Wish I Had An Angel

2014年03月25日

Wish I Had An Angel : Nightwish




I wish I had an angel *1
天使が得られるなら
天使がいたら良かったのに
For one moment of love
ただ一時の愛のために
ただ瞬間の愛でもいいから
I wish I had your angel tonight *1
今夜お前の天使を得られるなら
今夜こそは、お前の中に天使がいたら良かったのに

Deep into a dying day *2
死にゆく日へと深く
I took a step outside an innocent heart *3
俺は純潔な心の外へ一歩を踏み出した
私は無垢な心の外へ踏み込んだ
Prepare to hate me fall when I may
俺を憎む準備をするがいい。俺が堕ちた時のために
私を憎む覚悟をして。私は堕ちるだろうから
This night will hurt you like never before *4
この夜は今までにないほどお前を傷つけるだろう
今夜、あなたはかつてないほどに傷つくだろうから
Old loves, they die hard
古い愛。それは、滅び難いが
古い愛は消え難いけれども
Old lies, they die harder
古い嘘。それは、もっと滅び難い
古い嘘は愛よりももっと消え難いのよ

※ I wish I had an angel
天使を手に入れられればいいのに
天使がいたら良かったのに
For one moment of love
ほんの一時の愛のために
ただ瞬間の愛でもいいから
I wish I had your angel
お前の天使を手に入れられればいいのに
お前の中に天使がいたら良かったのに
Your Virgin Mary undone *5
お前の中の聖母マリアは破滅した
…叶わない望み。失われた聖母マリア

I'm in love with my lust *6
俺は自らの情欲に恋をしている
私は心奪われている。私の情欲が
Burning angel wings to dust
天使の羽根は焼け塵と化そうとしている
天使の羽を焼き尽くすことに
I wish I had your angel tonight ※
今夜お前の天使を得られればいいのに
今夜こそは、天使がいたら良かったのに

I'm going down so frail and cruel *7
俺は堕ち続ける。とてもか弱く、そして残酷に
私は堕ち続ける。とてもか弱く、そして残酷に
Drunken disguise changes all the rules *8
酔い痴れた仮装はすべての規則を変える
酔い痴れた振りをして規則なんて変えてしまうの
Old loves, they die hard
古い愛。それは、滅び難いが
古い愛は消え難いけれども
Old lies, they die harder
古い嘘。それは、もっと滅び難い
古い嘘は愛よりももっと消え難いのよ

※~※

Greatest thrill, Not to kill
至上の戦慄は、死に至ることなく
喜びに身が震える。殺すことにではなく
But to have the prize of the night
この夜の褒賞を得るため
夜の称賛を得ることに
Hypocrite, Wannabe friend *9
偽善者、友となりたがる者
偽善者、見せかけの友
13th disciple who betrayed me for nothing! *10
理由もなく俺を裏切る13番目の弟子

Last dance, first kiss
最後のダンス。最初のキス
Your touch, my bliss *11
お前の指。俺の至福
あなたの感触、私の至福
Beauty always comes with dark thoughts
美はいつも暗い思念を連れてやって来る

※~※

I wish I had an angel
天使を得られればいいのに
天使がいたら良かったのに


備考
  1. ※当初の記事掲載時には angel のイメージが上手くつかめないままに訳していた。これに関する解釈のコメントをいただき、改めて調べ、考え直してみた結果、angel は実体としての天使ではなく、人間の心における天使性、無垢、純潔など(=innocence)の比喩だと解し、それに従って全体の翻訳を見直した。
  2. dying : 死にかけている、瀕死の、臨終の、末期の
    to one's dying day : 死ぬ日まで、終生、死ぬまで
  3. step : 足の運び、歩き方、足どり、一歩、ほんの一跨ぎ、足音、足跡
    innocent : 無罪の、潔白な、罪を犯していない、純潔な、清浄な、悪意のない、無邪気な、天真爛漫な
    heart : 心臓、心、胸、愛情、情愛、情け、元気、勇気、気力、中心部、中央部、深部、奥地
  4. like never before : かつてないほど
  5. undo : はずす、脱ぐ、開ける、ほどく、ゆるめる、元に戻す、取り除く、廃止する、抹消する、取り消す、零落・困窮させる、破滅させる、名声・名誉を台無しにする、損なう
    undone : なされない、仕上げていない、未完成の、破滅・零落した、落ちぶれた、ほどけた、解けた、ゆるめた
    We are undone! : もうだめだ、おしまいだ
  6. lust : 性欲、肉欲、情欲、煩悩、権勢などへの渇望・切望、熱意・強い興味
  7. frail : 虚弱な、ひ弱な、もろい、はかない、薄弱な、意志薄弱な、誘惑にもろい
    cruel : 残酷な、無慈悲な、むごい、苦痛を与える、むごたらしい、きびしい
  8. disguise : 変装、偽装、見せ掛け、擬態、まやかし、仮装、仮面、隠蔽
    ※この一行は意味が全くわからない。
  9. wannabe : アイドルをまねる熱狂的ファン、志望者、何かになりたがっている人
  10. 13th disciple : おそらく銀貨三十枚でイエスを売ったユダを指すのだろう。
    for nothing : 無料で、ただで、なんの理由(目的・結果)もなく
  11. bliss : 無上の喜び、至福、(神学上の)天上の喜び・天国・楽園


 2004年のアルバム Once より。歌詞の内容はよく分かりませんが、この翻訳では、女に裏切られた男がもう一度彼女の天使性、聖母性の回復を願いつつ、自らの嫉妬と情欲にもだえる、といったような解釈で通してみました。かなり想像を交えた解釈なので英語読解としては誤っているかもしれません。また、女声と男声の掛け合いの歌詞ととるのがふさわしいのかもしれません。"I had an angel" と "I had your angel" の意味する所が私の頭ではうまく想像できないので的外れな翻訳になっているのではないかという不安があります。

2016.1.7. 追記
 下記のコメントをいただき、全体の翻訳を見直してみました。新たな訳文の解釈の趣旨は、どちらかのあるいはお互いの裏切りや嘘によって関係が終わってしまった男女の願望や後悔といったものです。それを男声と女声のかけ合いとして訳してみました。一部男女の合唱部がありますが、強いてこじつければその部分は男女双方に共通する心情と解釈できるかもしれません。男は女の純潔さが失われたことを嘆き、女はその原因を作ったのは「あなた」だと言っているように思えます。そして、この歌詞の主題は "angel = innocence" の喪失とそれをもたらす人間の持つ lust の「業」といったものではないかと思います。ただし、細かい所はまだすっきりと分からない事もあり、自信の持てる翻訳ではありません。

Hungry Heart

2014年03月17日

Hungry Heart : Bruce Springsteen




Got a wife and kids in Baltimore, Jack *1
ボルチモアには女房と子供がいたんだよ
I went out for a ride and I never went back
俺はちょっと車で出かけ、二度と戻らなかった
Like a river that don't know where it's flowing
まるで川と同じさ。自分がどこを流れているのか知らない
I took a wrong turn and I just kept going *2
俺は間違った角を曲がり、そのまま走り続けた

※ Everybody's got a hungry heart *3
誰だって飢えた心を持ってる
Everybody's got a hungry heart
誰だって飢えた心を持ってる
Lay down your money and you play your part *4
だから、有り金すべて賭けて、やるべき事をやるんだ
Everybody's got a hungry heart ※
誰だって飢えた心を持ってる

I met her in a Kingstown bar *5
彼女とはキングスタウンの飲み屋で知り合った
We fell in love I knew it had to end *6
俺たちは恋に落ちたが、それがいずれ終わることは分かっていた
We took what we had and we ripped it apart *7
二人になって得たものは元々それぞれが持っていたもの。そして、元通りにそれを二つに裂いた
Now here I am down in Kingstown again *8
今また俺はこうしてキングスタウンにいる

※~※

Everybody needs a place to rest
誰だって安息の地を必要としてる
Everybody wants to have a home
誰だって帰る家を求めてる
Don't make no difference what nobody says *9
誰も言わないことなんてどうでもいい
Ain't nobody like to be alone
決していないんだ。一人が好きな奴なんて

※~※


備考
  1. Baltimore : 米メリーランド州の都市。
    Jack : 男、奴、(呼びかけとして)君
  2. turn : 回転、旋回、進行方向(進路)を帰ること、方向転換、曲がり目、曲がり角、方向、向き、傾向
  3. hungry : 空腹な、飢えている、切望して、熱心に望んで、渇望して
    ※ この歌のタイトル Hungry Heart は、英詩人アルフレッド・テニスン(1809-1892)の『ユリシーズ』という詩の一節 "For always roaming with a hungry heart" から引用されたものらしい。ユリシーズは、ホメロス『オデュッセイア』の主人公オデュッセウスの英語転化した言葉であり、ギリシャ神話における英雄である。この詩は Blank verse という一行に五つのアクセントを持つ形式で書かれている(弱強五歩格)。スプリングスティーンの Hungry Heart もこの五歩格を使って書かれているように見える。ただし、弱強なのか強弱なのかは私にはよく分からない。
  4. lay : 置く、横たえる、寝かす、金・物等を賭ける
    play a part : 自分の役目を果たす、一翼を担う、芝居をする、役を演じる、自分が出来る事(やるべき事)をする
  5. Kingstown : 米メリーランド州の町の名。ボルチモアから直線距離で50km程度。
  6. have to do : しなければならない(義務)、~に違いない・きっと~のはずだ(必然)
  7. rip apart : 関係を引き裂く、仲違いさせる、ばらばらにする、ずたずたにする、傷つける
    ※この一行は「俺たちは [1+1=3] みたいな関係にはなれなかった」と言いたいのではないだろうか。
  8. down : 下方へ、南方へ、話者から離れる方向へ、落ち込んで、過去から現在へ
  9. make no difference : まったく問題ではない、どうでもよい
    ※ Don't make no difference と次の行の Ain't nobody は「二重否定=否定の強調」だろうと思うが、「二重否定=肯定」として使われることが果たしてないのか、英語に疎い私には判断不能である。
    ※そして、否定語をいくつもしつこく使った最後の二行は、自分の行為を何か高尚な意味のあるものとして正当化したいという主人公(=作詞者)の屈折した心理が表れているように思う。


 1980年のアルバム The River より。
 「ハングリーハート」というカタカナ日本語のタイトルは一見分かりやすい内容だと誤解されそうですが、この歌詞は相当に分かりにくい心理を描いているように思えます。曲調の明るさと主人公の暗い心の対比もこの歌の難解さを更に増しています。この男はおそらくこの後もずっと満足や安息を得られることなく、飢えた心のままで一生を終えるのではないかと想像すると、かなり陰鬱な感触が聞く者の心に残りそうです。
 また、スプリングスティーンを労働者階級の代弁者とみなすことがいかに的外れであるかということがこの歌詞を読むとよく分かるのではないかと思います。私は、この歌詞からは中途半端なインテリの不幸を強く感じます。それと同時に、訳し終えた今、やはり私は彼の書く歌詞が好きなのだと改めて思いました。
 


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