気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Jammu : KSHMR



 <Sometimes the most courageous act is the one you don't do.>
 <時によっては、最も勇気ある行為は何もしないことである。>

 2015年に発表されたシングル曲です。歌詞を探してみたのですが残念ながら見つかりませんでした。何語かすら分かりません。ただ、この動画を紹介したかったので、動画の最後に掲げられた言葉を翻訳して、記事として掲載することにしました。
 アメリカ人のカシミアは本名を Niles Hollowell-Dhar といい、父親がインドからの移住者です。Kshmr というステージネームはインド北部の "Jammu and Kashumir ジャンムー・カシミール州" からとったものです。16世紀のムガル帝国第4代皇帝ジャハンギールがカシミール渓谷を「もし地上の天国というものがあるとしたら、それはここだ」と言ったと伝えられるほど景観の美しい地域だそうです。

 ジャンムー・カシミールの夏季州都シュリナガルのダル湖(by confused_me)
 シュリナガルのダル湖

 アザド・カシミールのニーラム渓谷(by mhaqnawaz)
 アザド・カシミールのニーラム渓谷


 カシミール地方は、国際政治的な理由から現在下の地図にあるように大きく4つに分けられています。南部のオレンジ色の部分がインドの領有するジャンムー・カシミール州、その北西に隣接する緑色の部分がパキスタンが実効支配しているアザド・カシミール、東部の縞々の部分が中国が実効支配しているアクサイチン(インド側の呼称はラダック地方の一部)、残りの北部の茶色い部分は同じくインドが実効支配しているシャクスガン渓谷です。
 そして、そのいずれも領有権をめぐって三つ巴の争いが続いている地域です。印パ戦争、中印戦争を経てもなお解決を見ないカシミール領有問題は三国が共に核兵器保有国ということもあり、その危機の高まりは世界情勢に波及する恐れがあります。一方で核兵器を持つゆえに全面戦争に陥らず、部分的な衝突や過激派を通じたテロリズムが長く続くという悲劇を招いています。

 Kashmir.jpg

 ジャンムー・カシミール州は住民のほとんどがイスラム教徒であり公用語はウルドゥ語、インドはヒンドゥ教徒が多く公用語がヒンディ語です。そのためインドからの分離独立を望む人々が多いようです。そして、それを暴力的に強行しようとするイスラム過激派組織もこの地域の内外に複数存在し、これまでテロにより多数の死者が出ています。
 インド政府の治安当局は警察や中央警察予備隊という準軍事組織、陸軍の治安部隊などを使って国内の治安維持を図っているのですが、この活動は軍事特別法、公共安全法という二つの法律に基づいて行なわれるため、法的な手続きを経ずに発砲や逮捕、拘束ができるようになっています。この法律はテロリストを取り締まるために強力な武器ではあるのですが、警察や軍隊の過剰な取り締まりや暴力を生んでいると住民からは強く批判されており、治安当局のこの過剰な暴力が過激派に入る若者を増やすという悪循環を指摘する声もあります。
 冒頭の動画は、何らかの事情で母親を殺された孤独なムスリムの少年が過激派組織に救われ、兵士として育てられる様子を描いています。大人になった彼はヒンドゥ教徒の乗るバスに乗り込み自爆テロを図ろうとしますが、後から乗ってきた母子を見て子供の頃の自分と母親を思い出すという展開になっています。
 最後に「おばあちゃんに 1940-2012」という言葉と写真が掲げられていますが、これはおそらくカシミアの祖母を指しているのでしょう。

 下の動画は毎年ベルギーで開催されている Tomorrowland という世界最大規模のEDMイベントの模様です。



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