Ain't Got No, I Got Life

2013年02月24日

Ain't Got No, I Got Life : Nina Simone




I ain't got no home, ain't got no shoes *1
私には家がない 靴がない
Ain't got no money, ain't got no class
お金がない 教室がない
Ain't got no fans, ain't got no students
ファンがいない 生徒がいない
Ain't got no work, ain't got no job
仕事がない 職がない
Ain't got no mind
知性がない

What have I got?
私には何があるの?
Why am I alive anyway? *2
なぜ私は生きてるの どういうこと?
Yeah, what have I got?
そうよ 私は何か持ってる?
Nobody can take away
誰からも取り上げられないものを

I got my hair, I got my head
私には髪がある 頭がある
I got my brains, I got my ears
脳がある 耳がある
I got my eyes, I got my nose
目がある 鼻がある
I got my mouth, I got my smile
口がある 笑顔がある

I got my tongue, I got my chin
私には舌がある あごがある
I got my neck, I got my boobs
首がある 乳房がある
I got my heart, I got my soul
心がある 魂がある
I got my back, I got my sex
背中がある 性がある

I ain't got no father, ain't got no mother
私には父親がいない 母親がいない
Ain't got no children, ain't got no faith
子どもがいない 信念がない
Ain't got no earth, ain't got no water
土地がない 水がない
Ain't got no ticket, ain't got no token *3
切符がない コインがない
Ain't got no mind
知性がない

What have I got?
私には何があるの?
Why am I alive anyway?
なぜ私は生きてるの どういうこと?
Yeah, what have I got?
そうよ 私は何か持ってる?
Nobody can take away
誰からも取り上げられないものを

I got my hair, I got my head
私には髪がある 頭がある
I got my brains, I got my ears
脳がある 耳がある
I got my eyes, I got my nose
目がある 鼻がある
I got my mouth, I got my smile
口がある 笑顔がある

I got my tongue, I got my chin
私には舌がある あごがある
I got my neck, I got my boobs
首がある 乳房がある
I got my heart, I got my soul
心がある 魂がある
I got my back, I got my sex
背中がある 性がある

I got my arms, I got my hands
私には腕がある 手がある
I got my fingers, Got my legs
指がある 脚がある
I got my feet, I got my toes
足がある つま先がある
I got my liver, Got my blood
肝臓がある 血がある

I've got life
私には命がある
I've got my freedom
私には自由がある
I've got the life
私には命がある

heart, soul, heart, soul
心 魂 心 魂


備考
  1. ain't got no = have not got no = have no
  2. anyway = anyhow : なんとしても、どうしても、どうせ、それでも、いずれにせよ。(強意として)いったい。
  3. token : バス・地下鉄・遊技機で用いる代用硬貨。補助紙幣、商品券、しるし、象徴


 アルバム 'Nuff Said!(1968年) 他に収録。オリジナルは1967年初演の Hair というロック・ミュージカルの Ain't Got No と I Got Life という二つの歌です。Wikipedia によればこのミュージカルは「1960年代のヒッピー、対抗文化、性革命の産物であり、歌のいくつかは反ベトナム戦争・平和運動を代表する讃歌となった」ということです。
 ニーナ・シモンの歌声はいつもある種の崇高さを感じさせます。

Mrs. Robinson

2013年02月24日

Mrs. Robinson : Simon and Garfunkel




And here's to you, Mrs. Robinson *1
あなたに乾杯。ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
イエスはあなたを愛していますよ。あなたが思っているよりも
God bless you, please, Mrs. Robinson
神があなたを祝福されますように。ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray *2
天国は場所を与えますよ。神に祈る人には

We'd like to know a little bit about you for our files *3
私たちはあなたのことを少し知りたい。記録として保存するためにね
We'd like to help you learn to help yourself
あなたを手伝いたい。あなたが自力でできるようになるよう
Look around you, all you see are sympathetic eyes *4
まわりを見てごらんなさい。見えるでしょう、あなたに共感する目が
Stroll around the grounds until you feel at home *5
庭でも散歩するといいですよ。気分が楽になるまで

And here's to you, Mrs. Robinson
あなたに乾杯。ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
イエスはあなたを愛していますよ。あなたが思っているよりも
God bless you, please, Mrs. Robinson
神があなたを祝福されますように。ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は場所を与えますよ。神に祈る人には

Hide it in the hiding place where no one ever goes
隠しなさい。どこか誰も来ない所に
Put it in your pantry with your cupcakes *6
食料庫に入れなさい。カップケーキと一緒に
It's a little secret just the Robinsons' affair *7
それは小さな秘密。たかだかロビンソン家の事件
Most of all you've got to hide it from the kids *8
大事なのは、子どもたちに隠すことです

Koo-koo-ka-choo, Mrs. Robinson *9
すばらしいですよ。ミセス・ロビンソン
Jesus loves you more than you will know
イエスはあなたを愛していますよ。あなたが思っているよりも
God bless you, please, Mrs. Robinson
神があなたを祝福されますように。ミセス・ロビンソン
Heaven holds a place for those who pray
天国は場所を与えますよ。神に祈る人には

Sitting on a sofa on a Sunday afternoon
日曜の午後はソファにくつろいだり
Going to the candidate's debate *10
立候補者の討論会に行ったり
Laugh about it, shout about it when you've got to choose *11
笑い飛ばしたり喚いたりしなさい。そうして、あなたは選択しなければならない
Every way you look at it you lose
どの道を見たってあなたは迷うのです

Where have you gone, Joe DiMaggio *12
どこへ行ってしまったの? ジョー・ディマジオ
Our nation turns it's lonely eyes to you
私たち国民は寂しい目をあなたに向けているのに
What's that you say, Mrs. Robinson?
何を言ってるんですか? ミセス・ロビンソン
Jolting Joe has left and gone away *13
強打者ジョーは去ってしまい、とっくに死んでますよ


備考
  1. Here's to : (人・健康・成功・幸運などに)乾杯
  2. hold : 手で持つ、つかむ、保持する、保有する、収容できる、入れる、席を確保する
  3. file : 書類等の整理保存用具、綴じ込み、書類一式
  4. sympathetic : 同情的な、思いやりのある、共感する、好意的な
  5. stroll : ぶらつく、散歩する、旅して回る、流浪する
    grounds : 建物の周囲の庭園、芝生、敷地、構内
  6. pantry : 食料品や食器の置いてある部屋
  7. affair : 事、出来事、事務、業務、問題、関心事、不倫、情事、スキャンダラスな事件
  8. most of all : いちばん、とりわけ、中でも、殊に、この上なく、
  9. Koo-koo-ka-choo = Coo coo ca choo : 一般的には特定の意味はない。60~70年代のスラングでは、状況や文脈によって意味が変わったり、その "使い方の自由度" からこの言葉自体に「自由」という意味、あるいは「良い、素晴らしい」等の意味を持たせて使われることもあったらしい。(www.urbandictionary.com より)
  10. candidate : 立候補者、志望者
  11. 've got to = have got to = have to
  12. Joe DiMaggio : 1936年~51年に大リーグで活躍した野球選手。1914-99。この歌が作られた1967年頃は現役引退後だが、死んではいない。
  13. jolt : 急に揺する、がたがた揺さぶる、強打でふらふらにする、驚かす・ショックを与える


 1967年の米映画『卒業』の挿入曲として使われた歌です。アルバムとしては1968年の Bookends に収録されています。
 マイク・ニコルズ監督に映画のための新曲を請われたポール・サイモンは時間がなかったため手持ちの歌を見せました。それが「ミセス・ルーズベルト」というこの歌で、過去を懐古する内容のものでした。ニコルズ監督はこれを見て「これは今からミセス・ロビンソンだ。ルーズベルトじゃなくてね」と言ったそうです(http://en.wikipedia.org/wiki/Mrs._Robinson)。
 ミセス・ルーズベルトとは第32代米大統領フランクリン・ルーズベルト(1882-1945。任期1933-45)の夫人エレノア・ルーズベルト(1884-1962)のことです。彼女は夫の大統領時代の政策に大きな影響力を持ち、夫の死後も民間の運動家として政治的活動に携わり、女性の地位向上や人種差別反対などに力を注ぎました。アメリカでは、おそらく今日でも、歴代ファーストレディで最も尊敬されている人物なのではないでしょうか。この歌とは関係ありませんが、黒人オペラ歌手マリアン・アンダーソンが人種差別によりワシントン憲法記念館でのコンサートができなくなった時、開催のために手助けしたのもエレノア・ルーズベルトです。
 元歌はおそらくミセス・ルーズベルトとジョー・ディマジオを古き良きアメリカの象徴とみなして書いたものだろうと推測できますから、この歌詞におけるミセス・ロビンソンも肯定的に描かれているのだろうと思います。ただ、私は映画を昔一度だけそれも適当に見ただけなので内容をよく覚えていません。そのため、映画の中のミセス・ロビンソンの位置づけがこの歌詞とどのように関連しているのかが分かりません。
 歌詞だけから判断すると「あなたの過ちや迷いは未来を閉ざしているわけではない。古き良き時代はもう戻らないが、迷いながらも選択し続けるしかないのだ」というように思えました。ミセス・ルーズベルトの元々の歌詞と新しく付け加えられたミセス・ロビンソンの歌詞が混在して全体として多少の不自然さが出ているためかもしれませんが、妙に皮肉っぽい歌詞にも見えます。やはり、よく分かりません。


Scarborough Fair / Canticle

2013年02月23日

Scarborough Fair / Canticle : Simon And Garfunkel




Are you goin' to Scarborough Fair
スカボローの市に行くのかい
Parsley, sage, rosemary and thyme *1
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Remember me to one who lives there *2
忘れないで僕のことを伝えてくれないか。あそこに住む人に
she once was a true love of mine
彼女はかつて僕が真に愛する人だった

Tell her to make me a cambric shirt     (On the side of a hill in the deep forest green) *3
彼女に伝えてくれ。薄地のシャツを作るようにと(深緑の森の丘の斜面で)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Tracing of sparrow on snow-crested brown) *4
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (白頭雀の足跡を追う)
Without no seams nor needlework (Blankets and bedclothes the child of the mountain) *5
縫い目が見えず針も使わずに     (毛布と敷布の子どもは山の中で)
Then she'll be a true love of mine   (Sleeps unaware of the clarion call) *6
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう (眠っている。甲高いラッパにも気づくことなく)

Tell her to find me an acre of land     (On the side of a hill, a sprinkling of leaves) *7
伝えてくれ。僕に千坪の土地を見つけてくれと(丘の斜面で舞い散る葉が)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Washes the grave with silvery tears)
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (銀の涙で墓石を洗う)
Between the salt water and the sea strands (A soldier cleans and polishes a gun) *8
海の水と岸の間に              (兵士は銃をきれいに磨く)
Then she'll be a true love of mine
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう

Tell her to reap it with a sickle of leather  (War bellows blazing in scarlet battalions) *9
伝えてくれ。刈り取りを革の鎌でするようにと(戦争は轟き、緋色の軍隊に燃え上がる)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Generals order their soldiers to kill)
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (将軍たちは兵士に殺せと命じる)
And gather it all in a bunch of heather (And to fight for a cause they've long ago forgotten) *10
集めた籾は小枝のかごに入れるように  (とうの昔に忘れられた大義のために戦えと)
Then she'll be a true love of mine
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう

Are you goin' to Scarborough Fair
スカボローの市に行くのかい
Parsley, sage, rosemary and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Remember me to one who lives there
忘れないで僕のことを伝えてくれないか。あそこに住む人に
she once was a true love of mine
彼女はかつて僕が真に愛する人だった


備考
  1. ※この四つはいずれもハーブ。パセリは消化促進・防腐作用があり食物の苦味を消す。セージは消臭・抗酸化作用があり「力」の象徴。ローズマリーは消臭・抗菌・抗酸化作用があり「貞節・愛・思い出」の象徴。タイムは抗菌作用があり「勇気」の象徴。
  2. remember A to B : A のことを B によろしくと伝える
  3. cambric : 薄地の白い亜麻布。ハンカチなどに用いる
  4. trace : 跡をつける、足跡をたどる、たどって突き止める、道をたどる、線・図等を引く・描く
    sparrow : スズメ
    crest : 頂上に達する、羽飾りをつける、頂上をおおう
    ※ on snow-crested brown は、雪の冠をかぶり茶色を身につける、すなわち頭が白く体が茶色いということだろう。
  5. without : ~なしに、~がなければ、~がないので、~がなくても、~の外側に、外部に、外面は、外見では
    ※ここでは否定の強調としての二重否定なのかもしれないが、文脈から「外側、外面」と解して訳した。
    seam : 縫い目、綴じ目、編み目、合わせ目
    needlework : 針仕事、裁縫、刺繍
    bedclothes : シーツ・毛布・枕などの寝具
  6. clarion : 明るくさえた音色のらっぱ、甲高く澄んだ音
    a clarion call : 声高な呼びかけ、明白な要請
  7. find [A] [B] : A に B を見つけてやる
    acre : 約1224坪。約63m×64m。
    sprincle : まく、まき散らす、ふりかける、点在する、散りばめられている
  8. saltwater : 塩水、海水、海水棲の、海産の、海の
    strand : 岸に乗り上げる、座礁する、岸、浜、潟
  9. reap : 作物を刈る、刈り取る、収穫する
    sickle : 円形鎌
    bellow : 牛などが大声で鳴く・吠える、人がわめく・どなる、雷・大砲・風などが轟く・唸る
    blaze : 強い炎、強い輝き、銃の連射、感情の爆発・激高
    battalion : 大隊、戦闘隊形を整えた軍隊、多くの人、大群
  10. bunch : 果物などのふさ、束、山、人・動物の群れ・一味
    heather : ヘザー。ツツジ科カルーナ属の常緑低木。ヨーロッパに広く分布。スコットランドの荒地に生い茂る。昔は小枝を束ねほうきにしたり、ベッドに敷いたりした。


 この歌はシングル盤が1966年に発表され、1968年のアルバム Parsley, Sage, Rosemary and Thyme に収録されています。元々はイギリスの伝承曲で作者不明ですが、Canticle(詠唱・賛美歌)の部分はポール・サイモンの1963年の歌 The Side of a Hill の歌詞を一部変えたものです。イギリスで伝承曲を見つけたのはポール・サイモンですが、Wikipedia では、この合体はアート・ガーファンクルによるものとされています…http://en.wikipedia.org/wiki/Scarborough_Fair_(ballad)。

 The Side Of A Hill の歌詞は次のような内容です。

 丘の斜面で "何処"と呼ばれる国で 幼い少年が地中に眠る
 谷底で凄惨な戦争が暴れ 人々は子どもの命の価値を忘れる
 丘の斜面で 小さな雲が泣き 静かな涙で墓石を濡らす
 兵士が磨き上げる銃は 七歳の命を終わらせた
 戦争は猛威を振るう "何処"と呼ばれる国で
 将軍たちは殺せと命じる とうの昔に忘れられた大義のために戦えと
 そして小さな雲は涙を流す 丘の斜面で

 伝承曲の歌詞については、相手に実現不可能な要求をし、それがかなわない限り恋人には戻れないというところまでは分かりますが、そこに込められた心情はなかなか分かりにくいと思います。時の流れによる歌詞の変遷もあってこれまで様々な解釈がされているそうです。旅人を惑わす妖精・魔物の謎かけに対し「パセリ、セージ…」という魔除けの呪文により異界へ連れ去られるのを拒んでいるというもの、失恋した男の自虐的な冗談や未練だというものなどが代表的です。そもそもそれほど深い意味のない言葉遊びであるとも考えられます。
 サイモンとガーファンクルはこれに Canticle をつけて反戦の意図を込めました。おそらく朝鮮戦争(1950-53年)やベトナム戦争(1960年開戦,65年米による北爆開始)が想定されているのでしょう。ここから伝承曲の歌詞を解釈すれば、男はすでに死んでいる、あるいは生きて彼女に会える可能性はない状況にあると考えられます。サイモンとガーファンクルの二人は、この歌詞から "死んでもなお彼女を諦めきれない亡霊の嘆きの歌" というイメージを抱いたのではないかと思います。

 この記事を書くにあたっては、以下のサイトを参考にさせていただきました。とても丁寧な詳しい解説があるので興味のある方はぜひご覧下さい。
 「スカボローフェアの謎」,「スカボロー・フェアについて




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