Red Football

2011年05月11日

Red Football : Sinéad O'Connor




I'm not no red football to be kicked around the garden
わたしは赤いフットボールなんかじゃない。庭じゅうを蹴り回されるような
No, no
違う
I'm a red christmas-tree ball and I'm fragile *1
わたしはクリスマスの赤い飾り玉。たやすく壊れてしまう
I'm not no animal though I am to you
わたしは動物なんかじゃない。あなたにとってはそうだろうけど

I'm not no crocodile like the one in Dublin Zoo
わたしはダブリン動物園にいるワニなんかじゃない

Who lived in a cage the length and breadth of his body *2
体の大きさと同じほどの檻に暮らす
With a window which people could look through
人々は窓から覗き込み
And throw coins on his back to taunt him
彼の背にコインを投げて愚弄する
'though he couldn't move even if he wanted to *3
彼は動きたくても動けないというのに

I'm not no animal in the zoo
わたしは動物園の動物なんかじゃない
I'm not no whipping boy for you *4
わたしはあなたの身代わりの罪人なんかじゃない
You may not treat me like you do *5
わたしを好きなように扱うのは許さない
I'm not no animal in the zoo
わたしは動物園の動物なんかじゃない

My skin is not a football for you
わたしの肌はあなたのフットボールじゃない
My head is not a football for you
わたしの頭はあなたのフットボールじゃない
My body's not a football for you
わたしの体はあなたのフットボールじゃない
My womb is not a football for you *6
わたしの子宮はあなたのフットボールじゃない
My heart is not a football for you
わたしの心はあなたのフットボールじゃない

I'm not no animal in the zoo
わたしは動物園の動物じゃない
This animal will jump up and eat you
この動物はあなたに襲いかかりあなたを食い殺すでしょう
I'm not no animal in the zoo
わたしは動物園の動物じゃない
And I've every intention of leaping up and getting you *7
わたしはいつだって狙っている。あなたに飛びかかって仕留めようと


備考
  1. fragile : こわれやすい、もろい、虚弱な、か弱い、はかない
  2. length : 長さ、縦
    breadth : 幅、広さ、横幅
    over the length and breadth of : ~の全体にわたって、隅から隅まで
  3. taunt : あざける、ののしる、なじる、愚弄する
  4. whipping : 鞭打ち(の刑罰)
    whipping boy : 王子の学友で代わりに鞭打たれる少年。(英国王室でかつて行なわれていたらしい)
  5. may not : 不許可を表す
  6. womb : 子宮
  7. intention : 意思、意向、意図、目的
    have no intention of doing : ~する気は少しもない
    leap : 跳ぶ、はねる
    get : 捕らえる、つかまえる、仕留める、殺す


 1992年10月3日。アメリカのテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」に出演したシネイド・オコナーは、ボブ・マーリーの "War" を歌った後、時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の写真をカメラの前で引き裂いて見せました。


 自身もカトリック教徒である彼女の意図の詳細は分かりませんが、打ち倒すべき対象として挙げられている歌詞中の言葉「アンゴラ、モザンビーク、南アフリカ」が「児童虐待 child abuse 」に置き換えられています。歌の最後も微妙に歌詞を変えて「子どもたちよ、子どもたちよ、戦え!」と歌い、写真を破りながら「真の敵と戦え。」と言っています。ヨハネ・パウロ2世は避妊・中絶・離婚・同性愛などに強硬に反対を唱える保守的な思想の持主である一方で、平和運動や東欧の民主化運動への貢献、他宗教への寛容さなどにより世界中の多くの人々の尊敬を集める存在でした。もちろん信者にとっては神にも近い存在なのかもしれません。教皇を冒涜するこの行為によって彼女は世界中のカトリック教徒を敵に回すことになります。二週間後の10月16日。ボブ・ディランの30周年記念トリビュート・コンサートに参加した彼女は、観客の罵声を浴び予定していた歌を歌えなくなります。バンドに伴奏をやめさせた彼女はアカペラで "War" を叩きつけるように歌い、舞台を降ります。


 カトリック教会では昔から聖職者の児童への性的虐待が隠された問題とされてきましたが、ローマカトリック教会はこれを公に認めることはなく、むしろ隠蔽に努めていたようです。2000年代に入りアメリカで起こされた訴訟事件をきっかけに多くのマスコミがこの問題を調査報道し始め、ヨーロッパ各国でも古くから児童虐待が恒常的に行なわれていたことが明らかにされてきました。そして、2010年にローマ教皇ベネディクト16世が、初めて教会の責任を認め、公式の調査を行なっていることを発表しました。サタデー・ナイト・ライブでのシネイド・オコナーの表情はとても緊張しているように見えます。恐かったのだろうと思います。彼女が蒙った傷はもう癒えたでしょうか。


 <関連記事>
   ☆ War : Bob Marley & The Wailers
   ☆ Just Like U Said It Would B : Sinéad O'Connor
   ☆ Take off Your Shoes : Sinéad O'Connor



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