Chim Chim Cher-ee

2016年06月28日

Chim Chim Cher-ee : Louis Armstrong




※ Chim chim chim chim-in-ey, chim chim chim chim-in-ey *1

Chim chim-in-ey, chim chim-in-ey, chim chim cher-ee
A sweep is as lucky, as lucky can be *2
煙突掃除屋は幸運を呼ぶ。最高にラッキーな奴さ
Chim chim-in-ey, chim chim-in-ey, chim chim cher-oo
Good luck will rub off when I shake hands with you *3
俺と握手すりゃ、幸運を呼び込めるぜ
Or blow me a kiss and that's lucky too *4
俺に投げキッスを寄越すだけでもあんた幸せになるよ

Chim chim chim chim-in-ey, chim chim chim chim-in-ey

Now as the ladder of life has been strung *5
すべての生き物にはしごのような階級があるとしたら
You may think a sweep's on the bottommost rung *6
俺のような煙突掃除屋は最下層だと思うだろ
Though I spend my time in the ashes and that hm-hmm
確かに俺はほとんどの時を灰やなんかの中で過ごしてるけど
In this whole wide world there's no happier cat *7
この広い世の中で俺ほど幸せな奴はいないんだ

Chim chim chim chim-in-ey, chim chim chim chim-in-ey

I choose my bristles with pride, yes, I do *8
俺は誇りを持ってこの豚毛を選んでる
A broom for the shaft and a brush for the flue *9
煙突用の箒も煙道用のブラシもそうだ
Though I'm covered in soot from my head to my toe *10
確かに頭のてっぺんから足の先まで煤だらけだけど
A sweep knows he's welcome where'er he goes *11
煙突掃除屋は分かってるんだ。どこへ行っても大歓迎されるってことを

Chim chim chim chim-in-ey, chim chim chim chim-in-ey

Chim chim chim chim-in-ey, chim chim chim chim-in-ey

Chim chim-in-ey, chim chim-in-ey, chim chim cher-ee
When you're with a sweep, you're in good company *12
煙突掃除屋と一緒にいりゃあ、いい仲間になれるぜ
Nowhere there's a more happy crew
どこにもいないぜ。こんなハッピーな連中は
Than them that sings
いつもこんな風に歌うんだ。
Chim cham chim cher-oo
Chim-in-ey chim-ee cher-oo chim-cher-ee
Chim chim chim chim-in-ey ※

<※~※>繰り返し


備考
  1. chimney : 煙突
    ※ "chiminey" と "i" が入っている理由は分からないが、語呂をよくするためや言葉遊びなのだろうか?
  2. sweep : 掃除、一掃、掃除人、煙突掃除人
    as ~ as can be : この上なく、ひどく、最高に、完全に
  3. rub off : こすれて取れる、すり減る。人に受け継がれ
  4. blow(throw) a person a kiss : 投げキスを送る
  5. string-strung-strung : 糸・紐・弦を付ける、弦を張る、紐を通す。糸や紐で吊るす。一列に並べる、一続きに配列する、つなぎ合わせる。(受身)連なっている
    ladder of life : 生命の梯子。アリストテレスは、生命の形態は梯子のように階級をつけることができ、下層の単純な生物から上層の複雑な生命へと段階がつけられると考えた。そして、その形態と順位は永遠不変であり、最上部に位置するものを「神」ととらえている。
    bottomost : 最低部の、いちばん奥まった所の、最下層の、どん底の
  6. rung : はしごの横桟。枠組み等の棒、車のスポーク。地位等の段階、レベル
  7. cat : 人、やつ、男
  8. bristle : 粗い毛、剛毛、剛毛状の物
  9. broom : ほうき、長柄のブラシ
    shaft : 柄、軸部、シャフト。一条の光線、稲妻の閃き。旗竿。柱体、柱型、煙突、垂直坑
    flue : (煙突の)煙道、送気管、ガス送管
  10. soot : 煤(すす)、煤煙、油煙
  11. where'er = wherever
  12. be in good company : よい仲間とつきあっている



"Chim-Chim Cher-ee" from "Mary Poppins"




Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-ee
A sweep is as lucky, as lucky can be
煙突掃除屋は果報者。最高の運をもたらすんだ
Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-oo
Good luck will rub off when I shakes hands with you *1
僕と握手すれば、幸運が伝わるよ
Or blow me a kiss and that's lucky too
僕に投げキッスをくれるだけでも幸せになれるよ

Now as the ladder of life has been strung
あらゆる生き物に梯子のような階級があるのだとしたら
You may think a sweep's on the bottommost rung
煙突掃除屋は最底辺の段にいると思うだろ
Though I spends me time in the ashes and smoke *2
僕はいつも灰と煙の中で過ごしてるけど
In this whole wide world there's no happier bloke *3
この広い世界で僕ほど幸せ者はいないんだよ

Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-ee
A sweep is as lucky as lucky can be
煙突掃除屋は果報者。最高の運をもたらすんだ
Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-oo
Good luck will rub off when I shakes hands with you
僕と握手すれば、幸運が伝わるよ

Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-ee
A sweep is as lucky as lucky can be
煙突掃除屋は果報者。最高の運をもたらすんだ
Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-oo
Good luck will rub off when I shakes hands with you
僕と握手すれば、幸運が伝わるよ

 ………

I choose me bristles with pride, yes, I do
僕は誇りを持ってこの豚毛を選んでる
A broom for the shaft and a brush for the flue
それに煙突用の箒も煙道用のブラシも

Up where the smoke is all billowed and curled *4
煙がうねり渦巻くこの場所
'tween pavement and stars is the chimney-sweep world *5
人の歩く道と星たちとの間にあるここが、煙突掃除屋の世界なんだ

When there's hardly no day, nor hardly no night *6
ここには昼もなければ夜もないんだ
There's things half in shadow and half way in light
すべてのものが、半分は影の中に、半分は光の中にある
On the rooftops of London, coo, what a sight
ロンドンじゅうの屋根の上の光と影。ああ、なんと美しい景色だろう

 ………

Chim chiminey, chim chiminey, chim chim cher-ee
When you're with a sweep you're in glad company
煙突掃除屋と一緒にいれば、いつでもいい仲間になれるよ

Nowhere is there, a more happier crew
ここはいちばんさ。こんな楽しい連中は他にいないよ
Than them what sings
みんなこうやって歌うんだ
Chim chim cher-ee, chim cher-oo
Chim chim chiminey
Chim chim, cher-ee chim cher-oo


備考
  1. ※ "shake" に文法的に誤りな "s" が付いているのは、煙突掃除人がロンドンの労働者階級の言葉である "Cockney" という英語を使っていること、あるいは標準的な教育を受けていないことを示唆するものだろうと思う。
  2. ※ここで "spend → spends" 及び "my time → me time" と間違っているのも *1 と同じ。
  3. (イギリス)男、やつ。(アメリカ)コカイン。
  4. billow : 大波が立つ、うねる。(大波のように)押し寄せる、うねる、渦巻く
    curl : 巻き毛にする、カールさせる、渦巻状にする。曲げる、ねじる、ゆがめる、丸くなって寝る
  5. pavement : (イギリス)人道、歩道。(アメリカ)舗装道路。
  6. ※ "hardly no" は二重否定。この二重否定が「否定の強調」だと「昼でもなく夜でもなく」となり、「否定の否定=肯定」だと「昼も夜も」となる。ここでは文脈から前者と判断したが、後者でも成り立つような気がするので、日本語の訳文としては間違っているかもしれない。ただ、意味内容としては結果的には「昼と夜の区別がない=昼でも夜でもない=昼も夜も同じように」というように、どちらの解釈でも言いたいことは伝わるようにも思う。


 ルイ・アームストロングは1901年ルイジアナ州ニューオリンズ生まれのジャズミュージシャン。この曲は1964年のディズニーのミュージカル映画 "Mary Poppins" の挿入曲です。原作はイギリス児童文学で、魔法使いのような乳母のメアリー・ポピンズが子供たちや恋人のバートらといろいろな騒動を繰り広げる物語だそうです。私は映画も原作も見たことがなく、ルイ・アームストロングが歌ったものしか知りませんでした。二番目に掲載している原曲は今回の翻訳に際して初めてきちんと聞きました。そのため、この曲にまつわる情報はほとんど知りませんが、ルイ・アームストロングの歌は昔からとても好きでした。
 なお、ルイ・アームストロングの歌詞が一部原作と違っており、英文の色を変えてあります。"happier bloke" が "happier cat" なのはアメリカ人に分かりやすいようにということだろうと思いますが、その他についてはその理由は分かりません。

Bird on the Wire

2016年06月12日

Bird on the Wire : Leonard Cohen




Like a bird on the wire
電線に止まる鳥のように
Like a drunk in a midnight choir *1
真夜中に群れて歌う酔っ払いのように
I have tried in my way to be free
自分なりに自由であろうとしてきた
Like a worm on a hook *2
釣り針に掛けられたミミズのように
Like a knight from some old fashioned book *3
古めかしい本から抜け出した騎士のように
I have saved all my ribbons for thee *4
ぼろぼろになった勲章をあなたのために守り通した

If I, if I have been unkind *5
もしも、もしも私が思いやりに欠けていたとしたら
I hope that you can just let it go by *6
できればただ見過ごしてもらえないだろうか
If I, if I have been untrue *7
もしも、もしも私が誠実と公正に欠けていたとしたら
I hope you know it was never to you
それはあなたに対してではなかったと分かって欲しい

Like a baby, stillborn *8
死産の赤子のように
Like a beast with his horn *9
角を持つ獣のように
I have torn everyone who reached out for me *10
手を差しのべてくれるすべての人を(意図せずに)傷つけてきた
But I swear by this song
だが、この歌にかけて誓う
And by all that I have done wrong
犯したすべての間違いにかけて誓う
I will make it all up to thee *11
あなたにそのすべての埋め合わせをすると

I saw a beggar leaning on his wooden crutch *12
松葉杖をついた乞食に出会った
He said to me, "You must not ask for so much"
「そんなに多くを求めちゃいけないよ」と彼は言った
And a pretty woman leaning in her darkened door *13
暗い戸口にもたれた綺麗な女に出会った
She cried to me, "Hey, why not ask for more?" *14
「ねえ、もっとたくさん求めてよ」と彼女は泣き叫ぶように言った

Oh like a bird on the wire
電線に止まる鳥のように
Like a drunk in a midnight choir
真夜中に群れて歌う酔っ払いのように
I have tried in my way to be free
私は私なりのやり方で自由であろうとしてきた


備考
  1. choir : 聖歌隊、合唱隊、合唱団、楽団、さえずる鳥の群れ
    ※空を飛ぶ鳥は自由の象徴であるが電線に止まる鳥はその自由を謳歌していない状態を示している。同様に合唱は自由の象徴であるがそれが真夜中の酔っ払いであることはその自由が周りの人間からは迷惑以外の何物でもないことを示している。そして、そのいずれも自由を得たいのに上手く行かずあがいている様子を表しているのではないだろうか。
  2. hook : 鉤、留め金。釣り針。ホック。人を引っかける罠
  3. old-fashioned : 古めかしい、昔風の、時代遅れの、昔流行した。旧態依然とした、古風な、昔かたぎの
  4. ribbon : リボン。紐・帯状のもの。屑きれ、ぼろきれ、ぼろぼろの状態。勲章の飾り紐、記章、勲章
    thee : "you(目的格)" の古語。thou(主格)-thy(所有格)-thee(目的格)。
    ※釣餌も本の騎士も自分の意志で自由に動くことはできない。そのために本当は十分に "save ribbons" することはできなかったはずである。"save ribbons" が何を意味するのかはよく分からないが、ここでは一応「誇りを守る」、「あなたがくれたリボン(親愛の象徴)を守る」等を想像して訳した。この一行の翻訳は間違っている可能性が高い。
  5. unkind : 不親切な、思いやりの無い、薄情な、酷薄な
  6. let ~ go by : (チャンス等を)見逃す、利用しない。(人の言動に)影響されない、~を気にしない。(人の過失に)触れずに済ます。~を見過ごす
  7. untrue : 虚偽の。忠実・誠実でない、公正でない、不正な。標準に合わない
  8. stillborn : 死産の。(計画等が)実現される前に挫折した、日の目を見ずに終わった
  9. beast : けだもの、大きな四足獣。(人間に対して)動物、獣。獣性、肉欲。獣のような人、人でなし、残忍(粗野・不潔)な人
  10. tear-tore-torn : 引き裂く、引きちぎる。裂傷を負わす。無理に引き離す。ひどく悲しませる・苦しめる
    ※訳文中の "(意図せずに)" は意訳であり英文には表されていない。死産の子が親や家族を悲しませるのは本人の意志ではどうにもならない運命であること、同様に他を傷つける角を持つ獣として生まれたことはその獣にとってどうにもならない運命であることを示しているのだろうと思う。
  11. make it up to : (人に)埋め合わせをする、償いをする
    make up with : ~を仲直りをする
  12. lean : (ある方向に)体を曲げる・伸ばす、(木などがある方向に)傾く。寄りかかる、もたれる
    crutch : 松葉杖
  13. darkened : 明かりの消えた、暗い
  14. Why not ~? = Why don't you ~? : ~してみたら?、~したらどうですか?、~しましょう(軽い提案を表す)
    ※乞食も女も自分にアドバイスをしてくれる人間の例として挙げられている。そして、それは相互に矛盾することがあり得、自分の迷いはやはり自分で解決するしかないと言っているように見える。また、深読みすると、何も持たない乞食が何も求めるなと言い多くを持っているであろう美しい女がもっと求めなさいと言うのは、自由であるはずの意志そのものが実はその人間が置かれた環境に規定された不自由なものであると表しているようにも思える。


 1969年のアルバム "Songs from a Room" より。1934年生まれのレナード・コーエンが35歳の頃の作品です。自分のわがままな生き方で相手を傷つけてきたことを恋人や配偶者に謝罪する内容の歌にも見えますが、"you" を神ととらえると自分の生き方についての悩みや迷いを歌っているようにも思えます。



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