky in their birth *9
自分の出自を幸運に思うって言う連中がいる
And their nationality bequeaths them pride *10
やつらの階級意識がやつらに誇りを持たせてるんだろう
But those who own the earth are still tethering the serfs *11
だが、土地を持ってるやつらは、今でも「農奴」を束縛してるんだ
With Company allegiance fully tied *12
企業への忠誠義務に完全に縛り付けられてるんだ

Mister Company Man on the Company land
企業の国の企業人間が
Stands every street and building in the town
町の中、あらゆる通り、あらゆる建物にあふれている
Every park, every green, every home and dream
あらゆる公園、あらゆる芝生、あらゆる家庭と夢に
The Company owns every piece of ground
あの企業はすべての土地を所有してるんだ
And everybody in the Company Town
つまりは、企業の町ってことだよ

In the town I was born
俺の生まれた町では
Things are getting very strange
おかしな慣わしばかりがまかり通っている
People there I hardly recognize
ここの連中は俺には理解不能だ
All of my old set have packed their bags and left
古い仲間は皆、荷物をまとめて出て行ったよ
Since home became a business enterprise
故郷が経済組織になってしまったからさ


備考
  1. set : 仲間、特定の社会、派、クラス、学級
  2. business : 仕事、職務、業務、商売
    enterprise : 仕事、事業、企業、経済組織の単位(一工場、一鉱山等)、会社、企業体
  3. spare : 余分の、予備の、乏しい、貧弱な、けちけちした
    be going spare : 利用できる、空いている、手に入る
  4. gleam : きらめく、きらりと光る、小さく輝く
  5. lock away : しまい込む、秘蔵する、閉じ込める
    drunk : 酔っ払い、酔いどれ
  6. gentrify : 下層労働階級等の居住地域を高級化させる、上流化させる
  7. corps : 軍団、兵団、部隊、団体、集団
  8. eradicate : 敵を全滅させる、病気・害虫等を根絶・撲滅する
  9. birth : 生まれ、素性、家柄、出自
  10. nationality : 国民性、民族性、国民的感情、民族意識
    bequeath : 遺言で譲る、遺贈する、後世に伝える・残す
  11. tether :(牛・馬などを)つなぐ、繋ぎ止める、束縛する
    serf : 農奴(中世農民の一階級で、土地に付属し土地と共に売買された)
  12. allegiance :(封建時代の)臣服の義務、忠誠の義務
    fully : 十分に、完全に、たっぷりと


 1989年のアルバム Silver Town に収録。
 皮肉の利いた歌詞ですが、哀愁のある曲と相俟って、自分のふるさとが大企業に取り込まれてしまった悲しみがよく表わされています。私も工場労働者ですから、彼らの作る歌の世界観は実感としてよくわかります。

Rain, Steam & Speed

2009年06月20日

Rain, Steam & Speed : The Men They Couldn't Hang




One man drills a powder-hole the colour of a bruise *1
火薬の穴を開け、印をつける
One man blows the bugle and another one lights the fuse *2
ラッパを吹き鳴らし、導火線に火をつける
Blow up. Pick and shovel it *3
爆破しろ、掘れ、すくい出せ
Carry the earth away *4
土を運び出せ
Brains and brawn with hammers drawn blasting through the day *5
脳も筋肉もハンマーも終日爆発音に緊張する

Rain is the cold
雨は冷たく
Steam is the burn
蒸気は焼けつく
Speed is the way the world turns round *6
速さは世界を変える

Draughtsmen and surveyors work at pegging out the shaft *7
製図屋と測量屋は立杭を打つ
Ten of us to breathe the dust *8
俺たちは埃を吸い
Ten to do the graft *9
懸命に働く
Underneath the Pennine range the bodies lie in racks *10
ペナイン山脈の地下では、死体が台に寝かせられ
40 miles of steel and tile follow in their tracks
その後ろには40マイルにわたって鋼板と石板が敷き詰められている

Rain is the cold
雨は冷たく
Steam is the burn
蒸気は焼けつく
Speed is the way the world turns round
速さは世界を変える

Some men build a monument
ある者は記念碑をつくり
Some men build a tomb
ある者は墓をつくる
Some men move the world around to give them breathing room *11
ある者は、一時の休息のために世界を回る
Some men carve a statue of Isambard Brunel *12
ある者はアイザムバード・ブルネルの像を彫り
Some men carve a tunnel into hell
ある者は、地獄へのトンネルを掘る

Rain is the cold
雨は冷たく
Steam is the burn
蒸気は焼けつく
Speed is the way the world turns round
速さは世界を変える

Soon they'll build a tunnel under England through to France *13
やがて奴らはイギリスからフランスへ抜けるトンネルをつくるだろう
Will it make the tide run quicker?
それは潮流を速めるだろうか?
Will the flow of trade advance?
それは貿易を盛んにするだろうか?
Underneath the ocean there is limestone, chalk and sand *14
海底は、石灰岩や泥、砂にまみれている
But coming up through virgin rock will be the human hand
だが、人間の手はじきに処女岩を貫くだろう

Rain is the cold
雨は冷たく
Steam is the burn
蒸気は焼けつく
Speed is the way the world turns round
速さは世界を変える


備考
  1. powder : 火薬
    bruise : 打撲傷、挫傷、きず、きずあと
  2. bugle : らっぱ
    fuse : 導火線
  3. blow up : 爆破する   
  4. earth :(岩石に対して)土
  5. brawn : 筋肉、筋力、腕力
    brain before brawn : 力より頭
  6. turn round : 回転する、向きを変える、方向転換する、一変する
  7. draughtsman = draftsman : 製図者、製図工
    surveyor : 測量者、測量技師
    peg out : 杭を打って境界などを画する
  8. ten :(漠然と)たくさんの
  9. graft : 接ぎ木する、懸命に働く
  10. the Pennine : ペナイン山脈(北イングランドの主要河川の水源)
    range : 範囲、区域、広がり
    rack : 棚、架、台、戸棚、網棚、拷問台、苦痛
  11. breathing : 呼吸、一息、休息
    breathing space : 息つくひま、休息の機会
  12. Marc Isambard Brunel [1769-1849] テムズ川の河底トンネルの開削で有名な土木技術者。
    Isambard Kingdom Brunel [1806-59] Marc の息子。土木・造船技術者。大西洋を渡る初めての大型汽船を設計。
  13. 英仏海峡トンネルは1986年に着工し、1994年に開通した。
  14. limestone : 石灰岩
    chalk : イングランド南東岸などの泥灰質の層


 The Men They Couldn't Hang は、1984年にレコードデビューしたイギリスのバンドです。掲載曲は1989年のアルバム Silver Town に収録されています。
 洗練されているとはいえない泥臭いスタイルですが、彼らの率直な演奏と歌唱には心惹かれます。



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