Wings(Wing$): Macklemore feat. Ryan Lewis

2016年12月13日




I was seven years old, when I got my first pair
7歳だった。初めて買ってもらった
And I stepped outside
外に出て、一歩一歩地面を踏んでみた
And I was like, Momma, this air bubble right here, it's gonna make me fly *1
そして言った。「ママ。見て、このエアバブル。ほら、今にも飛べそうだよ」
I hit back-court and when I jumped, I jumped, I swear I got so high *2
コートの床を蹴って、跳んだ。「跳んだんだ。すごく高かったよ」
I touched the net, Mom, I touched the net, this is the best day of my life
ネットに触った。「ママ、ネットに触ったんだ。人生で最高の日だよ」

Air Max's were next
二足目はエアマックスだった
That air bubble, that mesh, the box, the smell, the stuffin', the tread
あのエアバブル、あの網目。箱、匂い、詰め物、靴底の溝
In school, I was so cool
学校で俺はとてもかっこよかった
I knew that I couldn't crease 'em
思ってた。絶対しわや傷をつけちゃいけないって
My friends couldn't afford 'em, four stripes on their Adidas
分かってた。友達は同じ物を買えないって。だから四本線の偽アディダスを履いてるって
On the court I wasn't the best, but my kicks were like the pros *3
コートでは一番じゃなかったけど、靴はプロ選手みたいだった
Yo, I stick out my tongue so everyone could see that logo *4
ジョーダンを気取って舌を出し、ナイキのロゴが見えるようにベロを引っ張り上げた
Nike Air Flight, book bag was so dope *5
ナイキのエアフライトさ。ランドセルもすごく良かった
And then my friend Carlos' brother got murdered for his Fours, whoa *6
その後、友達のカルロスの兄さんが殺された。エア・ジョーダン4のせいで
See he just wanted a jump shot, but they wanted his Starter coat, though
彼はただジャンプシュートがしたかっただけなのに。奴らは彼のベンチコートも欲しがった
Didn't wanna get caught, from Genesee Park to Othello *7
捕まりたくなくて、ジェネシー公園からオセロまで逃げた
You could clown for those Pro Wings, with the Velcro *8
マジックテープのプロウィングスでおどけた方が良かったんだ
Those were not tight *9
格好良くはないけど、足にきつくない
I was trying to fly without leaving the ground *10
俺は離陸することなく飛ぼうとしてた。地道な努力をしなかった
Cause I wanted to be like Mike, right, wanted to be him
マイケル・ジョーダンのようになりたかった。まさしく彼のように
I wanted to be that guy, I wanted to touch the rim
あんな男になりたかった。ジャンプしてリムに触れたかった
I wanted to be cool, and I wanted to fit in *11
格好良くなりたかった。ばっちり決めたかった
I wanted what he had, America, it begins
彼の持つ物が欲しかった。"アメリカ" はここから始まる

I want to fly. Can you take me far away?
飛びたいんだ。遠くまで連れて行ってくれるかい?
Give me a star to reach for. Tell me what it takes *12
手を伸ばすべき星を与えてくれよ。そして、そのために何が必要なのか教えてくれ 
And I'll go so high, I'll go so high
高い所へ行くんだ。高い所へ行くんだ
My feet won't touch the ground
足を地面に着かせたくない
I stitch my wings and pull the strings *13
この羽を一針一針縫って、自在に操るんだ
I bought these dreams that all fall down
俺が買った夢。それは、すべて崩れ落ちる

We want what we can't have, commodity makes us want it *14
俺たちは持てないものまで欲しがる。売っている物が俺たちをそうさせる
So expensive, damn, I just got to flaunt it *15
すごく高かったんだから、見せびらかさなきゃ
Got to show 'em, so exclusive, this that new shit *16
あいつらに見せなきゃ。他にない高級品で最新モデルだ
A hundred dollars for a pair of shoes I would never hoop in *17
100ドルもしたんだ。履いてバスケなんかできない
Look at me, look at me, I'm a cool kid
見てくれ。格好いいだろ
I'm an individual, yeah, but I'm part of a movement
俺は個性的だ。でも、大きな動きの一部でしかない
My movement told me be a consumer and I consumed it *18
その大きな動きが俺に買えと言う。だから、俺は買った
They told me to just do it, I listened to what that swoosh said *19
みんな俺に "そうだ。やれ" と言う。スウッシュの言うことは何でも聞いた
Look at what that swoosh did
スウッシュのしてきた事をみれば
See it consumed my thoughts *20
スウッシュが俺の思考を消耗させ破壊してきたと分かる
Are you stupid, don't crease 'em, just leave 'em in that box
馬鹿なのか? しわになるだろ。箱に入れてしまっておけ
Strangled by these laces, laces I can barely talk
靴紐に絞め殺されそうだ。この紐のせいでおしゃべりもできない
That's my air bubble and I'm lost if it pops
これは俺のエアバブルだ。もしこれが弾けたら俺は死んでしまう
We are what we wear, we wear what we are
俺たちは "着ている物" で、"着ている物" が俺たちなんだ
But see I look inside the mirror and think Phil Knight tricked us all *21
でも、鏡を覗き込んで、思った。フィル・ナイトは俺たちみんなを騙していたんだと
Will I stand for change or stay in my box
変わるために立ち上がろうか、それとも自分の箱の中に留まっていようか
These Nikes help me define me, but I'm trying to take mine off
ナイキが俺を助けてくれる、俺を俺らしくしてくれる。でも、これからは自分自身で飛び立とうと思う

I want to fly. Can you take me far away?
飛びたいんだ。遠くまで連れて行ってくれるかい?
Give me a star to reach for. Tell me what it takes
手を伸ばすべき星を与えてくれよ。そして、そのために何が必要なのか教えてくれ 
And I'll go so high, I'll go so high
高い所へ行くんだ。高い所へ行くんだ
My feet won't touch the ground
足を地面に着かせたくない
I stitch my wings and pull the strings
この羽を一針一針縫って、自在に操るんだ
I bought these dreams that all fall down
僕が買った夢。それは、すべて崩れ落ちる

It started out with what I wear to school
学校に何を履いて行くかから始まった
That first day, like these are what make you cool
初登校の日。これなら格好いいだろうと思った
And this pair, this would be my parachute *22
この靴なら、パラシュートのように空を飛べる、安全に着地できる
So much more than just a pair of shoes
これは、単なる靴以上の物なんだ
Nah, this is what I am
そうさ。これは俺自身なんだ
What I wore, this is the source of my youth
何を身につけているか。これが元気の源なんだ
This dream that they sold to you
この "夢" こそが彼らが売っているものさ
For a hundred dollars and some change *23
100ドル何十セントと引き換えに、いくらか人生が変わるかもと
Consumption is in the veins *24
"消費" は(俺たちの)血管にまで入り込んでいる
And now I see it's just another pair of shoes
でも、今の俺には分かる。それは替わりのきくただの靴にすぎないってことが


備考
  1. like, be like : たぶん、"say 言う" と同じような意味だろうと思う。ニュアンスはよく分からない。
    ※air bubble : 気泡。ここでは、スニーカーの底に仕込まれた衝撃吸収のエアバッグのこと。気体を使った衝撃吸収剤はナイキが初めて開発し、1978年に発表された。
  2. backcourt : 守備側のコート。または、バックコートにいるディフェンスの選手。
    ※ "hit back-court" は、敵選手を叩いた(負かした)というより、敵側のコートでジャンプしたという意味だろうと思う。
  3. kicks : スニーカー、運動靴
  4. ※マイケル・ジョーダンがプレー中に舌を出すポーズと、シュータンのロゴを見せ付ける様子を掛けている。
  5. book bag : 学生用の本などを入れるかばん。
  6. ※ウィキペディアによるとエア・ジョーダンは「その人気から、1990年代初め頃からシューズを巡っての強奪や傷害事件、営利目的の悪質な転売行為などの問題も発生している」らしい。
  7. Genesee Park and Playfield, Othello Playground : いずれも、マックルモアの出身地であるワシントン州シアトル郊外にある公園。直線距離にして2Kmほど離れている。
  8. Pro Wings : 安物の運動靴の代名詞的ブランド
  9. tight : 本義の「締まった、きつい、張った、ぴったりした」とスラングの「格好いい、凄い、最高」とを掛けている。
  10. leave the ground : 地面を離れる、離陸する、飛び立つ。実行する、上手く(無事に)スタートを切る
  11. fit in : 適合する、ふさわしい、ぴったり合う、適合する、なじむ、調和する
  12. what it takes : 必要な(欠かせない)もの。資質、素質、能力、特質など。
  13. stitch : 一針、一縫い、一かがり
    pull the strings : 状況を操作(コントロール)する、裏で糸を引く、影で策動する、操る、思い通りにする
  14. commodity : 商品、売買品、産物(農作物・鉱物等)、日用品。
  15. flaunt : 誇らしげに練り歩く、旗が翻る。堂々と見せる、見せびらかす、誇示する、ひけらかす
  16. exclusive : 排他的な、締め出す、共有しない、独占する、唯一の、閉鎖的な、高級な、富裕層向けの
  17. hoop : バスケットの(ネットが付いた)リング。バスケットをする
  18. consume : 消費する、購入する。使い切る、使い果たす。破壊する、消耗させる
  19. just do it : さあ、やれ。早くやれ。やるしかない。いいからやれ。ナイキの宣伝文句として頻繁に使われた
    swoosh : ナイキのロゴマーク
      
  20. ※英語の "consume" には単に「消費する、買う」という意味に加え、「使い尽くす、消耗させる、破壊する、焼き尽くす」等の否定的な意味も持っている。
  21. Philip Hampson Knight : ナイキの創業者。1938年、オレゴン州ポートランド生まれ。
  22. ※ "parachute" の意味はよく分からないが、おそらく次行の "pair of shoes" と韻を踏ませているのだろうと思う。
  23. ※ここであえて「100ドル+小銭」と書いているのは、"change" に「小銭、おつり」と「変化」の両義を掛けたかったからではないだろうか。
  24. vein : 静脈、血管。(一時的な)気分、気持ち。スタイル、手法、気味、調子


 2012年のデビューアルバム "The Heist" より。
 この歌に関するマックルモア自身の言葉をいくつか読んだのですが、公式のブログにかつて載っていた記事は現在削除されており、インタビュー記事も微妙に改変されている節が見受けられるため、ここに引用することは控えておきます。ただ、言えることはマックルモアは子供の頃からナイキやマイケル・ジョーダンのファンであり、今でもスニーカーヘッドだということです。
 それを勘案すると、この歌は、ナイキや消費資本主義をあからさまに批判したものではなく、消費資本主義に毒された彼や私たちの思考を批判するものなのだろうと思います。いくら価値のある物であろうと所詮物でしかないものに依存することをやめて、自分を自分の力で磨くことが大切であると言っているのではないでしょうか。また、歌詞中の言葉の端々から、ナイキなどのブランドを信奉する心情は麻薬依存症と同じであると言っているようにも見えます。頭では愚かだと分かっていてもなかなかそこから脱け出すことができないという苦悩も表されているように思います。
 マックルモアが大のナイキ好きであることは次の写真や動画からよく伺えます。
  http://www.nicekicks.com/macklemores-best-sneakers-css-spotlight/
  
 これくらいならばまだ上の歌詞と比べてもそれほど矛盾を感じないのですが、下のような記事を読むと、彼の書く歌詞の偽善性が垣間見えるような気もして複雑な気分になります。
  http://www.poeticdissent.com/2015/06/macklemore-jordan-brand/
  http://www.ebay.com/itm/Air-Jordan-6-Macklemore-034-Green-Suede-034-PE-Sample-/201477822617
 直上のリンクは、彼がジョーダンブランドからプレゼントされた靴がなぜか ebay で落札されているページです。こういう物は PEモデルと呼ばれ、ナイキが有名選手などにプレゼントする限定生産品です。家族や友人用も含め通常数十足しか作られないため、もし市場に出回れば高額な値段がつくそうです。ちなみに上のページでは2050ドルで落札されています。"Thrift Shop" という歌で言っていた「Tシャツに50ドル? 馬鹿じゃねえの」という言葉が嘘のように聞こえてきそうです。



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