War / No More Trouble : Bob Marley & The Wailers

2009年03月11日




War : Bob Marley & The Wailers

What life has taught me
私が人生から教わったものを
I would like to share with those who want to learn... *1
学びたいと欲する人たちと分かち合いたい

Until the philosophy which holds one race superior and another inferior
人種に優劣をつける考え方が
is finally and permanently discredited and abandoned,  *2
最終的かつ恒久的に信用を失い見捨てられるまで
Everywhere is war, me say war *3
戦争はいたるところに存在する

That until there are no longer first class and second class citizens of any nation
すべての国家において階級がなくなるまで
Until the colour of a man's skin
人間の肌の色の違いが
is of no more significance than the colour of his eyes
瞳の色の違い以上の意味を持たなくなるまで
Me say war
戦争はあり続ける

That until the basic human rights are equally
基本的人権が、平等に
guaranteed to all, without regard to race *4
人種に関わらずすべての人に保障されるまで
Dis a war *5
いまいましい戦争はあり続ける

That until that day
その日が来れば
The dream of lasting peace, world citizenship, rule of international morality *6
平和の永続、世界的な公民権、国際道義の規則という夢が
will remain in but a fleeting illusion to be pursued but never attained *7
かなえられるだろう。追求されるだけで遂げられることのない、はかない幻ではなくなる
Now everywhere is war, war
しかし、今はいたるところが戦場だ

And until the ignoble and unhappy regimes *8
そして、卑しくも不幸な圧政が、
that hold our brothers in Angola, in Mozambique, South Africa sub-human bondage *9
人間以下の扱いで同胞たちを拘束しているアンゴラ、モザンビーク、南アフリカの圧政が、
have been toppled, utterly destroyed *10
打ち倒され、完全に破壊されるまで
Well, everywhere is war, me say war
そうだ、戦争はいたる所にある

War in the east, war in the west
東に、西に、
War up north, war down south
北に、南に、
War, war, rumours of war *11
戦争だ、戦争の噂ばかりだ

And until that day,
その日が来るまで
The African continent will not know peace, we Africans will fight
アフリカ大陸は平和を見ることはない。我々アフリカ人は戦うだろう
We find it necessary *12
我々はそれが必要だと分かった
And we know we shall win
そして、我々が勝つことも分かっている
As we are confident in the victory of good over evil *13
我々は確信しているからだ。悪に対する善の勝利を

Good over evil, good over evil
善は悪を駆逐するのだ



No More Trouble : Bob Marley & The Wailers

We don't need no trouble
俺たちはもうこれ以上の苦難も混乱もいらない

Make love and not war 'cause we don't need no trouble
愛を作れ。戦争を作るな。もうやっかいな事は必要ないんだ
What we need is love to guide and protect us on
俺たちに必要なのは愛だ。それが俺たちを導き守ってくれる
If you hope good, down from above
いいことを望むのなら、上から下へ降りて来い
Help the weak if you are strong now
強さを持ってるんだったら弱い者を助けろ

We don't need no trouble
俺たちにはもう争いも混乱も必要ない
What we need is love
俺たちに必要なのは愛だ
Lord knows, we don't need no trouble
神は知る。俺たちにはもう争いも混乱も苦難も必要ない

Seek happiness
幸福を追い求めろ
Come on, you all and speak of love
さあ、みんな来い。愛を語ろう

We don't need no trouble
俺たちには争いはいらない
What we need is love
必要なのは愛だ

We don't need no more war
俺たちにはもう戦争はいらない
No more trouble - we don't need no more - more trouble
これ以上の苦難はいらない。混乱はいらない。争いはいらない



備考
  1. この冒頭の2行は、歌われてはいないが、歌詞カードには記載されている。歌詞の原文であるハイレ・セラシエ皇帝の演説にもこのままの文はないが、一部の語句が引用されている。
  2. discredit : 疑う、信用しない、正しくないことを示す、信用に値しないとする
    abandon : 見捨てる、地位を投げ打つ、計画・習慣をやめる、勝負などをあきらめる
  3. この斜体字の部分は、原文の演説にはなく、作詞者が加えたもの。以下、斜体字の部分は同様。
  4. guarantee : 請合う、保証する
    regard : 注意、関心、尊重、敬意、事項、関係、関連
    with regard to ~ : ~に関しては
  5. dis : 本来は否定、反意等を示す接頭辞。アフリカン・アメリカンやラッパーの間では、disrespect の略として罵倒、非難、軽蔑する時に使うらしい。
  6. citizenship : 市民権、公民権、市民性、市民的行動、共同社会性
    morality : 道徳、道義、道徳体系、道徳原理
  7. remain : 残る、残存する、存続する、生き残る、とどまる、~のままである、結局~となる、~に帰する
    fleeting : いつしか過ぎていく、つかの間の、無常の、はかない
    pursue : 追跡する、追求する、遂行する、続行する
    attain : 遂げる、達成する、獲得する、到達する
  8. ignoble : 生まれの卑しい、下劣な、下品な、見下げ果てた
    regime : 制度、統治様式、政体
  9. hold : 抑える、制する、拘束する
    subhuman : 人間以下の、人間にふさわしくない
    bondage : 農奴の境遇、とらわれの身、奴隷の身分、束縛、屈従
    bond : 紐、束縛するもの、接着剤、結束、約定、証文
  10. topple : 倒す、政府などを打倒する
    utterly : 完全に、全く、残らず、すっかり
  11. rumour : 噂、風説、流言
  12. 皇帝の演説では We find it necessary ではなく If necessary となっている。作詞者がより強い表現に変えたのだろう。
  13. confident : 確信して
    evil : 悪、邪悪、罪悪


 War は1976年のアルバム Rastaman Vibration に初収。アルバムジャケットにはこの歌の作者として、A.Cole, C.Barrett という2人の名が掲げられています。
 この歌詞のほとんどは、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世 [1892-1975] が1963年に国連で行った演説から引用されています。ボブ・マーリーの母国ジャマイカにはラスタファリアニズムという独自の宗教があります。この宗教においては、ハイレ・セラシエ1世をジャー(神)の化身として崇めます。
 ハイレ・セラシエ1世はアフリカ連合の構想を抱いて欧米先進国としたたかに交渉し、政治家としての外交手腕は相当なものであったようです。しかし、独裁制を続けた内政においては経済格差、食糧不足などで国民の信頼を失います。1974年に起きた陸軍のクーデターにより帝政は消滅、拘禁されたハイレ・セラシエ1世は1975年に死去しています。
 ラスタファリアニズムは、キリスト教を母体として自然発生・成長してきた宗教です。奴隷としてジャマイカに連れてこられた人たちは、自分たちの支配者の宗教であるキリスト教しか生きる支えとなる思想がありませんでした。そのキリスト教に自分たちのルーツであるアフリカ回帰の思想を加味して作り上げてきた宗教がラスタファリアニズムです。
 北米の黒人霊歌を聞く時も感じるのですが、人間の歴史は罪の歴史なのだと思います。しかし、300年前、100年前よりも、現代人の方が精神的に進化しているのだとも信じたいものです。
 冒頭に掲げた動画では、War からそのまま続けて No More Trouble が歌われています。ライブなので上に掲げた歌詞とは若干違いますが「もうトラブルはいらない」という歌です。War は反戦歌ではなく、むしろ差別に対する戦いへの檄ともいえます。しかし一方で、戦いは愚かしいものだという思いも込められ、アフリカ系のボブ・マーリーのような人たちの複雑な立場を表わす歌だと思います。


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