The Heart Asks Pleasure First

2015年06月29日

The Heart Asks Pleasure First : Nightwish




Silent night surrounding me
静かな夜が私を包んでいる
On the shore of wistful sea *1
物言いたげな海の浜辺で
A kindest heart made me believe
まだ優しかった自分の心のおかげで私は信じられた
The world as I wish it to be
世界は私の望むようになると

Wind in the wheat *2
麦に吹く風
Kiss by a hearth *3
暖炉の傍らでの口づけ
Little hideaways for a lonely heart
寂しい心のための小さな隠れ家

Passed away in beauty's doom *4
美の儚い運命とともに失ってしまった
The good in me the child within
幼い頃には持っていた善良さを
A cruelest heart made me forget
残酷になった自分の心のせいで私は信じられなくなった
The world as I wish it to be
世界が私の望むようになると

Home inside but lost for life
家にいながら人生を見失い
Human heart longing for love
それでも人の心は愛を求める
Slave to the toil this mortal coil *5
労苦に囚われたこの死すべき運命の螺旋
The strife, the suffering, the void *6
争いと対立、苦しみと悩み、空虚と喪失

Wind in the wheat
麦に吹く風
Kiss by a hearth
暖炉の傍らでの口づけ
A dead calm winter morn
死んだように凪いだ冬の朝
Morning birds and a smile of a stranger
朝の鳥、見知らぬ人の微笑み

Frozen moments in time
時が凍りついた瞬間
Little hideaways, the marrow of life *7
小さな隠れ家、生命の心髄
Little hideaways for a lonely heart
寂しい心のための小さな隠れ家

Wind in the wheat
麦に吹く風
Kiss by a hearth
暖炉の傍らでの口づけ
Little hideaways for a lonely heart
寂しい心のための小さな隠れ家

Silent night surrounding me
静かな夜が私を包んでいる
On the shore of wistful sea
物言いたげな海の浜辺で
A kindest heart made me believe
優しかった私の心は私を信じさせた
The world as I wish it to be
世界は私の望むようになると


備考
  1. wistful : 切ない、諦めきれない、懐かしげな。痛切な、物言いたげな、物思いに耽る
  2. wheat : 小麦
  3. hearth : 暖炉の炉床、炉辺、家庭の団欒
  4. doom : 運命、凶運、悲運、破滅、滅亡、死。判決、宣告、最後の審判
  5. toil : 苦しい仕事、骨折り、労苦、労役
    mortal : 死を免れない、死すべき、死ぬ運命の。人間の、人類の。致命的な、致死の、命に関わる
  6. strife : 激しい衝突・対立、けんか・口論。競争、争い
    suffering : 苦しみ、苦痛、悩み
    void : 空間、空洞、真空、虚空。空虚、空しさ、喪失感
  7. marrow : 髄、髄質、骨髄、脊髄。心髄、核心。栄養物。活力、力


 2012年のシングル盤レコード "The Crow, the Owl and the Dove" のカップリング曲です。原曲は1993年のジェーン・カンピオン監督の映画 "The Piano"(邦題『ピアノ・レッスン』)のサントラとしてマイケル・ナイマンが作曲したものです。原曲には歌詞がなく、この歌詞はナイトウィッシュのリーダー、ツォーマス・ホロパイネンが書いたものです。
 歌詞は、映画の内容にある程度沿っているように見えますが、曲名の由来である詩の作者エミリー・ディキンソンを意識しているようにも思えます。米マサチューセッツ州の名家で生まれた彼女は、一生を独身で過ごしその生涯のほとんどを生家から出ることなく隠者のような生活を送ったそうです。そして、彼女の作る詩はなぜかタイトルが付けられていなかったということです。


  


  The heart asks pleasure first,
  心は、まず初めに快楽を求めようとする
  And then, excuse from pain;
  その次に、苦痛から免れようとする
  And then, those little anodynes
  その次に、このちっぽけな鎮痛剤で
  That deaden suffering;
  苦難を和らげようとする

  And then, to go to sleep;
  その次に、眠りにつこうとする
  And then, if it should be
  その次に、もしそれが逃れようのない
  The will of its Inquisitor,
  心の審問官の意志であるのなら
  The liberty to die.
  死ぬ自由がある
             (by Emily Elizabeth Dickinson)

Chandelier : Sia

2015年06月23日




Party girls don't get hurt *1
パーティー狂の女だったら傷つかないのに
Can't feel anything, when will I learn
何も感じないでいられるのに。いつか私もそうなれるかな
I push it down, push it down
そんな気持ちを抑え込んでいる

I'm the one "for a good time call" *2
「楽しい時間が欲しかったら、電話して」って書かれた女みたい
Phone's blowin' up, they're ringin' my doorbell *3
誰も彼もが電話してくる。ドアベルを鳴らす
I feel the love, feel the love
私はそれを愛だと思っている

※ 1, 2, 3 1, 2, 3 drink
一、二、三、一、二、三で、飲む
Throw 'em back, till I lose count
それをすべて投げ返す。その数も分からなくなってしまう

I'm gonna swing from the chandelier, from the chandelier *4
これからも私は、シャンデリアにぶら下がって揺れ続けるのだろう
I'm gonna live like tomorrow doesn't exist
そして、明日など存在しないかのような生き方をするのだろう
Like it doesn't exist
明日など存在しないかのように
I'm gonna fly like a bird through the night, feel my tears as they dry
これからも私は、夜通し、鳥のように飛び続けるのだろう。そうすれば涙が乾くと思うのだろう
I'm gonna swing from the chandelier, from the chandelier
これからもシャンデリアにとまって揺れ続けるのだろう

But I'm holding on for dear life, won't look down won't open my eyes *5
でも、今はただ必死にしがみついているだけ。下を見たくない、目を開けたくない
Keep my glass full until morning light, 'cause I'm just holding on for tonight *6
朝になるまでこのグラスを満たし続けて。今夜だけでも頑張り通すから
Help me, I'm holding on for dear life, won't look down won't open my eyes
助けて。必死にしがみついているのよ。下も見られない、目も開けられない
Keep my glass full until morning light, 'cause I'm just holding on for tonight
朝になるまでこのグラスを満たし続けて。今夜だけでも頑張り通すから
On for tonight ※
今夜だけでも

Sun is up, I'm a mess
日が昇る。汚らしい私
Gotta get out now, gotta run from this *7
今すぐ出なくちゃ。ここから逃げなくちゃ
Here comes the shame, here comes the shame
ああ、恥ずかしい。なんて恥ずかしい

※~※

On for tonight
夜にしがみついている
'Cause I'm just holding on for tonight
だって、私は今夜だけでも頑張り通すのだから
Oh, I'm just holding on for tonight
ああ、今夜だけでも頑張ろう
On for tonight
夜にしがみついて


備考
  1. party girl : パーティーの他には何も関心を持たない(ほどパーティー好きの)女。パーティーで男性客をもてなすために雇われる若い女。娼婦
  2. for a good time call : 「テレフォンクラブの女」や「公衆トイレに番号を落書きされた女」などを示唆するように見える
  3. blow up : ふくらむ、破裂する、爆破する
  4. "be gonna = be going to" は、意志未来の場合「発話の時点で決めたあるいは発話の時点が強調された未来への意志→~する(つもりだ)」ではなく「以前から決めていた未来への意志あるいは過去のいつかの時点で決めてしまった意志→~することになっている、~する予定が立っている」を意味するらしい。ここでは「明日も明後日も私はただ何となくそうするのであろう」くらいの意味ではないだろうか。
  5. hold on for dear life : 必死になってしがみ(すがり)つく
    ※この一行はシャンデリアにぶら下がり落ちないよう必死につかんでいる比喩からの連想だと思われる。
  6. hold on : 止まる、やめる、待つ。つかみ続ける、離さない、堅持する。その場を持ちこたえる、耐える
  7. gotta = have got to = have to : ~しなければならない


 2014年のアルバム "1000 Forms of Fear" より。Sia Kate Isobelle Furler は1975年生まれのオーストラリアの歌手です。
 この歌詞はアルコール依存症など「病」と言っていいほどのひどい精神状態を表したものなのでしょう。それが具体的に何なのかは聞く者の感性に委ねられているように見えます。解釈はなかなか難しいと思います。ただ、神経に直に響くような歌声は、この歌詞が彼女の実体験を元にしたものであることを想像させます。私は彼女の音楽的な経歴も私的な経歴も全く知りません。彼女の歌唱力が優れているのは若い頃からあまり変わりはないのでしょうが、この歌や "She Wolf", "Titanium" など最近の歌はとても感動するのに、YouTube にある昔の歌を聞いてもそれほど魅力を感じません。人生経験を積んで初めて得られる表現力というのもやはりあるのだと感じさせる歌声です。
 MVでは11歳の少女が見事なダンスを披露しています。パーティーガールになれたら楽になるのにと思いながら夜通しシャンデリアからシャンデリアへと飛び移り続ける鳥の心情をこのような子供が表現できるとは思いませんし表現して欲しくもありませんが、この曲と彼女のダンスはなぜか調和がとれているように見えます。ダンサーの表現と心情、歌手の表現と心情、異なるこの二つがどのように効果を及ぼし合っているのか興味深いところです。


 <関連記事>
   ☆ Titanium : David Guetta ft. Sia

Telling Stories

2015年06月08日

Telling Stories : Tracy Chapman




There is fiction in the space between the lines on your page of memories
挟まれた場所には作り話がある。あなたの記憶のページの行と行の間には
Write it down but it doesn't mean you're not just telling stories *1
あなたが書くものではあるけれど、でも、あなたはただ作り話をしてるだけじゃない

There is fiction in the space between you and reality
作り話がある。あなたと現実の間に挟まれた場所には
You will do and say anything to make your everyday life seem less mundane *2
ありきたりな日常から平凡を少しでもなくすために、あなたは何でもしようとする
There is fiction in the space between you and me
作り話がある。あなたと私の間に挟まれた場所には

There's a science fiction in the space between you and me
科学的な作り話がある。あなたと私の間に挟まれた場所には
A fabrication of a grand scheme where I am the scary monster *3
大げさな仕組みの作り事の世界で、私は恐ろしい怪物になり
I eat the city and as I leave the scene, in my spaceship I am laughing
町を食べ尽くす。場面が変わると、宇宙船の中で私は笑っている
In your remembrance of your bad dream, there's no one but you standing *4
悪い夢の記憶の中では、立ち尽くすあなたの他には誰もいない

Leave the pity and the blame for the ones who do not speak *5
哀れみや非難は残しておきなさい。物言わぬ人たちのために
You write the words to get respect and compassion and for posterity *6
あなたは言葉を書く。尊敬と同情を得るために。そして後世の人たちのために
You write the words and make believe there is truth in the space between *7
あなたは言葉を書く。私たちに信じさせようとする。挟まれた場所には真実があると

There is fiction in the space between you and everybody
作り話がある。誰であろうと、あなたと誰かとの間に挟まれた場所には
Give us all what we need, give us one more sad sordid story *8
私たちに必要なものをちょうだい。もっと悲しく薄汚い物語をちょうだい
But in the fiction of the space between sometimes a lie is the best thing
でも、挟まれた場所の作り話の中では、時には嘘が最良のものであるのよ
Sometimes a lie is the best thing
時には、嘘が最良のものであるのよ


備考
  1. tell stories : 話をでっち上げる、作り話をする、嘘をつく
  2. mundane : 現世の、世俗の、平凡な、ありきたりの
  3. fabrication : 偽造物、偽造文書、作り事、嘘。製作、製造、組み立て、構成
  4. remembrance : 心に刻まれた印象・記憶、思い出、追想、回想
  5. leave A for B : AをBに残しておく、AをBにとっておく
  6. posterity : 後世の人々、子孫
  7. make believe : ふりをする、見せかける
  8. sordid : 下劣な、浅ましい、卑しむべき。汚い、むさ苦しい、薄汚い。くすんだ色の


 2000年のアルバム "Telling Stories" より。
 私の訳文が堅苦しいために分かりにくいかもしれませんが、字面だけを追うと、この歌詞は、作家である「あなた」に対して読者の一人である「私」が語りかけている体裁がとられているように見えます。「あなた」は fiction(小説・虚構) において truth(真実)を "make believe(見せかけよう)" とするけれど、私が欲しいものは、薄汚い物語の中の「嘘」であって、見せかけの「真実」ではない…曖昧ですがこんな感じでしょうか。英語を誤読して全体の趣旨も理解し損ねているかもしれませんが…。
 また、小説家と読者を隠喩と受け取ればもっと一般的な人間関係における言葉と真実と嘘について語っている歌だととれるのかもしれません。いろいろと想像を膨らますことができる深みのある歌詞だと思います。このブログで彼女の歌を翻訳するのはこれで5曲目ですが、その中ではこの歌詞がいちばん好きです。



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