The Unforgettable Fire : U2

2011年01月08日

2010年米カリフォルニア州ローズボウルスタジアム


1987年仏パリ公演



Ice, your only rivers run cold *1
凍てついた川が 冷たく流れる
These city lights, they shine as silver and gold
街の灯が 金銀に輝く
Dug from the night, Your eyes as black as coal *2
夜から掘り起こされた お前たちの目は石炭のように黒い

Walk on by, walk on through
歩け 私の横を 歩け 私を通り越して
Walk 'til you run *3
歩け そして走れ
And don't look back, for here I am
振り返るな 私はここにいる

Carnival, the wheels fly and the colors spin
馬鹿騒ぎの祝祭 車が飛び色彩が回る
Through alcohol, red wine that punctures the skin *4
アルコールの中で 赤いワインが肌を突き破る
Face to face, in a dry and waterless place *5
顔と顔を合わせて 乾いた、水のない土地で

Walk on by, walk on through
進め 私の傍で 進め 私を通り越して
So sad to besiege your love so head on *6
悲しみがお前たちの愛を取り囲むだろうが 前へ進め

Stay in this time, stay tonight in a lie
とどまれ 今は とどまれ この偽りの夜に
I'm only asking, but I, I think you know
私は頼むことしかできないが お前たちには分かると思う
Come on take me away
さあ連れて行ってくれ
Come on take me home, h ome again
故郷へと連れて行ってくれ 再び故郷へと

And if the mountain should crumble, or disappear into the sea *7
たとえ山々が崩れ 海へ落ち去ったとしても
Not a tear, no not I
涙はない、私は泣かない

Stay in this time, stay tonight in a lie
とどまれ 今は とどまれ この偽りの夜に
Ever after, this love in time *8
そうすれば この愛は間に合う
And if you save your love
もしお前たちがまだ愛を持っているのなら
Save it all
すべてを救え

Don't push me too far, don't push me too far
急き立てないでくれ 追い立てないでくれ
Tonight, tonight
今夜は 今夜だけは


備考
  1. 核の冬 : 核戦争後に大規模な地球環境の変動が起こり人為的に氷期が発生すると予測される現象。1983年にカール・セーガンらによって発表されたレポートによる。(ウィキペディアより)
  2. dig - dug - dug : 掘る、掘り起こす、掘り返す、掘り出す、発掘・採掘する
  3. 'til = till : ~まで(ずっと)
  4. puncture : 刺す、貫く、穴をあける、タイヤに空気漏れさせる
  5. 『申命記』8章。「主はあなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出し、……水のない、かわいた地を通り、……」
  6. besiege : 町・要塞を包囲する、押し寄せる、群がる
    head : [動] 先頭に立つ、~に向ける、~に向けて進む
    head-on : [副・形] 正面から(の)、真っ向から(の)
  7. 聖書の記述が連想されるが、Ben E. King の "Stand By Me" の歌詞が直接引かれているようにも思える。
  8. ever after : その後常に(絶えず、繰り返して)
    in time : 間に合って、遅れずに、いつかは、そのうちに


 1984年の同名のアルバムに収録。
 Wikipedia によるとシカゴの平和博物館で広島・長崎の被爆者が描いた絵を見た U2 のメンバーが、そこから感じ取ったものを歌にしたそうです。それが本当だとすれば「忘れられない炎」とはアメリカにより広島と長崎に落とされた原爆の火を指しています。
 歌詞全体からは聖書とくに申命記の内容がイメージされます。申命記は、エジプト脱出から40年に及ぶ荒野での放浪の後に死を目前にしたモーセがイスラエルの民にした説法をその内容としています。40年もの長い間エジプトから「約束の地」カナン(パレスチナ)まで辿り着けなかったのは、イスラエルの民が神の教えを守らず放埓な生活をしていたためです。モーセは彼らに最後の務めとして神の律法を伝え、後継者としてヨシュアを任命します。モーセの死後ヨシュアは民を率いヨルダン川を渡って約束の地へと踏み入るのです。歌詞中の「私」がモーセを、「お前たち」がイスラエルの民を暗喩しているように思えました。
 翻訳する際によく参考にさせてもらう songmeanings.net では、この歌を「一夜限りの情事」「成就しない恋愛」などと解している人が割と多かったのには驚きました。原爆のことを知っている人もいたのですが、それでも恋愛の歌に見えるようです。作詞者はおそらくそう解釈されることを狙って作っているのだろうと思います。恋愛の歌には到底思えなかった私は、やはり自分は英語が感覚的に分かっていないのだろうと少々落胆しました。


 <関連記事>
   ☆ Stand by Me : Ben E. King



コメント

  1. 植杉レイナ | URL | -

    Re: The Unforgettable Fire

    こんにちは。
    このアルバムがリリースされたのが1984年。ヨーロッパ発反核平和運動のひとつのうねりがあったのが1982年。1980年のデビュー以来,ラヴソングの体裁をとっているようでも,政治的な心情を高らかに歌い上げることを厭わないU2の姿勢。工場日記さんのU2の曲にたいする感覚が,より正しいとおもいます。

  2. Kalavinka | URL | IeOjDy9U

    Re: Re: The Unforgettable Fire

    返事が遅くなりすみません。ここ数日ブログを見ていませんでした。
    植杉さんもU2がお好きなのでしょうか。私は初期のU2はとても好きで1988年の Rattle and Hum までは熱心に聞いていました。その後U2の音楽性の変化や私個人の心情の変化などもあってそれ以降はまったく聞かなくなりました。この頃までのU2の歌には切迫感・切実感というものを共有できる感覚があったのですが、その後彼らの世界観と私の感じる世界観がだんだんずれて行き、私には彼らの歌が理解できないようになっていきました。1980年代はソ連の崩壊と冷戦の終結、資本主義の変化など世界が大きく変わり始めた時代だと思います。それとこの感覚の乖離は通じているのかもしれません。
    まあ、特に考えがあってU2から離れたわけではなく、彼らの演奏や歌唱が私の好むものではなくなっていったというだけのことなのですが、それでも少し寂しく感じることもあります。
    コメントありがとうございました。

  3. 植杉レイナ | URL | -

    Re: The Unforgettable Fire

    U2は今でも『Achtung Baby』など聴いたりしていますが,バンドの商業的成功とは裏腹に,たしかに,私も気分は離れてしまっています。初期に『The Joshua Tree 』という最高傑作を運命付けられた“不幸”ではないかと,勝手におもっています。最近では,Perfume Geniusの『 Put Your Back In 2 It』 というアルバムがマイブームだったりするのですが,もしも少しでもいいかなと思われたら,どれか1曲取り上げて頂けるとうれしいのですが,いかがでしょうか。

  4. Kalavinka | URL | IeOjDy9U

    植杉レイナ 様

    こんばんは。コメントありがとうございます。『The Joshua Tree』はいいアルバムですね。私も大好きです。
    Perfume Genius はまったく知りませんので youtube で探して聞いてみます。予備知識のない人の歌を訳すのは私にとっては困難なことが多いので確約はできませんが、できそうであれば訳してみます。2、3日お待ちください。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://kawasaki5600.blog64.fc2.com/tb.php/115-b7e1a23e
この記事へのトラックバック


最新記事