気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Castle Of Glass : Linkin Park




Take me down to the river bend *1
川の曲がりに連れて行ってくれ
Take me down to the fighting end
戦いの終わりに連れて行ってくれ
Wash the poison from off my skin
肌についたこの毒を洗い清めてくれ
Show me how to be whole again *2
無傷の完全な自分に戻る方法を教えてくれ

Fly me up on a silver wing *3
銀色の翼に乗せて運んでくれ
Past the black where the sirens sing *4
サイレンの鳴るこの暗がりの向こうへ
Warm me up in a nova's glow *5
新星の白熱光で温めてくれ
And drop me down to the dream below
そして、下界の夢へと投げ下ろしてくれ

'Cause I'm only a crack in this castle of glass *6
俺はこのガラスの城の中の一つのひびに過ぎない
Hardly anything there for you to see
誰の目にもほとんど見えないほどのひび
For you to see
誰にも見えないほどの

Bring me home in a blinding dream, *7
目眩ましの夢に包まれた故郷へ連れ帰ってくれ
Through the secrets that I have seen
俺が見てきた秘密の数々を通り抜けて
Wash the sorrow from off my skin
この肌についた悲しみを洗い清めてくれ
And show me how to be whole again
無傷の完全な自分に戻る方法を教えてくれ

'Cause I'm only a crack in this castle of glass
俺はこのガラスの城の中の一つのひびに過ぎない
Hardly anything there for you to see
誰の目にもほとんど見えないほどのひび
For you to see
誰にも見えないほどの

'Cause I'm only a crack in this castle of glass
俺はこのガラスの城の中の一つのひびに過ぎない
Hardly anything else I need to be
望んでも他の何者かになることは至難だ

'Cause I'm only a crack in this castle of glass
俺はこのガラスの城の中の一つのひびに過ぎない
Hardly anything there for you to see
誰の目にもほとんど見えないほどのひび
For you to see
誰にも見えないほどの
For you to see
誰にも見えないほどの


備考
  1. ※2003年に開設され、後有名になり各国で出版されたブログ "Baghdad Burning" の著者のハンドルネームが "Riverbend" という。おそらくバグダッド在住のムスリム女性の書くこのブログは、戦争下の被害や人々の日常生活などを綴りながら米国の対イラク戦争(2003-11年)や対イラク政策を批判するとともにイスラム原理主義や過激派も同時に批判している。ちなみに、イラクのバグダッドはチグリス川の蛇行する中流域にある。
  2. whole : 全部の、完全な、無傷の、健全な、元のままの
  3. fly : (凧・気球等を)揚げる、(鳥等を)放つ。~を飛ばす、操縦する。~を飛行機で運ぶ・送る
  4. past : [前置詞] (時間を)過ぎて。(場所を)過ぎて、(~のそばを)通り過ぎて。~を越えて、~以上。
  5. nova : 新星。 それまで暗かった星(白色矮星)の表面に一時的に強い爆発が起こり、数日間で数万~数百万倍の明るさになり新しく星が生まれたかのように見える現象。その後緩やかに暗くなって元に戻る。
    ※「新星」という言葉は「刹那的な爆発→一時的な精神的昂揚」を強要される兵士の境遇を表しているのではないだろうか。そして、この前後4行も「乗せられ、運ばれ、温められ、落とされる」という兵士の受動的なあり方を仄めかしているように見える。
  6. crack : (陶器・硝子器の)ひび。(氷等の)裂け目・割れ目。(人格等の)欠陥。(銃の)発射・銃声。機会・チャンス・望み・試み
  7. blinding : 目をくらます、まばゆいばかりの。分別を失わせるような。(痛み等が)激しい、ひどい
    ※「目眩ましの夢」は、戦地の悲惨な状況や「秘密の数々」を知らず安穏としているアメリカ国民の認識を批判しているように見える。


 2012年のアルバム"Living Things" より。
 いろいろな解釈ができる歌詞だろうと思います。抽象的に言えば、組織や社会の中の矮小な構成員であり何らかの事情で傷ついている「俺」が自分の無力感を嘆いているように見えます。ただ、その組織や社会が「ガラスの城」であるのは硬質ではあるが同時に壊れやすいことを示唆し、矮小な自分が「ひび」であるのは「ガラスの城」を破壊する起爆剤の能力を潜在的に持っていることを示唆しているようにも見えます。つまり、表面的な悲観の底にこの世界を破壊してやろうというささやかな意志が隠されているようにも思えるのです。
 私個人は冒頭の動画で軍人が描かれていることに引きずられた感もありますが、この歌詞を一人の軍人のアメリカ社会に対する批判だと解釈しました。戦場で傷ついた自分の様々な思いを戦場を知らないアメリカ人たちは理解してくれない。それでも、非力な自分でも社会を変えるために何かできるのではないか、そして、それをすることによって自分の傷が癒されるのではないかと自問しているように感じました。
 ちなみに、動画の初めと終わりに掲げられている言葉は次のような意味です。
 "Inspired by many true stories"
 "多くの真実の物語に触発され(て制作し)た"
 "All great things are simple, and many can be expressed in single words: freedom, justice, honor, duty, mercy, hope." by Winston Churchill
 "すべての偉大な事柄は単純であり、その多くは一つの言葉で表す事ができる。例えば、自由、正義、名誉、義務、慈悲、希望といったように" ウィンストン・チャーチル
 動画の制作者はこのチャーチルの言葉を「欺瞞、偽善」だと批判しているように私には思えます。チャーチルは一般的にはイギリスを代表する偉大な政治家でありナチス・ドイツからヨーロッパを救った英雄だと称えられます。歴史的な事実としてはその通りなのでしょうが、一個人としての彼は独善的で横柄、気分屋で癇癪持ちと性格的に難のある人物だったようです。戦争の指揮においても兵士の命は言うまでも無く時によっては民間人の命すら作戦の犠牲にすることを躊躇しなかったと言います。そのような彼の自由や正義、名誉という美しい言葉の犠牲になった人々に思いを寄せる掲示なのではないかと想像しました。

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