Little Lion Man

2010年06月24日

Little Lion Man : Mumford & Sons




Weep for yourself, my man
涙は自分のために流せ
You'll never be what is in your heart *1
心の思いのようにはなれないものだ
Weep, little lion man
泣くがいい、小さな獅子よ
You're not as brave as you were at the start
始まりの時の、お前の勇気はどうした
Rate yourself and rake yourself *2
自分を過小評価するな、全力を尽くせ
Take all the courage you have left
どこかに置き忘れた勇気をすべて取り戻せ
wasted on fixing all the problems that you made in your own head *3
お前の頭の中だけでこしらえた問題にとらわれ、使い尽くしてしまった勇気を

But it was not your fault but mine
しかし、それはお前の誤りではなく、私の誤りだったのだ
And it was your heart on the line *4
お前の心を危険にさらしてしまった
I really fucked it up this time *5
これは本当に私のしくじりだった
didn't I, my dear?
そうだろう? 息子よ

Tremble for yourself, my man *6
自分のために身を震わせろ
You know that you have seen this all before
お前はかつてこれをすべて見てきたはずだ
Tremble, little lion man
身を震わせろ、小さな獅子よ
You'll never settle for any of your scores *7
どんな成果を出しても満足はできないものだ
Your grace is wasted in your face
お前の気品はやつれ果てている
Your boldness stands alone among the wreck *8
お前の豪胆さは難破船の中で孤立している
Learn from your mother or else spend your days biting your own neck *9
母から学べ。さもないと自分の首をかみ続けることになるぞ

But it was not your fault but mine
しかし、それはお前の誤りではない。私の誤りだ
And it was your heart on the line
お前の心を危うくさせてしまった
I really fucked it up this time
本当に私のしくじりだった
didn't I, my dear?
そうだろう? 息子よ


備考
  1. in one's heart : 心の奥底で(は)、ひそかに
  2. rate : 見積もる、評価する、~とみなす、高く評価する
    rake : 熊手でかく、掃く、かき集める、かき払う
  3. fix : 固定させる、取り付ける、据える、人をじっと見る、目・注意・思いなどをじっと向ける
  4. on the line : 丸見えにして、危うくして、賭けて
    put one's reputation on the line : 名声を賭ける(危険にさらす)
  5. fuck up : やりそこなう、しくじる、だいなしにする
  6. tremble : 震える、わななく、とても不安(心配)になる、気をもむ
  7. settle for :(不満ながら)~で満足する、妥協する、我慢する
  8. boldness : 大胆さ、ずぶとさ、豪胆、力強く奔放であること、冒険的で自信のあること
  9. or else : でなければ、さもないと


 Mumford & Sons は2008年にロンドンで結成されたフォーク・ロックバンドです。この曲は2009年に発売されたアルバム Sigh No More に収録されています。
 いろいろな解釈ができそうな歌詞ですが、ここではタイトルからライオンの父親が息子に教え諭し、また励ますというイメージで訳してみました。終盤の Learn from your mother の意味が分かりません。背景に何らかの寓話がありそうなのですが、無教養のために分かりませんでした。
 このバンドのことは鳩井イハト氏のブログで知りました。鳩井氏は同アルバムの中の The Cave という歌を翻訳されています。あまりにも私の嗜好に合う歌だったため、多くの人に聞いて欲しくここで紹介することにしました。出会いを作って下さった氏に感謝します。

Don't Cry For Me Argentina

2010年06月20日

Don't Cry For Me Argentina : Sinéad O'Connor




It won't be easy
容易ではありません
you'll think it strange
あなた方は戸惑うでしょう
When I try to explain how I feel that I still need your love
私がどれほどあなた方の愛を必要と感じているかを説明しようとすれば
After all that I've done
私の過去のせいで
You won't believe me
あなた方は私を信じようとしてくれない
All you will see is a girl you once knew
あなた方の目に映るのはかつてあなた方が知っていた少女
Although she's dressed up to the nines *1
華やかに着飾っていたけれども
At sixes and sevens with you *2
あなた方が思っていることとは違うのです

I had to let it happen *3
私は何かを起こさざるを得なかった
I had to change
私は変わらざるを得なかったのです
Couldn't stay all my life down at heel *4
かかとのない靴をはいてずっと生きてはいけない
Looking out of the window
窓の外をのぞいているだけでは
Staying out of the sun *5
日の光のあたらないところにとどまっているだけでは
So I chose freedom
だから、私は自由を選んだのです
Running around trying everything new
あちらこちらと駆け回り、新しいことは何でも試しました
But nothing impressed me at all *6
でも、私を感銘させるものは何もありませんでした
I never expected it too *7
決してそれも期待していたわけではないのです

Don't cry for me Argentina *8
私のために泣かないで
The truth is I never left you *9
本当です。あなた方を見捨てたことは一度もありません
All through my wild days, my mad existence *10
嵐のような日々も、気がおかしくなるような生活が続いた時でも
I kept my promise
私は約束を守ってきました
Don't keep your distance *11
どうか私から離れて行かないで

And as for fortune *12
幸運も
And as for fame
名声も
I never invited them in *13
私は自分のためにもたらそうとはしませんでした
Though it seemed to the world they were all I desired
世間からすればすべて私が望んだように見えるかもしれませんが
They are illusions
幸運も名声も、幻影です
They are not the solutions they promised to be *14
それらは解かれることが約束されたものではありません
The answer was here all the time
答えはいつでも「ここ」にあるのです
I love you and hope you love me
私はあなた方を愛します。そしてあなた方に愛されることを望みます

Have I said too much?
話し過ぎたでしょうか?
There's nothing more I can think of to say to you
これ以上言うべきことはなさそうです
But all you have to do is look at me
ただ、あなた方にしていただきたいことは、私を見て
ただ、曇りの無い目で私を見てくれさえすれば
To know that every word is true
私の言葉がすべて真実であると分かっていただきたいということです
私の言葉がすべて真実であると分かるはずです

I kept my promise
私は約束を守り続けました
Don't keep your distance
どうか私から距離を置かないで


備考
  1. (up) to the nines : 完全に、念入りに、はなやかに
    dressed up to the nines : 盛装して
  2. (all) at sixes and sevens :(完全に)混乱して、乱雑で、(意見や判断が)一致しないで、ばらばらで
  3. happen : 起こる、生じる、身にふりかかる、たまたま(偶然)~する
  4. down at heel : かかとのつぶれた靴をはいて、みすぼらしいなりで、だらしなく
  5. stay : とどまる、じっとしている、~のままでいる、耐える、持ちこたえる、持続する
    out of : 中から外へ、~抜け出して、~の範囲外に、~の外に、~がなくて、~を失って
  6. impress : 印象付ける、銘記させる、感動させる
  7. expect : 予期する、予想する、あてにする、待ち受ける、当然のこととして期待する、~することを期する
  8. Argentina : アルゼンチン
    Argentine : アルゼンチン人
  9. The truth is that ~. : 実は~という次第です。
  10. existence : 存在、実在、現存、生存、とくに逆境での生活、生活ぶり
  11. keep one's distance : 距離をおく、なれなれしくしない
  12. as for : ~に関する限りでは、~については、~はどうかといえば
  13. invite : 招待する、招く、人に~することを請う、勧める、促す
  14. solution : 問題等の解釈、説明、解決、解法、解答


 1992年のアルバム Am I Not Your Girl? に収録。1978年のミュージカル『エビータ』の中の一曲です。作詞者は Tim Rice, 作曲者は Sir Andrew Lloyd-Webber です。
 『エビータ』は、アルゼンチンの元大統領夫人エヴァ・ペロン [1919-1952] をモチーフとした創作物語です。ウィキペディアによると、エヴァは貧村で私生児として生まれ、15歳で家出、その後美貌と性を売り物にしてグラビアモデルやB級映画女優として活躍するようになります。1943年に軍事政権の副大統領フアン・ドミンゴ・ペロン大佐の愛人となり、1945年に結婚。ペロンは翌年大統領となります。大統領夫人となったエヴァは慈善団体を設立し、貧困層、労働者階級を救済する活動を積極的に行い、民衆から大きな支持を受けますが、1952年、33歳と言う若さで子宮癌で亡くなります。
 エヴァ・ペロンに対しては善悪両極端な評価がなされ、当時の労働者階級には圧倒的な人気があったものの、富裕層、知識層からは、自己顕示欲を満たすために国費をばらまく「淫売」「成り上がり」と嫌われていたようです。
 劇の内容を知らないので、この歌がどういう場面で歌われたのか分からないのですが、国民への呼びかけであろうと推測して訳しました。備考*8にあるように Argentina はいわゆる国名ですが、ここでは「国民の皆様」と呼びかけているように見えます。

God Only Knows

2010年06月10日

God Only Knows : Joe Henry




Darkness settles on the ground *1
暗闇が地におりる
leaves the day stumbling blind *2
日の光がつまづきよろめきながら去っていく
Coming to a quiet close *3
静かに終わりが近づいている
and maybe just in time *4
いい頃合かもしれない

We've almost lost the heart to know
私たちは失いつつある、理解する心を
how to keep our best in mind
知性を最良の状態に維持する方法を
We've almost lost the heart to know
私たちは失いつつある、理解する心を
how to keep our best in mind
知性を最良の状態に維持する方法を

Time has turned an angry face
時代は移り、怒りの表情を見せて
throws a dark eye back to see *5
暗い目で後ろを振り向く
But what will pass for mercy now *6
いったい何が慈悲とみなされるのだろう
We'll practice unforgivingly *7
私たちは、許さないということを実践しようとしている

As if might and will made right *8
まるで、力と意志が正義を作るかのように
or either one could make us free
あるいは、そのいずれかが私たちに自由をもたらすかのように
As if might and will made right
まるで、力と意志が正義を作るかのように
that either one could make us free
そのいずれかが私たちに自由をもたらすかのように

Lovers laugh and cross this way
恋人たちが笑いながら横切る
they're weaving out into the street *9
寄り添いゆれながら通りに消えていく
It seems we never were so young
私たちにはあんな若い頃がなかったように思える
or it was never quite so sweet
あんな甘いことはまったくなかったように

But the world is always beautiful
しかし、この世界はいつも美しい
when its seen in full retreat *10
世界が全軍退却しているような時でも
The worst of life looks beautiful
この最悪の人生さえ美しく見える
as it slips away in full retreat *11
この総退却から静かに去ろうとしているのだから

Well God only knows that we can do
神だけが知る。私たちができることは
no more or less than he'll allow
神の許す以上でもなければ以下でもない
Well God only knows that we mean well
神だけが知る。私たちがよいとみなすことは
and God knows that we just don't know how
そして神は知る。私たちがどうしていいか分からないということを

But I try to be your light in love
しかし、私はお前の灯でいよう。愛をこめて
and pray that is enough for now
そして祈ろう。今はこれで十分だと
Well I've tried to be your light in love
私はお前の灯であろうと努めてきた。愛によって
and I'll pray that is enough for now
そして、今はこれで十分だと感謝の祈りを続けよう


備考
  1. settle on : 鳥などがとまる、闇・霧がおりる、液体が澄む
  2. stumble : つまづく、よろめく、つまづかせる、よろめかせる
  3. close : [動] 目を閉じる、閉める、終える、完了する
        [名] 終結、終わり、終止
  4. in time : 間に合って、遅れずに、ちょうどよい時に、時節を待てば、いつかは、そのうちに
  5. throw one's eyes at : ~をちらっと見る
  6. pass for = pass as : ~で通る、~とみなされる
  7. practice : 常に行なう、実行する、実践する、練習する
    unforgiving : [形] 許さない、勘弁しない、容赦のない、執念深い
  8. as if : 動詞の過去形(過去完了形)を伴って現在(過去)の事実に反する仮定を表す
  9. weave : よろめく、左右にゆれる
  10. be in full retreat : 総退却する
  11. slip away : 暇乞いをせずに立ち去る、こっそり去る


 2007年のアルバム Civilians に収録。
 いろいろな解釈ができそうな深みのある歌詞なので意識して直訳にしました。2001年以後のアメリカ社会のあり方、個人の人生、両方を歌っているように思えます。
 先日読んだ本の中に、死を覚悟した人間はまわりの景色や人、生き物などすべてが鮮明に美しく見え、あらゆる物事を許す心境になるという文章がありました。人によってそれが死の数分前のこともあれば数ヶ月前のこともあり、あるいはそういう心境にならないまま死ぬ人もいる、そしてその境地を人生観の理想としたのが仏教の思想だという趣旨の文章でした。
 この歌を訳しながら、キリスト教にも似たような考え方があるのだろうかと想像しました。



最新記事