The Wind That Shakes the Barley

2015年04月30日

The Wind That Shakes the Barley : Dolores Keane




I sat within a valley green, I sat there with my true love
谷間の草地に座っていた。愛する人と一緒に
My sad heart strove the two between the old love and the new love *1
私の中で二つの心が悲しく闘っていた。以前からの愛と新しい愛の間で
The old for her, the new that made me think on Ireland dearly
古いものは彼女への愛。新しいものはアイルランドへの愛国の思い
While soft the wind blew down the glade and shook the golden barley *2
柔らかな風が吹き降りて、黄金色の麦を揺らしていた

'Twas hard the woeful words to frame to break the ties that bound us *3
悲しすぎて言葉になどできない。二人を結ぶ絆を断つようなことは
But harder still to bear the shame of foreign chains around us
だが、もっとできない。私たちを縛る異国の鎖の辱めに耐えることも
And so I said, "The mountain glen I'll seek at morning early
だから私は口に出した。「明日の朝早く、僕はあの山の谷間に行くよ。
and join the brave united men". While soft wind shook the barley *4
独立義勇軍に参加する」。その時も、柔らかい風が麦の穂を揺らしていた

'Twas sad I kissed away her tears, my fond arms 'round her flinging *5
悲しみを押し隠し、私は彼女の涙を唇で拭い、腕を伸ばし彼女を優しく包んだ
The foeman's shot burst on our ears from out the wildwood ringing *6
突然敵兵の銃撃が耳をつんざいた。それは森じゅうに鳴り響いた
The bullet pierced my true love's side in life's young spring so early *7
銃弾は愛する人の脇腹を貫いた。人生の春まだ浅い彼女の体を
And on my breast in blood she died while soft winds shook the barley
私の胸の中で彼女は血に塗れ絶命した。柔らかい風が麦の穂を揺らしていた

※ I bore her to the wildwood screen and many a summer blossom *8
私は森の木陰、夏の花が咲き誇る場所に彼女を運んだ
I placed with branches thick and green above her gore-stain'd bosom *9
血に染まった彼女の胸の上に、小枝と緑の葉を置いた
I wept and kissed her pale, pale cheek, then rushed o'er vale and far lea *10
泣きながら真っ白な頬に口づけをした。それから谷を抜け草原へと走った
My vengeance on the foe to wreak while soft winds shook the barley ※ *11
私が敵に復讐を果たす間も、柔らかい風が麦の穂を揺らしていた

But blood for blood without remorse I've taken at Oulart Hollow *12
流血に対する流血は、かつてオゥラートの窪地で抱いた悔恨も、もはやもたらさない
And placed my true love's clay-cold corpse where I full soon will follow
恋人の土のように冷たくなった遺体を置いたこの場所。私もすぐに後を追うだろう
As 'round her grave I wander drear, noon, night and morning early *13
彼女の墓の回りを私は悲しみとともに歩き回る。昼に、夜に、早朝に
With breaking heart when e'er I hear the wind that shakes the barley *14
そしてこの胸が張り裂ける。麦の穂を揺らす風音を聞く度に

 ☆冒頭の動画の歌詞では第四連(※~※)が省略されている。また、歌詞の細部が異なっているが、上記の歌詞の方が分かり易かったためそちらを掲載した。

備考
  1. strive : 努力する、懸命に試みる、やっきになる。骨折る、奮闘する。人と争う・競う・戦う
  2. glade : 森、林の中の空き地。低湿地。凍った川(湖)の開口部、凍らずに残った場所
    barley : 大麦
  3. 'twas = it was
    woeful : 悲しむべき、悲惨な、不幸な、悲痛な。哀れな、情けない、惨めな
    frame : 組み立てる、形作る、立案する。心に抱く、口に出して言う
  4. Society of United Irishmen : フランス革命の影響を受け、1791年にベルファストで設立された組織。イギリスからの独立、カトリックとプロテスタントの協調によるアイルランド人の団結、信教の自由の獲得などを目指した。
  5. fond : とても好んで、大いに気に入って、愛着を抱いて。優しい、愛情あふれる、甘やかしすぎる、優しすぎる。深く思い込んだ、独り善がりな、いい気な
    fling : 荒々しく投げる、放り出す、戸・窓を乱暴に閉める(開ける)。腕をさっと伸ばす、頭を振り動かす、身体を急に動かす、身を投げ出す、すがる
  6. foeman : 敵、敵兵
    burst : 破裂させる、押し破る、引き裂く、決壊させる
    burst upon(on) : 突然前に現れる、急に聞こえてくる、急に分かり始める
    wildwood : 原生林、自然林、原始林
  7. pierce : 突き通す、突き刺す、貫通する、刺さる。穴を開ける。突入する、突き抜ける
  8. bear : 支えて運ぶ
    screen : 画面、銀幕。ついたて、屏風。虫除けの網。遮蔽物、防護物
  9. gore : 流血、凝固した血
    stain : しみをつける、汚す、着色・染色する
    bosom : 胸、胸部、おっぱい
  10. rush : 速く(勢いよく)走る、突進する、急行する
    o'er = over
    vale : 谷、谷間
    lea : 草地、草原、牧草地
  11. vengeance : 仇討ち、復讐、仕返し
    wreak : 罰・復讐などを加える、怒り・不機嫌などをぶちまける。引き起こす、もたらす。精力を注ぐ・費やす
  12. remorse : 深い後悔、悔恨、良心の咎め、自責の念
    Oulart : アイルランド東南部にある村の名前。1798年に起きたユナイテッド・アイリッシュメンによる反乱の一環としての戦場の一つ。反乱は全体としては失敗、鎮圧されたが、この "Battle of Oulart Hill" に関しては反乱軍の死者6名に対し英軍の死者107名で英軍を敗退させ、勝利を収めた。
  13. drear = dreary : 陰鬱な、物悲しい、退屈な、つまらない、悲惨な
  14. e'er = ever
    whenever : いつ~しようとも(であろうとも)、~する時はいつでも、~した時はすぐ


 ドロレス・キーンは、1953年アイルランド・ゴルウェイ州生まれのフォーク歌手で、アイルランドの伝承曲の紹介者として人気の高い人だそうです。この歌は1997年のアルバム "Night Owl" に収められています。
 1798年に起きたイギリスの植民地支配に対するアイルランド人の反乱を背景にした歌です。Wikipedia によると、作詞者はアイルランドの詩人で英文学者の Robert Dwyer Joyce (1836–1883) という人です。また、曲名の中の「麦」についてですが、反乱軍は行軍の際ポケットに食料として大麦を入れておく習慣があったそうです。その途中で戦死した場合その場所が無碑銘の墓になるわけですが、時が経ち森の中の開けた土地などに育つ麦はそこに戦死者が埋まっていることを示す墓標となります。そして、兵士の死後毎年芽を出し実を実らせる麦は鎮圧されてもなお抵抗をやめないアイルランド人の強い意志を示す象徴でもあるそうです。

  

 この曲名は2006年のケン・ローチ監督の映画の題名(邦題『麦の穂をゆらす風』)にも使われました。この映画は1919年からの独立戦争とその後のアイルランド内での穏健派と過激派の内戦を描いたものですが、イギリスの暴虐とアイルランド人同士の殺し合いを冷静に描いたとても見応えのある映画です。重苦しい主題で後味も悪く映画を見る楽しさは味わえないでしょうが、アイルランドの歴史に関心のある方にはお奨めします。


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