気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Death To My Hometown : Bruce Springsteen



Well, no cannon ball did fly, no rifles cut us down
砲弾は飛んでいない。誰も小銃で殺されていない
No bombs fell from the sky, no blood soaked the ground
空から爆弾が落ちてはいない。地面が血で浸されてもいない
No powder flash blinded the eye
閃光弾に目を眩まされてもいない
No deathly thunder sounded
死の雷鳴が轟いたわけでもない
But just as sure as the hand of God
だが、"神の御業" と同じくらい確かに
They brought death to my hometown
奴らは俺の故郷に死をもたらした
They brought death to my hometown
奴らは俺の故郷に死をもたらした

Now, no shells ripped the evening sky
炸裂弾が夕闇の空を切り裂くこともない
No cities burning down
町は焼き払われてはいない
No army stormed the shores for which we'd die
軍隊が暴れ回り人々が死ぬということもない
No dictators were crowned
独裁者が戴冠したわけでもない
I awoke on a quiet night, I never heard a sound
静かな夜に目を覚ました俺には何の物音も聞こえなかったが
The marauders raided in the dark
略奪者たちは闇の中で襲撃し
And brought death to my hometown
俺の故郷に死をもたらした
They brought death to my hometown
俺の故郷に死をもたらした

They destroyed our families, factories
奴らは俺たちの家族を壊した。工場を壊した
And they took our homes
俺たちの "家" を奪った
They left our bodies on the plains
俺たちの死体を野ざらしにした
The vultures picked our bones
ハゲワシたちが俺たちの骨をついばんだ

So, listen up my sonny boy, be ready when they come
だから、よく聞けよ、若いの。奴らが来るのに備えるんだ
For they'll be returning sure as the rising sun
奴らは日の出と同じように、またきっと戻ってくる
Now get yourself a song to sing
歌える歌を持つようにしろ
And sing it 'til you're done
そして、それを最後まで歌え
Sing it hard and sing it well
一生懸命に歌え。心行くまで充分に歌え
Send the robber barons straight to hell
"泥棒男爵" の悪徳資本家どもを真っ直ぐに地獄へ送れ
The greedy thieves who came around
強欲な盗っ人たちがやって来て
And ate the flesh of everything they found
見つけた "肉" をすべて食らい尽くした
Whose crimes have gone unpunished now
奴らの犯罪は未だ罰せられていない
Who walk the streets as free men now
今でも "自由民" のように町を闊歩している

They brought death to our hometown, boys
奴らは俺たちの町に死をもたらしたんだよ
Death to our hometown
Death to our hometown, boys
Death to our hometown


 2012年のアルバム "Wrecking Ball" より。
 冒頭にサンプリングされているのはアメリカ南部に古くから伝わる "Sacred Harp" と呼ばれる合唱です。18世紀後半から19世紀前半にかけて音楽家から素人まで様々な人々によって作曲された歌が本として出版され後世に受け継がれてきました。曲調はキリスト教の賛美歌やイギリス、アイルランドの民謡などに影響されたものが多いようです。誰かに聞かせるというより歌うことを楽しむための合唱という要素が強く、そのため、力強く高らかな歌声、生活を謳歌し神を賛美する歌詞などが特徴だそうです。
 この音源は Alabama Sacred Harp Singers という合唱隊が歌っており、Alan Lomax という民族音楽研究家によって1959年に録音されたものです。1755年に作詞された Philip Doddridge の賛美歌に、1869年に Sarah Lancaster が作曲し "The Last Words of Copernicus コペルニクスの最後の言葉”という題名をつけました。賛美歌の詩は『イザヤ書』60章20節の内容に依ったもので元の題名は "God the everlasting Light of the Saints above" とされていました。その内容は「時が来れば、神の栄光がエルサレムを照らし、太陽も月もいらない。イスラエルの民が嘆き悲しむ日々は終わる」といったものです。(http://originalsacredharp.com/2012/03/28/sightings-bruce-springsteens-sacred-harp-sample/ 参照)

Ye golden lamps of heaven farewell, with all your feeble light
天国の黄金の光明があなた方の弱々しい光に別れを告げる
Farewell, thou ever changing moon, pale empress of the night
別れを告げる。汝らの移ろい易い月に。青白き夜の女王に
And thou refulgent orb of day, in brighter flames array'd
そして、きらびやかな炎に包まれ燦然と輝く太陽の光にも
And thou refulgent orb of day in brighter flames array'd
別れを告げる。燦然たる日の光にも
My soul which springs beyond thy sphere, no more demands thy aid
我が魂は汝らの領分を超えて湧き出ずる。もはや自らを助ける必要もない
And thou refulgent orb of day, in brighter flames array'd
別れを告げる。きらびやかな炎に包まれ燦然と輝く太陽の光にも
And thou refulgent orb of day, in brighter flames array'd
別れを告げる。きらびやかな炎に包まれ燦然と輝く太陽の光にも
My soul which springs beyond thy sphere no more demands thy aid
我が魂は汝らの領分を超えて湧き出ずる。もはや自らを助ける必要もない

 "Death To My Hometown" の歌詞は、2007年のサブプライムローンの破綻、2008年の投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産から引き起こった世界的金融危機を背景にしているようです。2000年のITバブルの崩壊、2001年の米同時多発テロから低金利政策により立ち直りつつあったアメリカ経済も、その実態は安定したものではなく、経済の中枢が製造業、重工業からIT産業、金融業へと移り、多くの人間が何も生み出さないマネーゲームに没入するというものでした。歌詞の "they 奴ら = marauder 略奪者 = vulture ハゲワシ = robber baron 泥棒男爵 = thief こそ泥" などは、大企業の経営者たち、とくに米国経済をマネーゲームの賭博場にした金融資本を指しているように思えます。真面目に地道に働く者たちが報われない社会に対する強い批判の歌なのでしょう。具体的には挙げられていませんが、レーガンやブッシュ等の共和党政権への批判が込められていることは確かです。

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