気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Paracetamol : Declan McKenna



There's a boy, fifteen, with a gun in his hand *1
少年がいる。15歳。手に銃を持ってる
And the people with no audience say should be hanged
聞く者もいないのに人々は言う。「絞首刑にすべきだ」
And they ask him for his motive but they don't understand
そして彼にその動機を問うが、誰も理解できない
Why they love like they do, like they do
なぜ人々はみんながするように愛するのだろう。みんながするように
There's a girl, fifteen, with her head in a noose
少女がいる。15歳。首に縄をかけてる
Because she's damned to live, well, she's damned to choose
生きるのが嫌になったからだ。そう。選ぶのが嫌になったからだ
And the animals walked in twos by twos *2
動物たちはひとつがいずつ歩いて中に入った
Showing love like they do, like they do
みんながするように愛をみせびらかした。みんながするように
There's a girl, fifteen, although she isn't sure *3
少女がいる。15歳。彼女は確信が持てなくなってしまう
Well how the hell could you want anything more *4
「どうして何でもかんでも欲しがるんだ?」と言われる
Beautiful, perfect, immaculate whore
「美しさ。完璧。無垢な穢れのない娼婦か?」と言われる
I'm in love, love with you, love with you
恋してる。愛してる。あなたが好き…ただそれだけなのに

Oh, won't you let me finish *5
おい、話はまだ終わってないぞ。最後まで聞けよ
You drive me insane
お前たちのせいで気が狂いそうなんだ
The world will keep on turning
もちろんこれからも世界は変わり続けるだろう。旧態依然という事はない
Even if we're not the same
そして、仮に俺たちが皆同じじゃない、一様じゃないと認めたとしてもだ
Don't come onto me, come onto me *6
とりあえずこっちには来るな。俺には近づくな

There's a boy, fifteen, turning into a man
少年がいる。15歳。"男" になろうとしている
Well, tell me one other thing that he can
彼ができる他の事があるなら教えてくれ
While you forced a smile through a jealous hand
君たちは "嫉妬" の手で彼に笑顔を強要した
Showing love like you do, like you do
自分たちのやり方で愛を見せびらかしながら。自分たちのやり方で
There's a boy, fifteen, and he's attempted to sue *7
少年がいる。15歳。自殺を図ることで訴えた
'Cause he's definitely sure that it's true
彼はそれが真実だと確信しているからだ
Well, what kind of man, kind of man are you? *8
「それで、どんな男なんだ。お前はどんな男なんだ?」と言われても
Showing love like you do, like you do
「自分のやりたいような愛を見せびらかしているだけだろう」と言われても

Oh, won't you let me finish
おい、話はまだ終わってないぞ。最後まで聞けよ
You drive me insane
お前たちのせいで気が狂いそうなんだ
The world will keep on turning
もちろんこれからも世界は変わり続けるだろう。旧態依然という事はない
Even if we're not the same
そして、仮に俺たちが皆同じじゃない、一様じゃないと認めたとしてもだ
Don't come onto me, come onto me
とりあえずこっちには来るな。俺には近づくな

So, tell me what's in your mind, so, tell me what's in your mind?
だからさ。僕に教えてくれよ。君たちの心の中にあるものを
And don't forget your paracetamol smile *9
そして、いいかい。よく聞けよ。君たちの笑顔はクスリによるものなんだよ

You're emotionally challenged
君たちは感情的に煽られ、挑まれてるんだ
Why do you waste your talent?
なぜその才能を無駄にする?
The world around you's manic
君たちの回りの世界の方が躁病的に狂ってるんだ
Do you have no shame?
君たちにだって誇りがあるだろう?
Come onto me, come onto me
おいでよ。もっと僕の近くに



備考
  1. ※「銃を持っている」のは歌詞全体の趣旨からすれば「自殺を図ろうとしている」と解するのが自然だろうが、次の行の「絞首刑」という言葉への文脈からするとこの少年が何らかの犯罪を犯したと解釈すべきだろう。トランスジェンダーであるという理由で苛められたり虐待や暴行をされた少年が相手を過失的に殺してしまったという話であれば全体の趣旨とも合致すると思われるが、あくまで推測なので冒頭のこの3行の意味は正確には分からない。
  2. ※この一行はおそらく雌雄一対ずつの動物たちを乗せたノアの方舟を想定している。聖書を持ち出したのは、キリスト教を初めとする宗教が同性愛などを厳しく禁じていることを批判しているのだろう。
  3. sure : 1.[主語の確信] ~と堅く信じて、確信して、自信があって。2.[話し手の確信] きっと~する、~するのは確実だ。
    ※ここでは 1. で「自分が自分である事に確信が持てない」と解したが、間違っているかもしれない。
  4. How could you do that? : どうしてそんなことをするの? 何てことをするの?
    ※ここと次の行は「転換療法」でトランスジェンダーを「矯正」するために投げつけられる様々な言葉をイメージしているのだろうと解したが、これも間違っているかもしれない。
  5. Let me finish. : 最後まで言わせて。話は最後まで聞けよ。話はまだ終わってないよ。
  6. ※同性愛者等に対する世間の嫌悪感を表した言葉なのだろう。そして、ここまでの5行は、トランスジェンダーや同性愛などへの差別の撤廃が主張される風潮が近年とくに強くなっていることに反感を持つ人たちの意見なのではないだろうか。
  7. sue : 告訴する、訴訟を起こす、訴える
    ※精神的に傷を負った人たちのネット上のコミュニティサイトでは "Sue" は "suicide 自殺" の略称あるいは経験者のハンドルネームとして使われることがあるらしい。
  8. ※ここは *3 と同様に、トランスジェンダーが「転換療法」の療法士や、あるいは世間から投げつけられる悪罵だろうと判断したが、間違っているかもしれない。
  9. paracetamol : イギリスで最も使われている解熱鎮痛薬。アメリカ・日本ではアセトアミノフェンと呼ばれる。名前の違いは化合物名である para-acetylaminophenol の略称の違い(para-acetylaminophenol, para-acetylaminophenol)による。
    paracetamol smile : マッケンナはインタビューで paracetamol についてこう言っている。「パラシータモルはトランスジェンダー転換療法に関係してるんだ。自分が自分であるための "医学的な治療" があると主張する人がいる、ということの比喩なんだ」
    ※ "conversion therapy 転換療法" はゲイやレズビアンなどの性的嗜好者あるいはトランスジェンダー(身体的性別と性自認が一致しない人)を一般的な性的嗜好・性自認へと変換させるために行なわれる治療のこと。カウンセリングや議論等による心理療法が主だが、中には電気ショックや薬物使用、悪魔祓い、性的指導などの極端なものもあるらしい。元々は宗教的な理由から行なわれたことが多く、現在は、無免許で行なわれることもあるこの療法への批判的な意見が増えてきている。
    <参照サイト>
     http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/28/conversion-therapy_n_13280312.html
     http://www.ishiyuri.com/entry/2015/12/01/this-video-shows-how-straight-people-react-when-they-try-conversion-therapy


 2017年のデビューアルバム "What Do You Think About the Car?" より。
 2014年11月28日未明、米オハイオ州の州間高速道路71号線で一人の少女がトレーラーに轢かれ死亡しました。自殺です。17歳のリーラ・アルコーンは、身体的には男性で性自認が女性であるトランスジェンダーでした。出生時に男性と判定され両親から男性として育てられた彼女は、ずっと自分の境遇を嘆いてきました。出生時に両親がつけた名前はジョシュア。ユダヤ・キリスト教徒に一般的な男性名で、神に「強くあれ。雄雄しくあれ」と言われたユダヤの指導者の名です。自分は女性であるという彼女の主張を頑なに受け入れない両親は、彼女が友達に会う事も禁じ、学校も辞めさせ、宗教的偏見に満ちた「転換療法」(備考欄 *9 参照)を受けさせます。時には悪罵も投げつけられるというこの「療法」に耐えられなかった彼女は、将来を悲観してついには自死を選んでしまいました。
 この歌はリーラ・アルコーンの自殺に衝撃を受けて作ったものだそうです。来日時のトークセッションでデクラン・マッケンナは次のように語っています。
「人を受け入れること、人を理解することの大切さは僕の曲のテーマの1つだ。自分が受け入れられなくて悩んでいる人、ありのままの自分が表現できないで悩んでいる人が多い。この出来事はとくに酷いと思い、曲にしたい、なにか言いたいって思ったんだ。時が経ち、こういった問題が徐々にオープンに語られるようになってきた。みんながもっと自分を表現でき、受け入れられるようになることを願っている」(https://www.barks.jp/news/?id=1000143146 より)


 <関連記事>
  ☆1-800-273-8255 : Logic feat. Alessia Cara & Khalid


Comments 0

Leave a reply