Take Me To Church : Hozier

2015年09月15日




My lover's got humour
僕の恋人は面白い
She's the giggle at a funeral *1
葬式で声を殺して笑う
Knows everybody's disapproval *2
みんなの反感を買うのは知っている
I should've worshipped her sooner *3
もっと早くから彼女を崇拝すべきだった

If the Heavens ever did speak
神が言葉を発することがあるとすれば
She is the last true mouthpiece *4
彼女こそ、最後に残る真実の代弁者だ
Every Sunday's getting more bleak *5
週毎に日曜日はますます陰鬱なものになっている
A fresh poison each week
毎週配られる新鮮な毒
"We were born sick," you heard them say it
私たちは生まれながらに病んでいるのです…いつも教会で聞かされる言葉

My church offers no absolutes *6
僕の教会は完全無欠な原理を滔滔と述べたりしない
She tells me, "Worship in the bedroom"
彼女は言う。崇拝は寝室でと
The only heaven I'll be sent to
僕が送られる天国は
Is when I'm alone with you
あなたと二人きりでいる時のみ存在する
I was born sick, but I love it
僕は生まれながらに病んでいる。そして、それをとても気に入っている
Command me to be well
だから命じてくれ。健やかであれと
Amen. Amen. Amen
ありのままであれ

※ Take me to church
教会へ連れて行ってくれ
I'll worship like a dog at the shrine of your lies
犬のように崇拝しよう。あなたの偽りの聖堂で
I'll tell you my sins and you can sharpen your knife
僕は罪を告白しよう。あなたはそのナイフを研げばいい
Offer me that deathless death
僕に見せてくれ。その死なない死というものを
Good God, let me give you my life ※
善き神よ。私の命をあなたに捧げさせてくれ

※~※

If I'm a pagan of the good times *7
もし僕が良き時代の異教徒なら
My lover's the sunlight *8
僕の恋人は太陽の光だ
To keep the Goddess on my side
女神をいつも傍にいさせるには…
She demands a sacrifice
彼女は生贄を求める
To drain the whole sea *9
海を干上がらせること
Get something shiny
何か光り輝くものを手に入れること
Something meaty for the main course *10
主菜のためのたっぷりした肉などを手に入れること
That's a fine looking high horse *11
あの高貴な馬は見事な傲慢さだ
What you got in the stable? *12
その馬小屋には何がある?
We've a lot of starving faithful *13
こちらには大勢の飢えた忠実な信者がいる
That looks tasty
なんて美味しそうなんだ
That looks plenty
なんて沢山なんだ
This is hungry work
これは腹の減る仕事なんだ


☆ Take me to church
教会へ連れて行ってくれ
I'll worship like a dog at the shrine of your lies
犬のように崇拝しよう。あなたの偽りの聖堂で
I'll tell you my sins so you can sharpen your knife
罪を告白しよう。あなたがそのナイフを研げるように
Offer me my deathless death
僕に、死なない死というものを味わわせてくれ
Good God, let me give you my life ☆
善き神よ。私の命をあなたに捧げさせてくれ

☆~☆

No masters or kings when the ritual begins *14
儀式が始まればもう主も王もない
There is no sweeter innocence than our gentle sin *15
僕たちの穏やかで優しい罪は、この上なく甘く快い。原罪を免れた無垢なんだ
In the madness and soil of that sad earthly scene *16
この悲しい地上の舞台、狂気と泥に汚れた土の中で
Only then I am human *17
その時だけは僕は人間だ
Only then I am clean
その時だけは僕は清浄だ
Amen. Amen. Amen
ありのままであれ

※~※

※~※


備考
  1. giggle : [動] くっくっと笑う [名] くっくっという笑い、面白い人、ジョーク
    have the giggles : けたけた笑う
  2. disapproval : 非同意、不承認、不賛成、不満、非難の気持ち
  3. worship : 崇拝する、礼拝する、尊敬・賛美する
  4. mouthpiece : (容器・菅の)口、(楽器等の)吹き口、マウスピース、代弁者、弁護士
  5. bleak : わびしい、気の滅入るような、暗い。吹きさらしの、荒涼とした、寒々とした
  6. offer : 提供する、差し出す、申し出る。述べる、提案する。捧げる
    absolute : 絶対的なもの、絶対(不変の)原理。完全無欠なもの、宇宙、神
  7. pagan : ユダヤ・キリスト・イスラムの一神教徒から見た異教徒。無信仰者・快楽主義者。野蛮・無知などの侮蔑的意味合いを含む。歌詞中の「良き時代」は侮蔑的な意味ではないことの強調だろうか?
  8. ※ pagan には太陽神等を崇める古代的な自然崇拝も含まれる。
  9. drain : (液体を)排出させる・抜き取る、飲み干す・空にする。(土地などが)干上がる・乾燥する
  10. meaty : 肉の(ような)、肉の多い、肉の味の強い、肉付きのよい
  11. be on one's high horse : 傲慢な態度をとる、(人を)理由もなく軽蔑する
  12. stable : 馬小屋、厩、厩舎
  13. faithful : 忠実な会員、忠実な支持者、信者、キリスト教信徒
  14. ritual : 儀式形式、式次第、典礼。作法、しきたり
  15. innocence : 無罪、潔白、無邪気、天真爛漫。無知、素朴、愚直。心の純潔、肉体の貞節
    soil : 1.土壌、土、大地、地域、温床。2.汚すこと、汚れ、汚物、下水、糞尿、肥料
  16. earthly : (天国に対して)地上の、この世の、現世の
  17. ※ "only then" は *14 の "when the ritual begins" につながっている。キリスト教では罪とされる性愛の儀式こそが「僕」にとっては人間でいられる時間、潔白でいられる時間であるという意味なのだろう。


 2014年のデビューアルバム Hozier より。冒頭の動画が強烈なので誤解する人もいるかもしれませんが、この歌詞は同性愛者に対する支持を主題としたものではありません。性愛は人間の原罪であり必要悪であるととらえるキリスト教思想に対する批判的な歌詞なのだろうと思います。それが最も分かりやすく表されているのが *15 の "innocence than our gentle sin" の部分です。他の歌詞にもある通りキリスト教は人間を生まれながらに「罪」を背負った汚れた(病んだ)存在だとみなします。innocence はその罪と対照的な言葉で「無罪、潔白、無垢、純潔」でありながら同時に「無邪気、無知、愚直、お人よし」でもあります。すなわち、人間として劣っているという意味合いを持っているのだろうと思います。宗教が自分を汚れていると規定したところで自分は何も気にしない、性愛は罪でも悪でもないというのがこの歌詞の主張だろうと思います。もちろん、そこには生命の誕生と無縁の同性愛に対する受容も含まれているのでしょう。
 そして、その批判の方法はかなり過激です。とくにサビの "Take me to church" 以下は、寝室での愛の行為を教会での礼拝に譬えており、敬虔なキリスト教徒からすれば教会やキリスト教、あるいは神への度の過ぎた冒涜ととられるのではないかと他人事ながら危惧します。ホゥジアはアイルランド人ですからおそらくカトリック信徒の家庭に育ったのだろうと想像しますが、この歌詞だけから判断すると彼はキリスト教への信仰心はほぼ皆無なのではないかと思われます。
 歌詞の中でまだ分からないのが *7 の pagan 以下の部分です。なぜここでキリスト教が敵視する自然崇拝などの異教を持ち出したのか、その意図が不明です。この一連の部分の5~13行目まではキリスト教の「傲慢」を批判しているように見えるのですが、冒頭4行の pagan のくだりの文脈がまだ理解できていません。

2015年9月23日追記
 知人のアドバイスを得て、pagan について考えてみたので以下に簡単に記します。と言っても、確信ではなく想像の域を出るものではありません。
 上にも書いているようにこの歌詞の趣旨はキリスト教の原罪説への批判だろうと思います。具体的には、人間は生まれながらに罪を負った存在であり性行為はその罪の表れであるという考え方に対する反感です。イブがアダムの肋骨から作られた人類創生譚、エデンの楽園を追われた責任がイブに負わされている事、サムソンを騙して弱体化させたデリラなど旧約聖書に顕著に見られるように、ユダヤ・キリスト教では女性は男性を惑わし堕落させる危険な存在とする価値観が強いようです。
 そのようなキリスト教世界に生きる「僕」は、恋人である彼女こそが神であり自分は彼女に命を捧げる生贄であると規定します。そしてその考え方はキリスト教世界では完全否定されるものであり、そこでは彼女は「僕」を堕落させる悪魔的な存在とされてしまいます。
 ところが pagan の世界ではアニミズム的な自然崇拝にせよギリシャ神話的な人格神にせよ人間と神との垣根はあいまいで人間と神との交渉も可能です。従って、「僕」が女神を恋人とすることあるいは「僕」の恋人である彼女が神であることは何の支障もなく成り立つことになります。*7 以下の4行については、このような「僕」と「彼女」の関係が罪ではなく自然なものとして認められる pagan の世界がキリスト教では無知・罪悪・悪魔的とみなされるという批判的文脈で書かれているのだろうと思います。
 そして、この部分全体の文脈としては、「僕」の恋人への愛情、それに関わる欲望(支配・光輝・肉)、高貴な馬に乗る教会の信仰心と欲望、飢えた信者の信仰心と欲望、それらはすべて同じ類のもので、"tasty, plenty, hungry" すなわち等しく「人間的」なものだと主張しているのではないかと思いました。
 歌詞が論理的に書かれていないのでこれは一つの推論でしかありません。他のいろいろな解釈も成り立つと思いますので、他の解釈や訳し方などがあればコメントいただけると幸いです。

2015年10月6日追記
 この歌は初めに想像したよりも深い意味を持っているように思えてきたので、少し書き加えておきます。あるインタビューでこの歌に関連してホゥジアは次のように話しています。

With “Take Me to Church,” it’s using the language against itself, if that makes sense. It’s using the language to express that I need to be free of that language and be free of those concepts. Only being able to use those concepts, I suppose you would lift more particularly from those terms.
"Take Me to Church" では、言語をそれ自身に対抗させる使い方をしているんだ。分かりにくいかな? 「言語から自由にならなければならない、言葉の持つ概念から自由にならなければならない」ということを表現しようとする言語の使い方なんだ。(そして、)ある言葉をより高く引き上げるためには、その言葉の持つ概念を使いこなせるようになるしかないと思うんだ。
(http://www.absolutepunk.net/showthread.php?t=3711040 ※翻訳は間違っているかもしれません。)

 上の記事で「キリスト教思想を批判する歌詞」だと単純に書きましたが、この歌詞は「批判する自分自身」にも批判の目を向けているようにも思えます。例えば、恋人への愛情と教会の思想を同格に並べていると上述しましたが、これは、恋人への愛のために海を干上がらせる事(不可能な事・倫理に反する事)は宗教のために成される悪事と同格だということです。
 神の名の下に行なわれる戦争や虐殺は数千年前から現代に至るまで絶えることなく起き続けています。このような盲目的な崇拝の恐ろしさは、一見素朴に見える pagan 的な思想にも一個人の他を排する偏狭な思想にも通じるものがあると示唆しているように思えます。少し深読みかもしれませんが、この歌詞はいろいろと考えさせられるものがあります。



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