Jeremy

2014年09月29日

Jeremy : Pearl Jam




At home
ジェレミーが家で
Drawing pictures
絵を描いている
Of mountain tops
山頂の絵だ
With him on top
頂上には自分自身と
Lemon yellow sun
レモン色の太陽
Arms raised in a V
両腕をV字に掲げている

Dead lay in pools of maroon below *1
下方には栗色の血だまりに死体が横たわる

Daddy didn't give attention
父親は注意を払わなかった
To the fact that mommy didn't care
母親が彼を気遣わなかったことを
King Jeremy the wicked *2
邪悪なジェレミー王は
Ruled his world
彼の世界を支配した

Jeremy spoke in class today *3
今日、教室でジェレミーがしゃべった!
Jeremy spoke in class today
今日、教室でジェレミーがしゃべった!

Clearly I remember
よく覚えている
Pickin' on the boy *4
あの頃、誰かをいじめることは
Seemed a harmless little fuck *5
無害で無邪気なものに思えた
But we unleashed a lion *6
でも、僕たちが解き放った
Gnashed his teeth *7
そのライオンは、怒りに歯噛みし
And bit the recessed lady's breast *8
奥に隠れる女の胸に噛み付いた
How could I forget
忘れられない
He hit me with a surprise left
彼は僕に不意打ちの左を食わせた
My jaw left hurting
このあごの痛みは今でも残っている
Dropped wide open *9
無意識に口が大きく開いてしまう
Just like the day
ちょうどあの日のように
Like the day I heard *10
銃声を聞いたあの日のように

Daddy didn't give affection
父親は彼に注意を払わなかった
And the boy was something mommy wouldn't wear *11
少年は母親にとって気に入らない服のようなものだった
King Jeremy the wicked
そして、ジェレミーは邪悪な王となり
Ruled his world
自分の世界を支配した

Jeremy spoke in class today
今日、教室でジェレミーがしゃべった!
Jeremy spoke in class today
今日、教室でジェレミーがしゃべった!

Try to forget this
こんなことは忘れてしまおう
Try to erase this
こんなことは消してしまおう
From the blackboard
黒板から


備考
  1. maroon : 栗色、海老茶色
  2. wicked : 悪い、邪悪な、たちの悪い、悪意のある、意地悪な、いたずらな
  3. ※この speak は意味が分からないが、しゃべるだけで驚かれるほど普段ジェレミーが無口で孤立していたことを示唆するものだろうか?
  4. pick on : あら捜しをする、酷評する、いじめる、苦しめる
  5. harmless : 害を及ぼさない、安全な、無害の、無邪気な、損害を受けない
  6. unleash : 革紐を解く、犬を解き放つ・逃がす、束縛を解く
  7. gnash : 怒りや苦痛で歯をきしませる・かみ鳴らす
  8. recess : 奥まった所に置く・隠す、凹所を作る、へこませる、埋め込む、休会・休校・休憩・中断させる
    ※ここではどういう意味合いで使われているのかよく分からないが、recessed lady は母親か教師を指しているように思える。
  9. drop : ある状態に自然になる
    drop open : 意図しないで開ける、無意識に開ける
    ※この一行の意味も正確には分からないが、ある種の「驚き」を表しているように見える。
  10. ※エディ・ヴェダーは中学時代に自殺した生徒を目撃はしていないが、発砲した銃声を聞いたらしい。ただし、そのこととこの歌詞が関係あるかは不明。
  11. おそらくこの比喩は、母親にとって息子は服や飾り物と同程度のもので、しかもお気に入りのものではなくお蔵入りしたようなものだったというような意味ではないかと思う。


 Pearl Jam の1991年のデビューアルバム Ten より。エディ・ヴェダーは、学校で拳銃自殺した高校生の新聞記事を読み、また自分の中学時代の似た事件を思い出して、この歌詞を書いたそうです。
 Wikipedia によれば、1991年1月8日、遅刻してきたこの少年は教師から入校許可証を事務室でもらってくるように言われます。一旦教室を出て戻って来た彼は拳銃を手にしていました。そして、黒板の前に立って「先生、僕は本当に欲しいものを手に入れたよ」と言い、教師と同級生の目前で銃口を口に差し込み引金を引きました。同級生は彼を "real quiet", "acting sad" と表していました。この英語のニュアンスははっきり分かりませんが、物静か、悲しげ、暗い……と言ったところでしょうか。
 冒頭の動画は元の物が放送禁止となり再編集されたもので、最後に少年が銃を口に差し込む場面等が消されている為、彼が教室内で銃を乱射したと誤解する人も多かったそうです。この歌詞は細部に分かりにくい所もあるためいろいろな解釈がされているようですが、個人的に印象に残ったのは、動画の冒頭と最後に「華氏64度、曇り」と表示される部分、「黒板から消してしまおう」という歌詞です。いずれも、彼が回りから疎外されており、彼がいてもいなくても世界は変わらずにあり続けるという悲しい現実を表すものです。また、「ジェレミーがしゃべった」ことが彼が自殺したことよりも同級生の関心の上位にあると示唆する歌詞も深く心に残りました。だから、エディ・ヴェダーはこの歌で、何が何でも自ら死ぬことだけはやめろと訴えているのだと思います。
 エディー・ヴェダーは第三者としてこのような歌詞を書いたわけですが、彼自身周りから疎外された経験があるらしく、かなり感情のこもった歌詞になっているようです。私はけしていじめられる人間にも問題があるとは考えませんが、平均的に見て、いじめられる人にはやはり他の平均的な人々に比べると変わった面を強く持っている傾向があるだろうと思います。そして、私が子供だった頃に比べ、現代はそのような人が生きにくい世の中だと思います。下に紹介する動画はいじめられた経験のある歌手が作ったものだそうですが、このような歌は拒絶反応を起こす人も多いのではないでしょうか。私は、好きです。

   

   


 <関連記事>
   ☆ Society : Eddie Vedder
   ☆ True Colors : Cyndi Lauper

Army Dreamers

2014年09月15日

Army Dreamers : Kate Bush




"B.F.P.O." *1
国軍郵便局
Army dreamers
夢見る兵士たち
"Mammy's hero"
ママのヒーロー

Our little army boy is coming home from B.F.P.O. *2
私たちの可愛い兵隊さんが軍の郵便局から帰って来る
I've a bunch of purple flowers to decorate a mammy's hero
ママのヒーローを飾るのに紫の花束を用意した

Mourning in the aerodrome *3
飛行場で悼み嘆く
The weather warmer, he is colder
暖かい天気なのに、彼は冷たい
Four men in uniform
軍服姿の四人の男
To carry home my little soldier
私の可愛い兵隊さんを家に運ぶ

"What could he do? Should have been a rock star"
「彼にできたのは何だろう? ロックスターになれたかもしれないのに」
But he didn't have the money for a guitar
でも、彼はギターを買うお金もなかった
"What could he do? Should have been a politician"
「彼にできたのは何だろう? 政治家になれたかもしれないのに」
But he never had a proper education
でも、彼はまともな教育も受けなかった
"What could he do? Should have been a father"
「彼にできたのは何だろう? 父親になれたかもしれないのに」
But he never even made it to his twenties *4
でも、彼は二十歳にもなれなかった
What a waste *5
なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち
Ooh, what a waste of
ああ、なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち

Tears o'er a tin box *6
涙がブリキの箱をおおう
Oh, Jesus Christ, he wasn't to know *7
ああ神様。彼は知る由もなかった
Like a chicken with a fox
自分が狐とともにいるひよこだと
He couldn't win the war with ego *8
自尊心で戦争に勝つことはできないと

Give the kid the pick of pips *9
この子に最高位の星を与えてよ
And give him all your stripes and ribbons *10
すべての階級章と勲章を与えてよ
Now he's sitting in his hole
こんな穴倉に座らされている
He might as well have buttons and bows *11
彼には飾りボタンと蝶ネクタイの方がいいかもしれない

"What could he do? Should have been a rock star"
「彼にできたのは何だろう? ロックスターになれたかもしれないのに」
But he didn't have the money for a guitar
でも、彼はギターを買うお金もなかった
"What could he do? Should have been a politician"
「彼にできたのは何だろう? 政治家になれたかもしれないのに」
But he never had a proper education
でも、彼はまともな教育も受けなかった
"What could he do? Should have been a father"
「彼にできたのは何だろう? 父親になれたかもしれないのに」
But he never even made it to his twenties
でも、彼は二十歳にもなれなかった
What a waste
なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち
Ooh, what a waste of
ああ、なんてもったいない
Army dreamers
夢見る兵士たち

"B.F.P.O."
Did-n-did-n-did-n-dum
Army dreamers
Did-n-did-n-did-n-dum
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
Army Dreamers
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
No harm heroes *12
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
Army dreamers.
"Mammy's hero"
"B.F.P.O."
No harm heroes


備考
  1. B.F.P.O. : "The British Forces Post Office(英国軍隊内郵便局)" または "British Forces Posted Overseas (海外に配置された英国軍)"
  2. ※これは、文字通り英国軍の海外派兵隊から帰ってくるという意味にもとれるが、戦死者の遺体が軍専用の郵便番号システムを利用して郵便物と同様の扱いを受けて移送されることを示唆するようにも見える。
  3. aerodrome = airdrome : 飛行場、空港
  4. make it to : うまく間に合う、着く、うまくやりとげる
  5. waste : 浪費、空費、機会を逃す(逸する)こと
  6. o'er = over (韻文で2音節を1音節にするための省略形)
    tin box : おそらく「粗末な棺」を示唆するものだろう
  7. be not to know : 語られるべきでない、知りようがない
    be to ~ : ~に向かっている→自分の意思で変えようのない→公式の予定・運命→~することになっている(予定・不可能性・意思・運命・義務・命令などを表す)
  8. ego : 自我、自惚れ、自尊心
  9. pick : 選択(権)、選択された人物、最上級のもの、選り抜き
    pip : サイコロ・トランプの目・点、士官の階級を示す星、パイナップルの表皮の小区切り、リンゴ・オレンジの種子、個々の根茎・根株
  10. stripe : 縞地、縞で階級等を示す徽章
    ribbon : リボン、勲章の飾り紐、軍人に与えられる勲章
  11. buttons and bows : おそらく「着飾る・おしゃれする」ことを示す。
  12. no harm : 害にならない、悪いことはない、悪意はない


 1980年のアルバム "Never for Ever" より。

World On Fire

2014年09月03日

World On Fire : Sarah McLachlan




Hearts are worn in these dark ages *1
この暗い時代に多くの心が擦り切れ疲れ果てている
You're not alone in these stories pages *2
この物語の中にいるのはあなただけじゃない
The light has fallen amongst the living and the dying *3
生きる者たちにも死にゆく者たちにも、等しく日は落ちてしまった
And I'll try to hold it in, yeah, I'll try to hold it in *4
私はこれを心に留めていたいと思う。心の内にしまっていようと思う

※ The world is on fire
世界は火に焼かれており
It's more than I can handle *5
それは私には扱いきれないほど大きい
I'll tap into the water *6
それでも私は水栓を開けよう
Try and bring my share *7
自分の役目を果たしたい
Try to bring more
もっと何かをもたらしたい
More than I can handle
自分が扱える以上のものを
Bring it to the table *8
何か役立つことを
Bring what I am able ※ *9
できる限りのことを

I watch the heavens but I find no calling
空を見上げる。けれども、天命は見つからない
Something I can do to change what's coming
私に何ができるだろうか。今起きようとしている事を変えるために
Stay close to me while the sky is falling
私の近くにいて。だって、天が落ちようとしているのだから
I don't wanna be left alone, don't want to be alone
私は一人にはなりたくない。一人にはされたくない

※~※

Hearts break, hearts mend, love still hurts *10
心が砕け、心が癒え、そして、愛がまた傷つける
Visions clash, planes crash
幻想が衝突する。飛行機が衝突する
Still there's talk of saving souls *11
今もなお、魂は救われるなどと言う声がある
Still the cold is closing in on us *12
今もなお、孤立は私たちに迫ろうとしているのに

We part the veil on our killer sun *13
私たちは、有害な太陽光を遮る帳を切り裂く
Stray from the straight line on this short run *14
短距離走のような短い真っ直ぐな道からも外れてしまう
The more we take the less we become
奪えば奪うほどに私たちは小さくなる
The fortune of one man means less for some
一人の富は誰かの欠乏を意味するのだから

※~※


備考
  1. wear : 身につける、着用してすり切らす・すり減らす、侵食する、疲労させる・やつれさせる
  2. not alone in ~ : ~において[主語は]独りではない、~しているのは[主語]だけではない、[主語]だけが~しているのではない
  3. amongst = among : 3つ以上のものの間で(「2つのものの間で」は between)
    ※ここで between ではなく amongst が使われているのは単に音節上の都合なのかもしれないが、仮にそうであっても living と dying は複数の生と死を意味するのだろうと思いこのように意訳したが、間違っているかもしれない。
  4. hold in : 感情などを抑制する、隠す、閉じ込める、記憶に留める、支える・保持する、拘束する
    ※ hold it in は「この悲しみを忘れてはならない」または「この怒りを外に出してはならない」だろうと思い、ここでは両義を込めて曖昧に訳したが、いずれも間違っているかもしれない。
  5. handle : 手を触れる、手で扱う・いじる、事を処理する、人・問題を扱う、あしらう、統御・操縦する、操る
  6. tap : 飲み口を開けて液体を出す、栓を抜く、刻み目をつけて樹液を出す、せきを切る
    tap into : 入り込む、活用する、開発する、人に取り入る・近づく
    ※ここでは上の fire からの連想で「火を消すための水を出す」というニュアンスだろうと思ったが、"tap off" ではなく "tap into" なので間違っているかもしれない。
  7. bring : 持って来る、連れて来る、もたらす、来させる
  8. bring to the table : 食卓に持ち込む→有益なものを提供する
  9. ※ここは Bring what I am able to do で、bring を指す to do が省略されているのではないだろうか。
  10. ※ここは動詞を自動詞ととるか他動詞ととるかで意味合いが微妙に変わるが、ここでは、自分の感覚に合うように意訳している。
  11. talk : 世評、噂
    There's talk of ~ : ~という話だ、~の噂がある
  12. cold : 寒さ、寒気、冷気、風邪、孤立、無視
    close in : 接近する、押し寄せる、包囲する、迫る
  13. part : ばらばらにする、壊す、割る、裂く、切る、分割する、分ける
    ※この一行は、紫外線を吸収して生態系を保護するオゾン層をフロン等の化学物質の放出により人間が破壊していることを指し、そしてそれは、人間を殺すのは私たち人間であるという隠喩ではないだろうか。
  14. stray : 道からそれる、道に迷う、群れからはぐれる
    ※ run は「走ること、逃走、競争、走る行程、走行」だが、ここでは「短い一生」も示唆するように見える。


 2003年のアルバム Afterglow より。サラ・マクラクランはこの歌を2001年の米同時多発テロに対する "response(応答・反応・返答・感応)" として作ったと各所で語っているそうです(http://www.songfacts.com/detail.php?id=4010)。
 また、通常プロモーションビデオを一本制作するのに15万ドルかかる(本当かなと思えるほど高額ですが)そうなのですが、冒頭の動画は15ドルで制作し、残りの予算約15万ドルを複数の基金などに寄付したそうです。動画の中では、例えばロサンゼルスで制作アシスタントを一人雇うのに一日200ドルかかるがエチオピアでは同じ金額で100人の子供が一学期学校に通える、一日分の化粧と整髪の料金5000ドルでアフガニスタンでは145人の少女が一年間学校に通える、といったことを説明しています。
 私は欧米でよく見られる慈善行為をあまり好きではありません。最近流行っているバケツの氷水をかぶる映像などは見ていて吐き気を催します。ただ、この動画に関しては私たちが知っておくべき事柄を分かりやすく伝えるのに有効な役割を果たしていると思います。そして、"World On Fire" も、深く考えて作られた美しい歌詞だと思います。



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