Who by Fire

2009年06月15日

Who by Fire : Leonard Cohen




And who by fire
火に焼かれる者
Who by water
水に溺れる者
Who in the sunshine
日の光の下で死ぬ者
Who in the night time
夜に死ぬ者
Who by high ordeal *1
神盟裁判で裁かれる者
Who by common trial *2
世俗裁判で裁かれる者
Who in your merry merry month of May *3
華やかな五月に死ぬ者
Who by very slow decay *4
衰弱してゆっくりと死にゆく者
And who shall I say is calling *5
そして、あなたは誰なのですか?

And who in her lonely slip
下着姿で寂しく死ぬ女
Who by barbiturate *6
バルビツールで死ぬ者
Who in these realms of love *7
愛に包まれて死ぬ者
Who by something blunt *8
鈍器で殺される者
Who by avalanche *9
雪崩で死ぬ者
Who by powder
薬で死ぬ者
Who for his greed *10
過食によって死ぬ者
Who for his hunger
飢餓によって死ぬ者
And who shall I say is calling
そして、あなたは誰なのですか?

And who by brave assent *11
勇敢な行為によって死ぬ者
Who by accident
事故で死ぬ者
Who in solitude *12
孤独に死ぬ者
Who in this mirror
鏡に自身を映しながら死ぬ者
Who by his lady's command
彼女に殺される男
Who by his own hand
自らの手で死ぬ男
Who in mortal chains *13
鎖につながれたまま死ぬ者
Who in power *14
権力を握ったまま死ぬ者
And who shall I say is calling
そして、あなたは誰なのですか?


備考
  1. ordeal : 厳しい試練、苦難。神盟裁判(被疑者に苦痛を与え、耐えられれば神の意思を受けたとして無罪とする古代の裁判)
  2. common-law : コモン・ロー。イギリス中心に発達した法体系。大陸法に対する英米法、教会法に対する世俗法、制定法に対する判例法等の訳語がある。
  3. 5月1日にはヨーロッパでは古くから春の訪れを祝う五月祭(May-day, May-fair) が行われていた。
  4. decay : 腐食、腐敗、減衰、衰微、衰弱、衰退、老朽化
  5. Who shall I say is calling? : 電話の会話での慣用句。shall I say は丁寧表現。会社などで誰かへ取次ぎを請われた際に相手の名前を尋ねる時に使う。「失礼ですがどちら様でしょうか」「お名前はどちら様とお伝えいたしましょうか」
  6. barbiturate : バルビツール剤(鎮静剤・催眠剤)
  7. realm : 王国、国土、領域、範囲、(生物学上の)界
    the realms of romance : ロマンスの国
  8. blunt : [形] 鈍い、なまくらの、鈍感な、無遠慮な、ぶしつけな  [名] 短い太針
  9. avalanche : 雪崩。雨あられと降りかかるもの(投石など)、クレームなどの殺到
  10. greed : 食い意地、大食い、貪欲
  11. brave : 勇敢な
    assent : 同意、賛同
  12. solitude : 独居、孤独
  13. mortal : 死ぬ運命の、死を免れない、致命的な、永遠の死を招く、死に至る、許されない
  14. in power : 政権を握って、権限のある


 レナード・コーエン(Leonard Norman Cohen)は、1934年カナダ生まれのシンガー・ソングライターで、詩人、小説家としても有名です。Who by Fire は、1974年に発売されたアルバム New Skin for the Old Ceremony に収録されています。
 この歌詞はユダヤ教の祈祷文をもとに作られたものだそうです。ユダヤ教では一年でいちばん重要な贖罪の日(ヨム・キプール Yom Kippur) があり、その日に祈る詩だそうです。ヨム・キプールには、この一年の自分の罪を反省し、神の審判が下され来年の自分の運命が決められるということです。ユダヤ教徒は終日シナゴーグで祈りを捧げ、断食をするそうです。
 すべての人間は死すべき運命にあり、そういう意味では人間はすべて平等であるというような内容は、ユダヤ教徒の家庭に育ち、後年禅宗の僧侶の資格を得た彼らしい歌詞とも言えるのかもしれません。And who shall I say is calling の句は、人の生死を定めるものはいったい誰なのか、何なのかという問いなのでしょうか。



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