Vertigo

2016年08月31日

Vertigo : U2




Uno, dos, tres, catorce *1
1、2、3、14
Turn it up loud, captain
音を上げてくれ、艦長

Lights go down, it's dark
光が消え、辺りが暗くなる
The jungle is your head, can't rule your heart *2
頭が混乱し、動悸が収まらない
A feeling's so much stronger than a thought
とても強い感情が起こり、思考を超える
Your eyes are wide and though your soul, it can't be bought
目は大きく見開かれている。魂が買われることはないが
Your mind can wander
心は当て所なく彷徨っている

Hello, hello (hola!) *3
ハロー、ハロー(ホーラ)
I'm at a place called Vertigo (dónde está!) *4
ヴァティゴ(眩暈)という所にいるんだ(どこだって?)
It's everything I wish I didn't know
何もかも知らなければ良かったと思うことばかり
Except you give me something
ただあなたが与えてくれるものは違う
I can feel, feel!
感じられる。感じられる

The night is full of holes
この夜のクラブはいくつもの穴が開いている
'Cause bullets rip the sky of ink with gold *5
なぜなら、墨色の天井をミラーボールが金色の銃弾で切り裂いているから
They twinkle as the boys play rock and roll *6
みんな、ロックンロールを奏でる少年たちのようにキラキラ輝いているが
They know that they can't dance, at least they know
自分たちが踊れないことを知っている。ともかく分かってはいる
I can't stand the beat, I'm asking for the check *7
唸る音に耐えられず、勘定を頼む
Girl with crimson nails has Jesus around her neck
真っ赤な爪をした少女が、イエスを首に掛けて
Swinging to the music, swinging to the music
音楽に合わせて踊っている

Hello, hello (hola!)
ハロー、ハロー(ホーラ)
I'm at a place called Vertigo (dónde está!)
ヴァティゴ(眩暈)という所にいるんだ(どこだって?)
It's everything I wish I didn't know
何もかも知らなければ良かったと思うことばかり
But you give me something
でも、あなたは何かを与えてくれる
I can feel, feel!
感じられる。感じられる

Check mated *8
詰まされた
Oh yeah, hours of fun
楽しい時間
Jumping in, yeah
飛び込むんだ

All of this, all of this can be yours *9
このすべてが、このすべてがお前のものになるぞ
All of this, all of this can be yours
All of this, all of this can be yours
Just give me what I want and no one gets hurt
私の求めるものをお前が差し出しさえすれば。そして、誰も傷つきはしない

Hello, hello (hola!)
ハロー、ハロー(ホーラ)
We're at a place called Vertigo (dónde está!)
ヴァティゴ(眩暈)という所にいるんだ(どこだって?)
Lights go down, and all I know is that you give me something
光が消える。ただ分かるのは、あなたが何かを与えてくれるということ
I can feel your love teaching me how
感じられる。どうすればいいかをあなたの愛が教えてくれる
Your love is teaching me how
あなたの愛はやり方を教えてくれる
How to kneel
跪き方を、祈り方を
Kneel
跪くことを

Yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah


備考
  1. ※スペイン語。catorce が cuatro(4) でない事については次のような説がある。(1)一番目の聖書(旧約)、その中の二番目の書(出エジプト記)、第三章、第十四節を示す。(2)このアルバムが U2 の14番目のアルバムであることを示す。(3)この歌全体が14歳で母を失くしたボノの心情を暗示するものであるという解釈。(4)単なる言い間違い。ボノ自身は明言を避けているがあるインタビューで「少し酒が入ってたからかも」と言っている。ちなみに、出エジプト記 3-14 は次のように記されている。"神はモーセに言われた。「私はある。私はあるという者だ」。そしてまた言われた。「イスラエルの人々にこう言うがよい。『私はある』という方が私をあなたたちに遣わされたのだと。"
  2. jungle : 密林、ジャングル。ごたごたした集まり、寄せ集め、混乱状態にある所。困惑させるもの、迷路。冷酷な生存競争の場、食うか食われるかの社会
  3. hola(スペイン語)= hello
    vertigo : めまい
    ※ "Vertigo" はボノが行ったことのあるナイトクラブを指しているらしい(実名かどうかは不明)
  4. dónde está(スペイン語)= where is
  5. ink : インク、(イカ・タコ)の墨、黒人
    ※ここの "bullets" はおそらくナイトクラブのミラーボールを暗示するものだろう。
  6. "They" は普通の英文であれば前行の "bullets" を指すのだろうが、この歌詞ではナイトクラブにいる人々を指すのだろうと思う。
  7. stand : 立てる、耐える、我慢する、立ち向かう、対抗する、受ける、被る、従う
  8. checkmate : (チェスで相手のキングを)詰める。(相手・計画を)挫折させる、行き詰らせる
  9. ここは新約聖書でイエスが悪魔の誘惑を受けて信仰を試される箇所を示唆している。
    "そこで、悪魔はイエスに言った。「神の子なら、この石にパンになるように命じたらどうだ」。イエスは、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」とお答えになった。更に、悪魔はイエスを高く引き上げ、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せた。そして悪魔は言った。「この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。だから、もしわたしを拝むなら、みんなあなたのものになる」。イエスはお答えになった。「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある」。"(新共同訳聖書 ルカ伝4章3節~8節)


 2004年のアルバム "How to Dismantle an Atomic Bomb" より。
 2009年に出版された "U2 BY U2" というインタビュー集の中で、この歌についてボノが次のように語っています。

"Vertigo" では、みんな一度は行ったことがあるようなひどいナイトクラブの事を考えていたんだ。素敵な時を過ごそうとすごく楽しみにして行くんだよ。そこにあるものはどれも桁外れに普通じゃなくて、飲物は第三世界でバーが一軒買えるくらいの値段なんだ。辺りを見回すと、頂上に太った資本主義が鎮座する山があって、今にも崩れ落ちそうなんだよ。そして、自分が今いるのがどんな所か分かると、頭がふらふらして吐き気がしてくる。こんな所で僕たちは、飲んだり、食べたり、汚染したり、盗んだりといったことを、皆がお互いに死ぬほどやっているんだ。クラブの真ん中には一人の少女がいる。真っ赤な爪をしてる。綺麗かどうかなんて分からないし、どうでもいい。ただ、彼女は首に十字架を下げている。そして、この歌の主人公は、気を落ち着かせるためにその十字架をじっと見つめているんだ。
 <https://en.wikipedia.org/wiki/Vertigo_(U2_song)>

 この言葉を前提に歌詞の趣旨を考えてみると、資本主義に基づく豊かさを享受している主人公は、同時にその豊かさが第三世界の貧困など数多くの他人の犠牲の上に成り立っていることを理解しているため、自責の念にかられています。そして、魂を売る事と引き換えに今得ているよりさらに大きな繁栄を与えてやるという悪魔的な誘惑と闘っている様子が描かれているのでしょう。
 以下に書く事はかなり個人的な感情で、また U2 の活動についてあまり知らないので、客観性は全くありません。流してお読み下さい。この曲は音楽としてはとても好きなのですが、歌詞に関する限りはあまり好きにはなれません。信仰の悩みや罪の告白など、一人で教会の告解室ででもやってくれ、という気持ちすら湧きます。今やキリスト教の神に世界を救う力などないだろう、そんな事よりも、大企業アップルと組んで商売に励むことの是非についてもう少し慎重に考えた方が良かったんじゃないかなどと言いたくもなります。また、恋愛要素や性的な隠喩も含んでいるような言葉の選び方も、ストレートな表現が好きな自分にとっては余計な修辞法に感じられます。



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