Tennessee : Arrested Development

2010年07月27日




Lord I've really been real stressed
神様。僕はこれまでずっと緊張を強いられてきた
Down and out, losin ground *1
打ちのめされ、敗北した
Although I am black and proud
僕は黒人で、そしてそれに誇りを持っているけれども
Problems got me pessimistic *2
多くの問題が僕を悲観的にする
Brothers and sisters keep messin up *3
仲間たちは男も女もみんなしくじってばかりいる
Why does it have to be so damn tuff? *4
なぜ、こんな厳しいことばかり起きなくちゃならないんだ?
I don't know where I can go to let these ghosts out of my skull *5
分からない。どこに行けばいいんだろう、僕の頭からこの幽霊たちを追い出すためには
My grandmas past, my brothers gone
おばあちゃんは亡くなり、兄弟たちもいなくなったけれど
I never at once felt so alone
すぐに孤独を感じることはなかった
I know you're supposed to be my steering wheel *6
分かってるよ。あなたは僕のハンドルであり
Not just my spare tire (home)
スペアタイヤじゃないってことは
But lord I ask you (home)
でも神様、お願いだ
to be my guiding force and truth (home) *7
僕を真実へ導く力となってくれ

For some strange reason it had to be (home)
どういうわけか、それはかなえられ
He guided me to Tennessee (home)
神は僕をテネシーへと導いた

Take me to another place
他の場所へ連れて行ってくれ
Take me to another land
他の土地へ連れて行ってくれ
Make me forget all that hurts me
僕を傷つけるすべてのものを忘れさせてくれ
Let me understand your plan
あなたの考えを理解させてくれ

Lord it's obvious we got a relationship *8
神様。明らかに僕たちは心が結ばれている
Talkin to each other every night and day
毎日毎晩話しているし
Although you're superior over me
あなたは僕を遥かに超越した存在だけれども
We talk to each other in a friendship way
僕たちはまるで友だちのように話している

Then outta nowhere you tell me to break *9
あなたは言う。どこからも逃げ出すことはできないと
Outta the country and into more country
田舎から脱け出しても、もっと田舎へ入り込むだけだ
Past Dyersburg into Ripley *10
ダイアズバーグを通り抜けてリプリーへ入るのと同じだ
Where the ghost of childhood haunts me *11
そこは、幼い頃の亡霊が僕につきまとう所さ
Walk the roads my forefathers walked
僕の先祖たちが歩いた道を歩き
Climb the trees my forefathers hung from
僕の先祖たちが吊るされた木々に登り
Ask those trees for all their wisdom
彼らの知恵を求めて木々に尋ねる
They tell me my ears are so young (home)
木々は答える。僕の耳は歴史を知らずあまりに若すぎると
Go back to from whence you came (home) *12
出自へ立ち戻れと
My family tree my family name (home) *13
なぜその家系なのか、なぜその姓なのか

For some strange reason it had to be (home)
どういうわけか、運命のように
He guided me to Tennessee (home)
神は僕をテネシーへと導いた

Take me to another place
他の場所へ連れて行ってくれ
Take me to another land
他の土地へ連れて行ってくれ
Make me forget all that hurts me
僕を傷つけるすべてのものを忘れさせてくれる所へ
Let me understand your plan
あなたの意図がわからない

Now I see the importance of history
ようやく僕も歴史の大切さを理解した
Why people be in the mess that they be *14
困難に陥る人びとは、なぜそうならねばならないのか
Many journeys to freedom made in vain *15
自由を目指すたくさんの道程が灰燼に帰したからだ
By brothers on the corner playin ghetto games *16
街角で僕ら子どもが石けりをして遊んでいた傍らで

I ask you lord why you enlightened me *17
神よ。なぜ僕に教えたんだ?
Without the enlightenment of all my folks *18
僕のすべての同胞を啓蒙しないでおいて

He said cuz I set myself on a quest for truth *19
神は答えた。それは僕が真実を探求することに熱心だからだと
And he was there to quench my thirst *20
そして、彼は僕の渇きをいやすために存在するのだと
But I am still thirsty
でも、僕ののどはまだからからだ
The lord allowed me to drink some more
神は僕がもっと飲むのを許してくれた
He said what I am searchin for are
彼は言う。僕が求めているものは、
The answers to all which are in front of me
すべての答えは、僕の目の前にあると
The ultimate truth started to get blurry *21
究極の真実がぼやけ始めてしまった

For some strange reason it had to be
どういうさだめか
It was all a dream about Tennessee
すべてはテネシーについての夢だった

Take me to another place
他の場所へ連れて行ってくれ
Take me to another land
他の土地へ連れて行ってくれ
Make me forget all that hurts me
僕を傷つけるすべてのものを忘れさせてくれる所へ
Let me understand your plan
あなたの意図を理解させてくれ


備考
  1. down-and-out : 衰弱しきった、落ちぶれ果てた、食い詰めた、打ちのめされた
    lose ground : 退却・後退・敗北する、衰える
  2. pessimistic : 悲観的な、厭世的な
  3. mess up : 乱雑にする、汚す、だいなしにする、やり損なう
  4. damn : 間投詞的に用い、悪罵・呪い・怒り・いまいましさ等を表す
    tuff = tough : 厳しい、難しい、困難な、情け容赦のない
  5. skull : 頭蓋、頭骨、頭、脳天
    go out of one's skull : すごく緊張(興奮)する、神経質になる、退屈する
  6. be supposed to do : ~することになっている
    steer : 舵をとる、操縦する、ある方向に向ける
    steering wheel : 操舵輪、自動車の輪形ハンドル
  7. force : 力、言葉等の真意・要点、もっともな道理
  8. relationship : 親族関係、類縁関係、人の感情的なつながり・結びつき
  9. outta = outa = out of
    break out : 脱出する、脱走する
  10. Dyersburg : ダイアズバーグ。テネシー州西部の都市。
    Ripley : リプリー。ダイアズバーグから40kmほど南西にある町。
  11. haunt : 足繁く通う、幽霊等がある場所に出る、絶えずつきまとう、取り付く、悩ます
  12. whence : そこから、そこへ、来た所、由来、根源
  13. family tree :(家)系図、系譜、系統樹
    family name : 姓、ある家で好んで用いられる洗礼名
  14. get into a mess : 困ったことになる、紛糾する、混乱する
  15. in vain : いたずらに、むなしく、無駄に
  16. ghetto games : よく分からないが、子供の素朴な遊びをイメージすることが多い言葉らしい。

     ※参考動画  

  17. enlighten : 啓発する、教化する、啓蒙する、教える、照らす
  18. folks : 人びと、親族、一族、常民、庶民
  19. set on : けしかける、そそのかす、促進する、心を注ぐ
    quest : 探索、追求、探求
  20. quench : 火・光等を消す、渇きをいやす、熱した鉄などを水などで冷やす
  21. blurry : よごれた、ぼんやりした、くもった、不透明な


 アレステッド・ディベロプメントはアメリカのヒップホップグループで、この曲は1992年のデビューアルバム 3 Years 5 Months & 2 Days in the Life に収録されています。
 1960年代の公民権獲得の時代を直接知らない彼らの作る音楽には、制度的に存在しないはずの差別に苦しめられるアフリカ系アメリカ人としてのアイデンティティをいかに確立するかという迷いや探求心が表れていたように思います。
 テネシー州は他の南部諸州と同様綿花プランテーションが栄え、多くのアフリカ人が奴隷としての労働を強いられてきた土地です。また、クー・クラックス・クランが生まれ、キング牧師が暗殺されるなど、黒人公民権運動に深いかかわりのある州です。

I've Seen It All / New World : Björk

2010年07月11日

I've Seen It All : Björk




I've seen it all, I have seen the trees
私はすべてを見てきた。木々を見た
I've seen the willow leaves dancing in the breeze *1
柳の葉がそよ風に舞うのを見た
I've seen a man killed by his best friend
親友に殺される男を見た
And lives that were over before they were spent
そして、全うされずに終わっていく数々の命を見た
I've seen what I was and I know what I'll be
自分がやってきたことも見てきたし、自分がどうなるかも分かってる
I've seen it all - there is no more to see
私はすべてを見てきた。もう見るべきものはない
<*2>

You haven't seen elephants, kings or Peru
見たことがないものもあるだろう。象や王様、それにペルーとか
I'm happy to say I had better to do
見られたらいいなと言えることが幸せよ

What about China? Have you seen the Great Wall?
中国は? 偉大な万里の長城を見たことある?
All walls are great, if the roof doesn't fall
どんな壁だって偉大よ。屋根が落ちさえしなければね

And the man you will marry? The home you will share?
結婚相手をまだ見てないだろう? 一緒に暮らす家だってまだ見てない
To be honest, I really don't care
正直言って、興味ないわ

You've never been to Niagara Falls?
ナイアガラの滝も見たことないよね?
I have seen water, its water, that's all
水は見たことあるわ。それだってただの水でしょ

The Eiffel Tower, the Empire State?
エッフェル塔は? エンパイア・ステート・ビルは?
My pulse was as high on my very first date *3
脈拍はそれと同じくらい高かったわ、初めてのデートの時にね

Your grandson's hand as he plays with your hair?
孫息子がきみの髪で遊ぶのを見たくない?
To be honest, I really don't care
正直に言うけど、ほんとに興味ないの
<*4>

I've seen it all, I've seen the dark
私はすべてを見てきた。暗闇を見た
I've seen the brightness in one little spark
ほんのわずかなきらめきの中にまばゆいばかりの明るさを見た
I've seen what I chose and I've seen what I need
私が選んだこと、私が必要としたことも、見てきた
And that is enough, to want more would be greed
そしてそれは充分だった。これ以上求めるのは貪欲というもの
I've seen what I was and I know what I'll be
私の過去のありようも見てきたし、これからどうなるかも分かってる
I've seen it all - there is no more to see
私はすべてを見てきたの。もうこれ以上見るべきものはない

You've seen it all and all you have seen
きみはすべてを見てきた。そして、きみの見てきたものはすべて
You can always review on your own little screen *5
いつでも見返すことができる。きみ自身の小さな映画なのだから
The light and the dark, the big and the small
光も闇も、大きいものも小さいものも
<*6>
Just keep in mind - you need no more at all
ただ、心しておきなさい。きみはこれ以上何も必要としない
You've seen what you were and know what you'll be
きみは自分の過去を見てきたし、きみがこれからどうなるかも分かっている
You've seen it all - there is no more to see
きみはすべてを見てきた。これ以上見るべきものはない


備考
*1 willow : ヤナギ
  wear the willow : 失恋する、愛人の死を嘆く
*2 歌詞不明。ビョーク独自のハミングのようなものか?
*3 pulse : 脈、脈拍、鼓動、動悸
*4 *2に同じ
*5 review : 再び見る、再検討する、概説する、回顧する、精密に調べる、批評・論評する
*6 *2に同じ


 ラース・フォン・トリアー監督(1956年、デンマーク生まれ)の映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年)の中で歌われた歌です。主人公セルマはアメリカに住むチェコ移民で、トレーラーハウスを借りて幼い息子と二人暮らしをしています。セルマは遺伝性の目の病気にかかっており近く失明することが分かっています。そして、息子も同じ病気で13歳までに手術をすれば治るため、工場で働きながら倹約して手術費用を貯金しています。厳しい毎日の生活、不運な境遇のためか、セルマには空想癖があります。この歌のシーンはセルマを気にかけている工場の同僚ジェフと会話しているうちに湧き上がってきた彼女の妄想の内容を示しています。
 トリアー監督は1996年の『奇跡の海』では個人の愛と信仰を、2003年の『ドッグヴィル』では個人に対する社会の抑圧をテーマにしているようです。この中間にあるこの映画では、社会が個人を救うことができるのかということをテーマにしているように思えます。そして、3つの作品に共通するのは絶望をいかに希望に変えることができるかという問いではないでしょうか。
 実はこの歌を取り上げようと思ったきっかけは、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』という小説を読み、この映画を思い出したからです。女優を目指す姉と高校生の妹との確執を描いたこの小説には根深い絶望感と孤立感が漂っています。そして、同時に「私は唯一人で世界に対峙する」という覚悟も表現されており、絶望の淵からどのように人は世界に向かっていくのかという問いを立てる志の高さに心打たれました。

 最後に、映画のエンディングロールで流れる美しい歌を載せます。

New World : Björk




Train-whistles, a sweet clementine
汽車の警笛 甘いミカン
Blueberries, dancers in line
ブルーベリー 踊り子の列
Cobwebs, a bakery sign
クモの巣 パン屋さんの看板

A sweet clementine
甘いミカン
Dancers in line
踊り子の列

If living is seeing
もし生きることが見ることなら
I'm holding my breath in wonder
私は 驚いて息を呑んでいるのだ
I wonder
どうしたのだろう
What happens next?
何が起こるのだろう 次は?
A new world, a new day to see
新しい世界 新しい日 見えるだろうか

I'm softly walking on air
私は静かに宙を歩いている
Halfway to heaven from here
道の半ば ここから天国への
Sunlight unfolds in my hair
日の光が私の髪の中で蕾を開く

I'm walking on air
私は宙を歩いている
to heaven from here
ここから天国へと

If living is seeing
もし生きることが見ることなら
I'm holding my breath in wonder
私は 驚いて息を呑んでいるのだ
I wonder
どうしたのだろう
What happens next?
何が起こるのだろう 次は?
A new world, a new day to see
新しい世界 新しい日 見るために

to see
見るために
see
見る


 黒、黄、青、赤、白、茶。警笛、甘さ、酸っぱさ、華やかな音、顔にからみつく気持ち悪さ、美味しそうな香り。見えない色と姿。それでも感じられる色と姿。絶望の果てのつつましい希望……なのでしょうか?

Lost In The Flood

2010年07月08日

Lost In The Flood : Bruce Springsteen




The ragamuffin gunner is returnin' home like a hungry runaway *1
薄汚い狙撃手が腹を空かせた脱走兵のように帰郷する
He walks through town all alone--"He must be from the fort," he hears the high school girls say *2
一人で町を歩く彼に「砦からそのまま来たみたい」と女子高生の声が聞こえる
His countryside's burnin' with wolfman fairies dressed in drag for homicide *3
彼の田舎では殺人を求める女装した狼男たちに熱中している
The hit-and-run plead sanctuary, 'neath a holy stone they hide *4
奇襲は聖域に逃げ込み弁護された。やつらは聖なる石の下に隠れていたんだ
They're breakin' beams and crosses with a spastic's reelin' perfection *5
やつらは梁と桁を破壊した。痙性麻痺のようなリールで完全に
Nuns run bald through Vatican halls, pregnant, pleadin' immaculate conception *6
妊娠したカトリックの修道女が無原罪懐胎を抗弁しようとつるつるの頭をさらして廊下を走る
And everybody's wrecked on Main Street from drinking unholy blood *7
表通りでは人々は皆穢れた血を飲み荒廃している
Sticker smiles sweet as Gunner breathes deep, his ankles caked in mud *8
刺殺者は甘く微笑む。狙撃手が深く息を吸い、足首まで泥にぬかるんでいるのを見て。
And I said, "Hey, gunner man, that's quicksand, that's quicksand, that ain't mud *9
俺は言う。「おい、狙撃手よ。それは流砂だ。流砂だぞ。泥のぬかるみじゃないぞ。
Have you thrown your senses to the war, or did you lose them in the flood?"
戦争で正気を失ってしまったのか、それとも正気を洪水に流されたのか?」

That pure American brother, dull-eyed and empty-faced
鈍い目と空虚な顔つきをしたアメリカの無垢な同胞は
Races Sundays in Jersey in a Chevy stock super eight *10
ニュージャージーで日曜ごとに8気筒の改造シェビーでレースごっこ
He rides 'er low on the hip, on the side he's got "Bound for Glory" in red, white and blue flash paint *11
車高を落とし、車の後ろと横には「栄光行き」と赤・白・青で蛍光ペイントする
He leans on the hood telling racing stories, the kids call him Jimmy the Saint *12
ボンネットにもたれレースの話をする奴を子供たちは聖ジミーと呼ぶ
Well, that blaze-and-noise boy, he's gunnin' that bitch loaded to blastin' point *13
火の玉ボーイはこの売女に火をつけようとアクセルをあおる
He rides head-first into a hurricane and disappears into a point *14
奴はハリケーンに頭から突っ込み、ある地点で消失した
And there's nothin' left but some blood where the body fell, that is, nothin' left that you could sell
何も残されていない。身体が倒れたはずの場所にあるのはただ血のみ。売り物になる部品一つすら残っていない
Just junk all across the horizon, a real highwayman's farewell
地平線にいたるまでただくず鉄だけさ。本物のハイウェイマンにふさわしい告別じゃないか
And I said, "Hey kid, you think that's oil? Man, that ain't oil, that's blood"
俺は言う。「おい、お前。それをオイルだと思ってるんだろ。オイルじゃない。それは血だ」
I wonder what he was thinking when he hit that storm, or was he just lost in the flood?
俺は思う。奴は嵐に激突した時何を思っただろうと。あるいは奴もただ洪水に流されただけなのだろうかと。

Eighth Avenue sailors in satin shirts whisper in the air *15
サテンのシャツを着た八番街の水兵が風説を流す
Some storefront incarnation of Maria, she's puttin' on me the stare *16
街角の教会で聖マリアの化身が俺をじっと見つめる
And Bronx's best apostle stands with his hand on his own hardware *17
ブロンクスで一番の伝道者が銃を手にして立っている
Everything stops, you hear five quick shots, the cops come up for air *18
皆が静止し、5発の銃声が聞こえる。警官たちが混乱しながら押し寄せる
And now the whiz-bang gang from uptown, they're shootin' up the street *19
山の手のいかしたギャングたちが街中で銃を乱射している
And that cat from the Bronx starts lettin' loose, but he gets blown right off his feet *20
ブロンクスの男が奴らを逃がそうとしたが、男は足を吹き飛ばされた
And some kid comes blastin' 'round the corner, but a cop puts him right away *21
交差点で撃ちまくっていたガキは警官に片付けられた
He lays on the street holding his leg, screaming something in Spanish, still breathing when I walked away
そいつは通りに足を抱え倒れていた。スペイン語で何かわめいている。俺が横を通った時にはまだ息はあった
And somebody said, "Hey man, did you see that? His body hit the street with such a beautiful thud" *22
誰かが言う。「おい、あれを見たか。奴の体が道に叩きつけられた時、すごくきれいな音がしたよな」
I wonder what the dude was sayin', or was he just lost in the flood? *23
俺は思う。こいつは何を言ってるんだろう。こいつもただ洪水に流されただけなのか?
Hey man, did you see that, those poor cats are sure messed up *24
おい、お前。ちゃんと見ただろう。このあわれな奴らは間違いなく手荒に扱われたんだ。
I wonder what they were gettin' into, or were they just lost in the flood? *25
俺は思う。奴らを突き動かすのは何なのだろう。それとも奴らもただ洪水に流されただけなんだろうかと。


備考
  1. ragamuffin : ぼろを着た汚い男、浮浪児、薄汚いうらぶれた男
    gunner : 砲手、射手、砲兵隊員
  2. fort : とりで、城砦、堡塁、駐屯地
  3. burn with : 熱い、熱中している、興奮している
    fairy : 妖精。女役のホモ、女性的な男
    in drag : 女装して
    homicide : 殺人。法的に犯罪となる殺人は murder (謀殺。殺意のある)と manslaughter (故殺。殺意の薄い)とされる。
  4. plead : 弁論する、弁護する、抗弁する
    take sanctuary : 聖域に逃げ込む
  5. beam : 梁
    beamcross : 桁(交差させた梁)、クロス梁
    spastic : 痙攣性の、痙性麻痺患者、のろま、まぬけ
    reel : 糸車、リール、千鳥足、よろめき
  6. nun : 修道女、尼僧
    bald : 頭のはげた
    pregnant : 妊娠した、~に満ちた、意味深長な、含みのある、示唆的な
    immaculate : 汚点・欠点のない、無傷の、清浄な、純潔な、無垢の
    Immaculate Conception : 無原罪懐胎(聖母マリアは懐胎の瞬間から原罪を免れていたこと。Virgin Birth 処女降誕とは別概念)
    ※なお、Vatican はローマ教皇庁をさすのだろうが、アメリカの話なのでここではカトリックの比喩ではないかと思う。
  7. unholy : 不浄な、不信心な、邪悪な
  8. stichker : 刺し手、刺す人、武器としてのナイフ、ナイフ使い、刺殺人
    cake : 固める、固まる、~を固まりつかせる、泥・油等で固く(厚く)おおう
  9. quicksand : 流砂。危険で油断のならない状態、事態
  10. Chevy = Chevrolet : シボレー
    stock car : 市販車を改造したレースカー
  11. bound for : ~行きの、~をめざす、~へ行くところの
  12. lean : もたれる、寄りかかる、もたせ掛ける
    hood : 車のボンネット、または幌屋根
  13. blaze : 比較的多き炎、火炎、閃光、強い輝き、かっと燃え立つこと、突発的な激怒、地獄
    gun : 銃で撃つ、スロットルを開いて加速する、エンジンをふかす
    load : 荷を積む、装填する、弾を込める
    blast : 発破をかける、爆破する、爆発させる
  14. head-first : まっさかさまに、大急ぎで、無鉄砲に
  15. whisper : ささやく、こっそり話す、ひそひそ話をする、デマ等をこっそり流す、言いふらす
    in the air : 空中に、風説が広まって、みんなの関心事で、~しそうな気配で、肌に感じられて
  16. storefront : 店舗(ビル)の正面
    storefront church : storefront を利用した都市の教会(かなり感情的な礼拝を行なう)
    incarnation : 肉体を与える(られる)こと、人間の姿を取ること、神・霊などの権化・化身、神のキリストによる顕現
  17. apostle : 使者、十二使徒、その地方の最初の伝道者、熱心な信奉者、初期キリスト教宣教師
    hardware : 金物、金属製品、武器、兵器、銃器、銃砲
  18. up in the air : 未定の、ひどく楽しい、有頂天の、かっとなって、ひどく怒って、ひどく興奮(動揺・混乱)して
  19. whizbang : すばらしいもの、いかすやつ、やり手、やかましいもの。元は、ヒュー・バンッという擬音から、花火や高速砲榴弾などの意。
    shoot up : 撃ちまくる、銃を乱射して町を荒らす(破壊する)
  20. cat : やつ、仲間
    let loose : 逃がす、(解き)放す、勝手にさせる
    blow off : 爆発で吹き飛ばす
  21. put away : いつもの所へしまう、片付ける、刑務所・精神病院等へ入れる、人を片付ける、死者を葬る
  22. thud : 重くにぶい衝撃音。ドシン、ドサッ、ドタン、バタン、ゴツン、ズシンなど。
  23. dude : 気取り屋、しゃれ者、男、野郎、やつ
  24. mess up : 散らかす、汚す、台無しにする、やりそこなう、手荒く扱う、ぶちのめす、いためつける
  25. get into : 入り込む、到着する、妄想・熱意などが取り付く、ある状態になる、問題等に興味を持つ


 1973年のアルバム Greetings From Asbury Park, N.J. より。
 第一連はベトナム帰還兵、第二連は田舎の走り屋、第三連は都会のギャングのことを歌い、いずれも死に向かって突き進んでいる、という内容だと思われます。
 第一連がいまいちよく理解できないのですが、歓迎されざる帰還兵が故国の変貌に愕然として自滅の道をたどるというイメージが浮かびます。wolfman や apostle は麻薬の売人の隠喩、また、hit-and-run や spastic's reelin', drinking unholy blood, Sticker なども麻薬関係の隠喩のような気がするのですが、本当のところは分かりません。
 「洪水に流される」という言葉は、まずノアの洪水を思い浮かべました。神に見放された人間の抗うことのできない運命、と書くとずいぶん悲観的に見えますが、全体としては悲しみの中からなんとか道を見つけ出したいという熱意が感じられる歌だと思います。
 


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