Dirty Paws

2016年08月15日

Dirty Paws : Of Monsters and Men




Jumping up and down the floor,
床の上で小躍りして飛び跳ねる
My head is an animal. *1
私の頭は動物だ

And once there was an animal, *2
昔々ある所に一匹の動物がいました
It had a son that mowed the lawn.
一人息子がおり、彼は芝生を刈りました
The son was an OK guy, *3
その息子は善人でした
They had a pet dragonfly.
二人はトンボを飼っていました
The dragonfly it ran away, *4
トンボはある日逃げ出したのですが
But it came back with a story to say.
また戻って来ました。話すべき物語があったからです

Her dirty paws and furry coat, *5
彼女の四つ足は汚れていましたが、体を覆う毛は柔らかでした
She ran down the forest slopes.
彼女は森の斜面を駆け下りました
The forest of talking trees,
おしゃべりをする木々の森
They used to sing about the birds and the bees. *6
木々たちは鳥たちと蜂たちのことを歌っていました
The bees had declared a war, *7
蜂たちは鳥たちに宣戦を布告しました
The sky wasn't big enough for them all.
彼らには、空の広さが充分ではなかったからです
The birds, they got help from below,
鳥たちは地上からの救援を得ました
From dirty paws and the creatures of snow.
汚れた四つ足の獣たちと雪の生き物たちです

So for a while things were cold,
それからしばらくの間、すべてのものが寒さに冷え
They were scared down in their holes. *8
鳥たちと獣たちは巣穴の中で怯えていました
The forest that once was green
かつては緑に彩られていた森が
Was colored black by those killing machines. *9
この殺戮機械たちによって黒く塗られました
But she and her furry friends
しかし、彼女とその柔毛の仲間たちは
Took down the queen bee and her men.
ついに女王蜂とその手下たちを倒しました
And that's how the story goes,
…という話です
The story of the beast with those four dirty paws.
四つの汚れた足を持つ獣の物語です


備考
  1. 冒頭の2行は導入部で、3行目以降とは視点が異なっているように思える。そして、例えば動物になったような気分で遊んでいる子供の認識を指すようにも見えるこの2行は、「人間」も元々はあるいは広義には「動物」の一種に過ぎないと言っているように思える。
  2. ここからの6行は「一匹の動物」とその「息子」についての物語、次の *5 から最後までは物語の中の物語であり、全体が入れ子構造を成しているのではないだろうか。
  3. 「息子」が「芝生を刈り」、「善人」であることは、この動物の親子が安寧に暮らしていることを示唆する。また、「芝生を刈る」「ペットを持つ」は、この親子が、自身が動物であるのに自然を "人工化" していることを示しているようにも見える。
  4. 「飼う」「逃げる」という言葉は、動物の親子が同じ動物である「トンボ」を支配し従属させていることを示唆する。
  5. この「物語」の主人公である「彼女」は上の「一匹の動物」を指すのではないだろうか。そして、逃げた「トンボ」は外の世界で過去の歴史を知り、平安な現在に暮らし対立や争いを知らない「息子」に彼の母親の経験した「戦争」について伝えるために戻って来たのではないだろうか。
    また、「彼女」の "furry coat" と "dirty paws" は、彼ら獣たちが善と悪、清浄と汚濁、聖性と俗性などの両面を持つことを示唆する。
  6. "the birds and the bees" は「大人が子供に性行為について教えること、性に関する基礎的な知識」という意味があり、鳥の産卵や花粉を運ぶ蜜蜂による植物の受精等を例にして人間の婚姻や性行為を婉曲的に教えることを指す。"tell kids about the birds and the bees : 子供に性の基礎知識を教える" などの使い方をする。ただし、この意味がこの歌詞と関係あるかどうかは不明。深読みすれば、生物の生殖と繁殖が生物同士の争いにまで発展し得るというイメージを微かに込めたのかもしれない。
  7. 「蜂」が宣戦布告した相手は書かれていないが、前行の「鳥たちと蜂たち」、次行の「空の広さ」などの文脈から、「鳥」と解するのが自然だと思う。
  8. "they" は文脈から「鳥・獣」側だと判断した。
  9. 「黒く塗られる」は直接的には無数の蜂たちによって空が埋め尽くされてる様を指すのだと思うが、比喩的には人間の戦争における爆撃等による森の破壊を意味するようにも思える。


 2012年のデビューアルバム "My Head Is an Animal" に収録。ネット上にはこの歌詞を第二次世界大戦になぞらえる解釈をする人が複数いました。"forest = ヨーロッパ戦線", "bees = ナチスドイツ", "birds = フランス・イギリス", "creatures of the snow = ソ連", "dirty paws = アメリカ", "The four dirty paws = アメリカの独立戦争・南北戦争・第一次大戦・第二次大戦" といった具合です。これは少し深読みし過ぎでしょうが、人間の戦争を隠喩させているのは明らかだと思います。
 この歌の趣旨は、本来自然の一部であるはずの人間が、自然を破壊し動植物の生存域を侵略することや人間同士で争うことの愚かさを歌っているのではないでしょうか。物語の主人公である "She = an animal = dirty paws" は人間の隠喩に見えます。そして、同時に、生命の種が存続するためにはいつも他の種たちを殺し続けることが必要だという「業」も表現しているのではないかと思います。
 また、極北に位置するアイスランドには原生する昆虫類が少ないそうです。ミツバチやマルハナバチ等の "bee" もアイスランドにはもともとは生存しませんでした。1930年代に初めて養蜂箱がノルウェーから移入されたものの蜂たちは寒い冬を生き延びることができず、アイスランドに養蜂技術が定着し始めたのはここ数十年のことだそうです。この歌はアイスランドにミツバチがいない理由を語る「民話」あるいは「童謡」の雰囲気を醸しているのかもしれません。



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