Like A Song

2015年12月31日

Like A Song : U2




Like a song I have to sing
例えば、歌わねばならぬ歌
I sing it for you
俺はそれをお前に歌う
Like the words I have to bring
例えば、伝えねばならぬ言葉
I bring it for you
俺はそれをお前に伝える

And in leather, lace and chains we stake our claim *1
革や飾りや鎖をまとい、俺たちは権利を主張する
Revolution once again
今一度革命をと
No I won't, I won't wear it on my sleeve
いいや。俺はしたくない。袖にそんなものを着けたくない
I can see through this expression and you know I don't believe *2
こんな見せかけの表現には嘘が見える。俺は信じない
Too old to be told, exactly who are you? *3
大人になり言われなくなった。だから今自分に問う。「いったいお前は誰だ」と
Tonight, tomorrow's too late
今夜では、明日では、遅すぎる

And we love to wear a badge, a uniform
俺たちは記章や制服が好きだ
And we love to fly a flag *4
国旗を掲げるのが好きだ
But I won't let others live in hell
でも、誰かに地獄のような生き方をさせたくない
As we divide against each other
俺たちが互いに分裂し対立するのは
And we fight amongst ourselves
俺たちが互いに争うのは
Too set in our ways to try to rearrange *5
自分たちのやり方に頑な過ぎて、それを直すことができないからだ
Too right to be wrong, in this rebel song *6
正しすぎて間違えられないからだ。…この「抵抗の歌」でさえも

Let the bells ring out *7
警鐘を鳴らせ
Let the bells ring out
警鐘を鳴らせ
Is there nothing left?
何も残されてないのか?
Is there, is there nothing?
ないのか? 本当に何もないのか?
Is there nothing left?
残されたものは何もないのか?
Is honesty what you want?
お前の求めるものは誠実で公正なのか?

A generation without name, ripped and torn *8
引き裂かれ、剥ぎ取られた、名前のない世代の俺たち
Nothing to lose, nothing to gain
失うものはない。得るものもない
Nothing at all
まったく何もない
And if you can't help yourself
もし、自分でどうすることもできなくなったら
Well take a look around you
まわりを見渡してみろ
When others need your time
お前の時間を必要とする誰かがいる時には
You say it's time to go... it's your time
こう言え。「行く時だ」…それがお前の時間だ
Angry words won't stop the fight
怒りの言葉は戦いを止めはしない
Two wrongs won't make it right
誤った二つのものが正しいものを作ることはない
A new heart is what I need *9
俺に必要なのは新しい心だ
Oh God, make it bleed *10
ああ主よ。私にも血を流させてくれ
Is there nothing left?
何も残されていないのか?


備考
  1. lace : レース、制服の装飾用モール、靴・服の締め紐
    stake : 植物を杭で支える、動物を杭につなぐ、杭を打って印をする、杭で仕切る、分け前を要求・確保・主張する
    claim : 当然の権利としての要求・請求・主張、支払い要求、賠償請求。要求する権利、請求権、請求物
    ※ "leather, lace and chains" は、1970年代半ばに発生したパンク文化を示唆しているのだろう。パンクロックに代表されるこの文化は、例えばプログレなどロックが音楽的に洗練され高踏的なものとなって行くと同時に素朴なエネルギーを失いつつある中で、その反動として現れた。そして、元々ロックが内包していた反体制や反権威主義、アナキズム、ニヒリズムなどの心情を表現していると解されることが多かった。
  2. see through : 本質を見抜く・理解する・把握する、見破る
  3. exact : 正確な、的確な。かっきりの、ちょうどの。精密な、厳密な、綿密な
    exactly : 質や量が正確・厳密に、あらゆる点で・ちょうど・完全に、(同意の返事で)その通り・まさしく、(不同意の疑問文で)一体全体・そもそも
    ※ "Who are you?" は強い詰問的な言い方で日常会話で使われることは少ないらしい。警官が誰かを容疑者扱いする場合や路上で喧嘩を売られた場合、あるいは迷子に大人が尋ねる場合などはこの言葉が使われるらしい。子供はこの言葉を言われる状況が多いのだろうと判断し、このように訳してみたが間違っているかもしれない。この歌詞での "Who are you?" は「自分がどんな存在で、何をしたいのか、何をすべきなのか」という自問ではないだろうか?
  4. fly the flag = keep the flag flying : 自国への誇りを表明する、競技会でメダルを獲得する、国旗を掲揚される。戦い続ける、信念を貫く
  5. set : [形] 定められた、規定の、所定の。型にはまった、慣習的な。固定した、こわばった、硬直した。断固とした、決心した、頑固な。用意・準備ができている
  6. ※アイルランドでは、占領国であるイギリスに対する「抵抗の歌」が昔から多く作られ歌われてきた。その反英感情は独立した後も主に北アイルランドの領有をめぐり根深く残っている。
  7. ※ bell は「鐘・鈴・ベル」で警戒・警告の意味はなく、通常「警鐘 = alarm bell 」だが、ここは文脈からこう判断した。本当は、何かの典拠があるなど別の意味が込められているのかもしれない。
  8. ※ "ripped and torn" は、個人主義が強くなり政治的・社会的運動や党派的集団活動などが嫌われるようになった1980年頃の風潮、そしてそれを助長する支配体制を示唆するように思える。
  9. ※旧約聖書エゼキエル書36章26,27節に、神がユダヤの民に対して言った言葉がある。「私はあなた方に新しい心を与え、あなた方の中に新しい霊を置こう。あなた方の石の心を取り除き、肉体の心を与えよう。そして、あなた方の中に私の霊を置き、あなた方を私の意志に従って進ませ、私の法を注意深く守らせよう」。
     エゼキエルは紀元前6世紀の預言者で、ネブカドネザル2世によってバビロニアに強制移住させられていたユダヤ人に対する神の言葉を伝えた人物。エゼキエル書はユダヤ王国の壊滅とバビロン捕囚が神の怒りによるものであり、その起因がユダヤ人の不信心であることが記されている。そして、悔い改めて神意に従うことにより、ユダヤ人とその国の回復がなされるとされる。
  10. ※ "Make it bleed" は、生贄となって死んだイエスのように、自分もこの身を捧げて為すべき事を果たしたいという気持ちではないだろうか?


 1983年のアルバム War より。
 「怒りの言葉は戦いを止めはしない」という歌詞があります。これは U2 がこの頃から現在に至るまで終始貫き通している「思想」だとも言えるものです。彼らの発する政治的主張は「争いを止めるために互いの違いを認め合い許し合え」という所に行き着くのだろうと思います。これはある意味正論です。私は一方で、怒りの権化のような Rage Against The Machine の歌もとても好きです。怒りを内包しない社会思想は信用できないとすら思います。ただ、この頃の U2 の音楽は何かに強迫されているかのような切実さが感じられて今聞いてもとても感動します。"Like A Song" という曲名には「たかが歌でしかない。社会変革などには無力かもしれない。それでも自分たちはこれをせざるを得ないんだ」という思いが込められているように感じます。



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