気に入った洋楽の歌詞を和訳しています。

Get Up, Stand Up : The Wailers



Get up, stand up: stand up for your rights!
起きろ。立ち上がれ。お前たちの "正義と権利" のために
Get up, stand up: don't give up the fight!
起きろ。立ち上がれ。闘うことをあきらめるな

Preacherman, don't tell me, *1
説教師よ。ふざけたことを言うな
Heaven is under the earth.
"天国" は死後の世界、土に埋められた後の世界だなんて
I know you don't know *2
お前たちは何も知らない
What life is really worth.
"生きる" ということの本当の価値を
It's not all that glitters is gold; *3
光り輝くものは黄金だけじゃない
Half the story has never been told: *4
物語の裏には決して語られることのない半面がある
So now you see the light, eh! *5
ようやくお前たちも分かっただろう
Stand up for your rights. Come on! *6
立ち上がれ。自分たちの "正義と権利" のために。さあ!

Get up, stand up: stand up for your rights!
Get up, stand up: don't give up the fight!

Most people think,
みんなが思っている
Great God will come from the skies,
偉大な神がいつか空から降りて来て
Take away everything
何でも取り除いてくれると
And make everybody feel high.
そして、みんなを幸せな気分にしてくれると
But if you know what life is worth,
だが、生きることの本当の価値を知れば
You will look for yours on earth:
その価値をこの地上に求めるようになるはずだ
And now you see the light,
お前たちもようやく分かっただろう
You stand up for your rights. Jah!
立ち上がれ。お前たちの "正義と権利" のために。ああ、神よ

Get up, stand up! (Jah, Jah!)
Stand up for your rights! (Oh-hoo!)
Get up, stand up! (Get up, stand up!)
Don't give up the fight! (Life is your right!)
           (生きる事は正義であり権利である)
Get up, stand up! (So we can't give up the fight!)
         (だから俺たちは闘うことをあきらめない)
Stand up for your rights! (Lord, Lord!)
Get up, stand up! (Keep on struggling on!)
         (あがき続けろ、もがき続けろ)
Don't give up the fight! (Yeah!)

We sick and tired of-a your ism-skism game - *7
もううんざりだ、吐き気がする。お前たちの "主義・主張争いによる分裂騒動" には
Dyin' and goin' to heaven in a Jesus' name, Lord.
イエスの名のもとに天国に行くために死ななければならないのか? ああ、神様
We know when we understand: *8
俺たちは知っているはずだ
almighty God is a living man,
万能の神とは生きている人間たちのことだと
you can fool some people sometimes *9
時には誰かを騙すことはできるが
but you can't fool all the people all the time.
すべての人を永遠に騙し続けることはできないと
So now we see the light (What you gonna do?),
さあ、やっと分かっただろう?(お前たちが何をしようとしているのか)
We gonna stand up for our rights! (Yeah, yeah, yeah!)
俺たちは自らの "正義と権利" のために立ち上がるんだ

So you better: *10
起き上がり、立ち上がらなければならない。
Get up, stand up! (In the morning! Git it up!) *11
        (朝だ。起きろ!)
Stand up for your rights! (Stand up for our rights!)
Get up, stand up!
Don't give up the fight! (Don't give it up, don't give it up!)
Get up, stand up! (Get up, stand up!)
Stand up for your rights! (Get up, stand up!)
Get up, stand up! ( ... )
Don't give up the fight! (Get up, stand up!)
Get up, stand up! ( ... )
Stand up for your rights!
Get up, stand up!
Don't give up the fight! [fadeout]


備考
  1. preacher : 福音を説く者、説教師、伝道者。教え諭す者、訓戒者、唱道者。
    ※ preacherman はおそらくキリスト教の聖職者。ラスタファリアニズムはキリスト教の影響を色濃く受けており聖書の言葉も援用されるが、人種差別を容認・助長する文脈でのキリスト教思想とは激しく対立する。
  2. ※1行目の "Preacherman" が "呼び掛け" である文脈からするとここから先の "you" は、説教師を指しているように見えるが、後半の「立ち上がれ」の文脈からすると "説教師や支配者の言葉に騙されたり惑わされたりしている者たち=聴衆" を指しているように見える。あるいは、*2 の you が説教師、*5 以降の you が聴衆=被支配者なのか、それとも説教師自身も被支配者であり騙され惑わされている者に含まれているのかもしれない。ただ、そのいずれにしても、この歌全体が「真実を知り、目を覚ませ」というアジテーションであることに変わりはない。
  3. not all : 全てが~とは限らない(通常は部分否定を表す)
    glitter : 光を反射してきらきら(ぴかぴか)輝く、照り映える、きらめく。きらびやかに飾り立てる
  4. ※ "Half has never been told" はラスタファリアンに古くから伝わる格言で、現代に伝わる歴史は強者・富者・支配者・勝者の歴史であり、その裏にあった被支配者の実像は知られることが少ないという意味である。とくに、白人に支配されたアフリカ人の歴史の詳らかな実態は隠されたままであるということを示唆する。
  5. see the light : 光明を見出す、事の真理を知る、やっと分かる、目から鱗が落ちる
  6. right : 正しい行為や考え、正義、正当性、公正さ。当然の権利、人権、正当な資格。右、右手
  7. sick : 病気の、吐き気がする、むかつく、気が滅入る、飽き飽きする、うんざりする
    ism : 学説、主義、思想
    schism : 団体の分裂、分派、キリスト教の教会分離・離教
    ism-schism : 合理的根拠のない先入観を持った主義主張への信仰的態度のために、人々が分裂すること(www.urbandictionary.com より)
  8. ※直訳すると「俺たちは分かっている。俺たちが(: 以下3行の事を)いつ理解するかを」あるいは「俺たちは分かっている。俺たちが(: 以下3行の事を)理解する時を」となるのだと思う。いずれにしても、その when は「今こそ理解すべきである」というニュアンスで使われているのではないだろうか。
  9. fool : だます、欺く、ごまかす、惑わす。ばかにする、からかう
  10. you better = you had better : あなたは~すべきである、~した方がいいよ
  11. ※ "git it up" はおそらく "get it up" だろう。"get it up"は「男性器を勃起させる」という意味もあるらしい。

 bob marley burnin

 1973年のアルバム Burnin' より。
 1962年にイギリスからの独立を果たしたジャマイカでは、ジャマイカ労働党と人民国家党の二大政党が政争を続けていました。その争いは市街戦で死者が出るような過激なものでした。また、貧困による生活苦、その結果としてギャング等の暴力が支配する不穏な住環境など、当時のジャマイカ国民の生活は苛酷なものだったようです。ボブ・マーリー自身もこの後1976年にこの政党抗争に巻き込まれ銃撃を受けています。備考 *7 の "ism-skism game" は、一般的に被支配者たちが自分の主義主張にこだわって団結できないことへの非難を意味しているのですが、背景にはこのようなジャマイカの内政と社会状況の混乱があるのではないかと思います。そして、この歌での「俺たち」の敵は、独立後も執拗に経済的圧力をかけ続けるアメリカやイギリスという白人国家、ジャマイカ国内にごくわずかしかいない政治的経済的支配層、そしてそれらを結果的に擁護してしまうキリスト教の教義あるいは聖職者たち、などになるのではないでしょうか。
「神に祈っているだけで幸せになることはない。現実世界は自分たちの力で変えていくしかない。そのために、まずは被支配者たち同士で争うことをやめろ。いいかげん、騙されていることに気づけ。目覚めよ、立ち上がれ」という国民への激文なのでしょう。

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