気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Sunday Bloody Sunday

Sunday Bloody Sunday : U2




I can't believe the news today
俺は、今日のニュースが信じられない
Oh, I can't close my eyes and make it go away.
そして、目をつぶることも、そむけることもできない
How long, how long must we sing this song?
いつまで俺たちはこの歌を歌わなければならないんだろう?
How long, how long?
いつまでなんだ
'Cos tonight *1
せめて、今夜
We can be as one, tonight. *2
俺たちは一つになることができる、今夜こそは

Broken bottles under children's feet
子どもたちの足元でビンが砕け
Bodies strewn across the dead-end street. *3
袋小路の向こうには死体が散らばる
But I won't heed the battle call *4
しかし、俺は戦いの呼び声には耳を貸さないようにしよう
It puts my back up, puts my back up against the wall. *5
戦いへの誘惑は俺をいらだたせ、進むことも退くこともできなくする

Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日
Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日
All right, let's go.
さあ、行くんだ

And the battle's just begun
戦いは始まったばかりだ
There's many lost, but tell me who has won?
多くの人が死んだ。しかし、誰が勝ったと言えるんだ?
The trenches dug within our hearts *6
塹壕が俺たちの心の中に掘られ
And mothers, children, brothers, sisters
母親たち、子どもたち、兄弟、姉妹が
Torn apart. *7
引き裂かれただけじゃないか

Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日
Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日

How long, how long must we sing this song?
いつまで、俺たちはこの歌を歌わなければならないんだ?
How long, how long?
いつまで
'Cos tonight
せめて、今夜こそは
We can be as one, tonight.
俺たちは一つになれる、今夜だけでも
Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日
Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日

Wipe the tears from your eyes
目に浮かぶ涙をふけ
Wipe your tears away.
涙などぬぐい去るんだ
I'll wipe your tears away.
俺がお前たちの涙をふいてやろう
I'll wipe your bloodshot eyes. *8
俺がお前たちの血走った目をぬぐってやる
Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日
Sunday, bloody Sunday.
日曜日、血の日曜日

And it's true we are immune *9
一方で、俺たちは慣れて鈍感になっている、
When fact is fiction and TV reality. *10
事実が作り話になり、テレビだけが現実味をもつこの時代には
And today the millions cry
しかし、今日も百万の人が泣いている
We eat and drink while tomorrow they die.
明日、俺たちが食べたり飲んだりしている間にも、彼らは死んでいく

The real battle just begun
本当の戦いは始まったばかりだ
To claim the victory Jesus won
イエスの勝利を求めるための戦いだ
On...Sunday, bloody Sunday *11
日曜日、血の日曜日から
Sunday, bloody Sunday..
日曜日、血の日曜日


備考
  1. 'cos = because : 原因・理由を示す接続詞。…だから。by cause を語源とする。
    cause : [名] 原因、理由、根拠、大義、大目的、主義 [動] 引き起こす、~させる
    in the cause of freedom : 自由のために
  2. as one : 一体となって
  3. strew - strewed - strewn : まき散らす、ばらまく
    across : 横切って、渡って、向こう側に
    across the street : 道路の向こう側に
    dead end : 通路の行き止まり、袋小路
  4. heed : 心に留める、気をつける
    call : 呼び声、点呼、召集、召喚、誘惑、要求
  5. put one's back up : 怒らせる、いらだたせる、頑固にする
    have one's back to [against] the wall : 追い詰められる、窮地に陥る、進退きわまる
  6. trench : 塹壕
    dig - dug - dug : 土を掘る
  7. tear - tore - torn : 裂く、破る、ちぎる、分裂させる
    tear apart : 取り壊す、ばらす、引っかきまわす、分裂させる、平穏を(心を)かき乱す
  8. blood-shot : 充血した、血走った、血まなこの
  9. immune :(攻撃・病毒・徴兵・課税などを)免れた、免除された、免疫性の、~に影響されない
  10. fiction : 小説、作り話、作り事、虚構
  11. On は、The real battle just began on bloody sunday. とつながっているのではないだろうか。


 Sunday Bloody Sunday は1983年のアルバム War に収録されています。
 Bloody Sunday は、1972年1月30日に北アイルランドで起こった「血の日曜日事件」を指しているようです。これは、カトリック教徒の公民権を求める市民団体の行進に英国軍が発砲、14人が死亡するという事件です。非武装の民間人のデモに国軍が実弾を発砲するという極めて異常な事件を機に、北アイルランドにおけるカトリックとプロテスタントの緊張は一気に高まりました。そして、その後1970年代から80年代を通して、カトリック、プロテスタント双方のテロ活動は熾烈を極め、数多くの死傷者を出すこととなります。冒頭の「今日のニュース」というのは、血の日曜日事件後に幾度となく起きたテロ事件のひとつを指しているのではないかと思われます。
 歌詞では、このようなテロ合戦に対し心をかき乱されながらも戦いを拒否すべきだという主張がされているように見えます。そして、歌詞の終盤では、アイルランド紛争解決を超えて世界的な社会問題を解決するための「本当の戦い」を求める決意表明とも言える言葉が歌われています。当時のライブでは U2 は降伏の印である白旗を掲げていました。敵を殺したり傷つけたりするのではない「本当の戦い」の象徴だったのではないでしょうか。
 U2 のメンバーは1960年、1961年生まれだそうです。血の日曜日事件当時はまだ小学生、この歌を作ったのは21歳から22歳くらいでしょうか。リアルタイムでこの曲を聞いていた同世代の私は深く心を動かされ、彼らを「同志」のように思いさえしました。しかし、世界に対し何事かを成し得るものだと信じていたはずなのに、仕事に追われ時に流されていた十数年後のある日、何事も成し得ず何者にも成り得なかった自分に愕然としたことがあります。
 この歌が作られた後、ベルリンの壁の崩壊、ソ連の解体など世界は大きく変わりますが、紛争や貧困などは現代でも変わらずに大きな問題として私たちの前に立ちはだかっています。「いったいいつまで俺たちはこの歌を歌わなくちゃならないんだ」という問いは今も生きています。
 今この曲を聞くと、お前には何ができるのか、お前は何をしなければならないのかと問い詰められているようで、焦燥と自責を感じ軽く鬱気味になってしまいます。

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