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Quarantine : The Flobots



Circle up circle up *1
集まれ、注目せよ
Civil servant serpents
国民の公僕、狡猾な蛇たち
Peace we demanding to stir it up *2
平和。我々はそれを要求し、扇動し、煽り立てる
Stirrups on our certainty *3
我々は確信をもって鐙を履き、馬を煽る
The tide will turn we're turning up *4
我々が来たからには、潮流はきっと変わる
We're turning tides no turning us
我々は潮の向きを変える。いや、我々自身を変える
The tide is high y'alls term is up *5
潮は満ちた。お前たちの刻限は迫っている
And don't look now the surf is up *6
今はもう見ている時じゃない。打ち寄せる波は充分高い
The surge is us
この大波のうねりこそが我々だ
When the sickness is pervasive
そして、病気が蔓延している
'Cause I can see the sails of conquistadors and slave ships *7
私には、アメリカ征服者の船、奴隷を積んだ船、両方の帆が見えるから
The vectors lie adjacent and spread by our complacence *8
病原媒介生物はすぐ近くで待ち受けており、我々の外界や他者への無関心の傍らにはびこる
Our media rephrases our pain as entertainment
新聞やテレビは、我々の "痛み" を娯楽のための "見世物" にして伝える

Cause fire and the flame is old claims exasperation *9
火と炎は昔ながらの憤激の主張だから
And by subtle name the slave is just an entertainer *10
分かりにくい名によって、奴隷は人を楽しませる芸人に過ぎないのだから
And the field and stage are gauges of containment *11
"畑" と "舞台" は、閉じ込めと束縛の計量器なのだから
The streets change to graves
この町は墓場となる
When the titans clash to reinstate their status *12
巨神たちが轟音を立ててぶつかり、彼らにふさわしい地位を復権させる時
Hate us but no we're not stopping
憎まれようとも、我々はやめない
Could not be flummoxed by lynch mob of hobgoblins *13
小鬼の暴徒たちのリンチに対しても、まごつきも戸惑いもしない
So bring your mastodons and man of wars *14
だから、巨象でも巨大戦艦でも持ってこい
Dodge them like a matador *15
どんな攻撃も闘牛士のようにかわしてやる
We at the door of corporate greed
我々は、貪欲な企業の門前に
Were calling up a quarantine *16
"検疫所" を召喚していたのだ

We need a quarantine
我々には検疫所が必要だ
This ancient war machine is broken
この古代の戦争機械は壊れている
war machine is broken, bloken
戦争機械は壊れている

This is live from the center of the hive *17
これは "ハチの巣" の中心部からの生放送だ
You left an open wound now we're spilling out the sides
お前たちが開いた傷口を放置している今、我々は両脇に溢れ出ようとしている
The hornet and the wasps fly united in the storm *18
スズメバチなどの凶暴な "狩り蜂" が群れをなして嵐の中を飛ぶ
We'll look back on this moment as the moment we were born
我々は、我々が生まれた時として、この瞬間をいずれ回想することになるだろう
Let it be known
知らしめよ
Crush the demons of the past
過ぎ去った昔の存在であるはずの悪魔たちを粉砕せよ
We stand together now raise an army from the ash
我々は共に立つ。この灰から戦士たちをよみがえらせる
We call upon whoever hears the message to react
我々は呼び集める。このメッセージを聴き、反応してくれる者ならば誰であろうと
And then all as one we smash the gears of death and push it back
そして、我々は一丸となって、死の装置を打ち砕き、押し返す
Now if you only feel it one time *19
お前たちが一度でいいからこれを感じ取ってくれればいいのだが
Bet you felt it now
お前たちは、もうすでに感じ取っているはずなのだ
Women children frontline platinum melt it down
女子供の最前線。白金をも溶かす
Eyes dripping milk as they try to smoke us out *20
両目から乳を滴らせる。奴らが我々をいぶし出そうとする時
We can see the sunshine behind the funnel cloud *21
あの竜巻雲の向こうに太陽の輝きが見える
So heed the science *22
"科学" の言う事には、よく注意を払って、考慮して聞け
We are spiritually defiant *23
我々は精神の反抗者だ
Seeking everything we've never had by severing compliance *24
"企業の法制遵守" など断ち切って、我々は、かつて得たことのないあらゆるものを求める
Combine it in a heavenly alliance, reunited *25
美しい同盟として結合する。再び団結する
No longer keeping silent
今はもう沈黙を守らない
We've awoken sleeping giants
我々は眠れる巨人たちを目覚めさせたのだ

We need a quarantine
我々には検疫所が必要だ
This ancient war machine is broken
この古代の戦争機械は壊れている
war machine is broken, bloken
戦争機械は壊れている


備考
  1. circle up : ~を円形に配置する
  2. to : 副詞的用法の不定詞を導く。~するために、~して、~すると。目的、結果、原因・理由、根拠、限定、程度など文脈により訳語は様々になるが、要は直前の動詞・形容詞等を修飾するためのもの。
    stir up : かき立てる、呼び起こす、扇動する、唆す、引き起こす
  3. stirrup : 乗馬用具の鐙(あぶみ)
  4. turn up : [自] 不意に起こる・生じる、現れる・訪れる・到着する、上向く [他] (つまみをひねって)音量・光量・火力等を上げる、上に向ける、上向かせる、引っくり返す、掘り起こす
    ※他動詞ならば目的語は tide になる。ここでは文脈から自動詞だろうと判断し訳しているが、誤訳しているかもしれない。
  5. term : 限られた期間、任期・刑期・学期、返済等の期限。正確に定義された専門用語、ある人の特定の言葉遣い・言い回し
  6. ※米詩人 Wystan Hugh Auden の "Leap Before You Look 見る前に跳べ" と題された詩の影響があるのだろうか?
     The sense of danger must not disappear:
     危険を恐れる感覚を消すことはできない
     The way is certainly both short and steep,
     その道は確かに貧弱で険しい
     However gradual it looks from here;
     しかし一方で、ここからはなだらかにも見える
     Look if you like, but you will have to leap.
     見ていたいのならそうすればいい。だが、君はいずれは跳ぶことになる
    ※詩のタイトルは諺 "Look before you leap 転ばぬ先の杖" のもじりである。
  7. conquistador : コンキスタドール。元々はスペイン語で征服者を意味する言葉だが、とくに16世紀前後にインカ帝国などを滅亡させたスペイン人のアメリカ征服者たちを指す。
  8. adjacent : 近くの、近傍の、近隣の、隣り合った、地続きの
    complacence : 自己満足。一人悦に入り他を気にしないこと。無頓着、無関心
  9. exasperation : 憤慨、憤激、激怒
  10. ※ "by subtle name" は一応直訳してあるが、意味が分からない。
  11. gauge : 計器、計測器、計量器。標準寸法、規格、基準、尺度。
    containment : 抑制、束縛。封じ込め、閉じ込め。原子炉格納容器
  12. titan : タイタン、ティタン。ギリシャ・ローマ神話の巨神族。
    reinstate : 元に戻す、使えるようにする、修復・回復させる。復職・復権・復位・復帰させる
  13. flummox : 当惑・困惑・混乱させる、途方に暮れさせる、まごつかせる、戸惑わせる
    lynch : 人を私刑によって殺す。公的な法に基づかず、特定集団により行なわれる私的な制裁
    hobgoblin : ヨーロッパに伝わる想像上の生物、精霊。ゴブリンと同様、邪悪(あるいはいたずら者)で醜い小人として描かれることが多いが、ゴブリンとの違いとして、人間を手助けする善良さを示すこともある。
  14. mastodon : 四千万年前から一万年前頃まで生息した原始的な象類の哺乳動物。体・権力・影響力などが非常に大きい人。巨人
    man-of-war : 軍艦
  15. dodge : 身をかわして一撃を素早くよける、巧妙に避ける(逃れる)、巧みに体をかわす
  16. quarantine : 病気の蔓延を防ぐための隔離、検疫等のために隔離(抑留)、検疫、検疫所
  17. hive : ミツバチの巣(箱)、ミツバチの群れ、ミツバチのように集まっている群衆
  18. hornet : スズメバチ。F/A-18(米軍の戦闘爆撃機)。
    wasp : スズメバチ、アシナガバチ、ジガバチ等、狩りをする狩り蜂の総称。アングロサクソン系プロテスタントの白人(アイルランド、ユダヤ、黒人、ヒスパニック、アジアン等に対し、米国への初期の入植者を指し、"裕福" を示唆すると同時に侮蔑的な意味合いを持つ)。
  19. if only : 仮定法で願望や後悔などを表す。通常は後が過去形や過去完了形となる。ここで feel が現在形になっている理由は分からない。
  20. ※ "Eyes dripping milk" は全く意味が分からない。genius.com に、「ミルクは発煙弾等化学兵器を中和するものとして言及されている」との投稿があったが、その解釈が適切なのかどうか判断がつかない。
    smoke out : いぶし出す、追い出す。明らかにする、暴き立てる、暴露する
  21. funnel cloud : 漏斗雲。竜巻によって発生する縦に細長いろうと(じょうご)状の雲。
  22. heed : 留意する、気をつける、注意する、気に掛ける。傾聴する、聞き入れる
  23. defiant : 反抗的な、挑戦的な、大胆な、傲慢な、不適な
  24. seek : 捜し求める、得ようとする、求める、~しようと努める
    sever : 切断する、切り取る、分断・分離する、関係を断つ
  25. combine : 混合する、結びつける、化学結合させる、刈り取る・収穫する
    alliance : 国家・派閥間の同盟、提携、連合

 flobots quarantine

 2017年のアルバム Noenemies より。冒頭の動画を作ったのはボーカルの Stephen "Brer Rabbit" Brackett です。彼は大友克洋のファンで、十代の頃見たアニメ『AKIRA』は彼の人生を変えるほどの作品だったということです。
 動画の説明文の最後に彼は次のように言っています。「分断の時代にあって、洞察力や想像力は欠くことのできないものだ。僕たちは僕たちを他の誰かと分け隔てする必要はない。逆に、僕たちのなかにある他者の痛みを認識しようとしない部分の回りに境界線を引いて囲う必要がある。"僕たち vs 彼ら=敵" というお決まりの観念を育てる部分を "隔離 quarantine" しなくちゃならない。恐怖に対する戦いの中においては、僕たちはみんな同じ側にいるんだ」
 歌詞の内容は、細部が理解できない英語がいくつもあるため、正直な所よく分かりません。全体から受ける印象として "軍産複合体に象徴されるアメリカの政治経済体制に対する反抗" というのが主題のように思えます。ただし、上の Stephen Brackett の言葉やアルバムタイトル Noenemies という言葉から推測すると、暴力的な反体制活動を扇動しているわけではないようです。*23 にある "spiritually defiant 霊的・精神的に反抗する者" に表れているように、反体制思想の模索と確立、普及を目指している歌詞なのではないでしょうか。

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