Scarborough Fair / Canticle

2013年02月23日

Scarborough Fair / Canticle : Simon And Garfunkel




Are you goin' to Scarborough Fair
スカボローの市に行くのかい
Parsley, sage, rosemary and thyme *1
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Remember me to one who lives there *2
忘れないで僕のことを伝えてくれないか。あそこに住む人に
she once was a true love of mine
彼女はかつて僕が真に愛する人だった

Tell her to make me a cambric shirt     (On the side of a hill in the deep forest green) *3
彼女に伝えてくれ。薄地のシャツを作るようにと(深緑の森の丘の斜面で)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Tracing of sparrow on snow-crested brown) *4
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (白頭雀の足跡を追う)
Without no seams nor needlework (Blankets and bedclothes the child of the mountain) *5
縫い目が見えず針も使わずに     (毛布と敷布の子どもは山の中で)
Then she'll be a true love of mine   (Sleeps unaware of the clarion call) *6
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう (眠っている。甲高いラッパにも気づくことなく)

Tell her to find me an acre of land     (On the side of a hill, a sprinkling of leaves) *7
伝えてくれ。僕に千坪の土地を見つけてくれと(丘の斜面で舞い散る葉が)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Washes the grave with silvery tears)
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (銀の涙で墓石を洗う)
Between the salt water and the sea strands (A soldier cleans and polishes a gun) *8
海の水と岸の間に              (兵士は銃をきれいに磨く)
Then she'll be a true love of mine
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう

Tell her to reap it with a sickle of leather  (War bellows blazing in scarlet battalions) *9
伝えてくれ。刈り取りを革の鎌でするようにと(戦争は轟き、緋色の軍隊に燃え上がる)
Parsley, sage, rosemary and thyme  (Generals order their soldiers to kill)
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム (将軍たちは兵士に殺せと命じる)
And gather it all in a bunch of heather (And to fight for a cause they've long ago forgotten) *10
集めた籾は小枝のかごに入れるように  (とうの昔に忘れられた大義のために戦えと)
Then she'll be a true love of mine
そうすれば彼女は真の恋人になるだろう

Are you goin' to Scarborough Fair
スカボローの市に行くのかい
Parsley, sage, rosemary and thyme
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
Remember me to one who lives there
忘れないで僕のことを伝えてくれないか。あそこに住む人に
she once was a true love of mine
彼女はかつて僕が真に愛する人だった


備考
  1. ※この四つはいずれもハーブ。パセリは消化促進・防腐作用があり食物の苦味を消す。セージは消臭・抗酸化作用があり「力」の象徴。ローズマリーは消臭・抗菌・抗酸化作用があり「貞節・愛・思い出」の象徴。タイムは抗菌作用があり「勇気」の象徴。
  2. remember A to B : A のことを B によろしくと伝える
  3. cambric : 薄地の白い亜麻布。ハンカチなどに用いる
  4. trace : 跡をつける、足跡をたどる、たどって突き止める、道をたどる、線・図等を引く・描く
    sparrow : スズメ
    crest : 頂上に達する、羽飾りをつける、頂上をおおう
    ※ on snow-crested brown は、雪の冠をかぶり茶色を身につける、すなわち頭が白く体が茶色いということだろう。
  5. without : ~なしに、~がなければ、~がないので、~がなくても、~の外側に、外部に、外面は、外見では
    ※ここでは否定の強調としての二重否定なのかもしれないが、文脈から「外側、外面」と解して訳した。
    seam : 縫い目、綴じ目、編み目、合わせ目
    needlework : 針仕事、裁縫、刺繍
    bedclothes : シーツ・毛布・枕などの寝具
  6. clarion : 明るくさえた音色のらっぱ、甲高く澄んだ音
    a clarion call : 声高な呼びかけ、明白な要請
  7. find [A] [B] : A に B を見つけてやる
    acre : 約1224坪。約63m×64m。
    sprincle : まく、まき散らす、ふりかける、点在する、散りばめられている
  8. saltwater : 塩水、海水、海水棲の、海産の、海の
    strand : 岸に乗り上げる、座礁する、岸、浜、潟
  9. reap : 作物を刈る、刈り取る、収穫する
    sickle : 円形鎌
    bellow : 牛などが大声で鳴く・吠える、人がわめく・どなる、雷・大砲・風などが轟く・唸る
    blaze : 強い炎、強い輝き、銃の連射、感情の爆発・激高
    battalion : 大隊、戦闘隊形を整えた軍隊、多くの人、大群
  10. bunch : 果物などのふさ、束、山、人・動物の群れ・一味
    heather : ヘザー。ツツジ科カルーナ属の常緑低木。ヨーロッパに広く分布。スコットランドの荒地に生い茂る。昔は小枝を束ねほうきにしたり、ベッドに敷いたりした。


 この歌はシングル盤が1966年に発表され、1968年のアルバム Parsley, Sage, Rosemary and Thyme に収録されています。元々はイギリスの伝承曲で作者不明ですが、Canticle(詠唱・賛美歌)の部分はポール・サイモンの1963年の歌 The Side of a Hill の歌詞を一部変えたものです。イギリスで伝承曲を見つけたのはポール・サイモンですが、Wikipedia では、この合体はアート・ガーファンクルによるものとされています…http://en.wikipedia.org/wiki/Scarborough_Fair_(ballad)。

 The Side Of A Hill の歌詞は次のような内容です。

 丘の斜面で "何処"と呼ばれる国で 幼い少年が地中に眠る
 谷底で凄惨な戦争が暴れ 人々は子どもの命の価値を忘れる
 丘の斜面で 小さな雲が泣き 静かな涙で墓石を濡らす
 兵士が磨き上げる銃は 七歳の命を終わらせた
 戦争は猛威を振るう "何処"と呼ばれる国で
 将軍たちは殺せと命じる とうの昔に忘れられた大義のために戦えと
 そして小さな雲は涙を流す 丘の斜面で

 伝承曲の歌詞については、相手に実現不可能な要求をし、それがかなわない限り恋人には戻れないというところまでは分かりますが、そこに込められた心情はなかなか分かりにくいと思います。時の流れによる歌詞の変遷もあってこれまで様々な解釈がされているそうです。旅人を惑わす妖精・魔物の謎かけに対し「パセリ、セージ…」という魔除けの呪文により異界へ連れ去られるのを拒んでいるというもの、失恋した男の自虐的な冗談や未練だというものなどが代表的です。そもそもそれほど深い意味のない言葉遊びであるとも考えられます。
 サイモンとガーファンクルはこれに Canticle をつけて反戦の意図を込めました。おそらく朝鮮戦争(1950-53年)やベトナム戦争(1960年開戦,65年米による北爆開始)が想定されているのでしょう。ここから伝承曲の歌詞を解釈すれば、男はすでに死んでいる、あるいは生きて彼女に会える可能性はない状況にあると考えられます。サイモンとガーファンクルの二人は、この歌詞から "死んでもなお彼女を諦めきれない亡霊の嘆きの歌" というイメージを抱いたのではないかと思います。

 この記事を書くにあたっては、以下のサイトを参考にさせていただきました。とても丁寧な詳しい解説があるので興味のある方はぜひご覧下さい。
 「スカボローフェアの謎」,「スカボロー・フェアについて




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