Born In The U.S.A.

2014年08月11日

Born In The U.S.A. : Bruce Springsteen




Born down in a dead man's town *1
死んだような町の底辺に生まれ
The first kick I took was when I hit the ground *2
幼い頃から反抗を始めるが
You end up like a dog that's been beat too much
結局は、打ちのめされ続けた犬のように生を終える
Till you spend half your life just covering up *3
その間ずっと隠れるように身を竦めながら半生を過ごす

Born in the U.S.A., I was born in the U.S.A.
アメリカに生まれた。俺はアメリカに生まれた

Got in a little hometown jam so they put a rifle in my hand *4
故郷でちょっと面倒な事に巻き込まれ、俺は銃を持たされることになった
Sent me off to a foreign land to go and kill the yellow man
そして、外国に送られた。黄色い人間を殺すために

Born in the U.S.A., I was born in the U.S.A.
アメリカに生まれた。俺はアメリカに生まれた

Come back home to the refinery *5
帰郷して製油所へ行った
Hiring man said "Son if it was up to me" *6
採用担当が言う。俺が決めることじゃねえからなあ
Went down to see my V.A. man *7
退役軍人省に行ってみた
He said "Son, don't you understand now"
こう言われた。まだ分からないのか?

I had a brother at Khe Sahn
ケサンにいた仲間の一人は
Fighting off the Viet Cong
ベトコンと戦って
They're still there, he's all gone
奴らはまだ生きてるが、あいつはもういない

He had a woman he loved in Saigon
あいつにはサイゴンに好きな女がいた
I got a picture of him in her arms now
写真のあいつは今でも彼女の腕に抱かれてる

Down in the shadow of the penitentiary *8
刑務所の影の下で憂鬱になり
Out by the gas fires of the refinery *9
製油所の燃える炎に地元を追い出され
I'm ten years burning down the road *10
この十年、身を焼かれるようにあちこちさまよった
Nowhere to run ain't got nowhere to go *11
日々を暮らす場所がない。しかし、もう行く場所もない

Born in the U.S.A., I'm a long gone daddy in the U.S.A. *12
アメリカに生まれた。俺はアメリカの時代遅れの親父さ
Born in the U.S.A., I'm a cool rocking daddy in the U.S.A.
アメリカに生まれた。俺はアメリカのいかしたロック親父さ


備考
  1. bear : 支える・耐える、運ぶ、胎児を運ぶ→出産する
  2. kick : 蹴る、撥ねつける、反抗する
    ※ take の原義は「(自分の意志で)取る、つかむ→そして何かをする」というもので、"take a kick" は「(主語が)蹴りを行なう」という意味になる。ここでは「反抗する、抵抗する、回りの人間や環境を撥ねつける」という意味だろうと推測して意訳した。
    hit the ground : 地に着く、墜落する、倒れる
    hit the ground running : 直ちに行なう、すぐに全力で取り組む、素早く行動する
    ※ここでは「生れ落ちてそれほど経たないうちに→幼いうちから」という意味だろうと判断した。
    ※ここと次行の "you" は、おそらく「ここでは自分のような境遇の者は誰でも」という意味で、実質的には前行の "I" と同じととらえていいのではないだろうか。
  3. cover up : 身をくるむ、すっかりおおう、隠蔽する、隠す
  4. jam : 詰まること、混雑、雑踏、故障、困難、窮地
  5. refinery : 製油所、精糖所
  6. up to : ~の義務・責任で
    It's up to me. : それは私次第だ。私が決める
    ※ "if it was up to me" は仮定法過去なので「私が決められることならいいんだが、現実にはそれはできない」という意味になる。
  7. VA = United States Department of Veterans Affairs : アメリカ合衆国退役軍人省
  8. down : [形] 元気の無い、意気消沈して、ふさいで、落ち込んで、憂鬱で
    ※ここは "(I have been) down in the shadow of the penitentiary" と主語が省略されている。
    penitentiary : 州・連邦の重罪刑務所
  9. ※ここも上と同様に "I was" または "I have been" という主語が省略されている。
  10. ※ "down the road" はおそらく「道に沿って」、"burning" は比喩的に「身を焼く→必死に苦労する」という意味だろうと推測して意訳した。地元を追い出され定住できる場所を探し回ったが、どこにもベトナム帰りの自分を受け入れてくれる場所がないという意味ではないだろうか。
  11. run one's own life : 自活する
    ※上の例にもあるように、"run" は「一定に動き続ける」というのが原義らしい。ここでは「決まりきった日常生活を送る」くらいの意味だろうと判断し訳した。
  12. long gone : かなり前からいなくなってしまった、長く留守をしている、いなくなって久しい


 1984年の同名のアルバムより。この歌がロナルド・レーガンに政治利用されたり一般に国粋主義的に誤解されてヒットしたということは多少知ってはいましたが、今回ウィキペディアなどを読み、その誤解の深さとそれに対するスプリングスティーンの失望感に驚きました。
 下の動画はアルバム発売当初とその後編曲し直したバージョンの演奏です。彼の傷心と自省の深さが伝わってきます。

  

  

2014.8.21 追記
 昔からこの歌の印象が1982年の米映画『ランボー』(原題: First Blood)と重なっていました。シルベスター・スタローンとブルース・スプリングスティーンは相容れない政治思想の持ち主だろうと想像しますが、戦争帰還兵に対する共感という点では共通する心情を持っているのではないかと思います。(ちなみに、ウィキペディアによれば映画の主人公の名「ジョン」は "When Johnny Comes Marching Home" という歌から取られたものだそうです。)私はこの歌と映画の両方が好きですが、同時に、アメリカの兵士を被害者の視点でしか描いていないことで普遍性を削がれている面があると思います。この観点からは、例えば Linkin Park の "Hands Held High" という歌の方がより普遍的な思想を持っているのではないかと思います。

 It's A Long Road : Dan Hill

  

 It's a long road when you're on your own
 長い道。一人ぼっちのお前には
 And it hurts when they tear your dreams apart
 辛く苦しい道。夢が引き裂かれ
 And every new town just seems to bring you down
 新しいどの町も自分を挫けさせるように思えるお前には
 Trying to find peace of mind can break your heart
 安らぎを求めることは心を痛めることにもなり得る
 
 It's a real war right outside your front door, I tell ya
 戸口のすぐ外には本物の戦争が待っている
 Out where they'll kill ya
 そこでお前は殺されるだろう
 You could use a friend
 お前に友がいればいいのに
 
 Where the road is that's the place for me
 どこか、自分の場所だといえる道
 Where I'm me in my own space
 どこか、自分が自分でいられる場所が
 Where I'm free that's the place
 どこか、自由でいられる場所が
 I wanna be
 行きたい
 
 Cause the road is long yeah
 この道は長く
 Each step is only the beginning
 一歩一歩がただ始まりに過ぎない
 No breaks just heartaches
 絶え間なくただ心は痛む
 Oh man, is anybody winning?
 誰か辿り着ける者などいるのか?
 
 It's a long road and it's hard as hell
 それは、長く、厳しい道
 Tell me what do you do to survive
 教えてくれ。お前はどうやって生き延びるのだ

 When they draw first blood that's just the start of it
 先制の一撃を浴びた時が闘いの始まりだ
 Day and night you gotta fight to keep alive
 生き続けるためにお前は昼も夜も戦わなくてはならない
 
 It's a real war right outside your front door, I tell ya
 お前の戸口のすぐ外には本物の戦争がある
 Out where they'll kill ya
 そこでお前は殺されるだろう
 You could use a friend
 お前に友があればいいのに
 
 Cause the road is long yeah
 この道は長く
 Each step is only the beginning
 この一歩はただの始まり
 No breaks just heartaches
 絶え間なく続く心の痛み
 Oh man, is anybody winning?
 ああ、誰か勝てる者などいるのか?
 
 It's a long road
 それは長い道のり


2016.3.22 追記
 先日、このブログの読者の方より "Born In The U.S.A." の翻訳についての助言をメールでいただきました。誤訳のご指摘に加え英語の読解に関して丁寧な解説をして下さり、とても勉強になりました。その助言を踏まえて、また改めて自分でも調べ、訳文と備考欄の一部を訂正しました。煩雑で見にくくなるので訂正の内容までは書いていません。
 訳文の大筋や全体の趣旨はあまり変わってはいませんが、ベトナム帰還兵がアメリカで就業すること、安住することの困難さがよりはっきり分かる訳文になったと思います。メールを送って下さったO様、有難うございました。改めてお礼を申し上げます。



コメント

  1. 渡辺一連 | URL | -

    Re:Born In The U.S.A.

    何時も リンクを使わせて頂いています
    この曲(世代的に良く聞いた世代です)

    村上春樹氏の 著書を読むまで
    全く 違ったイメージで 聞いて解釈(当然 当時 英訳出来るほどの
    能力も在りませんでしたし)していましたが

    実は・・・ 見たいな・・・な 驚きのあった一曲でした

    自分の解釈では プワーホワイトのアンセム的 一曲だと
    (ここ最近の米国なら 更に 支持者が多そうな 気がする一曲)
    思っています

    何時もながら 素晴らしい選曲 訳詩に
    感動しました(走り書きの様ばな コメントですいません凹))

  2. Kalavinka | URL | -

    渡辺一連 様

     いつもお声をかけて下さりありがとうございます。

     村上春樹がスプリングスティーンに言及していることは知りませんでした。検索して調べてみて、さすがプロの作家だなと思える深い解説(の紹介)を読むことができました。私はこの曲をいつも映画『ランボー』の第一作と重ねてしまいます。シルベスター・スタローンの映画で唯一感動できる作品です。
     また、スプリングスティーンは社会批判的な歌詞に皮肉として愛国的、讃歌的な曲調と編曲を選んだのだと思いますが、その皮肉があまりにも秀逸すぎてアメリカ国民すら誤解してしまったのでしょうね。その面では映画『スターシップ・トゥルーパーズ』を思い起こします。
     リンクは存分にお使い下さい。せっかく備わった機能ですから。

  3. 渡辺一連 | URL | -

    Re:Born In The U.S.A.

    Kalavinka 様

    『スターシップ・トゥルーパーズ』も 視点を変えてみると
    確かに・・ ですね
    「ランボー」 予備軍は 多分 湾岸(アフガニスタン含む)戦争以降
    多くの退役軍人が自国の欺瞞に 憤怒の炎を胸に抱き
    義勇軍を 組織している・・良い意味でも 悪い意味でも 米国は
    大いなる観察対象の国となっています

    自分も 当時「レーガンキャンペーン:的 USAの解釈をしていた
    青い時代を経過してきてしまったので・・・

    この訳詩 今だと 「髭面の人間たちを~」に 変えても
    更に リアルに響く 一曲になりますね・・ 

  4. Kalavinka | URL | -

    渡辺一連 様

     日本のこれからのあり方を考える上で、私も米国を「良い意味でも悪い意味でも…大いなる」考察対象だと思っています。また、スプリングスティーンはアメリカの良心の象徴のような人物だと勝手に思っているのですが、その彼の歌でさえ批判的に読むよう心がけています。そして、仰る通り、この歌詞に込められた心情は30年を経た今もなお舞台を変えて生き続けていると思います。

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