The Gypsy's Wife

2012年11月11日

The Gypsy's Wife : Leonard Cohen




And where, where, where is my Gypsy wife tonight *1
どこにいるのだろう、私の妻は
I've heard all the wild reports, they can't be right
悪い噂を聞いた。本当のはずがない
But whose head is this she's dancing with on the threshing floor *2
だが、あれは誰の頭だ。彼女が脱穀場で共に踊っているのは?
whose darkness deepens in her arms a little more *3
彼女の腕の中でその影は少しずつ濃くなる

And where, where is my Gypsy wife tonight?Salome
今夜ジプシーの妻はどこに?

The silver knives are flashing in the tired old cafe *4
古くくたびれた食堂で銀のナイフが閃く
A ghost climbs on the table in a bridal negligee
幽霊がテーブルにのぼり花嫁の夜着に入る
She says, "My body is the light, my body is the way"
彼女が言う。私の体は光、私の体は道
I raise my arm against it all
私はすべてに抗って腕を上げ
And I catch the bride's bouquet
婚礼の花束をつかむ

And where, where is my Gypsy wife tonight?
今夜ジプシーの妻はどこに?

Too early for the rainbow, too early for the dove *5
虹を求めるには早すぎる。鳩を求めるには早すぎる
These are the final days, this is the darkness, this is the flood *5
これは最後の日々だ。これは暗黒だ。これは洪水だ
And there is no man or woman who can't be touched
この世には触れられない男も触れられない女もいない
But you who come between them will be judged *6
だが、人の仲を裂くお前は裁かれるだろう

And where, where is my Gypsy wife tonight?
今夜ジプシーの妻はどこに?


備考
  1. Gypsy : ※ジプシーはヨーロッパの放浪民族で歴史的に差別されてきた。現代ではジプシーはいわゆる差別用語とみなされロマと呼ばれることが多いと言う。ジプシーという言葉が欧米人にどのような語感を抱かせるかよく分からないがこの歌ではおそらく「放浪者、流浪者」などの意味を込めているのだろう。
    ※また、タイトルでは Gypsy's wife, 歌詞では Gypsy wife となっているのは妻も夫もいずれもが放浪者であることを示しているのだろう。
  2. threshing floor : 脱穀場
    『マタイ伝』3-11,12「私の後に来られる方は、私よりもさらに力がある。私はその方の履物を脱がせる価値もない。その方は、あなたがたに聖霊と火の洗礼を授けられる。手に箕を持たれ、脱穀場をすみずみまで清められる。麦を倉に納められ、殻を消えない火で焼き尽くされる」…洗礼者ヨハネがイエスを語った言葉。
    ※聖書における脱穀は神が人間をふるいにかけることの暗喩であるらしい。
  3. deepen : 一段と深くなる、音が低くなる、色が濃くなる
  4. silver knives : *2 の head, threshing floor と併せると福音書に登場するヘロディアの娘(サロメ)を想起させる。サロメは義理の父である領主の前で舞った踊りの褒美として洗礼者ヨハネの首を求めた。
  5. rainbow, dove, flood は旧約聖書のノアの洪水の暗喩。虹と鳩は洪水が引いた後の平和を象徴する。また final days は黙示録の審判の日を暗喩しているようにも見える。
  6. come between : ~の間に位置する、~の中を裂く・隔てる、人の行為を妨げる


 1979年のアルバム Recent Songs に収録。
 この年レナード・コーエンは10年近く連れ添ったスザンヌ・エルロッドと離婚しています。この歌はこの離婚をきっかけとして作ったという本人の言葉を前にどこかのサイトで読みました。訳しはしましたが内容はあまり理解できていません。レナード・コーエンは女たらしとして有名だそうですが、一方、女の不貞で別れるという歌詞もいくつかあるそうです。最後の *6 の you は「妻」を指しているとも歌い手の「夫」自身を指しているともとれるように思います。サロメのような妻とその夫である自分は、ともに神のふるいにかけられ罪人として裁かれるであろう、ということでしょうか。




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