気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Streets of London

Sinéad O'Connor


Ralph McTell


Have you seen the old man in the closed-down market
閉店した商店街でこんな爺さんをみたことがあるかい?
Kicking up the papers with his worn out shoes?
道に落ちた新聞を履き古した靴で拾い上げてる
In his eyes you see no pride
その目には微塵の誇りも見えず
Hand held loosely at his side
力なく握られたその手の中の
Yesterday's paper telling yesterday's news
昨日の新聞は昨日のニュースを伝えてる

※ So how can you tell me you're lonely *1
だからさ。どうして君は自分だけが孤独だと分かるんだい?
and say for you that the sun don't shine?
どうして自分だけに太陽が輝かないなんて言えるんだい?
Let me take you by the hand
君の手をとって
and lead you through the streets of London
連れてってあげよう。ロンドンのいろいろな街に
I'll show you something to make you change your mind ※
見せてあげるよ。君の心を変えるようなものを

Have you seen the old girl who walks the streets of London
ロンドンの街を歩くこんな婆さんを見たことがあるかい?
Dirt in her hair and her clothes in rags?
髪は汚れ、服はぼろぼろ
She's no time for talking
彼女には話をしてる暇はない
She just keeps right on walking *2
ただ歩き続けるだけさ
Carrying her home in two carrier bags
自分の "家" を買い物袋二つに入れて

※~※

In the all night cafe at a quarter past eleven
終夜営業の喫茶店。夜11時15分
Same old man is sitting there on his own
いつも同じ爺さんが一人で座ってる
Looking at the world over the rim of his tea-cup
カップの縁越しに世の中を眺めてる
Each tea lasts an hour
お茶一杯に一時間をかけ
Then he wanders home alone
そしてぶらぶらと一人で家へ帰る

※~※

Have you seen the old man outside the Seaman's Mission *3
船員救済教会の前に佇むこんな爺さんを見たことがあるかい?
Memory fading with the medal ribbons that he wears
胸に着けた勲章のリボンとともにその思い出も色褪せていく
In our winter city
僕たちの冬の街で
The rain cries a little pity
雨が少しばかりの憐れみを抱いて泣いている
For one more forgotten hero and a world that doesn't care
まだいる忘れられた英雄とそれを気にかけない世の中のために

※~※


備考
  1. How can you tell? : [慣用句] どうして分かるの?
  2. keep on ~ : ~し続ける(right は強調)
  3. The Mission to Seafarers (旧名 The Missions to Seamen) : ロンドンに本部のある海事従事者に対する宣教団体。苛酷な労働に従事する船員の生活を援助する目的で英国聖公会によって設立された。
    ※この "爺さん" は軍功のある元水兵で教会の前で何らかの援助を求めているのではないだろうか?


 シネイド・オコナーの歌は1994年のシングルCD "Fire On Babylon" 等に収録されています。オリジナルはロンドン生まれのシンガーソングライター、ラルフ・マクテルの1969年のアルバム "Spiral Staircase" 等に収録されています。
 ラルフ・マクテルは1960年代半ばにヨーロッパをヒッチハイクしながら回り各地で路上ライブを行なっています。その時の経験とくにパリで見た光景と人々の様子がこの歌を作った動機で、初期は "Streets of Paris" という名で呼んでいたそうです。それを現行の曲名にしたのは歌の内容がロンドンにそのまま当てはまることにふと気づいたからだそうです。
 ラルフ・マクテルは1944年生まれですからこの歌を作ったのは22歳か23歳くらいでしょうか。歌詞中の "So how can you tell me you're lonely?" の you は爺さんや婆さんではなくこの歌を聞く若い世代に語りかけているように思えます。自分の殻に閉じこもって自分の不幸を嘆くだけではなく目を外の世界へ向けてみろ、不幸なのはお前だけではない、若く力ある自分やお前はこの社会に何かできることがあるんじゃないか、と自らや他に問いかけているのではないでしょうか。老いや孤独、貧しさといった不幸はパリやロンドン、あるいは東京、ニューヨークなどの都会だけではなく、世界中のあらゆる所にあるはずです。

Comments 0

Leave a reply