気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Telling Stories : Tracy Chapman



There is fiction in the space between the lines on your page of memories
挟まれた場所には作り話がある。あなたの記憶のページの行と行の間には
Write it down but it doesn't mean you're not just telling stories *1
あなたが書くものではあるけれど、でも、あなたはただ作り話をしてるだけじゃない

There is fiction in the space between you and reality
作り話がある。あなたと現実の間に挟まれた場所には
You will do and say anything to make your everyday life seem less mundane *2
ありきたりな日常から平凡を少しでもなくすために、あなたは何でもしようとする
There is fiction in the space between you and me
作り話がある。あなたと私の間に挟まれた場所には

There's a science fiction in the space between you and me
科学的な作り話がある。あなたと私の間に挟まれた場所には
A fabrication of a grand scheme where I am the scary monster *3
大げさな仕組みの作り事の世界で、私は恐ろしい怪物になり
I eat the city and as I leave the scene, in my spaceship I am laughing
町を食べ尽くす。場面が変わると、宇宙船の中で私は笑っている
In your remembrance of your bad dream, there's no one but you standing *4
悪い夢の記憶の中では、立ち尽くすあなたの他には誰もいない

Leave the pity and the blame for the ones who do not speak *5
哀れみや非難は残しておきなさい。物言わぬ人たちのために
You write the words to get respect and compassion and for posterity *6
あなたは言葉を書く。尊敬と同情を得るために。そして後世の人たちのために
You write the words and make believe there is truth in the space between *7
あなたは言葉を書く。私たちに信じさせようとする。挟まれた場所には真実があると

There is fiction in the space between you and everybody
作り話がある。誰であろうと、あなたと誰かとの間に挟まれた場所には
Give us all what we need, give us one more sad sordid story *8
私たちに必要なものをちょうだい。もっと悲しく薄汚い物語をちょうだい
But in the fiction of the space between sometimes a lie is the best thing
でも、挟まれた場所の作り話の中では、時には嘘が最良のものであるのよ
Sometimes a lie is the best thing
時には、嘘が最良のものであるのよ


備考
  1. tell stories : 話をでっち上げる、作り話をする、嘘をつく
  2. mundane : 現世の、世俗の、平凡な、ありきたりの
  3. fabrication : 偽造物、偽造文書、作り事、嘘。製作、製造、組み立て、構成
  4. remembrance : 心に刻まれた印象・記憶、思い出、追想、回想
  5. leave A for B : AをBに残しておく、AをBにとっておく
  6. posterity : 後世の人々、子孫
  7. make believe : ふりをする、見せかける
  8. sordid : 下劣な、浅ましい、卑しむべき。汚い、むさ苦しい、薄汚い。くすんだ色の


 2000年のアルバム "Telling Stories" より。
 私の訳文が堅苦しいために分かりにくいかもしれませんが、字面だけを追うと、この歌詞は、作家である「あなた」に対して読者の一人である「私」が語りかけている体裁がとられているように見えます。「あなた」は fiction(小説・虚構) において truth(真実)を "make believe(見せかけよう)" とするけれど、私が欲しいものは、薄汚い物語の中の「嘘」であって、見せかけの「真実」ではない…曖昧ですがこんな感じでしょうか。英語を誤読して全体の趣旨も理解し損ねているかもしれませんが…。
 また、小説家と読者を隠喩と受け取ればもっと一般的な人間関係における言葉と真実と嘘について語っている歌だととれるのかもしれません。いろいろと想像を膨らますことができる深みのある歌詞だと思います。このブログで彼女の歌を翻訳するのはこれで5曲目ですが、その中ではこの歌詞がいちばん好きです。

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