Ghetto Gospel

2012年11月04日

Ghetto Gospel : Tupac Amaru Shakur




Hit 'em with a little Ghetto Gospel
奴等を撃て。この小さなゲットー・ゴスペルで

※ Those who wish to follow me
俺について来る気があるのなら
I welcome with my hands
この両手で快く迎え入れる
And the red sun sinks at last into the hills of gold
赤い太陽はついに沈む。黄金の丘へと
And peace to this young warrior without the sounds of guns ※
そして、この若き戦士に銃声のない平和が訪れる

If I could recollect before my hood days *1
もし、ごろつきになる前の記憶を集められるのなら
I'd sit and reminisce thinkin' of bliss of the good days *2
喜びの日々の思い出に浸りながら、語ってやりたいよ
I stop and stare at the younger, my heart goes to 'em
俺は立ち止まり若い連中を見つめる。奴らが気になるんだ
They tested, it was stress that they under
奴らは試されてるんだ。緊張と重圧に押しつぶされようとしてる

And nowadays things changed
時代が変わった
Everyone's ashamed to the youth cause the truth looks strange
みんな若いことを恥ずかしいと思っている。真実が奇妙なものに見えるからだ
And for me it's reversed, we left them a world that's cursed, and it hurts
でも逆なんだ。俺たちが奴らをこの呪われた世界に放り出した。それが奴らを傷つける

'cause any day they'll push the button
いつの時代だって口火を切るのは若い奴らだ
and you all condemned like Malcolm X and Bobby Hutton, died for nothing *3
罪があると非難されているお前たちだ。理由もなく殺されたマルコムXやボビー・ハトンだ
Don't them let me get teary, the world looks dreary
奴らに俺を泣かせるようなことをさせちゃいけない。この荒涼とした世界で
but when you wipe your eyes, see it clearly
お前たちのその涙をぬぐえば、よく見えるはずだ

There's no need for you to fear me
俺を恐れる必要はない
If you take your time to hear me, maybe you can learn to cheer me *4
ゆっくり俺の言葉を聞けば、お前たちも俺を応援できるようになるかもしれない
It ain't about black or white, cause we're human *5
黒人だとか白人だとかは関係ない。俺たちは人間なんだから
I hope we see the light before its ruined *6
俺は望む。破滅の前に俺たちが真実を理解することを
My ghetto gospel
それがゲットー・ゴスペル

※ ~ ※

Tell me, do you see that old lady, ain't it sad
教えてくれ。あの老女が見えるか。あれは哀れじゃないのか
Living out a bag, but she's glad for the little things she has *7
バッグ一つの暮らしだが、彼女はわずかな持ち物に満足してる
And over there there's a lady, crack got her crazy
あっちにいる女はコカインで気が狂った
Guess she's given birth to a baby *8
たぶん赤ん坊もいるだろう

I don't trip and let it fade me *9
クスリはやらない。クスリは俺を弱くするからだ
From outta the frying pan we jump into another form of slavery *10
ここから逃げ出したところで、俺たちは形の違うもっとひどい隷属に飛び込むんだ
Even now I get discouraged
今もなお俺は勇気を持てないでいるが
Wonder if they take it all back while I still keep the courage *11
もし俺が勇気を保てていれば奴らもすべてを取り戻せるんだろうか

I refuse to be a role model
お手本になることなどお断りだ
I set goals, take control, drink out my own bottles
目標を定め、自制し、酒は自分の酒壜から飲むが
I make mistakes, I learn from everyone
俺だって間違えるし、いろいろな人から学ぶ
And when it's said and done I bet this Brother be a better one *12
つまりは、きっとこの男は良くなるだろうってことだ

If I upset you, don't stress
俺はお前を混乱させてるかもしれないが、悩むことはない
Never forget, that God hasn't finished with me yet
決して忘れない。主はまだ俺を終わらせたわけじゃない
I feel his hand on my brain
感じる。主の手が俺の頭に置かれているのを
When I write rhymes, I go blind, and let the lord do his thang *13
詩を書くとき、俺の目は見えなくなり、すべてを主にまかせる

But am I less holy
俺には信心が足りないだろうか
'cause I choose to puff a blunt and drink a beer with my homies *14
大麻は吹かすしビールは飲むしな
Before we find world peace
世界平和を見つける前に
We gotta find peace and end the war on the streets *15
俺たちはこの町で平和を見つけ戦争を終わらせなくちゃいけない
My ghetto gospel
これが貧民街の福音の歌

※ ~ ※

Lord, can you hear me speak?
主よ。俺の声が聞こえるか?
To pay the price of being hell bound *16
地獄に縛られた(俺たちの)ツケを払ってくれよ


備考
  1. recollect : 努力して思い出す、回想する
    hood = hoodlum : ギャング、暴漢、不良少年、ごろつき。ゲットーあるいはゲットー出身の者。
  2. reminisce : 楽しく思い出す、思い出を語る、追想を書く
    bliss : 無上の喜び、至福、天上の喜び、天国
  3. condemn : 非難する、責める、とがめる、有罪の判決をする、刑を宣告する
    Malcolm X : 黒人公民権運動の活動家。1925-65。イスラム系教団に暗殺される。
    Bobby Hutton : ブラックパンサー党の創設時の党員。1951-68。警官に銃殺される。
  4. take one's time : ゆっくりやる、ぐずぐずする
    learn : 練習や授業によって学ぶ受身的な過程を表す動詞。覚える、習得する、できるようになる
  5. about : ~のあちこちに、周辺に、点在して ※around は「~の周囲に」
  6. see the light : やっと分かる、悟る、事の真理を知る、改宗する
  7. live out : 最後まで~の状態で暮らす
    ※ live out his life in a hospital : 一生病院暮らしをする
  8. give birth to : 子を産む、~を生み出す
  9. fade : 色・光が薄れる・弱まる、草木・花がしおれる・しぼむ、活力・健康が失われる・衰える、姿を消す・死ぬ
  10. outta = out of
    jump out of the frying pan into the fire : 小難をのがれて大難に陥る
  11. take back : 取り戻す、返品する、返す、撤回する
  12. after all is said and done : 結局、とどのつまり、何といっても
  13. go blind : 失明する、盲目になる
    thang = thing
  14. puff : 吹く、息をきらす、タバコを吹かす
    blunt : 大麻タバコ
    homie : 親友、同じ町の住人、同郷人
  15. war : ※ギャング同士の抗争すなわち黒人同士の争いを指しているのだろう。
  16. pay the price : 代価を払う、ツケを払う、報いを受ける


 2Pac(Tupac Amaru Shakur, 1971-96)はアメリカのラッパー。私はヒップホップの知識がなく彼のこともまったく知らなかったのですが、ワイクリフ・ジョンの歌に 2Pac らしい人物が時折登場することから伝説的な有名人であることを知るようになりました。暴力に満ちた人生を送った彼は、ギャングスタ・ラップの抗争に関わり、犯人は不明ですがおそらくそのために殺されたそうです。
 エミネムがプロデュースしたアルバム Loyal to the Game(2004年)に収録されたこの歌は、2Pac が生前に残した音源を使ってエルトン・ジョンの "Indian Sunset"(1971年)をサンプリングしたものです。いわば 2Pac とエミネムの共作と言えるものでしょう。
 前述のように私はヒップホップについてはまったく分からないのですが、このサンプリングのセンスは素晴らしいのではないかと思います。なお Indian Sunset の歌詞について右のサイトに丁寧な解説と翻訳があります( http://native.way-nifty.com/native_heart/2008/04/post_4fc0.html )。Indian Sunset では若き戦士は最後に死ぬのですが、エミネムはこれをうまくつなぎ直して銃声のない平和が訪れるように変えています。ギャングスタ・ラップは麻薬、酒、金、犯罪、セックス等を題材にした攻撃的な内容のものが多いそうです。1990年代に人気を誇ったこのスタイルは、アメリカの黒人の地位向上という観点から見るとマイナスの方向に働いたのだろうと思います。
 白人のエミネムはおそらく黒人からは評価されないのでしょうが、異種文化の融合は望ましいものであり、そこから新しい価値が生み出されるのだろうと思います。ただ、冒頭の公式ビデオに関しては、過度に情緒的な演出が歌の価値を削いでいるようで好きではありません。


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