Johnny I hardly knew Ye : Karan Casey

2012年07月13日




While goin' the road to sweet Athy, Hurroo hurroo *1
美しいアサイへと向かう途上
Goin' the road to sweet Athy
美しいアサイへの道すがら
A stick in me hand, a drop in me eye
杖をつく私の目には涙が浮かんでくる
A doleful damsel I heard cry *2
どこかの高貴な娘が泣いている
Johnny, I hardly knew ye *3
ジョニー。あなただと分からないわ

With your drums and guns and drums and guns, Hurroo hurroo *4
あなたの太鼓とあなたの銃で
With drums and guns and drums and guns
あなたの太鼓とあなたの銃で
The enemy nearly slew ye *5
敵はあなたを半殺しにした
My darling dear, you look so queer
愛しい人よ。あなたはすっかり変わった
Johnny, I hardly knew ye
ジョニー。あなただと分からないわ

Where are your eyes that were so mild? Hurroo hurroo
あんなに優しかったあなたの目はどこへ行ったの
Where are your eyes that were so mild
あんなに優しかったあなたの目はどこへ行ったの
When my heart you so beguiled? *6
私の心をあんなに楽しませてくれたのに
Why did you run from me and the child?
どうして私と子どもから去って行ったの
Johnny, I hardly knew ye
ジョニー。あなただと分からないわ

Where are your legs that used to run? Hurroo hurroo
あなたの脚はどこへ行ったの。あんなに走ってたのに
Where are your legs that used to run
あなたの脚はどこへ行ったの
When you went for to carry the gun?
入隊する時にはあんなに走って行ったのに
Indeed, your dancing days are done
踊る日々はほんとうに終わってしまったのね
Johnny, I hardly knew ye
ジョニー。あなただと分からないわ

You haven't an arm, you haven't a leg, Hurroo hurroo
あなたには腕がない。あなたには脚がない
You haven't an arm, you haven't a leg
あなたには腕がない。あなたには脚がない
You're an armless, boneless, chickenless egg
あなたは腕のない、骨のない、中身のない卵ね
You'll have to put a bowl out to beg
施しを受けるためのお椀がいるわね
Johnny, I hardly knew ye
ジョニー。あなただと分からないわ

I'm happy for to see you home, Hurroo hurroo
あなたに会えて嬉しいわ
I'm happy for to see you home
あなたが帰ってきて嬉しいわ
All from the island of Ceylon *7
はるばるセイロン島から
So low in flesh, so high in bone
痩せこけて骨ばかりになって
Johnny, I hardly knew ye
ジョニー。あなただと分からないわ

With your drums and guns and drums and guns, Hurroo hurroo
あなたの太鼓とあなたの銃で
With drums and guns and drums and guns
あなたの太鼓とあなたの銃で
The enemy nearly slew ye
敵はあなたを半殺しにした
My darling dear, you look so queer
愛しい人よ。あなたはすっかり変わってしまった
Johnny, I hardly knew ye
ジョニー。あなただと分からないわ


備考
  1. Athy : アイルランド中東部の町の名。イギリスの軍隊の駐屯地だったこの町からはアイルランド人も多く募兵され、東インド会社の軍隊として19世紀のインドで反乱鎮圧にあたった。
  2. doleful : 悲嘆に暮れた、悲しみに沈んだ、憂鬱な
    damsel : 少女、乙女、高貴な娘
  3. ye = you
  4. ※ with は「携帯して」という意味もあるので「あなたが太鼓と銃を身につけたままで」と訳すこともできそうだが、ここでは「私と子ども」を置いて戦争に行った「あなた」をなじる心情が込められていると解し、次の slew ye に係るように訳した。
  5. slay - slew - slain : 殺す、滅ぼす
    ※古英語 slēan(打つ)より。slaughter(屠殺・虐殺・食肉解体)と同根。
  6. beguile : 楽しませる、魅する
  7. Ceylon : セイロン(現スリランカ)。インド半島南東の島国。18世紀に東インド会社により植民地化される。


 カラン・ケイシーはアイルランドのフォーク歌手(1969-)。この歌は2008年のアルバム Ships in the Forest に収録されています。
 この歌は前に一度訳したのですが、この歌をモチーフとした『ジョニーは戦場へ行った』という小説を最近読んだので、前回とは違うヴァージョンの歌詞を訳すことにしました。1938年、第二次大戦勃発前夜に書かれたこの小説は大戦中に絶版となり、戦後再版、朝鮮戦争時に絶版、戦後再版という事実上発禁処分を受けるに等しい歴史を持っています。確かに、アメリカ政府から反政府的とみなされるだけの、強力な反戦・厭戦思想を持つ小説です。原題の Johnny Got His Gun(ジョニーは銃をとった) は、第一次大戦の募兵の宣伝文句 Johnny Get Your Gun(ジョニーよ、銃をとれ)のパロディです。
 第一次大戦で被弾し両腕、両脚、目、耳、鼻、口を失ったアメリカ兵ジョニー。病院のベッドで生かされることを余儀なくされ誰ともコミュニケーションをとることもできない彼の数年に及ぶ心の独白だけによって語られる特異な形式で書かれています。子どもの頃の家族との生活、友人たちとの思い出、恋人との別れなど過去の記憶と現在の自由の全くない暗黒の世界とが溶け合うように行き来する叙述を読みながら主人公の心を想像すると、こちらまでが気が狂いそうな感覚に襲われます。思い出の部分は当時のアメリカ人の生活が想像でき、ありきたりかもしれませんが出来のいい青春小説っぽくもあるので、時々感動しそうになりますが、この小説はいわゆる感傷的な感動をさせないように書かれているので最後まで読むとそういう淡い期待はあっさりと裏切られます。見事な冷徹さです。
 銃を取ること、戦争に参加することについての考え方は様々です。母国の平和を守るため、自由と民主主義を守るためには命を懸けることを辞すべきではない。国のために死ぬなんて御免だ、何のための自由だ、命のためじゃないのか。私は後者に与する者ですが、ややこしくなるのでここでは理由は述べません。ただ、思想的立場を超えてこの本はもっと読まれるべきだと思います。角川文庫で在庫切れらしいですが、絶版ではなさそうなので是非増刷して欲しいものです。


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