Don't Wanna Fight

2016年07月18日

Don't Wanna Fight : Alabama Shakes




Your lines, my lines *1
あなたの線。私の線
Don't cross them lines *2
その線を越えないで
What you like, what I like
あなたの好み。私の好み
Why can't we both be right?
どちらもが正しいってなれないのは何故?
Attacking, defending
攻撃を続け、防御を続け
Until there's nothing left worth winning
最後には勝利の価値が何も残らなくなる
Your pride and my pride
あなたの自尊心。私の自尊心
Don't waste my time
私の時間を無駄にしないで

I don't wanna fight no more …
私はもう闘いたくない

Take from my hand
私の手から取って
put in your hands
そして、あなたの手の中に入れて
the fruit of all my grief
私の悲嘆の果実のすべてを
Lying down ain't easy *3
横たわることすら楽じゃない
when everyone is pleasing, I can't get no relief *4
皆が私を喜ばせようとする時も。私には救済は得られない
Living ain't no fun
生きることは楽しくなんかない
the constant dedication *5
休みなく続く献納
keeping the water and power on
水を得るために。電気を使うために
There ain't no money left
金など一銭も残りはしない
Why can't I catch my breath? *6
一息ついて休むことすらできないのは何故?
I'm gonna work myself to death *7
働き過ぎて死ぬかもしれない

I don't wanna fight no more …
もうこれ以上闘いたくない

No, no, no, no!
いやだ

I don't wanna fight no more …
もうこれ以上闘いたくない


備考
  1. line : 線、境界線、輪郭、道筋、電線、糸・紐、防御線・前線・戦線
  2. cross : 渡る、横切る。交差させる。十字を切る。
  3. ain't = is not
    ※この "easy" が「たやすい、容易だ、簡単だ」なのか「安楽な、安らぐ、くつろげる」なのか良く分からない。一応どちらともとれるあいまいな訳し方にしておいた。
  4. (1) A please B. : AがBを喜ばせる。
    (2) A is pleasing B. : AがBを喜ばせている。
    (3) A is pleasing to B. : AはBに対し喜ばしい。BにとってAは気持ちがよい(楽しい・感じが良い)
    ※歌詞では上のBが書かれていないが、おそらく "me = 私" が暗に想定されているのだろうと思う。ただ、(2) のように動詞ととるべきか (3) のように形容詞ととるべきか、どちらがよりふさわしいかは分からない。また、"me" ではなく "themselves" が省略されていると仮定すると "please oneself" は「好き勝手にする」という意味になる。こちらの方が文脈上ふさわしく思えるが、通常の "pleasing" の意味合いをはずれてしまうため、これを省略することはないだろうと判断した。
  5. dedication : 献納、奉納。献身、専念。献呈
  6. catch one's breath : 一息つく、休む。(驚き・興奮等で)息を詰める、固唾を飲む
  7. work : 働かせる、働かせて…の状態にする。苦労して進む、働いて(努力して)得る・成し遂げる
    He worked himself into a high position in society. : 彼は努力して社会的に高い地位に就いた
    work oneself sick : 働きすぎて病気になる
    to death : 死ぬほど、極度に、ひどく
    ※ "work oneself to death" は、(1)比喩的に「死ぬほど働く、頑張る」の意味を込める場合と(2)現実に「働き過ぎて死ぬ」という場合と両方あり得るのだろうと思う。ただし、日本独自の「過労死」を英語で説明する際にかつて "work oneself to death" という言葉が使われたことがあるらしいので、作詞者は(2)の意味で使ったのではないかと判断して翻訳した。ちなみに「過労死」は今では "karoshi" として英語の辞書の見出し語として載っており "death caused by overwork" 等と定義されている。


 2015年のアルバム "Sound & Color" より。
 イギリスの新聞インディペンデント紙のインタビューでボーカルのブリタニー・ハワードはこの歌に関して次のように語っています。(2011年に4曲入りのEP盤を初めて発表した頃、バンドメンバーは皆終日の仕事を持っていた。)「私は郵便局で働いていたわ。郵便配達してたのよ。スティーブは発電所で働いてた。…(中略)…私は働きながら学校に行ったり公共料金を払ったりしてた。みんなも同じでしょ。終日働いてもお金が足りない。だからともかくまた働く。でもまた足りない…多くの人はそんな風に生活しているのよ」(他のメンバーも同意して頷いた。バンドがツアーを始めた時彼らは皆一文無しか借金を背負っていた。)※丸括弧内はインタビュアーの地の文章。http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/music/features/alabama-shakes-interview-i-didnt-think-i-wanted-to-do-this-any-more-10363116.html
 これを読むとこの歌のモチーフはとても個人的で身近な生活を歌ったものであり、冒頭の対立と闘いも例えば男女の恋愛関係の葛藤や身近な人間関係の確執を描いたもののようにも受け取れます。しかし、前半の "line, right, attack, defend, worth winning" などの言葉の選び方がどうしても国家間の戦争や集団間の対立等をイメージさせ、個人の狭い日常を超えた問題意識を感じます。
 なお、後半の "Take from my hand" から "… I can't get no relief" までの5行は作詞者の意図がまだ良くつかめません。一応訳してはいますが、内容をごまかした訳文になっています。
 また、圧倒的な演奏と歌唱にかき消されて気がつかない方もいるかもしれませんが、"lines-lines, like-right, defending-winning, pride-time … hand-hands, grief-relief, fun-dedication-on, left-breath-death" とすべてがきれいに脚韻を踏んでいるのは見事だと思います。



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