Hungry Heart

2014年03月17日

Hungry Heart : Bruce Springsteen




Got a wife and kids in Baltimore, Jack *1
ボルチモアには女房と子供がいたんだよ
I went out for a ride and I never went back
俺はちょっと車で出かけ、二度と戻らなかった
Like a river that don't know where it's flowing
まるで川と同じさ。自分がどこを流れているのか知らない
I took a wrong turn and I just kept going *2
俺は間違った角を曲がり、そのまま走り続けた

※ Everybody's got a hungry heart *3
誰だって飢えた心を持ってる
Everybody's got a hungry heart
誰だって飢えた心を持ってる
Lay down your money and you play your part *4
だから、有り金すべて賭けて、やるべき事をやるんだ
Everybody's got a hungry heart ※
誰だって飢えた心を持ってる

I met her in a Kingstown bar *5
彼女とはキングスタウンの飲み屋で知り合った
We fell in love I knew it had to end *6
俺たちは恋に落ちたが、それがいずれ終わることは分かっていた
We took what we had and we ripped it apart *7
二人になって得たものは元々それぞれが持っていたもの。そして、元通りにそれを二つに裂いた
Now here I am down in Kingstown again *8
今また俺はこうしてキングスタウンにいる

※~※

Everybody needs a place to rest
誰だって安息の地を必要としてる
Everybody wants to have a home
誰だって帰る家を求めてる
Don't make no difference what nobody says *9
誰も言わないことなんてどうでもいい
Ain't nobody like to be alone
決していないんだ。一人が好きな奴なんて

※~※


備考
  1. Baltimore : 米メリーランド州の都市。
    Jack : 男、奴、(呼びかけとして)君
  2. turn : 回転、旋回、進行方向(進路)を帰ること、方向転換、曲がり目、曲がり角、方向、向き、傾向
  3. hungry : 空腹な、飢えている、切望して、熱心に望んで、渇望して
    ※ この歌のタイトル Hungry Heart は、英詩人アルフレッド・テニスン(1809-1892)の『ユリシーズ』という詩の一節 "For always roaming with a hungry heart" から引用されたものらしい。ユリシーズは、ホメロス『オデュッセイア』の主人公オデュッセウスの英語転化した言葉であり、ギリシャ神話における英雄である。この詩は Blank verse という一行に五つのアクセントを持つ形式で書かれている(弱強五歩格)。スプリングスティーンの Hungry Heart もこの五歩格を使って書かれているように見える。ただし、弱強なのか強弱なのかは私にはよく分からない。
  4. lay : 置く、横たえる、寝かす、金・物等を賭ける
    play a part : 自分の役目を果たす、一翼を担う、芝居をする、役を演じる、自分が出来る事(やるべき事)をする
  5. Kingstown : 米メリーランド州の町の名。ボルチモアから直線距離で50km程度。
  6. have to do : しなければならない(義務)、~に違いない・きっと~のはずだ(必然)
  7. rip apart : 関係を引き裂く、仲違いさせる、ばらばらにする、ずたずたにする、傷つける
    ※この一行は「俺たちは [1+1=3] みたいな関係にはなれなかった」と言いたいのではないだろうか。
  8. down : 下方へ、南方へ、話者から離れる方向へ、落ち込んで、過去から現在へ
  9. make no difference : まったく問題ではない、どうでもよい
    ※ Don't make no difference と次の行の Ain't nobody は「二重否定=否定の強調」だろうと思うが、「二重否定=肯定」として使われることが果たしてないのか、英語に疎い私には判断不能である。
    ※そして、否定語をいくつもしつこく使った最後の二行は、自分の行為を何か高尚な意味のあるものとして正当化したいという主人公(=作詞者)の屈折した心理が表れているように思う。


 1980年のアルバム The River より。
 「ハングリーハート」というカタカナ日本語のタイトルは一見分かりやすい内容だと誤解されそうですが、この歌詞は相当に分かりにくい心理を描いているように思えます。曲調の明るさと主人公の暗い心の対比もこの歌の難解さを更に増しています。この男はおそらくこの後もずっと満足や安息を得られることなく、飢えた心のままで一生を終えるのではないかと想像すると、かなり陰鬱な感触が聞く者の心に残りそうです。
 また、スプリングスティーンを労働者階級の代弁者とみなすことがいかに的外れであるかということがこの歌詞を読むとよく分かるのではないかと思います。私は、この歌詞からは中途半端なインテリの不幸を強く感じます。それと同時に、訳し終えた今、やはり私は彼の書く歌詞が好きなのだと改めて思いました。
 


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